暁庵の茶事クロスロード

茶事が好きです。茶事の持つ無限の可能性に魅了されて楽しんでいます。2015年2月に京都から終の棲家の横浜へ戻りました。

大晦日

2009年12月31日 | 閑話休題
「暁庵の茶事クロスロード」へお立ち寄りくださいまして
誠にありがとうございます。
おかげさまで何とか大晦日を迎えることが出来ました。
これからも茶の湯とブログをゆっくり続けていけたら・・・
と思っております。
どうぞ宜しくお願いいたします。

来年が良い年でありますように・・・。

                  

      写真は我家の蝋梅です。

茶カブキと納会

2009年12月29日 | 七事式&いちねん会
12月24日は花月之稽古で、茶カブキ之式と員茶之式でした。
今年最終の稽古日なので納会を兼ねています。

茶カブキはやっと3回目です。
客が最初に試み茶二種(竹田、上林)をいただき、
続いて本茶と称する三種(実際には二種)の茶を喫み、
茶銘(竹田、上林、客)を当てるのですが、
全部当たった事がありません。

亭主はI先輩、執筆者はY先輩です。
折据、菓子をまわして、客五名の席順を決めました。
私は四客でした。

最初に竹田、次は上林と、試み茶が点てられました。
七事式の茶カブキのげじゅ
「千古千今 裁断舌頭 始可知真味」
を思い出し、「茶味を全体で捉えてみよう」と努めてみました。

亭主が試み茶二服目の服加減を伺ってから、
茶巾の絞りと畳み直し、水指の蓋、袱紗腰で、
「どうぞ本茶を」と、正客から声がかかりました。

一服目は、一の大折据に「竹田」の紙を折りねじって入れました。
二服目は「客」を選び二の大折据へ、
続いて残りの「上林」を三の大折据へ入れてまわしました。
正客から湯の所望があり、濃茶を四服喫んだ後の白湯なので
格別に美味しかったです。

執筆者のY先輩から「正解はお二人です」
奉書が巻かれて正客へ手渡されました。

正客のKさんと私が正解で、Kさんの名前の下に全、
私の名前の下に叶(かのう)と書かれていました。
二人とも始めての正解で、喜びも一入です。
茶カブキ一席が終了しました。

「今日は今年最後のお稽古なので納会をいたします」
お茶の納会は始めてなので、興味津々でした。

膳が運ばれて来ました。
半月盆にうずみ豆腐、けんちん汁、ひじき煮物の小鉢、
向付にはゆずり葉が敷かれ、うるめ鰯が乗っています。

ゆずり葉は次の年にゆずるという意味だそうです。
埋み(うずみ)豆腐は、味噌仕立てのおじやのようなご飯に
きざみ海苔と豆腐が乗っています。
豆腐を崩してご飯に混ぜて(埋めて)食べるそうです。

「お味はいかがですか? 
 毎年納会はこのようにしています」 と先生。

埋み豆腐を始めていただきましたが、
豆腐と海苔と味噌の取り合わせが素朴で懐かしい味でした。
豆腐の味が大事なので、「懐石豆腐」を使ったそうです。

もちろん、お酒もでました。
一献ののち、お頭付きのうるめ鰯を
頭から全部食しました。
胡瓜、大根、人参の糠漬けと白菜漬もたっぷりです。

デザートで歓談の後、員茶之式となりました。
お酒も入ったので、納会で終わった方が良かったかな?

                        

クリスマス 立礼の茶事 (2)

2009年12月26日 | 茶事
後座は部屋を暗くし、一面の蝋燭の灯りでお迎えしました。

雪の残るヒイラギとポインセチアを氷柱に生けました。
氷柱は江戸千家の友人からいただいた花入で、
盛夏だけでなく、私は12月にもよく使います。

シーンと座が静かになり、聴こえるのは松風のみ。
濃茶はクリスマスのミサと思っていましたので
イエスキリストの御名を唱えながら四方捌きをしました。

柄杓から流れ落ちる湯、茶筅通しの三度打ち、
音だけの世界となりました。
茶筅の音がリズミカルに響く中で
心を込めて濃茶を練りました。
最後の「のの字」に十字を切る思いが重なりました。

「とても美味しゅうございます」
いつもこのお言葉で嬉しく安堵します。
濃茶は涼翆の雫、翆晶庵の詰です。
茶碗は林紅陽作の紅萩、足立泰堂和尚の銘「関」です。

茶入は十五代沈壽官作の薩摩焼の胴締めです。
使い勝手がよく今一番のお気に入りの茶入で、
仕覆は大黒屋金襴です。
茶杓は福本積応和尚作の「閑座」です。

しずかに和やかに時が過ぎて行きました。
濃茶(ミサ)が終わったところで蝋燭を引きました。


         


後炭も終わり、薄茶になりました。
十字架のある瀬戸黒とトナカイの茶碗で薄茶をお点てし、
にぎやかにお話しながら味わって頂きました。
干菓子はヒイラギとダビデの星で、主菓子と共に翆晶庵製です。

薄器は利慶作の遠山蒔絵の中棗、
茶杓銘は「星のひかり」です。

「あの蓋置は何かしら?教会のようにも見えるし・・・」
と席中で話題に上っていた蓋置を拝見にお出ししました。
長崎三彩の天主堂です。

だちくゎんさまからご恵贈いただいたもので、
長崎の天主堂をイメージして作られた
淡交会・九州地区大会に因む記念のお品でした。
赤鼻のトナカイさんみたいに喜び勇んで
使わせて頂きました。

    

最後の挨拶になり、
「あっという間に時が過ぎてしまいました。
 いつまでも続いて欲しい思いです・・・」
と、今日の一期一会のご縁を噛みしめました。

感服上手のお客さまが盛り上げてくださって、
とても楽しい一会でした。 ありがとうございます!

