犬養万葉今昔―犬養孝先生著「万葉の旅」を訪ねて

犬養孝先生名著「万葉の旅」記載の万葉故地309箇所を訪ね、先生が撮られれたのと同じ場所に立った写真撮影を目指す紀行。

■日めくり万葉集Vol・2(085)石麻呂に

2012年01月28日 | 日めくり万葉集
NHK教育TVで「日めくり万葉集」第2弾が始まりました。
平日の午前中ということで 勤めの方は 見る機会に恵まれません。
また 見落とされた方も 居られるやも知れません。
そこで ここで取り上げて 訳し・「みじかものがたり」を 掲載したく思います。
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【七月二十二日】放映分

石麿いはまろに 我れものまをす 夏やせに しといふ物ぞ むなぎ捕り

 

【万葉歌みじかものがたり】むなぎ捕りせ》

家持 は 待っていた

高円山たかまどやまの 黄葉もみじ
雨上がりの き通った空
 の青
空隠すかに 深紅の黄葉もみじ

 来ない あれほど固く約束したに・・・)

けだしくも 人の中言なかごと きかせかも ここだく待てど 君がまさぬ
悪噂ちゅうしょうを きっと聞いたに 違いない こんだけ待って 八束あんたんのは》
                         ―大伴家持おおとものやかもち―(巻四・六八〇)
なかなかに ゆとし言はば かくばかり いきにして れ恋ひめやも
縁切えんぎりや 言われたほうが 気ィ楽や こんな思うて 気に懸けるより》
                         ―大伴家持おおとものやかもち―(巻四・六八一)
思ふらむ 人にあらなくに ねもころに こころつくして 恋ふるれかも
《思うても 呉れん人やに 一生懸命いっしょけめ 心尽くすん アホやでうちは》
                         ―大伴家持おおとものやかもち―(巻四・六八二)

八束やつかから 返事が来た
 謹啓
 すっかりの おかんむり 返す返す申し訳なし
 拠所よんどころない仕儀しぎ出来しゅったい ひらにお許しの程
 このような 軽口かるくち
 わしは 一向構わぬが 相手にもりますぞ
 例の 吉田連よしだのむらじおゆ〈通称石磨いわまろ〉の一件
 尊父 旅人殿と おゆてて よろし殿 
 いかな昵懇じっこんであったとはいえ あれはいただけぬ
  
石麿いはまろに 我れものまをす 夏やせに しといふ物ぞ むなぎ捕り
《言うたろか 石麿いわまろさんよ 夏痩せに ようく言うで 鰻食たどや》
                         ―大伴家持おおとものやかもち―(巻十六・三八五三)
すも けらばあらむを はたやはた 鰻を捕ると 川に流るな
《痩せてても 生きてる方が まだえで 鰻捕ろして おぼれんときや》
                         ―大伴家持おおとものやかもち―(巻十六・三八五四)

 おゆ殿は 謹厳きんげん実直じっちょくの士
 ひょいと受け流せずにより 暫く寝込んだよし
 今後は 家持殿の軽口かるくち
  相手を見ての上と なされること
 ここに しかと申しく    恐惶きょうこう謹言きんげん


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■日めくり万葉集Vol・2(084)夢の逢ひは

2012年01月25日 | 日めくり万葉集
NHK教育TVで「日めくり万葉集」第2弾が始まりました。
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【七月二十一日】放映分

いめあひは 苦しかりけり おどろきて き探れども 手にも触れねば

 

【万葉歌みじかものがたり】千引ちびきいはを》

逢えぬ 苦しみ
朝明け と共に 相手を思い
日中ひなか一日 逢わんとの手立てあれこれ
 破れての 落ち込み
日の暮れが さらなる傷心いたみを誘う
延べるとこやみ 浮かぶ面影のらめき
  
