日本語学校からこんにちは ~水野外語学院~

千葉県市川市行徳にある日本語学校のブログです。日々の出来事、行事、感じたことなどを紹介しています。

やっと、判ったみたい。もう不安で堪らないという顔はしない…でしょうね。

2017-09-08 08:31:17 | 日本語学校

曇り。

早朝、濃い霧がかかっていました。霧に埋もれたかに見えた街も、あっという間に晴れ、朝日が差し込んできたかと思いましたのに、今はまた雲に覆われています。

全く秋の空というのは…。

ところが、早朝、朝日が出たばかりの頃、霧の中から「アブラゼミ」の声が…。驚きましたね。ここ数日、肌寒く、もう「セミ(蝉)」の時代は終わった…、で、草むらから秋の虫たちが我が世の春を謳っていた…と思っていたのに。明日からまた夏日という予報が出た翌日の「セミ」の声です。いったいどこに隠れていたのでしょうね。

さて、学校です。

4月に来日してからずっと担任を泣かせていたネパールの学生さん。やっと昨日、動詞の活用の法則が納得できたようで、「やみます」は「ます」の前が「み」だから、「よみます」と同じ形にします。で、「やんで」となります。と、大丈夫かなという顔で説明したのですが(このクラスでは、各担当がそれを何十回となく繰り返してきました。そのたびに、消化不良のような顔をしていたのです。それが)何を今更という顔で「はい」。

思わず、「大丈夫ですか」「わかりましたか」と念押しすると、「わかります」「わかりました」。いかにも当然と言った顔つきで答えたものですから、こちらの方が不安になってしまいました。…わかるはずがない、嘘だろう…。

「テ形」活用を入れたばかりの頃、担任がいくら説明しても、なかなかストンと落ちていかない。というわけで、このルール通りに活用させることができなかった…のが、うそのよう。練習させる度に間違い、どんどん不安で堪らないといった顔つきになっていったのです。こりゃあ、苦手意識が育ってしまう。いかん、いかん…。

で、担当していた三人で相談しました。「このクラスでは文法説明はサラリと流して、とにかく体力勝負でいこう。普通のクラスで10回練習させるところを、このクラスでは20回、あるいは30回の練習でやっていこう」

まあ、大変でしたけれども、昨日、(なかなか判ってくれなかった)最後の一人が「いかにも当然」と言った顔をしてくれましたから、きっと、その後の命令・禁止・仮定形が楽になるでしょう。

(彼らが来日したとき)この「4月生」の4月の(授業の)様子に肝を冷やし、(それがクラスに一人や二人なら何とか出来ても、集団で来てしまいましたから)初めてネパールに行ったとき、そこの学校の人に、これだけは、「やってくれろ(あるいは、やってくれるな)」を叫んでしまいました。

面接に来た学生にも一人一人、「こんな書き方ではだめだ」と言い、また「勉強した、N5に合格したというけれども、出来ていないじゃないか」と厳しく言ってきました。

「『平仮名』を、ネパール式に何が何だかわからないような字に書かせないでくれ。少なくとも、外国人の『平仮名』を見慣れている私たちが、読める程度の字で書けるようにしてから寄越してくれ。」

「机に、斜め90度の角度でノートを置かないように指導しておいてくれ(線がまっすぐに引けないので、カタカナもひらがなも漢字も何が何だか判らなくなってしまうのです)。」

日本語を教える最初に、こう指導しておけば、「日本語の勉強ではこうなのか」とそのまま入っていやすいものです。それが半年か一年もそのままでやっていて、日本に来た途端、「変えろ」では学生の方でも納得できないでしょう。

ネパールにしろ、ベトナムにしろ、(日本で)教える者が現地に行って要求するのです。そして彼らの問題点を一つ一つ言って注意してくれろと言うわけですから、相手がきちんとした人であったら、考えてくれるはず…と、私たちは考えます。

もし、(学生の)頭数で、日本にやりさえすれば、自分のポケットにいくら(入る)と勘定しているだけの人であったら、学生にとっても不幸ですし、私たち、日本で教える者にとっても不幸です。そういう人は私たちとはご縁のない人と見ていきます。

7月生は、4月生に比べて、グンと楽になっていました。やはり、「初級の文法」は現地の言葉で現地の教師が教えてくれなくては、どうにもなりません(このどうにもならないというのは、時間がかかるということです)。

留学生は一年半(二年で来ていても、大学や専門学校の入試が9月か、10月頃から始まります。10月に来たら、一年も経たないうちに入試を受けなければならないということになります)で、結果を出さなければならないのです。「N3」の内容で終わっていれば、大学に運良く入れたとしても、多分半年ほどで、「大学の勉強は難しい。やめて、専門学校の方に行きたい」と言い出すことでしょう。まあ、普通はそういう人は大学、大学と騒ぎはしませんけれども。

ただ、本当に大学に行きたいと思って来日する、高校を卒業したばかりの人にとっては、最初の躓きは大変なことなのです。それがスムーズに行けるためには、現地で教えられることは正しく教えておいて欲しい。もとより、学生本人の理由で教えられなかったというのなら、話は別です。それは彼ら自身の問題で、こちらがとやかく言うことではありませんから。

日々是好日
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする