前福井県議会議員 さとう正雄 福井県政に喝!

前福井県議会議員・さとう正雄の活動日誌。ご意見・情報は smmasao.sato@gmail.com までお願いします。

福井県議会。家庭に行政が介入しかねない家庭教育支援条例、原発依存つづける意見書に反対討論。コロナ禍の医療機関への支援求める意見書は全会一致で可決。

2020年10月08日 | 福井県政
  昨日は9月県議会の最終日。午前に議会運営委員会、午後、本会議、各派代表者会議などがつづきました。
私は、コロナ対策の補正予算案には賛成しました。議員提案の家庭教育支援条例には反対討論、民主みらいの渡辺議員が賛成討論。自民は討論なし。反対は私だけで可決。
少人数学級求める請願も採択を求めたのは私だけで、不採択に。
 原発依存をつづけようという「原子力発電施設等立地地域の振興に関する特別措置法」の期限延長を求める意見書に反対も私だけ・・・・がっくり。

 一方、新型コロナウイルス感染症に係る医療機関への支援に関する意見書は全会一致で可決されました。
全国トップクラスの診療報酬減少の福井県内医療機関。ぜひ、スガ政権には医療機関への公的支援をおこなっていただきたいと思います。




■反対討論
 日本共産党の佐藤正雄です。
●発議第14号 福井県家庭教育支援条例案について反対します。
 第一に、手続きの問題です。この条例案は手話言語条例などと違い関係者や関係団体などからの要望にもとづくものではないだけに、より慎重に県民の声を聴くべきでありますがその手続きがきわめて不十分であります。
 実際に、パブリックコメントを寄せた方は5人にとどまり、県民の中で条例そのものがあまり知られていません。一方、条例案の内容を知った県民の皆さんからは、新日本婦人の会や弁護士団体から慎重審議や反対の声が議会に届けられています。
  かつて国会で障がい者に関する立法の際に、「わたしたち抜きにわたしたちのことを決めないで」との世論が起こりました。
  この条例案の中間報告がおこなわれた際に、私は子供たち含め当事者の声を聴くべきと提案しましたが、おこなわれていません。
  コロナ禍のもとでの条例制定だけに拙速にすすめず、いっそうかかる配慮が求められると思います。
  日本子どもを守る会の増山均会長は5月31日の声明の中で「さまざまな取り組みの実施にあたっては、子どもによく説明すると同時に子どもにも相談して、子どもの声を聴き、子どもの参加のもとで一緒に知恵を出し合って取り組むように」求めています。
 このことの重要性はコロナ感染症対応のみにとどまらないと私は考えます。子どもを権利の主体として認めることは国際的標準です。
  当事者の声を十分聴かないままに行政と子どもをふくむ県民を拘束する法律を制定することは民主社会においてあってはなりません。
また、なにより県民の多様な意見をふまえて十分な議論をおこなうことを定めた福井県議会基本条例の趣旨にも反するのではありませんか。

 第二に、内容の問題です。
法律家である自由法曹団福井県支部の声明でも指摘されていますように、この条例案にはいくつかの問題があります。
  そもそも家庭教育という子どもをどう育てていくかという親の生き方に公権力が介入し、こうあるべき、などと強制していくことは思想・良心の自由への侵害となりかねないこと。個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚する家族制度を規定した憲法24条の精神に反すること。
  条例案第3条などは他県の条例と比べても家庭の責任、保護者の責任の強調度合いが強く憲法19条の保障する思想良心の自由に抵触しかねないこと。
  などが弁護士団体からは指摘されています。

 このほか、第8条の祖父母の役割規定は、かならずしも息子・娘の家庭と祖父母の関係性についてはまさに多種多様である現実をふまえれば、条例で一律に規定することは逆にあらたな火種というか問題要因となりかねません。
  第13条、親になるための学びの強制は、今日のLGBTQなど多様な性のあり方、また結婚するしないの選択などを否定する風潮をうみだしかねず、生きづらい社会への逆行となりかねません。
  福井県議会として、このような時代の流れに逆行しかねない条例制定はおこなうべきではありません。