いめあひは 苦しかりけり おどろきて き探れども 手にも触れねば
《目ぇまし 手探てさぐりしても さわられん 夢でうんは もどかしこっちゃ》
                         ―大伴家持おおとものやかもち―(巻四・七四一)
いめにだに 見えばこそあらめ かくばかり 見えずしあるは 恋ひて死ねとか
《せめてもに 夢に出んかと 待ってても 出てえへんの 恋死ね云うことか》
                         ―大伴家持おおとものやかもち―(巻四・七四九)
かくばかり 面影おもかげのみに 思ほえば いかにかもせむ 人目しげくて
《面影が 浮かび浮かんで 仕様しょうないで どしたらんや 人目いのに》
                         ―大伴家持おおとものやかもち―(巻四・七五二)
一重ひとへのみ 妹が結ばむ 帯をすら 三重みへ結ぶべく 我が身はなりぬ
てくれる 帯は一重で ったのに 三重結ぶほど 恋せしたで》
                         ―大伴家持おおとものやかもち―(巻四・七四二)

人間  追い詰められれば
覚悟 が決まる
 こうなれば もう 逢うしかない
  逢っても逢わなくても 世間は 許さない
 腹をくくるが 上策)
開き直り に 活路を見い出そうとする 家持

恋死こひしなむ そこも同じぞ 何せむに 人目ひとめ他言ひとごと 言痛こちたがせむ
恋死やで 他人ひと非難うわさを 逃れと 逢うんめても おんなじこっちゃ》
                         ―大伴家持おおとものやかもち―(巻四・七四八)
わが恋は 千引ちびきいはを ななばかり 首にけむも 神のまにまに
かまへんで 千人引きの 石七つ 首掛けるな 苦し恋でも》
                         ―大伴家持おおとものやかもち―(巻四・七四三)


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■日めくり万葉集Vol・2(083)朝髪の

2012年01月21日 | 日めくり万葉集
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【七月二十日】放映分

朝髪の 思ひ乱れて かくばかり 汝姉なねが恋ふれぞ いめに見えける

《髪乱し 寝られんほどに うちのこと 恋しがるから 夢見るやんか》
                         ―大伴坂上郎女おおとものさかのうえのいらつめ―(巻四・七二四)
 

【万葉歌みじかものがたり】 と我れは》

大嬢おおいらつめは 家持妻問い重ねの後 とついで行った
佐保 大納言邸の 跡取り嫁として 同居の所帯だ

よわい 十八の花嫁
甘やかされて の育ちか 実家が恋しい
今日も今日とて 坂上郎女いらつめは 追い返しに 心をくだ

 居て欲しいは やまやまなれど・・・)
ひさかたの あま露霜つゆじも 置きにけり 家なる人も 待ち恋ひぬらむ
 もう帰り 露や霜かて 置いてるで 家で待つ人 心配しとる》

玉主たまもりに 玉はさづけて かつがつも 枕と我れは いざ二人寝む
《ご主人に お前返して もうわたし 枕かえて 寝さしてもらう》
                         ―大伴坂上郎女おおとものさかのうえのいらつめ―(巻四・六五一~二)

 そう言えば 
昔 所有田地でんち差配さはいで 跡見庄とみのしょうへ出向いた折 
あの 子 家で泣き暮れていたことがあった)
常世とこよにと 我が行かなくに 小金門をかなとに もの悲しらに 思へりし 我が児の刀自とじを 
《あの世行く 訳でもいに もんに立ち 悲ししてた 我が娘》 
ぬばたまの 夜昼よるひるといはず 思ふにし が身はせぬ なげくにし 袖さへ濡れぬ かくばかり もとなし恋ひば 古郷ふるさとに この月ごろも 有りかつましじ
《夜るだけちごて 昼間でも 思い出したら 身は痩せる 嘆く涙は 袖濡らす こんな心に かるなら この故郷さとって 幾月も じっと出けへん 心配で》
                         ―大伴坂上郎女おおとものさかのうえのいらつめ―(巻四・七二三)
朝髪の 思ひ乱れて かくばかり 汝姉なねが恋ふれぞ いめに見えける
《髪乱し 寝られんほどに うちのこと 恋しがるから 夢見るやんか》
                         ―大伴坂上郎女おおとものさかのうえのいらつめ―(巻四・七二四)

