野の花(すすき、菊、水引、秋海棠、藤袴、木槿、杜鵑、紅花、桔梗) 花入は陶器釣瓶
(あふれるばかりの野の花に秋の野山を赤毛のアンになって歩いている気持ちになりました・・・)
しばらくブログをお休みしていましたが、その間にあったことが書きたくなり、10月中に・・・と慌てて書いています。お付き合いくださると嬉しいです。
10月17日(土)に「赤毛のアンの茶事」が拙宅・暁庵で行われました。
ご亭主はUさん、だいぶ前から茶事をするようお勧めしていたのですが、なかなかその気になれないようでした。
「Uさんは本好きなので、茶事のテーマを本から選んではどうかしら?」
「先生、それならできるかもしれません・・・本と言えば愛読書だった「赤毛のアン」しか思い浮かびませんが、それでもよろしいですか?」
「赤毛のアン」は暁庵の愛読書でもあったので、とても嬉しくすぐに決まりました。
茶事が決まったのは7月初め、それからUさんは「赤毛のアン」を何度も読み込んで茶事のイメージを具体的に作り上げていきました。
とても楽しくステキなお茶事でした。
Uさんの「赤毛のアン」への思いが溢れた茶事に三客として参席し、幸せな時間を過ごさせて頂きました・・・。客として参席できたのは、半東KTさん(社中)と懐石を引き受けてくださった茶友宗勝さんのお陰と感謝しております。 ありがとうございました!
Uさんの希望で立礼席だったので、客は4名でした。
お正客は茶友Iさま、初めてのお正客とのことでしたが、Uさんの想いを温かく包み込んでくださるようなお言葉の数々に感じ入り、お正客をお願いして本当にヨカッタ!と思いました。
次客はKさん、詰はSさん、社中の方ですが、これから茶事にどんどん挑戦していただきたいと思っているので、とても好い刺激と経験になったのでは・・・と思います。
いつもの茶事のように詳しく書きたいところですが、今回の「赤毛のアンの茶事・・・10月編」をベースにして、春バージョンやその他のバージョンへと進化していくのでは・・・と大いに期待しています。
それで待合の色紙の紹介と会記を思い出に記しておきます。
待合(洋間)の掛物は英文の色紙、原文まで読み込んでいらして、10月にぴったりの一節を選び、茜色の色紙に英文で書かれたのでした。流暢な英語でお読み上げくださいました。
掛物(色紙) 「赤毛のアン」原文より
October was a beautiful month at Green Gables
「I am so glad I live in a world where there are Octobers」
グリーンゲーブルズの10月はとても美しかった
「世界に10月という月があって、私は嬉しくてたまりないわ!」 (雅恵訳)
会記
本席(八畳和室)
床 「日日是好日」 香林老師 (大徳寺塔頭興臨院住職)
○点茶盤
風炉釜 切掛朝鮮風炉 釜 菊池政光
水指 野の花水指 (池川みどり 銘「黙座」 兵庫県たつの市 揖保川焼)
杓立 緑釉七宝透 万古焼 瑞山
建水 白 赤膚焼 大塩正人
蓋置 教会 長崎三彩
飾り火箸 菊頭四方透かし 清五郎
初炭
炭斗 樺細工
羽箒 シマフクロウ
鐶 菊池政光
香合 舟 稲尾誠中齋(琵琶湖堅田 浮見堂の古材で作られた舟)
香 沈香 (鳩居堂)
主菓子 銘「プリンスードエドワード島」(浮島、Uさん製)
後座
床 野の花 9種(すすき、菊、水引、秋海棠、藤袴、木槿、杜鵑、紅花、桔梗)
花入 陶器釣瓶
濃茶(各服点)
茶入 織部肩衝
仕覆 十二段花兎緞子
主茶碗 長次郎七種茶碗の一つ、「木守」写 佐々木昭楽
替茶碗 飴釉 赤楽(妙喜庵) 黒楽(「喝喰」写)
茶杓 銘「清流」 藤井誠堂
薄茶(各服点)
煙草盆
干菓子 メープルクッキー(Uさん製) 「推古」(虎屋)
棗 牡丹銀杏 京蒔絵
茶杓 銘「清流」
主茶碗 赤楽 雲錦絵
替茶碗 高取(鬼丸雪山) 鼠志野 銘「道」(敬介) 虫明焼・紅葉絵
茶友・宗勝さんが腕をふるってくださった懐石覚書を記念に記します。
「赤毛のアン」茶事 令和二年十月十七日(土) 於: 暁庵 席入り 十二時
お懐石献立 覚書
飯椀 一文字 以後 栗ご飯(栗が甘く、絶妙の栗飯でした・・・)
汁椀 かぶ 辛子
お向 鶏のレモンマリネ (赤毛のアンに出てくる料理より)
煮物碗 松茸の土瓶蒸し、すだち、松茸、銀杏、海老、人参、みつば、ゆず
強肴 秋鮭幽庵焼、生麩えごま衣、万願寺唐辛子含め煮
箸洗い 昆布引き湯 ありの実(梨)
八寸 ちりめんチーズ煎餅、 クルミのメープルシュガー衣
香のもの 沢庵、セロリのピクルス、奈良漬け
湯斗 炒り米
(お向の「鶏のレモンマリネ」は料理研究家・城戸崎愛さんの「赤毛のアンの料理本レシピ」を参照に作ってくださったもので、鶏の手羽中を焦がさないように低温の油で油煮してからマリネしたそうです)