暁庵の茶事クロスロード

茶事が好きです。茶事の持つ無限の可能性に魅了されて楽しんでいます。2015年2月に京都から終の棲家の横浜へ戻りました。

令和5年 節分の茶事へ招かれて

2023年02月07日 | 茶事・茶会(2015年~他会記録)

     (節分近く・・・ウグイスならぬメジロが来てくれました)

 

1月半ばに茶友Yさまからお手紙をいただきました。

 さて、来たる2月3日 夕去り風?!の茶事をさせて頂こうかと考えております

   厳寒の頃ではございますが 御茶一服差し上げたく

   ご来駕の程お待ち申し上げております・・・

正客の指名を頂き、連客のOさまとRさまはS先生の東京教室で仲良く切磋琢磨している茶友です。

昨秋、Yさまから飯台の茶事にお招き頂き、とてもお心のこもった刺激的な茶事を楽しませてもらったばかりですが、この度のお招きがとても嬉しく、すぐにご返事をだしました。 

2月3日は節分、どのようなご趣向かしら?・・・とわくわくしながら伺いました。

素晴らしかった茶事の全てを記すことはできませんが、Yさまへのお礼の手紙の一部を忘備録として記します(茶事の写真がなく、写真は我が家のものです・・・ 

 

♪ 春は名のみの風の寒さよ~ ♪ 

の日々ですが 春への期待感が胸をふくらませます

節分に夕去りの茶事へお招き頂き 誠にありがとうございました

 

熱く生姜風味が効いた甘酒でほんわか温まり 席入りすると

床のマンサクとボクハン椿の花が夕去りを思わせてくれました

脇床に升に豆が盛られていて 後で豆まきで客と亭主のどちらが鬼になって豆をぶつけられるのかしら?

初炭では霰真形釜の大きさに驚き 軽々と扱う半東Iさまの所作をうらやましく思いながら見惚れました

大樋焼の辻堂香合は炉の時期ならではの温かみと落ち着きを添え 若松(鳩居堂)のお香が嬉しゅうございました

 

 

一品一品にご亭主のお心入れを深く感じながら 懐石を美味しく賞味しましたが 

なんと!贅沢で幸せな時間だったことでしょう

失敗作と言っていましたが 雲丹豆腐の煮物椀は雪降る景色を想いながら舌つづみでした

紅いほっぺが愛らしい「お福さん」の主菓子は「何かバターミルク系の隠し味が入っているのかしら?」と賑やかに話し合いながら美味しく頂戴し 後座の濃茶を期待しました

中立で後入りを知らせる鳴り物・・・喚鐘がステキでした

辺りを祓い清めるような玲瓏とした響きがどこかの寺院にいるような厳粛な気持になり いつまでも聴いていたい・・・と

 

 

襖を開けて後入りすると そこには灯りの別世界が広がっていて 思わず息を呑みました

床の御軸は「紅炉一點雪」

一片の雪に凝縮される厳しくも清らかな精神を感じる 私の大好きな御軸が掛けられていました

三つの灯り・・床の手燭と小灯し そして炉辺には短罫に代わり行灯が置かれていました

 

 

知人の作家さんに特注されたという行灯がステンドグラスと伺って驚きましたが さらに小灯しにもびっくり!

清少納言の枕草子からヒントを得て 高坏をひっくり返して燭台にし 富士山形の蝋燭が赤々と・・・ご亭主様の深い教養とご趣向を感じる嬉しいおもてなしでございました 

そんな灯りに包まれて 黒楽茶碗(八事窯)に練ってくださった濃茶のなんと!美味しかったこと・・・

程よい濃さと量の濃茶(「雲門の昔」一保堂 ➡訂正、「嘉辰の昔」上林でした)が乾いた喉をなめらかに潤していきました 

この一碗のためのお心づかいを想いながら・・・

「大変おいしゅうございます ありがとうございます」

 

 

釜の鳴りが静かになり 後炭をしてくださって 再び皆で仲良く炉を囲み 後炭手前を拝見しました 

炉中残火にはかない美しさや時の移ろいを感じ 輪胴の豪快な継ぎ方に座が賑わいます

そして半東Iさまの薄茶点前(御本立鶴の筒茶碗)で 薄茶をいただきながら和やかな時間が過ぎていきました

鬼は客で いつか豆をぶつけられるのでは・・・と案じていましたが お道具に鬼が登場し一安心です 

堂々と存在感のある信楽「鬼桶」の水指そして趣深い茶杓の御銘が「鬼やらい」でした

「茶杓の銘のように 諸々の厄災を振り払って 今年が良い年でありますように」という御亭主さまの願いに一同深く頷きました

最後の薄茶までご亭主さま 半東Iさま 連客のOさま Rさまと 一期一会の素晴らしい時間を過ごさせて頂き 本当にありがとうございました

ご亭主さまにおかれましては どうぞお疲れが出ませんように・・・と願っております

末筆になりましたが 半東Iさまにくれぐれもよろしくお伝えください   かしこ

    

     令和五年 梅見月吉日           暁庵より

 

    (節分の頃には梅がだいぶ咲き出しました・・・散歩道にて)

 

 


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