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栄養素「オリゴ糖」の不思議(その2):母乳に含まれているオリゴ糖が、腸内善玉菌のご馳走に

2011年01月07日 | 整腸&オリゴ糖の働き

栄養素「オリゴ糖」の不思議(その2):母乳に含まれているオリゴ糖が、腸内善玉菌のご馳走に

 胎児は母親の血液を通して栄養を得ていますが、誕生後の赤ちゃんは母乳で全ての栄養をまかないます。その母乳の最大の成分が乳糖で、唯一のエネルギー源になります。この乳糖は、哺乳動物の母乳に共通していますが、赤ちゃんしか消化吸収できません。離乳年齢に達すると、その消化酵素を失うのです。
 ただし、ヒトにあっては、太古より動物の乳を飲んでいる民族は、離乳後もその消化酵素を失うことなく、大人になっても消化吸収が可能な能力を遺伝的に獲得しています。
 ちなみに、古来から日本列島に住んでいた民族は、そうした習慣がなかったので、その能力は獲得できていません。今日の日本人の大人で乳糖を消化できる能力を持つ人は、大陸の遊牧民族の末裔と思われ、残念ながら5~10%に過ぎず、牛乳を飲む価値はどれだけもないのです。

 母乳に含まれる、もう一つの糖が「オリゴ糖」で、これは、大人と同様に赤ちゃんも消化吸収できません。完全な栄養食の母乳であるはずなのに、なぜ、こんな不要物が入っているのでしょうか。
 それは、腸内細菌の餌にするためとしか考えられません。
 赤ちゃんの腸内細菌は、まだ未熟な状態にあり、これを育ててあげねばならず、ヒトと共生する腸内細菌ですから、彼らにも栄養を与える必要があるのです。全ての栄養が母乳だけですから、母乳に彼らの栄養素も入っているに違いないです。
 母乳の不思議は未解明な部分が多いのですが、新たな発見がされる度に、理にかなった仕組みになっていることが分かり、赤ちゃんに乳糖が最高のエネルギー源になるのと同様に、共生する腸内細菌にとって「オリゴ糖」が最高のご馳走になっているのです。

 一口に「オリゴ糖」と言っても、様々なタイプがあり、動物に由来する「ガラクトオリゴ糖」や植物に由来する「フラクトオリゴ糖」などがあります。母乳に含まれる「オリゴ糖」は前者ですし、健康野菜の王様「ヤーコン芋」に含まれる「オリゴ糖」は後者です。
 赤ちゃん時代は前者だけで良いのでしょうが、離乳後はきっと後者も腸内細菌のご馳走になることでしょう。
 そのあたりを研究されたデータがあり、腸内ビフィズス菌には両者ともに高い効果があるものの、腸内乳酸菌にとっては、それぞれの出自に由来する「オリゴ糖」でないと効果がないことが分かっています。
 世界一の長寿村として有名なコーカサス地方では発酵乳製品を常食し、前者の「オリゴ糖」が腸内細菌全般のご馳走になって、腸内環境が非常に良い状態が保たれているから、長寿なのでしょう。一方、南米アンデスの高地もコーカサス地方に劣らない長寿村であることが判明しました。ここでは、健康野菜の王様「ヤーコン芋」を常食しており、後者の「オリゴ糖」でもって、同様な効果が発揮されていると考えられるのです。
 さて、我々日本人の大半は、ごく最近になって発酵乳製品をどれだけか食べるようになっただけですから、その体質は、南米アンデスの原住民に近く、後者の「オリゴ糖」に優位性があることでしょう。

 とにもかくにも、「オリゴ糖」は、腸内細菌の最高のご馳走になるのでして、これによって、腸内細菌が大増殖し、イキイキと活性化されるのは間違いないことなのです。
 ただし、未消化物(大半の日本人の場合は、牛乳中の乳糖を含む)や食物繊維の分解も進みますので、副産物のガスが発生し、音を伴った「屁」が度々出るようになるのが難点ですが、腸内環境が高い状態で安定すると、これが少なくなります。なお、この「屁」の臭いは、無臭とは言えませんが、さほど気にならない臭いですからご安心を。

<以下、栄養素「オリゴ糖」の不思議(その3)へ続く>


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