(帰したら 帰したで こっちが さみしくなる 母娘おやこなんやなぁ)
うち渡す 竹田の原に 鳴くたづの ときし が恋ふらくは
《鳴くつるは 引っ切り無しや それみたい あんた思うん 絶え間無しやで》
早川はやかはの 瀬にる鳥の よしを無み おもひてありし が児はもあはれ
《瀬早よて 羽根休めどこ ない鳥か あの子どしてる しずんどらんか》 
                         ―大伴坂上郎女おおとものさかのうえのいらつめ―(巻四・七六〇~一)


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■日めくり万葉集Vol・2(082)かにかくに

2012年01月18日 | 日めくり万葉集
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【七月十九日】放映分

かにかくに 物は思はじ 飛騨ひだひとの 打つ墨縄すみなはの ただ一道ひとみち

 《あれやこれ おもうんめよ 墨縄すみなわの ただ一筋ひとすじに あんたしんじて》【寄物陳思】
                          ―作者未詳―(巻十一・二六四八)
 

【万葉歌みじかものがたり】《打つ墨縄すみなはの》

二人ふたり間の 関係えと
詠う 歌さえ 穏やか響く
お前 に心 べったり寄るよ
あんた 信じて 一筋うちは

むらさきの 名高なたかの浦の なびの 心はいもに 寄りにしものを
名高浦なたかうら 藻ぉ揺れなびく なびき揺れ わしの心は お前べったり》【寄物陳思】
                          ―作者未詳―(巻十一・二七八〇)
  
葦鴨あしがもの すだく池水 はふるとも 設溝まけみぞに 我れ越えめやも
《池水が 増えてまって あふれても 越えてみぞ 行かんでわしは》
(恋心 がれ募って あふや けどわし一途いちず お前思てる)【比喩】
                          ―作者未詳―(巻十一・二八三三)
  
うちはなひ はなをぞひつる 剣大刀つるぎたち 身にいもし 思ひけらしも
 くしゃみ出た またくしゃみ出た 添い寝して いつも寝る児が わし思とんや》【寄物陳思】
                          ―作者未詳―(巻十一・二六三七)
  
うらめしと 思ふさなはに ありしかば よそのみぞ見し 心は思へど
うた時 うらめし気持ち やったから 知らん顔した 心とごて》【正述心緒】
                          ―作者未詳―(巻十一・二五二二)
  
梓弓あづさゆみ すゑのはら野に 鳥猟とがりする 君が弓弦ゆづるの 絶えむと思へや
すえはら 鷹狩たかがゆみの つるれん 二人ふたりなかも れへんでなぁ》【寄物陳思】
                          ―作者未詳―(巻十一・二六三八)
  
かにかくに 物は思はじ 飛騨ひだひとの 打つ墨縄すみなはの ただ一道ひとみち
《あれやこれ おもうんめよ 墨縄すみなわの ただ一筋ひとすじに あんたしんじて》【寄物陳思】
                          ―作者未詳―(巻十一・二六四八)
                         (墨縄すみなわ=材木に直線を引く大工道具)


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■日めくり万葉集Vol・2(081)夏山の

2012年01月11日 | 日めくり万葉集
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【七月十八日】放映分

夏山の 木末こぬれしげに 霍公鳥ほととぎす 鳴きとよむなる 声のはるけさ

 《夏山の 繁るこずえで ほととぎす 鳴き響くんが はるか聞こえる》
                         ―大伴家持おおとものやかもち―(巻八・一四九四)



