暁庵の茶事クロスロード

茶事が好きです。茶事の持つ無限の可能性に魅了されて楽しんでいます。2015年2月に京都から終の棲家の横浜へ戻りました。

暑中見舞いと夏休み

2011年07月25日 | 閑話休題
暑中御見舞い申し上げます

大暑が過ぎ、晩夏と呼ばれる時候になりました。
いつも「暁庵の茶事クロスロード」へお立ち寄り頂き、ありがとうございます。

台風6号以来、体調を崩しまして静かに過ごしています。
しばらくブログも夏休みをとります。
また、元気にお会いいたしましょう。
                         

     写真は、「のうぜんかずら」

大山(雨降山)と豆腐

2011年07月22日 | ハイキング・ぶらり散歩
                      ( 雨降山大山寺の国宝・不動尊 )   
七月連休の或る日、大山へ出かけ、豆腐料理に舌鼓をうちました。

大山は神奈川県丹沢山地の南東に位置し、標高1245m。
円錐形の美しい山容は相模平野へ突出して存在感があり、
富士山とともに幼いころより親しんできた山です。
別名、雨降山(あふりさん)(または阿夫利山)と言われ、
豊作、豊漁の守護神として古代より信仰対象の山です。

この山に雲や霧がかかり見えなくなると、必ず雨が降ると言い伝えられ、
日照りが続くと今でも雨乞いの神事が行われています。

私たちがお参りしたせいではないのですが、台風6号により
高知県馬路村では17日から3日間の総雨量が1000ミリを超すという
記録的な大雨になりました(日本の年間降雨量は約1600ミリ)。

                   

                              
                          ( 大山 阿夫利神社下社 )
大山といえば、名物に大山豆腐があります。
江戸から昭和初期まで大山詣での講が盛んになり、
講の人々は農産物を持参し、神仏へ奉納し、宿坊の宿代にしました。
中でも大豆は、名水と相まって大山豆腐として有名になったのです。

参道には大山講の宿坊(旅館)がたくさん立ち並んでいます。
その一軒、ねぎし旅館へ草鞋を脱ぎ、昼食に豆腐会席をいただきました。
ご飯とみそ汁のほかに豆腐料理が七品、
胡麻豆腐、卯の花、湯葉の煮物椀、豆腐入り茶碗蒸、冷奴、
ワインゼリー寄せ、デザートでした。

胡麻豆腐と、上品な味付けの卯の花が絶品でした。
帰りに女将さんへお尋ねしました。
「胡麻豆腐がまろやかでこくがあって、とても美味しかったです。
 お土産にしたいのですが・・・」

「ありがとうございます。
 胡麻豆腐はお客様の評判が良いので嬉しいですが、
 自家製でして料理にお出しする分しか作っていないのです。
 東京や鎌倉の有名店の胡麻豆腐を食べ比べたり、
 苦労してやっとここまでになりました・・・」

既製品を買うことしか考えていなかった胡麻豆腐ですが、
お話しを伺って自分で作ってみたくなりました。

ケーブルカーで阿夫利神社と大山寺へ上り、お参りしました。
いつも通過してしまうので途中下車し、初めて雨降山大山寺へ詣でました。
大山寺は四国八十八箇所の雰囲気が漂う、弘法大師ゆかりの霊場です。
国宝・不動明王の御開帳の日にあたり、拝観が叶いました。

帰りに良弁坂にある老舗の小出商店で「大山豆腐」を買いました。
湧水を張った水槽に豆腐が並んで沈んでいます。
長い豆腐を浮かせて木のまな板にのせ、
そのまま水中で大きな包丁で均等に切り分けて、
二丁をプラの容器へ入れてくれました(昔、むか~しの懐かしい光景でした)。

                    

夕食に冷奴にして食べました。
豆腐そのものがとても美味しく、お勧めです。

                                


私の消夏法  仕覆づくり

2011年07月19日 | 茶道具
なでしこジャパン、W杯優勝おめでとう!
(7月18日は、「なでしこジャパンの日」としたらどうかしら?)

連日、真夏日とかで猛暑が続いていましたので
消夏法について書いていましたら、
今日は早くも大型台風の影響でしょうか?
朝からめまい、ふらつき、吐き気で大変です・・・。

去年の今頃は、今日庵の夏期講習会へ参加するため
連日稽古に熱中していました。
それに先生や茶友は口を揃えて、
「京都の夏の暑さは半端じゃない!」
とおっしゃるので、少しでも暑さに慣れようと、
冷房をつけずに我慢くらべの毎日でした。

今年は大震災による原発事故のため節電しなくてはなりません。

               

どうしたら涼しく快適に夏を過ごせるのか・・・
今年は仕覆づくりに身を入れることにしました。
暑さを忘れて熱中する何かがあれば、
外出をなるべくやめて、家で集中して取り組めます。

