まさおさまの 何でも倫理学

日々のささいなことから世界平和まで、何でも倫理学的に語ってしまいます。

「科学技術と環境の倫理学」 授業改善学生アンケート結果2014

2015-06-18 10:26:35 | 教育のエチカ
今さらながらすごいこと (ひどいこと) に気がついてしまいました。
昨年度の後期に開講していた科目の 「授業改善のための学生アンケート」 の結果ですが、
すでに集計し、感想も打ち込んであり、ブログ記事も書いていたのに、
下書き状態のままほったらかしにしてあって、まだ公開されていなかったことが判明しました。
あのころ以来ずっと追い込まれていたせいなんでしょうが、
追い込まれていたからこそ、ちゃんと入力してある記事はとっとと公開すればよかったのに、
何をやっておるのだ、私は
集計や打ち込みを手伝ってくれた院生さんにも申しわけないことをしてしまいました。
アウトオブシーズンなことこの上ないですが、遅ればせながら発表していきたいと思います。

先日、「科学技術と環境の倫理学」 が終了し、
いつもの 「授業改善のための学生アンケート」 を実施いたしました。
まずは、お決まりの5段階評価からです。

「1.教員の授業に対する姿勢はよかったですか。
 (観点:授業の準備、授業への熱意、学生への対応等)」・・・・・・・・・・・・・・・・4.81

「2.教育の方法は適切でしたか。
 (観点:質問への対応、発表・討論の機会、シラバスの記述内容等)」・・・・・・4.73

「3.授業の内容は適切でしたか。
 (観点:魅力あるトピック、教材・教科書の適切性、参考文献の提示、
  授業の進度、シラバスに記述された目標の達成度等)」・・・・・・・・・・・・・・・・4.84

「4.総合的にみてこの授業に満足しましたか。」・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4.84

なかなかいい結果ではないでしょうか。
3番、4番の問いに関して言うならば、
前期の 「倫理学概説」昨年度の 「戦争と平和の倫理学」 よりも高評価です。
ロジャー・ボイジョリーのケーススタディなどもやりましたしね。
自由記述を見ていくことにいたしましょう。


【自由記述】
●ワークシートで自分の考えをまとめることによって授業中に習ったことを復習しやすかった。

●反証を繰り返すこと。思い込みがガチガチにならないで柔軟な思考を保つために必要だと思った。黒板の字がもう少し大きくてもいいかもしれません。

●環境について個人から国際レベル、そして世代間での取り組みが必要だという点とその詳細について。

●科学技術など、身近な課題から倫理を考えることができたので分かりやすかった。グループワークの課題が難しかった。

●テストが大変そう。テストが長い1問ではなく、少し短い3問とかの方が良い。

●グループ活動を増やしてほしい。

●取り上げた課題は重くても、堅苦しい雰囲気のない授業で学びやすかった。

●環境倫理学での抑制理論に対する反論の部分。少しぞっとするような考えでも、一見筋は通っているのが面白かった。

●グループワーク、話し合いなどを多く設け、色々な人の意見を多く取り入れることができた。映像やロールプレイングなどで、実際に見たり体験するということができたらより入り込みやすいのではないかと思います。

●様々な視点から問題をとらえることによって、新しい発見が可能になった。とても良い授業だと思います。

●今のままで良いと思います。

●とても面白い講義内容でした。今後何かに生かせればいいなと思います。自分が技術者になったつもりで何か物を制作するプレゼンテーションを盛り込んで面白いと思う。

●身近だけれども取り組みづらい科学技術や環境に関連する問題をどう捉えるのか、とても実践的な学びを得ることができた。環境倫理学においては、今後就活などで企業を見るための参考になりそうな要素もあり、他のことに応用・活用していきたいと思った。今回はグループワークが少なかった分、インプットが多くてアウトプットする時間が取りづらかったかなと思った。

●環境倫理学を実行するために解決すべき課題。自分たちで考える手立てとして、もっと様々な資料を提示してほしい。

●最初にグループワークを行い、自分の考えを表すことで、その後講義を受けた後の考えとの差異を明瞭にし、考えの再構築をする際、自分の学びの深まりがよく分かった点。少しだけ話のペースが速くなって、話の理解に追いつかせるのに少し苦労したと感じた。

●グループを作り、意見を交換する場が設けられたのは良かった。

●科学技術が持つ正確性と安全性に対する責任、それを使う人間の責任は重大だと感じた。ワークシートを書く時間が少し足りなかった。あと5分ぐらい。

●哲学カフェの告知はともかく、出席点で釣るのはいかがなものでしょうか。

●科学技術の倫理、プロフェッショナル倫理、環境の倫理学について学ぶことができ、それを通して思考を深めることができた。

●例示がユニークで分かりやすかった。最後のワークシートを書く時間をもう少し長くしてもらえるとありがたいです。

●ビデオ教材を取り入れていた点が自分の中で興味を持って授業に臨めた点の一つなので、とても良かったです。

●話も楽しく、とても印象に残りやすいです。板書の筆圧をもう少し濃くして頂けると嬉しいです。

●一番最初の教室の倫理学は面白かった。先生の意見・考えが説明されるの納得できて良いと思う。私が受けた他の授業との違いは「気づく」ことにあると感じた。自分の意見・考えを持った状態で授業を受けることで、そのギャップを感じ、「気づく」ことができるのだと思う。レジュメではなく、ノートを取る形式も眠くならなくて良い。ディスカッションの機会があと一回あっても良かったかもしれないと感じた。また、ワークシートの質問がすごく細かいと答えやすいが、大きな規模・抽象的なときは答えづらいときがあった。それが考える力を養っているのかもしれないが。

