暁庵の茶事クロスロード

茶事が好きです。茶事の持つ無限の可能性に魅了されて楽しんでいます。2015年2月に京都から終の棲家の横浜へ戻りました。

無事退院しました・・・

2024年02月29日 | 暮らし

    (帷子川の川面が輝いて・・・・2月28日の散歩中に撮影)

 

令和6年2月26日(月)午後に無事に退院しました。

ご心配をお掛けしましたが、先ずは順調に回復していますのでどうぞご安心ください。

 

   (川べりの柳がうっすらと緑ぽくなってきました)

 

11月12日(日)に「2023年炉開きと口切の会」が楽しく終了し、気になっていた鼻の黒子(7月頃から徐々に大きくなっていた)をレーザーで除去してもらおうと、近くのU医院へ行きました。

実はU医院の前にK医院で液体窒素で焼いて除去する治療を受けていたのですが、10月になっても一向に良くならず、「他の医者へ行ってセカンドオピニオンを受けた方が良いと思うよ」と長男に言われ、U医院を受診したのでした。

「黒子はレーザーで除去できますが、ちょっと気になるので生検へ出してみましょう」とU先生。私も気になっていたのでそのようにお願いしました。生検(生検組織診断)とは、がんが疑われる臓器や組織の一部から数ミリ程度の組織を採って行う検査です。

1週間後にU先生から「生検の結果が早期の皮膚癌と出たので、すぐに来れますか?」という電話があり、急ぎ伺うと、生検の結果の説明と近くの聖マリアンヌ病院への紹介状を書いてくれました。

U先生の迅速な対応もあり、翌日に聖マリアンヌ病院の皮膚科を受診しました。再度の生検や、他に転移がないかを調べるCT検査などを受け、やっと実際に手術を担当する形成外科を受診したのが12月半ばでした。

形成外科のJ先生から丁寧な説明があり、2回の手術が必要とのことでびっくり!しました。

1回目は全身麻酔で患部の切除をします。取り残しが無いように大きめに切除するとのことで約1週間の入院予定でした。1回目は、令和6年の初釜終了後の1月16日に入院、17日に手術、20日に早めの退院をしました。

退院後は時々通院しながら家で傷の養生をし、約1か月後に切除した後の肉がしっかり再生し盛り上がったのを確認してから2度目の手術です。やはり全身麻酔で、今度は自分の皮膚の一部(実際は鎖骨の近く)を取って皮膚移植します。やはり傷が落ち着くのを確認するまで約1週間の入院が必要とのことでした。

2回目は、2月21日入院、22日手術、26日に早めに退院しました。

(こんなに詳しく書く必要はないのですが、私自身、傷が良くなるにつれて手術の記憶の方も曖昧になって行くと思われるので記録しておきます・・・すみません、お付き合いください)

 

     (小鷺と鵜が仲良く談話中です・・・帷子川にて)

2回の手術が無事に終わり、安堵するとともにいろいろなことが去来します。

外傷だったので、傷は日が経つとともにどんどん回復してきて、人間の体が持つ回復力を実感しました。麻酔技術や痛み止めの薬剤のお陰でほとんど痛みを感じないですみました。一番大変だったのは全身麻酔からの覚醒で、喉に痰が絡んだり、トイレの時間制限があったことでしょうか。心配していた肺塞栓症ですが、タイトな靴下の着用とマッサージでしっかり対応してくれました。

セカンドオピニオンに応えて迅速な対応をしてくださったU先生に感謝するとともに、実際に手術を担当してくださったJ先生は誠実で信頼できるお人柄だったので、安心して手術に臨むことが出来ました。

2回目の入院中は病院での規則正しい生活にも慣れ、何もすることがない時間の過ごし方も上手になりました。持ち込んだ本は「野の花をいける(岡田広山作)」、数独(中級)1冊、お茶関連の本1冊(これは全く読まなかった・・)、S先生のメモノート(これは時間があるので、あれこれ思考が広がって勉強になりました)の4冊です。入院後半はとても元気で、これから予定している茶事のことをあれこれ考えていました・・・。

        (ご近所の河津桜が満開です)

 

病室の窓の外には、追分・矢指の森、その向こうに私が住むニュータウンの街並みが見えます。

入院中はなんか遠い街のようにも思いながら眺めていましたが、今、その街にある我が家へ無事に帰って来て、大好きな炬燵ミカンでのんびり過ごしています。

どうぞこれからもよろしくお付き合いください。 

 

 


水指の贈り物

2024年02月06日 | 茶道具

 

昨日(2月5日)は思わぬ大雪になり寒さがこたえますが、いかがお過ごしでしょうか?