つぎに請願第16号 国の責任による小中学校の20人学級を展望した少人数学級の前進を求める請願は採択すべきです。
 文部科学省が2021年度予算案の概算要求に、少人数学級の検討を盛り込みました。義務教育標準法を改正して正規の制度化をめざす意向です。国民の声が、少人数学級に長期に背を向けてきた政府を動かした、重要な変化です。
 同時に、今回の要求は規模も進め方も記されない「事項要求」です。本当に法改正や予算が認められるのか全く未定です。少人数学級は重要な局面を迎えています。
 未定となっている要因は、政府の姿勢が定まっていないためです。国の予算をにぎる財務省は少人数学級を「明確な効果があったとは認められない」と敵視し、現在行われている小学1年の35人学級を「40人に戻すべきではないか」と要求したことさえあります。
 7月3日に福井で開かれた「学校統廃合を考える退職教職員の会」では、参加された教員経験者から、「40人のクラスではわからない子がいても気にならなかったが、5人のクラスを担当したときは1人でもわかっていない子がいると気になった」「採点も10人足らずならパパッと終わり子どもたちと向き合うことができた」「小規模クラスの子どもの名前と顔は今でも覚えている。そういうことは教師にとっても、子どもにとってもプラス」などの声がだされたそうです。
 文科省の中央教育審議会臨時委員もつとめられた山本健慈元和歌山大学学長は、「世界で非常識なのは日本のクラスサイズと高学費です。少ない生徒数や学級数では切磋琢磨できないという意見もあるが、切磋琢磨は小規模でもできます。大きいほうがいいというのは、切磋琢磨ではなく経済効率重視のため」と喝破されています。
  まさに、一人ひとりにていねいに応じられる少人数学級が子どもの成長に大きな効果のあることは自明の理です。
 ゆきとどいた教育実現のうえでも、新型コロナはじめ感染症対策のうえでも、子どもたちに少人数学級をプレゼントしようではありませんか。
 もうひとつ、指摘したいのはいま県内各地で学校統廃合計画議論がかまびすしいわけです。しかし、少人数学級が制度化されれば、これは子どもの人口が減少する中で、地域の学校を守るひとつの後ろ楯となるのです。若いご夫婦などが子育てできる教育環境を地域に残すこと、このことは、地域がまるごと限界集落化し、消滅していくことから防ぎ、地域再生の可能性につなげていくことにもなるわけですので、福井県議会こそ採択すべきです。


請願第15号 新型コロナウィルス感染症対策を含めた地方財政の充実・強化を求める意見書提出に関する請願は、政府に十分な財源確保を求めるなど全国知事会なども求めている内容であり不採択ではなく採択すべき、と申し上げ反対討論を終わります。





 日本共産党の佐藤正雄です。
「原子力発電施設等立地地域の振興に関する特別措置法」の期限延長を求める意見書案について討論します。

 この法律はもともと際限なき原発推進、つまり原発増設と核燃料サイクル推進を狙いとしていますが、ご承知のように福島原発事故はそれまでの政府や電力会社の日本の原発は安全、原発はコストパフォーマンスが高い、などの神話を打ち砕きました。高速増殖炉「もんじゅ」の破綻は核燃料サイクルの破綻にほかなりません。
原発推進に国民の支持は得られないのが現状です。
 国内にあった58基の原発のうち25基が廃炉となり、規制基準適合となっても世論の反発で再稼働にいたっていない原発が7基あります。
  コストをみても2011年から2019年度の電力10社の原子力発電費は約15兆3700億円。うち原子力での発電をしなかった電力会社の発電費が約10兆4400億円。ひらたくいえば、動いていない原発費用の10兆円が消費者負担とされています。
さて、来年3月には福島原発事故から10年を迎えますが、地元のみなさんの苦しみはなんら解決していません。日本原子力学会の報告書では、敷地の再利用が可能になるには最短でも100年から数百年かかるということです。原発との共存共栄を信じてきた住民には残酷な結末です。
 8月末に、大地震、原発事故、コロナ禍という3重災害の想定での原子力防災訓練がおおい町を中心におこなわれましたが、あらためて原発事故時に住民避難を責任をもって完遂できないことが浮き彫りになりました。
 また、福井県ではつぎつぎと明らかになる関西電力・森山マネーの闇に県民はますます原子力への信頼をなくしています。
  福島原発事故10年を前に、私たちに求められているのは原発依存から脱却し、原発ゼロの日本を展望すること、そのためには爆発的な再生可能エネルギーの普及をすすめること、財政的には国策原子力に協力してきた地域の雇用と地域経済を支える特別措置を政府の責任でおこなうことこそ求められています。
  以上申し上げて、原発依存に頼り続ける「原子力発電施設等立地地域の振興に関する特別措置法」の期限延長を求める意見書案に反対の討論といたします。