暁庵の茶事クロスロード

茶事が好きです。茶事の持つ無限の可能性に魅了されて楽しんでいます。2015年2月に京都から終の棲家の横浜へ戻りました。

駒場・和楽庵の「如月の茶事」に招かれて

2023年02月21日 | 茶事・茶会(2015年~他会記録)

 

令和5年2月12日(日)に前田宗令さまの駒場・和楽庵の「如月の茶事」にお招きいただきました。
前田さまは小堀遠州流、東京駒場の「和楽庵」の庵主として、内外の方のおもてなしをされ、茶道教室を主宰されています。

昨年1月に「初春の茶事」にお招き頂きましたが、今年は「如月の茶事」へお招き頂き、社中の皆さまと一緒にいそいそと出かけました。小堀遠州流Yさまがオブザーバーとして同行してくださいました。

素晴らしかった茶事の全てを記すことはできませんが、和楽庵・前田宗令さまへの御礼の手紙の一部を忘備録として記します。

 

寒暖の差が激しい日々ですが 春の足音が近づいて来るのを感じます

この度は「如月の茶事」へ暁庵社中の皆さまとお招き頂きまして ありがとうございました 

初めて和楽庵へ伺う方もいましたが 温かなおもてなしと小堀遠州流のお点前にとても感動したと申しております 私もお連れしてヨカッタと喜んでおります

 

  (初座の床にユーモラスな御軸が・・・李朝の香炉が垂涎)

ご亭主さまの迎え付けで席入りした茶室の床に何やら難しい御軸が掛けられていましたが 後で「鬼は外 福は内」とも読めると知り びっくりするやら先の茶人のユーモアに思わず微笑みました このような素敵な御軸(小堀遠州流十五代・小堀宗通氏の御筆)を掛けてくださり ありがとうございます

初炭手前が始まり 炭斗の炭の形や大きさ 炭道具や炭の置き方など全てに目を見張り 胴炭から順序よく炭を置いていくSさまの端正なお点前に見惚れました 

黒い枝炭や薄切の輪胴 輪胴の上に香が置かれ 小堀遠州流の炭手前に目を丸くしながらも惹きこまれ 最後の座掃きも見事でございました

   (裏千家流とは全く違う炭の大きさ、黒い枝炭や継ぎ方に魅了されました)

初炭からすぐに濃茶なので「熱い濃茶を差し上げたい」・・・と 釜を水屋に引いて熱い湯に変えてくださり 濃茶がそれはそれは楽しみでした

織部の大皿に紅梅の主菓子が美しく映え 柔らかく上品な甘さでとても美味しかったです

ご亭主様が茶碗を持ち出し 濃茶点前が始まりましたが 茶入を置き忘れたのかしら?と思っていると 棚の小襖を開けて茶入が取り出され 濃茶点前が始まりました 

(小堀遠州流は武家茶道なので帛紗は右 茶碗には千鳥茶巾の上に茶筅が逆に置かれ 袱紗捌きや清め方など・・・色々違いますが 点茶の魔法のようで いつも拝見するのが楽しみです) 

遠州七窯の一つ 古格のある朝日焼茶碗で丁寧に練ってくださった濃茶(天王山 山政小山園)は熱くまろやかで美味しゅうございました 

個性豊かな5つの茶碗で濃茶をそれぞれ頂きましたが どの茶碗も各服点がぴったりの大きさで 茶碗を選ぶご亭主のセンスと愛情を感じました 一つ一つ特徴や見どころをお話していただき とても嬉しく楽しい時間でございました 

茶入を拝見すると 縄文土器を茶入に見立て 蓋と仕覆を誂えたとのこと また 趣のある景色の茶杓がご自作と伺って もうびっくりでした 

 

中立となり 待合席で雪谷「寿田」の松花堂弁当や煮物椀に舌鼓し 一献(千寿)を美味しく舐めました 特に松花堂弁当はどの品も手が掛けられていて やわらかで繊細なお味でした

煮物椀の白魚と胡麻豆腐も絶品で ご馳走さまでした

      (春を感じる食材に感激し、完食です)

     (手入れされた露地を進みます・・・)

銅鑼が打たれ後座の席入りをすると 思わず声を上げてしまいました お床も点前座も炉も初座とはガラリと変わっていたからです

 (「四酔」は小堀遠州流十五代・小堀宗通氏の御筆です)

その昔 遠州公は小間の濃茶の後に 鎖の間へ動座し薄茶をふるまったという仕方を思い出しました 見事な展開で これぞ小堀遠州流(前田様流?)と思いました 

風流な「四酔」(春は花に酔い 夏は風に酔い 秋は月に酔い 冬は雪に酔うの御軸と黄色いラッパ水仙の取り合わせ 点前座には優美な棚に白磁の水指 そして炉に目を見張りました

あとで七宝釜と知りましたが 初座とは違う 初めて見る釜に目が釘づけでした

華やかな竹蒔絵の真塗炉縁が七宝釜をさらに引き立てていて これぞ「綺麗さび」の遠州流!・・と感激です 

   (初めて拝見する七宝釜と華やかな炉縁に目が釘づけとなりました・・・)

若武者Iさまが緊張した面持ちで丁寧な所作で点ててくださった薄茶を美味しく頂戴し 小堀遠州流という武家茶道と出合ったお話が印象に残りました

きっと暁庵社中の皆さまも刺激やら勉強やら・・・良い経験になったことでしょう そして何よりもご亭主前田様の茶事ワールドを存分に楽しまれたことでしょう 

末筆になりましたが 和楽庵社中SさまとIさまへくれぐれもよろしくお伝えください

お心こもるおもてなしをしていただきまして 心から御礼申し上げます

ありがとうございました!             かしこ

    令和五年 梅見月吉日          暁庵

 

 


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