 

1月24日のこと、思いがけず水指が届きました。 

陶芸家の染谷英明さんからです。暮れに電話を頂き、

「11月4日には遠くから個展(・・・陶芸展ではなく絵画展でした)へ来ていただき、ありがとうございました! コロナ以降、なかなか陶芸作品を作れないのですが、玄関に水指(大中小だそうです)が3つ置いてあります。水指にとっては茶席で使ってもらうのが一番なので、そのうちの1つを差し上げたいと思います・・・」

「せっかくのお申し出なので喜んで頂戴します。立礼の茶事に使うので小さめのを頂きたい」と私。

・・・その後のやり取りでまん中の水指を選んでもらい、1月末に東京でお会いすることになっていました。びっくりしてお電話すると

「あれから体調を崩して東京へ行けるのが先になりました。それで、早めに水指を送りました。気に入ってもらえると嬉しいのですが・・・」

「とても素晴らしい水指をありがとうございます! 中とお聞きしましたが、大のイメージに近い堂々とした信楽の水指で、立礼だけでなく広間の席にも使いたくなりました。釉薬と窯の灰と炎が交じり合って生じた景色の妙が見飽きません。大事な水指を頂戴して、ありがとうございます!」

思えば、韓国旅行をご一緒したご縁で、その後3回ほど染谷英明氏の個展へ出かけましたが、いつも作品のことをキラキラと目を輝かせて語る染谷氏のお話、そして屋敷森に囲まれたギャラリーの佇まいやお食事が楽しみでした。

白楽茶碗「小鷺」茶杓「寧(ねい)」 そして信楽焼の水指・・・どれも染谷英明氏の作品で、暁庵にとって思い出深い茶道具です。大事に使わせて頂きます・・・。

 

  (秋の花が生けられた信楽焼の花入・・・染谷英明氏の作)

               (「若き日の自画像」)

遅くなりましたが、令和5年11月2日~13日に開催された「染谷英明 絵画展」のことを書いておきます。

11月3日に「古希をお祝いする茶事」へ参席した後、足利市で1泊し、翌日に絵画展へ向かいました。 

駅まで染谷氏が迎えに来てくださり、埼玉県伊奈町にある「Viennto Cafe&Gallery」に着くと、そこは屋敷森が残る素敵なギャラリーでした。

 

      (屋敷森の残る「Viennto Cafe&Gallery」(埼玉県伊奈町))

 

「絵はともかく、食事も珈琲も美味しいので楽しんでいってください」

Cafeの中に個室の様な部屋があり、絵を見ながらお食事やお話が出来るようになっています。

染谷氏は高校生のころから絵を描いていたそうで、大きな絵を描けるように大きなアトリエのある家を作ったそうです。「でも、なかなか大きな絵は描けなくって、家の借金返済が大変でした(笑)」

そんなお話を伺いながら、若いころの自画像と今の自画像を興味深く拝見しました。

 

 

静物画や花の絵もありましたが、自画像が興味深く、特に絵画展直前まで没頭したという2枚の自画像が印象に残りました。自画像を描いたことには特に深い意味はなく、モデルを頼むのも大変なので、人物画がたまたま自画像だったのです・・・と淡々と語ってくれました。

描きながら、きっと色々なことを自分自身と語り合ったのではないかしら?

「Viennto」さんの地産地消の野菜を使った、生ハムのランチプレートを一緒に頂いた後に、ご自作の「瀬戸黒茶碗」で珈琲を頂きました。

 

     (珈琲と相性抜群の「瀬戸黒茶碗」)

2杯分はたっぷり入っているので、最初にストレートで、それからミルクを入れて、最後に砂糖を入れて、心ゆくまで珈琲を楽しみましたが、深味のある「瀬戸黒茶碗」が珈琲をより一層美味しく惹き立てています。

「この瀬戸黒、古武士のようで・・閑かで・・いいですね。珈琲が何倍も美味しくなりました」と私。(秘かにお持ち帰りしたい!とも・・・)

この瀬戸黒茶碗で、お薦めの「Vienntto ]の珈琲を飲んでもらいたくって、わざわざ持って来てくださったとか。

 

駅まで送ってもらい、再会を約してお別れしました。

「また元気でお会いしましょう・・・早く体調を整えて、次なる個展を目指してくださいね」

 

