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模倣+変化=創造性

アメリカを代表するダンサーであり、名振り付け師でもあるトゥイラ・サープ。創作してきたダンスは130以上にものぼり、その多くは古典になっているという。

彼女は意外にも「創造的であるためには模倣が欠かせない」と述べている。以下はサープのコメント。

「だれかの真似をすると自分らしさが失われるといったことは、私はまったく心配していません。真似をしない人なんて、いるのでしょうか。いないわけがありません。とにかく、私は気にしません。むしろ、それを生かして作品づくりに励みたいと思っています。」

一方、68歳のサープは、今も変化し続けている。ダンスを創作する際、新作と前作はまったく方向性が違うものであるらしい。これについて彼女は次のように言う。

「それが私の戦略です。そうすることで、たえず自分を駆り立て、煮詰まらないようにしています。成功しようが失敗しようが、同じ経験を繰り返すつもりはありません。居心地がよいからといって、それに満足してはいけません。これでは、次に自分がやってみたいことがなくなってしまいます。」

変化は、私の仕事の原動力であり、創作活動にとって、習慣と同じくらい重要なものです。」

「私の場合、ダンスの創作で失敗する時と成功する時の比率はおそらく六対一くらいでしょう。つまり、最終的に作品として採用されたものには、そのおよそ六倍の素材が費やされているわけです。」

以上をまとめると、彼女の創造方程式は次のようになる。

創造性=模倣+変化

とってもシンプルな考え方である。

言いかえると、「挑戦するけど、他人から学ぼうとしない人」や、「真似するだけで、挑戦しない人」は何かを創造することはできない、ということになる。

経営学者のマーチとサイモンによれば、われわれはゼロから革新することはできない。イノベーションの多くは借り物から生まれる。優れた他者から学んだことを組み合わせ、自分なりの味をつけることが創造なのである。

出所:トゥイラ・サープ&ダイアン・クーツ「創造は「心身の没頭」から生まれる」Diamond Harvard Business Review, April 2009, p146-152.
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