●反論への反論を行ったこと。

●自分の意見を述べて、グループで話し合うなどしてから専門的な意見を示すという教育の手順が良いと思った。授業内容とリンクした資料を配ってみるのも良いかと思う。

●具体例などで挙げられるものが、あまり聞いたことがないユニークなものが多かったので、とても面白くて興味深かった。

●ワークシートに記入する時間をもう少し下さい。

●理想論に説得性を持たせることができたらいいなと思う。

●個人にも様々な立場があり、どんな問題の二者対立のどっちの立場にもなりえるため、相方の理解と、どうあるべきかを考えていかなければならないことを学んだ。課題を話し合う活動をもう少しあれば良いと思った。自分だけの立場や考え方だけでは理解しづらいことも、他者からの意見で理解・納得することもあった。

●ボイジョリーの行動についてが特に印象に残りました。安全の為に尽くしたその姿勢とシャトル打ち上げの結果を経てその後の行動を講義で知り、ボイジョリーのような人間でありたいと考えました。今までも十分に満足できる授業だと思います。何か挙げるとするならば、おすすめの映画本などの作品をテーマに絡めて教えていただけたら嬉しいです。

●活動をもっと取り入れて考える機会を増やす。居眠り防止にもなると思う。

●ワークシート書く時間足りない。


なるほど。
ボイジョリーのケーススタディよりも、環境倫理学のところで抑制理論に対する反論を考え、
さらにその再反論を考えるというワークがけっこう印象に残っていたのかもしれません。
要望としてもグループワークをもっと増やしてほしいという声がけっこう上がっています。
やはり今の時代はそういうアクティブラーニングのほうがウケがいいのでしょう。
大学教員としては最低限の知識を身に付けた上でグループワークに取り組んでもらいたい、
という思いもありなかなか難しいところです。
また、ワークシートを書く時間が足りないという声もいくつか出されていますが、
書くのが早い人と遅い人がいるので、授業内に書いてもらうという場合、
どこに合わせるのかというのはこれも難しい問題です。
遅筆な人に合わせて心ゆくまで時間を取っていると、
やはり基礎的な講義をする時間やグループワークの時間がなくなってしまいますし…。
今後は、自分で考えて書くのは全部宿題に回して、
各人の書くスピードに合わせていくらでも時間をかけて考えてきてもらって、
授業中はその分、講義やグループワークに回すというのがいいのかもしれません。
でも、ホントにそんなことしていいの?
ちゃんとみんな宿題やってきてくれる?
今ひとつみんなのことを信じ切れないなあ。
1人でやる作業を宿題にしておいたら、ほとんどみんなやってきてくれてなくて、
グループワークがグダグダになってしまったということがこれまで多々あったんだよなあ。

それから1人の方が 「哲学カフェの告知はともかく、
出席点で釣るのはいかがなものでしょうか」 と書いてくれていました。
これに関しては本当に申しわけないと思っています。
ただ、ひとつだけ言い訳させていただくと、
私が主宰している 「てつがくカフェ@ふくしま」 に関しては、
告知はしても出席点で釣ったりしたことはなかったはずです。
今回、出席点で釣るということをしたのは、多文化関係学会のなかで、
牧野先生の講演てつカフェ番外編への参加を促したときだけでした。
あれは、多文化関係学会と福島大学の共催になり、
学会参加者数を確保するための動員を課されることになったため仕方なかったんですよ。
出席点でもあげないことには誰も来てくれなかったでしょ?
来てくれた人にたった2点プラスアルファであげただけで、
来られなかった人から減点したわけではないので、
そのへんの大人の事情、ご理解のほどよろしくお願い申し上げます。

さて、そして私が 「授業改善のための学生アンケート」 のなかで一番重視している、
授業外学習時間に関する集計結果です。


【授業外学習時間】
3時間以上・・・・・・・・・・・18人(48.6%)
2~3時間未満・・・・・・・・11人(29.7%)
1~2時間未満・・・・・・・・・7人(18.9%)
30分~1時間未満・・・・・・1人( 2.7%)
30分未満・・・・・・・・・・・・・・0人(  0%)
0分(何もしなかった)・・・・・0人(  0%)


うーん、これれは引き分けって感じですかねえ。
前期の 「倫理学概説」昨年度の 「戦争と平和の倫理学」 と比べてみると、
毎週2時間以上学習した者の割合は80%弱とほぼ一緒ですが、
3時間以上学習した者の割合は、「戦争と平和の倫理学」 よりは多いですが、
「倫理学概説」 よりは10ポイントも減ってしまっています。
これはやはり負けを認めざるをえないでしょうが、
1時間未満という不届き者はたったの1人になっており、
全体としては授業時間外に学習をするようになってきていると言えるのではないでしょうか。

「倫理学概説」 で新記録を打ち立てたのでこの調子で記録更新したかったのですが、
やはり、自由や幸福をテーマにしていた 「倫理学概説」 に比べると、
科学技術や環境問題をテーマにした今回の授業の場合、
日頃からこれらのテーマに関してアンテナを張るのは難しかったのかもしれません。
だとするとよけいに、こちらからの誘導が必要だったのかもしれません。
やはり上述したような、ワークシートの課題を宿題にして、
授業時間外に考えて書いてきてもらうといった対策が必要なのかもしれません。
この件に関して学生の皆さんのパブリックコメントを募集いたします。
このブログのコメント欄でもいいですし、直接私宛てのメールでもいいので、
そういう宿題を出されたらちゃんとみんなやってきてくれるかどうか、
皆さんのご意見をお聞かせください。



とまあ、こんな具合に意見聴取のお願いもしていたのですが、
その後、誰も何のコメントもくれないなあと少し残念に思っていたのでした。
でもアップされていないんじゃ意見の出しようもないですよね。
昨年度、受講した方がもしもこの記事を目にされましたら、ぜひご意見お寄せください


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