犬養万葉今昔―犬養孝先生著「万葉の旅」を訪ねて

犬養孝先生名著「万葉の旅」記載の万葉故地309箇所を訪ね、先生が撮られれたのと同じ場所に立った写真撮影を目指す紀行。

■日めくり万葉集Vol・2(196)鷲の住む

2013年04月24日 | 日めくり万葉集
NHK教育TVで「日めくり万葉集」第2弾が始まりました。
平日の午前中ということで 勤めの方は 見る機会に恵まれません。
また 見落とされた方も 居られるやも知れません。
そこで ここで取り上げて 訳し・「みじかものがたり」を 掲載したく思います。
ご覧下さい。

【一月十日】放映分

わしむ 筑波の山の
裳羽服津もはきつの その津のうへ
あどもひて 娘子をとめ壮士をとこ
行きつどひ かがふがひ

《筑波の山の の泉
 連れもちつどう 女や男
 歌の掛け合い 袖引く催事まつり
人妻ひとづまに われまじらむ
わが妻に ひとこと
この山を うしはく神の 昔より いさめぬ行事わざ
今日けふのみは めぐしもな見そ こととがむな

《よその嫁はん わし口説くどきたい
 うちの嫁はん 口説くどいてえで
 神さん許す この日の催事まつり
 なんも言わんと 目ぇつぶってて》
                         ―高橋蟲麻呂たかはしのむしまろ歌集―(巻九・一七五九)

【万葉歌みじかものがたり】《かがふ嬥歌かがひに》

  季節実りと共に
 麻呂は 心弾む日を 迎えていた

これ  これ
これ に 一度来たいと 思うていた
都まで 聞こえた 筑波の嬥歌かがい
飛鳥 に都あったとき
海石榴市つばいちの歌垣は 名をせていた
今は 形だけが残り おおらかさがうなった
そこへ行くと 筑波のは 原始むかしそのもの
おうおう  集まって来る 集まって来る

わしむ 筑波の山の 裳羽服津もはきつの その津のうへに あどもひて 娘子をとめ壮士をとこの 行きつどひ かがふがひ
《筑波の山の の泉 連れもちつどう 女や男 歌の掛け合い 袖引く催事まつり
人妻ひとづまに われまじらむ わが妻に ひとことへ この山を うしはく神の 昔より いさめぬ行事わざぞ 今日けふのみは めぐしもな見そ こととがむな
《よその嫁はん わし口説くどきたい うちの嫁はん 口説くどいてえで 神さん許す この日の催事まつり なんも言わんと 目ぇつぶってて》
                         ―高橋蟲麻呂たかはしのむしまろ歌集―(巻九・一七五九)

の神に 雲立ちのぼり 時雨しぐれ降り とほるとも われ帰らめや
《雲いて 時雨しぐれが降って 濡れたかて つれ出来るまで ワシ帰えらんで》
                         ―高橋蟲麻呂たかはしのむしまろ歌集―(巻九・一七六〇)

おのこおみな 不思議なものよ
 り物の豊穣ほうじょう 神への祈り
 春く 一粒の 種
 秋には たわわな みの
 人の手を はするが
全て これ 神のわざ
 えや 遊べ
神が 許した 催事まつりに遊べ)

覚え帳を抱え 筆る 蟲麻呂
心弾ませながら 輪にはいれぬ背を 秋の雨が濡らしている




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■日めくり万葉集Vol・2(195)初春の

2013年04月20日 | 日めくり万葉集
NHK教育TVで「日めくり万葉集」第2弾が始まりました。
平日の午前中ということで 勤めの方は 見る機会に恵まれません。
また 見落とされた方も 居られるやも知れません。
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【一月九日】放映分

初春はつはるの 初子はつね今日けふの たまはばき 手に取るからに 揺らくたま
《新春の 初子はつねもらう たまほうき ろたら揺れる たま飾り房》
                         ―大伴家持おおとものやかもち―(巻二十・四四九三)

