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知的刺激が大学生を伸ばす

経験学習を研究していると、どうしても学校を卒業し、社会人になった後のデータを分析することが多い。しかし、私たちは、学校時代にも経験から学んでいるはずである。

先日、CDC(キャリア・デベロプメント・コミュニティ)の田中潤さんから「大学生の経験学習」に関する研究結果を見せていただいた。

CDCとは、異なる企業の人事担当者が、会社を超えて集まっているコミュニティである。CDCでは、企業の若手や大学生に対して調査し、学会発表しているとのこと。かなり気合いの入った異業種交流会だ。

ちなみに、研究テーマは「できる学生は、どんな学生生活を送っているのか?」

数校の大学生を対象に調査を実施し、学生時代に「能力がアップした人」と「そうでない人」を比較したところ、次のことが明らかになった。

能力がアップした人は
1)学業、アルバイト、サークル等の活動への「かかわり方」が違っていた
2)「挑戦して成果を出し」「責任のある立場で活動し」「知的な活動」を経験していた
3)アルバイトよりも、学業と課外活動、特にゼミから学んでいた
4)ゼミにおいて、「ひとつのテーマをきちんと追求し」「グループで物事を考え」「リーダーシップを発揮」していた

以上をまとめると「学業における知的なストレッチ課題に、グループを通して取組み、リーダーシップを発揮した経験」が学生の能力を高めるといえそうである。

世間には「勉強よりも、アルバイトやサークル活動の方が人材育成効果がある」と考える風潮がある。しかし、「研究活動」という大学の本質的機能が、大学生を伸ばすことが示された。大学の教員として、これはとても嬉しい結果である。

今後、この分野の研究をさら進める必要があるように感じた。
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