先日、仕覆教室へ行った折、K先生にそのことを申し上げると、
「秋に茶会が多いので、仕覆の注文は夏がとても忙しいのです。
 そのお陰で毎年、暑さも気にならず元気に過ごしています」

私も遅ればせながら、やっと仕覆づくりへ向き合うことができそうです。
先生と同じ消夏法となって、嬉しいです。

作りかけの茶入「初心」の仕覆をお見せすると
「あらっ!ぴったり。ここまではとてもよく出来ていますよ。
 今日はつがりと緒の組み方をしっかり覚えていってくださいね」
ところが、いざ家で一人でやってみると、情けない状態でして
前へなかなか進めません。
             
                

何度も何度もやり直して
「あっ、こうすればいいのかしら?
 手が覚えるまで何度もやってみよう」
と、自分なりに納得するまでゆっくり進む、の繰り返しです。
K先生の声が聞こえてきます。
「不器用でも大丈夫。身体でしっかり覚えるのよ」

今年の夏は仕覆づくり一本に絞って過ごしたい・・な!
一日が「あっ」という間に過ぎていきます。
                              と 

     写真は上から、「白笹稲荷の御手洗  秦野市にて」
               「白なでしこ」 (季節の花300提供)
               「作りかけの仕覆」



山荘ピンクハウスでお茶を

2011年07月17日 | 茶道楽
茶事懐石の助っ人のIさんからお招きがありました。
「7月に山北の家へ遊びに来ませんか?」
Iさんの山北の山荘へ前から行きたかったので
二つ返事で7月13日に伺う約束をしました。

前日に電話があり、
「京都の美味しいお菓子を用意してあるので
 お茶を点ててくれますか? 抹茶とお茶の道具をお願いします」
とても嬉しいお話で、いそいそと支度をして車で出かけました。

IさんとMさん(書道の先生)を乗せ、「洒水の滝」(しゃすいのたき)をめざしました。
神奈川県足柄上郡山北町にある「洒水の滝」は名水百選に選ばれた名水地です。
夏に行くと、滝しぶきが涼しく降りかかり、
マイナスイオンが充満している別天地です。

清涼感を期待して行ったのですが、数年前に崖が崩れたとかで、
危険なので滝近くまで行けませんでした・・・。
「洒水の滝」の湧水は健在で、お茶用にポリタンクに汲みました。

                    

                    

「洒水の滝」から「ピンクハウス」と呼んでいる山荘へ。
Iさん夫婦はミカン農家を支援するグループに所属していて
こちらにはだいぶ前から休日になると二人で通っていたそうです。
ご主人がリタイヤーしたのを機に、農のある暮らしをしてみたいと、
2年前「ピンクハウス」を購入しセカンドハウスとして住みはじめたのです。

風の通る二階の和室で昼寝の後、お茶の時間になりました。
Iさんが用意してくださった菓子は、
叶匠壽庵の「あも」(牛皮を大納言小豆の羊羹で包み込んでいる)と和三盆の干菓子でした。
抹茶は、近江朝宮「翠峰」(かたぎ古香園詰)です。

「クリーミイでとても美味しいです! もう一服いただけますか?」
義山(金箔散しの水色)と平(牡丹絵)の茶碗で交互に点て、
温度と濃度を少し変えて二服ずつ喫んで頂きました。
三人でお茶のひと時をしばし堪能しました。

                  

                  

Iさんのご主人は私が昼寝の間に畑へ出かけていました。
ご主人に一服差し上げたくて(帰宅後のビールの前に・・・)
農作業の休憩場所という古い農家へ茶道具持参で出かけました。
この昔ながらの農家がとても落ち着いていて、お茶にぴったりでした。

奥座敷で心をこめてお茶を点てました。
「初めてお茶を飲みましたが、お茶ってこんなに美味しいんですね!」
と喜び、三服喫んでくださいました。
きっと炎天下の農作業の後で喉が渇いていたことでしょう。
三服も所望されたのは初めてですが、ご主人の感激が伝わってきました・・・。

                  

                  

それから、みんなで畑へ行ってきゅうり、なす、人参などを収穫し、
ユウスゲが咲く田んぼ道を通ってピンクハウスへ帰りました。
日帰りの予定でしたが、星空が見たくて急遽一泊することになり、
夕食は大宴会でした。

翌朝、朝の一服を差し上げ、早めにお暇しました。
「また、いらしてね」 (はい! きっと・・・)

                                  


いちねん会  軸荘付花月(2)

2011年07月15日 | 七事式&いちねん会
                          ( 花みょうが )
(つづき)  (朝からお暑いですね・・・しばしおつきあいください)
水屋で花を引き、亭主でした。
席入後、迎えつけの挨拶をして、水屋へ戻り、折据を正客前へ運び、
通い畳を越して亭主の座へ入ります。