【万葉歌みじかものがたり】水底みなそこ深く》

先ほど より 長い思いが続いている
文机ふづくえ前に 端座たんざの家持
 に 歌一首

大き海の 水底みなそこ深く 思ひつつ 裳引もびならしし 菅原すがはらの里
《裾引いて ふこうに心 思いつめ し待った 菅原すがわらの里》
                         ―藤原宿奈麻呂妻ふじわらのすくなまろのつま―(巻二十・四四九一)

何故なにゆえに この歌 手元に
 藤原宿奈麻呂すくなまろ殿といえば
  先の 天平勝宝七年(755)二月
 防人さきもり検閲の折 相模守さがみのかみとして 引率いんそつ
その時 交誼こうぎを得たが
藤原仲麻呂なかまろ非難の舌鋒ぜっぽう鋭く
相変わらずの 血気けっきであった
過ぐる 天平十二年(740)藤原広嗣ひろつぐの乱
異母 弟ながら 連座し 伊豆流罪
二年 余りで 召還されたが 
不遇をかこっていた
 水底深く 思いつつ』か・・・)
《後年〈宝字七年(763)〉この藤原宿奈麻呂すくなまろ 藤原仲麻呂が恵美押勝えみおしかつとなり その権勢欲しいままを いきどおり 押勝暗殺計画画策かくさく折 家持を誘うが この時 家持 知るよしもない》

天平 宝字二年(758)は 穏やかに明けた
明けるとすぐに うたげが待つ

【正月三日】たまはばきたまわっての内裏だいり
初春はつはるの 初子はつね今日けふの たまはばき 手に取るからに 揺らくたま
《新春の 初子はつねもらう たまほうき ろたら揺れる たま飾り房》
                         ―大伴家持おおとものやかもち―(巻二十・四四九三)
家持  用意するも 大蔵省関係任務で 奏せず

【正月七日の白馬あおうま節会せちえのため作歌】
水鳥みづとりの 鴨羽かもはの色の 青馬あをうまを 今日けふ見る人は かぎりなしといふ
《水鳥の 鴨はねいろの 青い馬 この日見た人 長生きうで》
                         ―大伴家持おおとものやかもち―(巻二十・四四九四)
前日 宮中般若経はんにゃきょう講義儀式 酒宴あり 奏せず

 正月六日】その酒宴
うちなびく 春ともしるく うぐひすは 植木の木間こまを 鳴き渡らなむ
《待っていた 春とはっきり 分かるに 鶯鳴けよ 木ぃ飛び移り》
                         ―大伴家持おおとものやかもち―(巻二十・四四九五)
家持  これも 奏さず

【二月十日】紫微しび内相ないしょう 藤原仲麻呂ふじわらのなかまろ宅 
      渤海ぼっかい国派遣の大使ら派遣 はなむけうたげ
青海原あをうなはら 風波かぜなみなびき 行くささ つつむこと無く 船は早けむ
海原うなばらは え風吹いて き帰り つつが船は 早よに進むで》
                         ―大伴家持おおとものやかもち―(巻二十・四五一四)
準備するも ぎんぜず

果たして  家持に 何が



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■日めくり万葉集Vol・2(194)降る雪の

2013年04月17日 | 日めくり万葉集
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【十二月二十三日】放映分

降る雪の 白髪しろかみまでに 大君に 仕へまつれば たふとくもあるか
《降る雪の 白い頭に なるまでも お仕え出来て 勿体もったないです》
                         ―橘諸兄たちばなのもろえ―(巻十七・三九二二)

【万葉歌みじかものがたり】降れる 白雪》

家持は 安堵あんどの新年を迎えた
よろこばしい 招請しょうせいであった
天平 十八年(746)正月
平城宮  大雪
これぞ吉兆きっちょうと 橘諸兄たちばなのもろえ筆頭に 重臣諸王
元正上皇御座所ござしょへ 雪き参上
ただちに 諸卿大夫たゆう招請しょうせい
新年 の宮中大宴会となった
席には 確執かくしつ二派の領袖りょうしゅう 
中立諸公も こぞって居並んでいた

