薬屋のおやじのボヤキ

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風邪に抗生物質って必要?

2010年12月04日 | 風邪・インフルエンザ・コロナ

邪に抗生物質って必要?
(最新更新 2018.4.28)

(その1) ウイルスには無力なんですが…

 多剤耐性菌(MRSA)が問題になって久しいです。各種の抗生物質(飲む殺菌剤)に耐性ができてしまった「黄色ブドウ球菌」のことを言います。
 そもそも、この菌は、誰もが皮膚や粘膜に持っている細菌です。ケガしたときに、黄色くジュクジュクに膿む原因となる細菌で、免疫力が低下しているときには、そうなりますし、免疫力が極端に落ちた人の体内に侵入して、人を死に至らしめることがあります。
 病院のように、殺菌に殺菌を繰り返していると、わずかに生き残る菌が出てきて、その菌が耐性を付けて広がってしまうのです。そこで、別の殺菌剤を使うようになり、それにも耐性を付けた菌が広まるという悪循環が繰り返されて、どの殺菌剤も効かなくなるという、恐ろしい状態が病院内で生じてしまうのです。
 今日、病院内で生まれたMRSAが市中に広まるのが心配されています。その昔、結核菌に抗生物質ペニシリンが非常に良く効いたために多用された結果、今ではペニシリンに耐性を付けた結核菌が市中に広まってしまっているのと同様な恐れがあるのです。

 さて、風邪(かぜ)を引いたら、症状を抑える薬と一緒に抗生物質が処方されることが多いですよね。これは、二次感染を予防する、つまり細菌を殺すためですが、風邪を引いたからといって、肺炎や中耳炎になるのはまれで、予防のために抗生物質を飲むのは、あまりにも行き過ぎています。
 こうした処方を続けていると、そのうち、肺炎などを引き起こす菌にも耐性ができてしまって、抗生物質が効かなくなってしまうのでは。恐ろしいことです。(2011年12月12日追記:マイコプラズマ肺炎菌に劇的に効いていたクラリスロマイシンが効かなくなりました。)
 加えて、風邪の原因はウイルスがほとんどで、ウイルスには抗生物質は無力です。そればかりか、腸内善玉菌も病原菌も似たような細菌ですから、抗生物質は、腸内善玉菌にもダメージを与えます。
 腸内善玉菌は、免疫力を強化する働きが大きいですから、その活力が落ちれば、治る風邪も治らなくなってしまうのですがねえ
・・

 

(その2) 小児には投与しないことになったのですが…

 

 風邪(かぜ)の90%はウイルスが原因で、冬場となると、ほぼ100%ウイルスが原因します。
 ウイルスは遺伝子だけで出来ていますから、遺伝子を殺す薬を用いれば退治できますが、併せてヒトの細胞の遺伝子も殺してしまいますから、ヒト本体も死んでしまいます。
 ですから、ウイルスを直接退治する薬は、基本的には存在しないのです。

 

 その点、細菌は、ヒトにはない細胞壁を持っていますから、細胞壁を合成する酵素を阻害する毒を飲めば、細菌は退治され、ヒトに悪影響を及ぼすことは基本的にありません。この毒を抗生物質と言います。ペニシリンやメチシリンがそうです。
 ところで、細菌も様々で、はじめからこれらの細胞壁合成阻害抗生物質が効きにくい細菌もいて、その場合には、細菌に特有のタンパク質合成を阻害する毒、例えばストレプトマイシンなどの抗生物質が使われます。
 これにも効かない細菌もいて、細胞膜合成や代謝を阻害する抗生物質が使われます。
 このように、細菌によって、毒への感受性が違い、抗生物質が使い分けられるのです。
 なお、抗生物質は、何と言っても毒ですから、ヒトによっては非常に重い副作用が出ることがあります。
 この抗生物質が、数年前までは肺炎や中耳炎への感染防止のために風邪薬と一緒に処方されることが多かったのですが、大小様々な副作用を伴うことがあり、また、耐性菌を作り出し、肺炎や中耳炎が治らなくなる恐れが出てきましたから、予防的に抗生物質を使うことは止めようという動きが出てきました。
 2003年に日本呼吸器学会が大人向けに、2004年に日本小児呼吸器疾患学会・日本小児感染症学会が小児向けに、こうしたガイドラインを作りました。
 これにより、どれだけか抗生物質が処方されることは減ったのですが、まだまだ頻繁に処方されるお医者さんもみえます。

 

 風邪を引いたときに抗生物質を飲んではいけない理由は、他にもあります。
 ここに挙げました各学会では言っていないようですが、腸内善玉菌も細菌の1種であり、細菌に特有の細胞壁を持っていますし、細菌に特有のタンパク質を合成しています。
 ですから、抗生物質を飲むと、ヒト本体への副作用とは桁違いに大きく、腸内善玉菌にダメージを与えてしまうのです。
 風邪を引いたときに、それを治すのは、ヒト本体が持っている免疫力しかなく、この免疫力は、腸内善玉菌の活力がアップすることによって、高められます。
 ですから、免疫力を下げる方向に働く抗生物質は絶対に飲んではならないのです。
 ヒトと緊密な共生関係にある腸内善玉菌ですから、風邪の治療には、腸内善玉菌の活力をアップさせる措置を優先してもらいたいものです。
 もっとも、高熱が長く続き、二次感染している可能性が出てきた場合は、原因となる細菌に最も適した抗生物質を処方してもらわねばなりませんが。


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