【万葉歌みじかものがたり】なに か来鳴かぬ》

家持は 書持ふみもち相手に 歌作り錬磨れんまに余念がない
「兄上 夏も近いゆえ 題材を『ほととぎす』とし
  場面は 『鳴き待ち』としましょう」

霍公鳥ほととぎす 待てど鳴かず 菖蒲あやめぐさ 玉にく日を いまだ遠みか
《ほととぎす 待ってるのんに まだ鳴かん 菖蒲あやめ薬玉たまする 日ィんからか》
                         ―大伴家持おおとものやかもち―(巻八・一四九〇)

我がやどに 月おし照れり 霍公鳥ほととぎす 心あらば 今夜こぞ来鳴きとよもせ
うちの庭 月照っとるで ほととぎす せっかくやから 鳴きにんかい》
                         ―大伴書持おおとものふみもち―(巻八・一四八〇)

霍公鳥ほととぎす 思はずありき くれの かくなるまでに 何か来鳴かぬ
《なんでまた 木ィの茂みが なるまで 鳴きにんのや なあほととぎす》
                         ―大伴家持おおとものやかもち―(巻八・一四八七)

歌づくりは 書持ふみもち一日いちじつちょうがある
 わしのは どうも見劣りがしてならぬわ
 そちの書持ふみもちの名 あながちでは ないのう
 ひとかど歌人うたびとには そちがなったらどうじゃ」
 何を 言われます
 大伴家いえを 背負しょって立つは 兄上
  始めたばかりの 修錬
 弱音を吐いて 如何いかがなされます」

 さあ ほととぎすも 鳴きとう思うておりますぞ」

あしひきの 立ちく 霍公鳥ほととぎす かく聞きそめて のち恋ひむかも
《初聞きは 木の間くぐりの ほととぎす 聞いたその声 忘れられんが》
                         ―大伴家持おおとものやかもち―(巻八・一四九五)
何処いづくには 鳴きもしにけむ 霍公鳥ほととぎす 我家わぎへの里に 今日のみぞ鳴く
他所よそでもう 鳴いてたんやろ ほととぎす やっと此里ここ来て 鳴いてくれたな》
                         ―大伴家持おおとものやかもち―(巻八・一四八八)
の花も いまだ咲かねば 霍公鳥ほととぎす 佐保さほ山辺やまへに 来鳴きとよもす
の花が まだ咲かへんに ほととぎす 佐保の山来て もう鳴いとるが》
                         ―大伴家持おおとものやかもち―(巻八・一四七七)
の花の 過ぎば惜しみか 霍公鳥ほととぎす 雨間あままもおかず 此処ゆ鳴き渡る
の花の 散るんしいか ほととぎす 雨降る中を 鳴き渡りよる》
                         ―大伴家持おおとものやかもち―(巻八・一四九一)
夏山の 木末こぬれしげに 霍公鳥ほととぎす 鳴きとよむなる 声のはるけさ
《夏山の 繁るこずえで ほととぎす 鳴き響くんが はるか聞こえる》
                         ―大伴家持おおとものやかもち―(巻八・一四九四)

家持・書持ふみもち 兄弟のきずな
歌のり取りが 深めて行く

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■日めくり万葉集Vol・2(080)秋付けば

2012年01月07日 | 日めくり万葉集
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【七月十五日】放映分

秋づけば 尾花が上に 置く露の ぬべくもは 思ほゆるかも

 《秋来たら すすき置く露 消えるに うちの命も 消えに思う》
                         ―日置長枝娘子へきのながえのおとめ―(巻八・一五六四)



【万葉歌みじかものがたり】《いま二日ふつかだみ》

場数 踏んだ 家持
少し 駆け引きを覚えた
掛け持ち恋に 浮き身をやつ

我が背子せこを あひ見しその日 今日けふまでに 衣手ころもでは る時も無し
 お逢いした 日から今日まで ご無沙汰や うちは涙で 袖ぐしょ濡れや》
                         ―巫部麻蘇娘子かんなぎべのまそおとめ―(巻四・七〇三)
栲縄たくなはの ながき命を りしくは  絶えずて人を 見まく欲りこそ
永遠とわまでの 命欲しいと おもたんは ずっとあんたと てたいからや》
                         ―巫部麻蘇娘子かんなぎべのまそおとめ―(巻四・七〇四)