上皇寿歌ことほぎうた要請での 歌披露が うたげを盛り上げる

降る雪の 白髪しろかみまでに 大君に 仕へまつれば たふとくもあるか
《降る雪の 白い頭に なるまでも お仕え出来て 勿体もったないです》
                         ―橘諸兄たちばなのもろえ―(巻十七・三九二二)
あめの下 すでにおほひて 降る雪の 光りを見れば たふとくもあるか
《この地上 全部おおって 降る雪の 輝き見たら 有り難いです》
                         ―紀清人きのきよひと―(巻十七・三九二三)
山のかひ 其処そことも見えず 一昨日をとつひも 昨日きのふ今日けふも 雪の降れれば
山谷やまたにが 何処どこか分からん 一昨日おとついも 昨日きのうも今日も 雪降ったんで》
                         ―紀男梶きのおかじ―(巻十七・三九二四)
あらたしき 年の初めに とよの年 しるすとならし 雪の降れるは
《新しい 年の初めに 雪降って 豊年ほうねんなるん 間違まちがいなしや》
                         ―葛井諸会ふじいのもろあい―(巻十七・三九二五)
大宮の 内にもにも 光るまで 降れる白雪 見れど飽かぬかも
《大宮の 内外うちそとともに 輝いて 降る白雪は 見事のきわみ》
                         ―大伴家持おおとものやかもち―(巻十七・三九二六)

諸兄もろえ欣快きんかいを見 家持も 心を軽くしていた
しかし  上皇要請の歌披露には及んだものの
家持の「さとし」堅持けんじの用心 
なおもゆるまぬ日々が続く

 ―――――――――――――――

聖武天皇しょうむてんのう彷徨五年の経緯】
藤原きょう 亡きあとは 橘諸兄もろえ 牛耳ぎゅうじ取る
反発広嗣ひろつぐ 乱起こす 意気込みあれど 腰砕け
帝は狼狽うろたえ 関東へ 彷徨ほうこう果ての 行き着きは 
諸兄所縁ゆかりの みかの原 これが改め みやこ 
えにし平城なら宮 捨てられて 藤原再興おこし 影が差す
知恵者仲麻呂 行基ぎょうきち 天皇すめらみことに 取り入りて
紫香楽しがらき宮を 造営し 大仏ほとけ造立ぞうりゅう みことのり
紫香楽しがらきの 宮造り 費用ついえ莫大ばくだい 民疲弊ひへい
の造営 中止なり 紫香楽みやこ 実現か
そうはさせじと 諸兄もろえ卿 反撃期して 策を練る
元正げんしょ上皇 策受けて みかど安積あさかを 共に連れ
難波宮への 行幸ぎょうこうは 安積あさか天皇 画策か
事の成就じょうじゅを 前にして 皇子おうじ亡くなり 策挫折ざせつ
仲麻呂ていを 紫香楽しがらきへ 都ここぞの 示威しい示す
難波残りし 諸兄らは 皇都こうと難波の ちょく下す
紫香楽宮で 大仏の 芯柱はしらが出来て 建立こんりゅう
元正 招かれ 紫香楽へ これで決着 思えしが
紫香楽宮で 火事しきり 日照り地震の 頻発ひんぱつ
災害元凶もとは 悪政と 人心じんしん揺れて 世はみだ
何処いずこの 諮問たずねには 平城なら帰るべし 一色ひといろ
ついにみかどは 平城なら帰還 彷徨ほうこう五年 ここに止む



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■日めくり万葉集Vol・2(193)我がやどの

2013年04月13日 | 日めくり万葉集
NHK教育TVで「日めくり万葉集」第2弾が始まりました。
平日の午前中ということで 勤めの方は 見る機会に恵まれません。
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【十二月二十二日】放映分

我がやどの 夕蔭草ゆふかげぐさの 白露の ぬがにもとな 思ほゆるかも
《庭に咲く 夕影草くさに置いてる 露みたい 心もとない 気持ちやうちは》
                         ―笠郎女かさのいらつめ―(巻四・五九四)

