すちゃらかな日常 松岡美樹

サッカーとネット、音楽、社会問題をすちゃらかな視点で見ます。

下北沢のポスター配りで「あの記憶」が蘇った

2023-12-29 11:46:30 | エッセイ

※劇場「ザ・スズナリ」の飲み屋街「鈴なり横丁」

誰かが近づいて来る足音が聞こえたが……

 前回以前の記事で下北沢についていろいろ書いてるうちに、あれこれ昔の記憶が蘇ってきた。学生時代にやったポスター配りのアルバイトには実にいろんな思い出がある。

 つまり何かしらの宣伝ポスターを飲み屋なんかの店に置いてもらうバイトだ。

 あるとき、下北沢の街はずれにある劇場「ザ・スズナリ」の横の飲み屋街でポスターを配った。確かあの時は演劇の告知ポスターじゃなかったかな?

 で、ある店で若い美人ママが独り居た。そこで彼女に主旨を説明してポスターを渡し、店を出た。そしてしばらく歩いていると……後ろから速足で誰かが近づいて来る足音が聞こえる。

 なんだろう?

 そう思って振り返ると、なんとさっきの美人ママだ。速足で追いついてきたのですっかり上気した顔つきで、彼女は私の耳元に向けてこう囁いた。

「あなた、私の好みよ♪」

 そうひと言だけ言い残し、彼女はさっさと店へ帰って行った。

 真夏の暑い夜だった。

 まだ若かった私は、まるで雷に打たれたようにその場に凍りついた。

 いま思えばまるで小説のワンシーンみたいだが、そんな出来事が実際にあったのだ。人生模様いろいろだったなぁ、あのポスター配りは……。

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