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クリスマス 立礼の茶事 (1)

2009年12月25日 | 茶事
Merry Christmas!

23日にクリスマス 立礼の茶事をしました。

クリスチャンではないのですが、
カソリック系幼稚園でのキリスト誕生劇のこと(確か天使だった・・)、
青年期に通った教会のミサなど、大昔の思い出を辿りながら
クリスマス茶事の準備を楽しみました。

五名のお客さまをお迎えしました。

寄り付きに布絵作家 森下隆子さんの手になる
「Silent Night」の色紙を掛けました。
蝋燭の灯りに楽譜が浮かび出ています。

詰のNさまが打つ板木の音が聞こえてきました。
最初に早打ちがあり、それから人数分が打たれました。
この打ち方をお聞きしたのは三回目でしょうか・・。
心地好く響く音でした。

一閑人の汲み出しに「エッグノック」をお出ししました。
「エッグノック」は西洋風卵酒で、
アメリカではクリスマスシーズンによく飲むそうです。
少量のブランデーが入っていて、パブリカを振ってあります。

         

今年最後の茶事でもあり、ゆっくりと挨拶を交わしました。
お正客さまは寄り付きの色紙を見て
「清しこの夜・・・」を思わず唄いたくなったそうです。
皆さま、私以上に今日の茶事を楽しみにしていたご様子で
TさまとNさまのお二人はクリスマス柄の帯を
締めてきてくださり、お客さまの気合にたじたじでした(汗)。

床は橋本紹尚和尚の筆で「紅爐一點雪」です。

クリスマスなので懐石は洋風で、
翆晶庵・横山和子さんが腕まくりです。

オルゴールのクリスマス曲が穏やかに流れる中
一献を差し上げました。お酒は白ワインです。  

煮物碗は白と赤のクリスマスツリーのしんじょう、
焼物はローストビーフ、
炊き合せは、粉吹じゃがいも、ブロッコリー、人参のグラッセ、
和え物はグリーンサラダ、
八寸は銀杏とサーモンのマリネです。

どれも美しく美味しく、お出しするたびに嘆声が上りました。

懐石が終り、初炭となりました。
炭斗を出すと、早速にお正客から声がかかりました。
炭斗は飼葉桶に見立てたワインクーラーです。
釜を下ろすと炭が十分に残っていて安堵しました。

香合は見立てで錫製の小物入れ。
イギリス貴族の一家が木の下でくつろいでいる風景が
蓋に浮き彫りされています。
銀メッキで化粧直しされていますが、1850年代にイギリスで
使われていた古いもので、開港150周年を祝う茶事の香合
一緒に購入したものです。

縁高で主菓子をお出ししました。
菓子銘は「ログケーキ」です。
一見、洋風の丸太のロールケーキのようですが、
中身は和風の練りきりです。
    (つづく)               
                           

  写真は「飼い葉桶に見立てた炭斗」と「エッグノック」です。

伝物の茶事  盆点

2009年12月22日 | 思い出の茶事
「伝物の茶事」を稽古茶事で習いました。
四ヶ伝などの伝物で行う茶事を取り上げて
くださったのです。今年5月のことでした。

最初に資料が配られ、利休百会記と道具組について
K先生の講義がありました。
K先生のユーモアと緊張感を合わせ持つお話に
いつも茶心を揺さぶられます。
時に知的好奇心を刺激されて何日も興奮状態だったり、
参考書を調べまくったり・・です。

その日の「伝物の茶事」は四ヶ伝の内 盆点で、
唐物茶入(肩衝)を使い、水指は木地曲でした。

利休百会記に登場する「はけ物水指」とは
曲(わげ)物水指のことだそうですが、
他にもばけ物水指のことで、南蛮水指という説もあります。

さて、茶事で使われた盆は確か菱盆(青漆)だったような・・。
会記で確かめてみましたので、一部紹介させていただきます。

 本席
  床   淡々斎  筆 一行
        松風通古今
  釜   真形  馬地紋
  風炉  土  道安
  水指  木地曲
  茶入  唐物  肩衝
  盆   青漆内朱  四方
  茶杓  牙  利休形
  茶碗  黒楽  長次郎写
  蓋置  青竹
  建水  唐銅

盆は青と朱の漆が絶妙なバランスの四方盆でした。
本席で吸物 八寸、初炭、菓子(3種)の後 中立。
後座は本席で濃茶を頂いた後に
別席にて懐石 薄茶という形式で行われました。

K先生のご指導に触発されて
「稽古で習った点前を茶事に反映してみたい・・」
「唐物、盆点、和巾、茶通箱で茶事をしてみたい・・」
と思ったことでした。

問題はお道具でしょうか?
正客をしてくださった茶事の先輩と顔を見合わせて
「唐物写しでも良いのかしら???」

懐具合と実現性を考えると、ちょっと悲しくなります・・・。

                 

   写真は、湯河原・幕山の水仙です。