外国で一時的個人的無目的に暮らすということは

猫と酒とアルジャジーラな日々

うちの猫の出産(1) 陣痛編

2013-06-15 22:19:58 | ヨルダン(猫中心)



6月7日の金曜日の夜、うちの猫ファーティハが5児を出産した。

しばらく前からお腹がぷっくり膨らんで洋梨体型になり、乳首が目立つようになっていたので、出産が間近だとは予想していた。
しかしそのわりには気軽に高所から(ドサっと)飛び降りたり、男遊びをしたりと、あまり妊婦らしからぬ(?)振る舞いをするので、まだ予定日は先なのだろうと、油断していた矢先である。

金曜日の午後7時半頃、ソファーに座って新聞を読んでいると、猫が外から帰ってきた。
普段なら外から帰ってくるなり台所に直行して、「早くゴハンちょうだい!ちょうだいってば~!」と大騒ぎするのだが、この時は食事など眼中にない様子で、ソファーに飛び乗り、私の隣にうずくまった。
そして私にもたれかかって、上体を半分起こした体勢で陣痛を迎えたのだ。

猫の出産に立ち会うのは初めてなので(人間の出産に立ち会ったことも、自分が出産した経験もない)、どういうものか見当もつかなかったが、なんとなく苦しげな風情で、呼吸の間隔が短かったので、これが陣痛なのだろうと見当をつけた。
時々微妙に姿勢を変えながら、黙って陣痛に耐えている猫を、私はひたすらなでた。
途中でふと思いついて、ラジオの宗教番組を流してみた。
ヨルダンの猫だから、コーランの朗読を聞いたら陣痛がマシになるかもと思ったのだが、残念ながら猫には何の影響も見られなかった。

この状態が1時間くらい続いた。
猫の出産なんて5分ほどで終わると思い込んでいたので、途中で私はたいへん不安になり、不吉なことをぐるぐる考え出した。

・・・これは時間がかかりすぎではなかろうか。
もしや、死産なのか。
あるいは、胎児が産道のどこかで引っかかって、出てこられなくなったのか。
うちの猫は最近過食気味で、妊婦としても太りすぎだったから、脂肪のせいで産道が狭くなっているのかもしれない。
ああ、あんなに食べさせるんじゃなかった・・
私がお尻の穴から手を突っ込んで、無理やり引っ張って出してあげるべきなのか?
いやいや、牛じゃあるまいし・・・。
もしかしたら、母体にも危険があるのだろうか。
母猫も胎児共々死んでしまったらどうしよう?!
子供は無理としても、母親だけはなんとか助けたいものだ・・・。
赤ん坊よりも、君の命の方が僕には大切なんだよ・・・!

妻の初産に立ち会ったら思いがけず大変な難産で、パニックに陥った夫のように慌てる私の横で、猫は荒い呼吸を続けている。


陣痛中の猫 


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