我がやどの 萩花はぎはな咲けり 見に来ませ いま二日ふつかだみ あらば散りなむ
 庭先の 萩が咲いたで 見においで 二日もしたら 散ってしまうで》
                         ―巫部麻蘇娘子かんなぎべのまそおとめ―(巻八・一六二一)

たれ聞きつ 此処ゆ鳴き渡る 雁がねの つま呼ぶ声の ともしくもあるか
《連れ呼んで 鳴き飛ぶ雁が うらやまし 誰かさんかて 聞いたんちゃうか》
                         ―巫部麻蘇娘子かんなぎべのまそおとめ―(巻八・一五六二)

聞きつやと 妹が問はせる かりは まことも遠く 雲隠くもがくるなり
《聞いたかと あんたたずねる 雁の声 雲に隠れて 聞こえんかった》
                         ―大伴家持おおとものやかもち―(巻八・一五六三)

秋づけば 尾花が上に 置く露の ぬべくもは 思ほゆるかも
《秋来たら すすき置く露 消えるに うちの命も 消えに思う》
                         ―日置長枝娘子へきのながえのおとめ―(巻八・一五六四)

我がやどの 一群ひとむら萩を思ふ児に 見せずほとほと 散らしつるかも
《庭先の れ咲く萩を いとし児に 見せず殆皆おおかた 散らして仕舞しもた》
                         ―大伴家持おおとものやかもち―(巻八・一五六五)

つれない 心の 返し歌
家持 は 自信を深めていた
 これこれ これぞ恋遊び
 我ながら 巧妙うまくなったものだ)

坂上郎女の 苛々いらいらは募る
大伴家いえを思う 私の心
  わからぬ家持であるまいに
分不相応 な 娘相手に 手当たり次第)

坂上郎女から 謎めいたふみが届く
《家持殿 今少し 美味びみを食すと 思うたが 如何物いかもの食いとは 恐れ入る》



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■日めくり万葉集Vol・2(079)梯立の

2012年01月04日 | 日めくり万葉集
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【七月十四日】放映分

梯立はしたての 熊来くまき酒屋さかやに 真罵まぬらるやっこ
                          わし  
さすひ立て なましを 真罵まぬらるやっこ
                         わし  


怒鳴どなられて 熊木酒蔵さかぐら ドジなやつ ホイ♫
連れ出して 助けたろかな ドジなやつ ホイ♫》
                     作者未詳―(巻十六・三八七九)



【万葉歌みじかものがたり】

出挙すいこ任務は 望外ぼうがいの収穫であった
越中 能登の国めぐ
土の匂いする 民謡たみうたの数々
素朴の中に 古来いにしえが 宿る

 能登国の歌】
梯立はしたての くまのやらに  新羅しらきをの 落し入れ
                            わし 
懸けて懸けて な泣かしそね 浮きづるやと見む
                            わし

舶来はくらいの 斧としたで 熊木沼 ホイ♫
泣きないな  浮いてくるかも 知れんがな ホイ♫》
                     作者未詳―(巻十六・三八七八)
梯立はしたての 熊来くまき酒屋さかやに 真罵まぬらるやっこ
                        わし  
さすひ立て なましを 真罵まぬらるやっこ
                          わし  
怒鳴どなられて 熊木酒蔵さかぐら ドジなやつ ホイ♫
連れ出して 助けたろかな ドジなやつ ホイ♫》
                     作者未詳―(巻十六・三八七九)

しまの つくゑの島の
   小螺しただみを いひりひ持ちて 
ち つつき破り
   早川に 洗ひすすぎ 
辛塩からしほに こごと
   高坏たかつきに盛り 机に立てて 
母にまつりつや  
 父にまつりつや 

