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圧倒的

2014年08月02日 | ア行
01、アルゼンチンで開かれた〔海外でののど自慢大会は〕、ブラジル、ペルー、ハワイに次いで四回目の海外大会でしたが、開催にあたっては大きな難関がありました。まず、現地に住む日系人の少なさです。アルゼンチン在住の日系人・日本人はおよそ三万人。それまでの三か所に比べて圧倒的に少なく、出場や観覧にどれだけの人が応募してくれるのかが大きな心配事だったのです。(『ラジオ深夜便』第169号、宮川康夫)

02、日本の住宅は欧米に比べ圧倒的に寿命が短く、30年程度しかもたないとされている……(日経ネット版、2014年7月30日。長嶋修)

03、とはいえ軍事力は圧倒的に劣勢。(朝日、2014年08月13日)

感想・「少ない」とか「短い」とか「劣勢」という形容詞を強調するのに「圧倒的に」という語を使うのは適当でしょうか。私には違和感があります。しかし、「二人以上の別々の人が使っている場合は、その用語法は、適当か否かに関係なく、広く使われていると判断して好い」というのが、私の経験則です。

 明鏡を引いてみました。「比べ物にならないほど、他をしのいでいる」という語釈の後に、「能力や程度が他よりひどく劣ることをいうのは一般的でない」として、「圧倒的な負け」と「圧倒的に弱い」を例示していました。

 新明解(第6版)にはこの点についての指摘はありませんでした。

 私の持っている明鏡第二版は2012年4月発行となています。今では「正しくはないが、今ではこれ〔劣っている場合に使う事〕も一般的になっている」という但し書きが必要でしょう。

 「少ない」と「短い」を引いてみましたら、明鏡にも新明解にも、それらをを強調する表現についての記述はありませんでした。強調表現も載せてほしいものです。

 明鏡には「『少ない』を表す表現」として、「雀の涙」とか「九牛の一毛」とかが載っていました。これはありがたいと思います。

備考・2014年08月13日に加筆。

コメント (1)
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