 


令和6年の初釜は耕雲亭にて・・・(6)終章・おたより

2024年02月02日 | 茶事・茶会(2015年~自会記録)

    (紅梅が満開になりました・・・散歩道にて)

       (我が家の蝋梅の木にメジロが訪問中です)

 

つづき)

ブログに書き始めたら思いがけず長くなってしまいました。

最後にゲストのKYさまとHYさまから頂いたおたよりを初釜の思い出に掲載させていただきます。よろしかったらご一読くださると嬉しいです・・・。  

 KYさま

暁庵さま

今日は一段と寒い1日でしたね。お疲れがでてらっしゃらないかと案じております。

日曜日は素晴らしい初釜にお招きいただき、ありがとうございました。

ふたつの社中の皆さまの真心のこもった茶事に、年の初めから背筋が伸び、また今年もお茶と共にありたいという気持ちが強くなりました。

N先生のお席は、お若い方が多く、フレッシュな緊張感がありながらも、N先生、また共に教えてらっしゃるS先生のチャーミングなお人柄に心地よく身を委ねながらの楽しいお席でした。2人の良き師に恵まれ、きっと社中の皆さまはお茶の学びが楽しいに違いないと思わせる、あたたかさがありました。いつまでも初心を忘れてはいけないと、あらためて感じることができました。お干菓子のお味もよく、知っている菓子店の物でしたが、再発見しました。

暁庵先生のお席は、濃茶席にふさわしい凛とした空気が流れる中、指先まで美しい丁寧に時間をかけた点前と、深く薫る茶の香の中で、年の初めに体感する贅沢なひとときを堪能させていただきました。竹の花入も初めて見るもの、其々の茶碗も興味深いものばかりで眼福でした。

自分もいつか、このように亭主を務められるよう、これからも茶の世界に身を置いていきたいという思いが強くなりました。ありがとうございます。

主菓子の出し方も大変美しく華があり、勉強になりました。もちもちとした柔らかな花びら餅は中にも工夫があり、ご馳走でした。

そして「源氏香」の昼食も、新年の寿ぎあふれる、目にも舌にも嬉しいものでした。さすがはYさま!

はじめましての正客Rさまも、とても気立の良い方で、場を上手に盛り上げてくださり、お目にかかれたことを嬉しく思っております。温かなお人柄にすっかりファンになりました。これからもご一緒できる機会があれば嬉しいです。

本当に茶の道と、またその場で交わる人々との時間が、自分にとって大切なものであるという認識を深めることができました。あらためまして感謝でいっぱいです。

ただ、自分の不注意から、皆さまにご迷惑ご心配をおかけしたことだけが心残りです。

本年も何卒よろしくお願い申し上げます。    KYより

 

 

     (耕雲亭の小間・・・内部の造りや材が素晴らしいそうです)

 HYさま

拝啓 

北国でも稀に見る大雪という便りを聞き寒さが殊の外厳しいこの頃でございます。

先日はお招きを賜りまして誠にありがとうございました。

耕雲亭でも初釜に参加させて頂けるという幸運に感謝申し上げます。

東京日本橋のホテル内部とは思えない露地から始まり、本格的な内部の造りに感銘を受け、手がけた数寄屋大工の細部へのこだわりに心躍り大変勉強になりました。(注:HYさまは一級建築士、数寄屋建築を手掛けています・・・)

炭手前も美しく各自への濃茶も大変美味しくお正客様の問答も大変立派でした 又、お道具も素晴らしくありがたく拝見しました。一座建立のとても楽しいひと時でした。

濃茶席のみならず薄茶席でのN先生のお話は楽しく、室礼も新年に相応しく素敵でした。

源氏香での昼食では同席されたRさまよりゲストの方々へ「茶道への糸口」をお尋ねになり、内容がとても興味深く心に残りました。先輩YKさまとご一緒できましたのも大変心強く嬉しくご配慮に感謝申し上げます

暁庵先生のお言葉の中で他力本願とおっしゃっていましたが、このご縁も自分自身ではありえないものと感じております。この有意義な機会をお与えくださり、心から御礼申し上げます。

誠にありがとうございました。

お疲れのことと存じます。くれぐれもご自愛くださいませ。 かしこ   HYより

 

「ふっ~」  やっとが終わりました・・・長期間、読んでくださりありがとうございます!

 

 令和6の初釜は耕雲亭にて・・・(1)へ (2)へ (3)へ (4)へ (5)へ