《机の島の シタダミ拾ろて
石でくだいて きれえにあろ
塩もみしてから うつわに盛って
にあげたか いとしいよめ
にやったか 可愛かいらしよめよ》
                          ―作者未詳―(巻十六・三八八〇)

 越中国の歌】
大野路おほのじは しげもりみち 繁くとも 君し通はば 道は広けむ
《大野みち 森の木しげり 細いけど あんたかよたら 広なるちゃうか》
                          ―作者未詳―(巻十六・三八八一)

渋谿しぶたにの ふたがみ山に わしといふ
さしはにも 君のみために 鷲ぞといふ

渋谿しぶたにの 二上山で わし子ぉ産むで
 殿のため おうぎやと わし子ぉ産むで》
                          ―作者未詳―(巻十六・三八八二)

弥彦いやびこ おのれかむさび 青雲あをくもの たなびく日すら 小雨こさめそほ降る
弥彦山やひこやま 鬱蒼うっそう繁り しずくり 天気うても 雨降るようや》
                          ―作者未詳―(巻十六・三八八三)
弥彦いやびこ 神のふもと
  今日けふらもか 鹿のすらむ
    かはごろも着て つのきながら

弥彦山やひこやま 神さん庭で
  今日あたり 人鹿しか伏せとるで
    皮のふく着て つの頭付け》
                     作者未詳―(巻十六・三八八四)


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新年ご挨拶

2012年01月01日 | メッセージ
新年 明けまして おめでとう ございます
この年が  皆様にとりまして 良き年と なられることを お祈り申し上げます 
(賀状本文が  読みよくするため 賀状下に 本文を採録しました ご覧下さい)  
 


世界あまねく 国々の 神が天国てんくに つどいおる
呼び集めた は 天の神 事の次第を 告げ聞かす
 の治める 地の上は 難儀続きの 明け暮れぞ
地震津波に 大嵐 日照り干ばつ 洪水こうずい
これが原因もといを 尋ねるに あるが自然に 手を加え
おのれ良かれと 荒れつぶし 後は野となれ 知らん顔
そこでこのワシ 思案して 如何な災厄さいやく 来たとても 
人の心を なごませて またおこしに 立ち上がる
勇気与えの 力持つ けものの王を 生み出した
頭らくだで つのが鹿 まなこ兎で 耳は牛
腹ははまぐり 首は蛇 手足は虎で 爪は鷹
うろこは鯉で その中の あご下一つ 逆鱗さかうろこ
触れば 怒り すさまじが 元は柔和な 世の味方
 の西では ドラゴンと 洋の東は 竜と呼べ
皆は低頭 声無しに しばしお待ちと 小さき声 
きわみの 小さき国 これも小さい 神立ちて
わたし国では もうせんに 同じたぐいの タツおわす
天の神さん にがい顔 タツの噂を 漏れ聞いて
ワシが智恵だと 教えしに 面子めんつ潰すか 小さきやつ
集いは果てて 皆帰る 残る天神てんかみ 収まらず
タツを抑えて 竜にする 策を東洋とうよの 中国なかくに
中国文化  進みおり 文字の作りが 今盛ん
遅れ 文化の 小さき国 中国文字が 伝わるに
 立」の字読みに 二つあり ひとつは「たつ」で 別は「りゅう」
やがて この読み 混同し タツと竜とが 入り混じる
長いものには 巻かれろか 口はわざわい 元なのか
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【出版企画の概要】(平成24年1月1日現在-随時確定分を掲載)
・全八巻順次刊行
・現在 第一巻 組本形式検討中
・各話見開き2ページ収め
・一話毎にイラスト挿入検討
・第一巻刊行予定:当年2月末~3月

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今年も 
 ・「万葉今昔」
 ・「みじかものがたり」
 ・「大阪弁万葉集」
を よろしく お願い致します

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