まさおさまの 何でも倫理学

日々のささいなことから世界平和まで、何でも倫理学的に語ってしまいます。

やなせたかしさんへの質問状

2019-04-15 23:53:08 | そして父になる
うちの娘は初語が 「アンパン」 だったわけですが、先のブログでは、

初語を発した当時それほどアンパンマンは好きではなかったと書きました。

しかし、その後の様子を見ていると娘のアンパンマン愛は相当強く、

スーパーのお菓子売り場や西松屋のおもちゃ売り場では、

関連グッズを見つけるとロックオンして動いてくれなくなります。

「甘いお菓子は嫌いでしょ」 とか、



「日本語もわからないのに英語なんてムリでしょ」



と言っても聞く耳持たず、抱っこして立ち去ろうとすると、

店中に人さらいがここにいますよと訴えるような大声で泣きわめきます。

そのわりにあいかわらずアニメ番組は最後まで見てくれるわけではなくて、

要するに、「それいけ!アンパンマン」 のお話が好きなのではなく、

ただひたすらそこに出てくるキャラクターたちが好きなだけのようです。

「それいけ!アンパンマンくらぶ」 はもう相当録りためてあって、

親のほうは次のセリフをそらんじることもできるくらい、

ヘヴィローテーションで流し続けているというのに、

娘はテレビそっちのけでただただキャラクターグッズと愛を交わしているのです。


さて、今まで一度も 「それいけ!アンパンマン」 を見たことがなかったわけですが、

この歳になって初めて見てみると、ツッコミどころ満載で、

なぜこの番組が子どもたちにこんなに受け入れられているのか不思議でなりません。

原作者のやなせたかしさんのメッセージはわからなくはないというか、

ひじょうに共感できるところが多くて、とても立派な方だなあとは思うんですが、

それでもアニメを毎日見ていると、ええーっ!?と思わされることがとても多いのです。

スタジオジブリを敵に回したときと同じくまた炎上してしまいそうな気がしますが、

疑問は疑問ですので、「それいけ!アンパンマン」 を見て感じた素直な疑問を、

ここに列挙しておきたいと思います。


Q-1.詐欺の被害者はけっして学習することなく、何度でもダマされ続けるのですか?


このアニメにはばいきんまんとドキンちゃんという悪役が登場します。

彼らは自らの私利私欲を満たすためさまざまな手口を使うのですが、

中でもほぼ毎回のように使う手が、誰かに変装してみんなをダマすという手段です。

この変装のクォリティが著しく低いのですが、


(ニセアンパンマン)


(ニセメロンパンナちゃん)


(ニセジャムおじさん)

アンパンマンをはじめとして出てくる人出てくる人みんな、

何回でも何回でもそれはもうみごとにコロッとダマされるのです。

君たちには学習能力というものはないのか?

昨日も同じ手口でダマされたじゃないか。

それをまた繰り返すのか?

少しは人を疑うっていうことを覚えようよ。

テレビの前で何度そう叫んだかわかりません。

たぶん見ている子どもたちだって (うちの娘を除く) そう思っていることでしょう。


Q-2.アンパンマンは雨の日は何をしているのですか?


皆さんご存知でしょうか。

アンパンマンは顔が濡れると力が出なくなるんです。



その他、顔が歪んだり、人に与えて顔の一部が欠けてしまっても力が出なくなります。

そこにもまたやなせさんのメッセージがこめられています。

それはいいんですが、濡れても力が出なくなるというのはやり過ぎだったんではないでしょうか。

ということはアンパンマンは晴れた日にしか活躍できないということですか?

パトロールがアンパンマンの仕事のようですが、

雨の日はパトロールにも行けなくなってしまうではないですか。

雨さえ降ればばいきんまんとドキンちゃんはやりたい放題になっちゃいませんか?

アンパンマンは雨の日はパン工場でじーっとパンを焼いているのでしょうか?


Q-3.アンパンマンのアイデンティティはどのように保たれているのですか?


これがアンパンマン最大の謎です。

上述したように、アンパンマンは顔に支障が生じると弱くなり危機を迎えるのですが、

これをどうやって乗り越えるのか。

生みの親であるジャムおじさんが新しいアンパンを焼いてくれ、

できた頭を助手のバタコさんが絶妙のコントロールでピッチングし、



玉突きのように古い頭と新しい頭が交換されるのです。



頭がすげ替わると 「元気百倍、アンパンマン!」 と元気を取り戻します。

これって昨年話題になった頭部移植手術じゃないですか。

マンガの世界ですから、頭部移植は本当に可能かといったレベルで問いを立てるのはやめましょう。

それにしても頭がすげ替わった後のアンパンマンは、

すげ替わる前のアンパンマンと同一人物なんでしょうか?