「どうぞ折据おまわしを」
月(軸荘)と花(花月の初花)が名乗ります。
月を引いて、亭主が軸荘をするという、珍しいケースになりました。

替札を取り、折据がおさまると、替札を帯にはさんで床前に進み、
右手で扇子を腰に差し、右手で軸を取り横にして左手に持たせます。
右手で帛紗を下から上、右から左へ折り、右ひざ横へ置きます。

                 

掛緒の端を引いてほどき、向こうへ一回まわしてほどきます。
ここで輪を作らず、もう一度向うへまわしてから輪をつくり、
さらにもう一度まわして、輪をつくって左手小指にかけます。
巻緒を掛緒の下座へ引き寄せました。

ここで巻紙を三つ折りになるように抜き(二通りの折り方があるようです・・)、
右から左に返して左角を向うへ織り込み、帛紗の上に置きました。
床が狭いので床前の畳に軸を置きました。

風袋を右、左と上へはね、右、左と下げて端を少し巻き込み、
折り目を指で押さえて落ち着かせます。
右手で腰から扇子をとり、一つ上を開き、逆手にして、
掛緒の中央から少し右寄りを扇子ではさんで閉じ、
そのまま「くの字」の手で、床の掛釘に掛けます。

掛かったら扇子を縦にしてはずし、腰に差します。
両手で静かに軸を下ろし、下の方だけ向う、次に手前へ巻いて、
巻くせを直します(折れたり、傷んだりするのでしない方が良いという声も・・・)。

床前に座り、掛かり具合を確かめてから、
帛紗と巻紙を一緒に右手で持ち、踏込畳の敷き合わせに座り、
帛紗と巻紙は左手に持ち替えて勝手付きに置きます。
右手で扇子を取って帛紗と巻紙の右横へ並べて置きました。
客付(斜め)を向き、控えています。

                 
                          ( 姫檜扇水仙 )

正客から順次、軸を拝見します。
「夏雲多奇峯」(かうんきほうおおし)

拝見が終わると、正客より
「どうぞ お巻き上げを」
月(亭主)は客付で一礼して受けて、正面へまわり、
左手で帛紗と巻紙を一緒に取り、右手に持たせ、
亭主仕舞いなのですぐに懐に入れました(*)。
右手で扇子を取り、腰に差します。

床前に座り、もう一度拝見してから右足から床へ上がり、
両手で静かに巻き上げ、風袋を少し巻き込んでから、左手で下から受けるように軸を持ち、
扇子をとり、一つ開いて掛緒をはさんで掛釘からはずします。

軸を床の上(前)へ置き、扇子を腰に差し、風袋を右から向うへはね、
左は織り込み、次に右も織って重ね、風袋ぎりぎりまで巻きます。
軸を左に持たせ、右手で巻緒を掛緒の中央に寄せ、二、三度折り曲げてから巻き込みます。
右手を上から軸に添えて両手で持ち、左足で立ち、亭主なのでそのまま水屋へ下がります。
この時、同時に客は四畳半へ入ります。

亭主は水屋から茶碗を運び出し、棗と茶碗を置き合わせ、
建水を踏込畳の敷き合わせに置き、右から三足下がって、 仮座へ入ります。
亭主は仮座へ着くと替札を前に置き、
初花は立って建水を持って点前座へ進みます。
初花が建水を持って立つと同時に連客は繰り上げます
(正客は折据、月は亭主なので花のみ替札を持つ)。
あとは、花月になり、薄茶三服点です。

                     
                         ( 「七夕」 鶴屋吉信製 )
   (*)さて、月が亭主でない場合は、
   帛紗と巻紙はそのまま踏込畳に置いておきます。
   軸を巻き上げ、軸を持って踏込畳へ戻り、
   両手で帛紗と巻紙の横に軸を置き、その下に扇子を横にして置き、
   月は自分の座へ戻ります。 戻ると下座へよけた替札を中央に置きます。

   亭主は左足で立って通い畳から敷き合わせへ行き、
   左手で帛紗と巻紙を一緒に取り、右手に持たせから懐に入れます。
   扇子を右手で腰に差し、両手で軸を持ち、左足で立って水屋へ下がります。
   この時、同時に連客は四畳半へ入ります(正客は折据、月と花は替札を持つ)。

書くと複雑そうですが、実際に行ってみると
「無駄なく、軸の扱いがすべて入っている・・・」と感心しました。
よくわからず、確認したい箇所もわかりました。

稽古が終わっての帰り道、まだ陽は高く、
青空に入道雲がほっぺを膨らまして浮かんでいます。
「夏雲多奇峯・・・」

    いちねん会 軸荘付花月(1)へ