記憶はどうやって連続しているのでしょう?

頭が入れ替わったアンパンマンは、自分が何者で、今自分がどこにいて、

誰と戦っていたのか、どうしてわかるのでしょうか?

もしわかるとしたならば、アンパンマンが戦って危機に陥るまでの直近の記憶を、

ジャムおじさんはどうやって入手し、新しい頭に注入したのでしょうか?

うーん、謎だ。

謎すぎる。

そして、何度見ても恐い絵面だっ。


Q-4.どんぶりまんトリオは本当に仲間なのですか?


サブキャラクターのなかにどんぶりまんトリオという3人組がいます。



左から、カツドンマン、てんどんまん、かまめしどんの3名です。

日ごろから仲がいいような相互に張り合ってるような、おかしなトリオなんですが、

よく考えると (いやよく考えなくとも) ひとり仲間はずれが混ざっています。

「どんぶりまんトリオ」 と言いながら、釜飯は丼 (どんぶり) ではないですよね。

丼ではなく釜に入ったまま提供されるのが釜飯なんですから。

3人について紹介しているあるウェブページ ( → こちら) では、かまめしどんについて、

「どんぶりまんトリオの中で、彼だけ 「まん」 がつかない」 と説明していましたが、

もしもフツーに 「かまめしまん」 と命名されていたら、

最初からどんぶりまんトリオには加入させてもらえなかったことでしょう。

名前の最後に 「まん」 ではなく 「どん」 が付けられることによって、

あたかも彼も丼 (どんぶり) の一員であるかのように偽装されているのです。

しかも、東北出身 (=地方出身) という設定まで付け加えることによって、

「西郷どん」 のように末尾が 「どん」 であることが正当化されています。

これはばいきんまんの変装などとは比べものにならないくらい巧妙かつ狡猾な偽装です。

最後のこの質問は、疑問というよりも反語です。

釜飯はゼッタイにどんぶりの仲間ではありません。

やなせさんにあえて質問をぶつけるとしたならば、

あなたはなぜそうまでして子どもたちをダマしてでも、

釜飯をどんぶりまんトリオのなかに入れたかったのですか?

親子丼だって玉子丼だってうな丼だっていくら丼だって、

丼物はいくらでもあったじゃないですか。

実際すべて 「まん」 とか 「ちゃん」 を付けてキャラクター化しましたよね。

なのになぜそれらを差し置いて 「かまめしどん」 だったのですか?

あなたのその釜飯へのこだわりの真意が知りたいです。


最後は少し熱くなってしまいました。

残念ながらやなせさんは2013年に亡くなられてしまいましたので、

これらの質問に答えてもらうことはできません。

いや、2番目の質問 (雨の日は何を?) に限って言うならば、

番組のなかですでに答えは示されていました。

「どんぶりまんトリオとだいふく和尚」 という回で驚くべきシーンを発見しました。



わかりますか?

雨のなかパトロールに出かけています。

雨に濡れて力が出なくなってしまわないのでしょうか?

よく見ると大丈夫なのです。

こちらは出発前の様子。



そうなんです。

水から頭を守るための透明のヘルメットをかぶっているのです。

これなら雨の日もパトロールに行けますね。

よかった、よかった。

でもQ-2の疑問が解消したとしても、すぐに次の問いが浮かんできます。


Q-2’.なぜいつもヘルメットをかぶっておかないんですか?


顔が濡れるとヤバイとわかっていて、それを防ぐ道具がちゃんとあるのなら、

晴れてる日もいつも装着しておけばいいんじゃないですか?

Q-1とも関連してきますが、毎度毎度ピンチに陥っているなら、

それにあらかじめ対処しておけばいいじゃないですか。

これほど生涯学習の重要性が唱えられている時代において、

なぜ失敗から何も学ぼうとせず、同じ過ちを何度も何度も繰り返すのでしょうか?

などと毎日イライラしながら 「それいけ!アンパンマン」 を見ているのでした。

こんな疑問を娘と共有しあえる日はいつか来るのでしょうか?

娘が 「それいけ!アンパンマン」 のキャラクターたちだけでなく、

物語の内容にも興味をもってくれるようになるのか、

それが理解できるようになったとき、

こんな身も蓋もない疑問をぶつける父親に愛想をつかさずにいてくれるのか、

それが私の一番の疑問なのでした。


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