【万葉歌みじかものがたり】《我が名らすな》

互い が 互いを思い
気に入られようと 心をくだ
相手あってこその 心くばり 
これ がまた 自分の喜び

白鳥しらとりの 飛羽山とばやま松の 待ちつつぞ が恋ひわたる この月ごろを
《待ってんの もう長いこと なって仕舞た あんたしとうて 恋し続けて》
                         ―笠郎女かさのいらつめ―(巻四・五八八)
                          (白鳥の→飛ぶ→飛羽山松の→待つ)

衣手ころもでを 打廻うちみの里に ある我れを 知らにぞ人は 待てどずける
打廻里さとって じっと待ってる 心内こころうち 知ってるやろに あんたえへん》
                         ―笠郎女かさのいらつめ―(巻四・五八九)

あらたまの 年のぬれば 今しはと ゆめよ我が背子せこ 我が名らすな
年月としつきが 経ったからて うちの名を ええやろ思て うたらあかん》
                         ―笠郎女かさのいらつめ―(巻四・五九〇)

おもひを 人に知るれか たま櫛笥くしげ 開きけつと いめにし見ゆる
《隠してる うちの思いが 知れたんか 櫛箱くしばこいた 夢見て仕舞しもた》
                         ―笠郎女かさのいらつめ―(巻四・五九一)

やみに 鳴くなるたづの よそのみに 聞きつつかあらむ 逢ふとはなしに
 暗い夜に 鳴く鶴みたい 逢われんで あんたの噂 聞いてるだけや》
                         ―笠郎女かさのいらつめ―(巻四・五九二)

君に恋ひ いたすべなみ 平城山ならやまの 小松がしたに 立ち嘆くかも
《恋しゅうて どう仕様しょうて 平城山ならやまの 松の下来て 独り泣いたで》
                         ―笠郎女かさのいらつめ―(巻四・五九三)

我がやどの 夕蔭草ゆふかげぐさの 白露の ぬがにもとな 思ほゆるかも
《庭に咲く 夕影草くさに置いてる 露みたい 心もとない 気持ちやうちは》
                         ―笠郎女かさのいらつめ―(巻四・五九四)

我が命の またけむ限り 忘れめや いやには 思ひすとも
《あんたはん うちは死んでも 忘れへん 日に日に募る 思いかかえて》
                         ―笠郎女かさのいらつめ―(巻四・五九五)

歌ににじむ 笠郎女の恋にける直向ひたむき
知りつつ も これが 家持の腰を引かせる
  




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■日めくり万葉集Vol・2(192)新しき

2013年04月10日 | 日めくり万葉集
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【十二月二十一日】放映分

あらたしき 年のはじめに 思ふどち いれてれば 嬉しくもあるか
あたらしい 年の初めに 友同士どうし 集まりうん 嬉しいもんや》
                         ―道祖王ふなどのおおきみ―(巻十九・四二八四)

【万葉歌みじかものがたり】いきおもふ》

うたげは続く
【十一月二十七日】橘奈良麻呂 但馬たじま因幡いなば按察使あんさつし はなむけうたげ 林王はやしのおおきみ屋敷
能登川のとがはの のちには逢はむ しましくも 別るといへば 悲しくもあるか
後々のちのちに きっと逢えるて おもてても 別れ云うんは 悲しいもんや》
                         ―船王ふねのおおきみ―(巻十九・四二七九)

立ち別れ 君がいまさば 磯城島しきしまの 人はれじく いはひて待たむ
みんなして 自分のことと 祈りと 奈良麻呂あんたが行って 無事帰るまで》
                         ―大伴黒麻呂おおとものくろまろ―(巻十九・四二八〇)

白雪の 降り敷く山を 越え行かむ 君をぞもとな いきおも
《白雪の 降り積もる山 越えて行く 奈良麻呂あんた思うと 心底しんそこつらい》
                         ―大伴家持おおとものやかもち―(巻十九・四二八一)

「家待殿 いきおもふ は
 いきにする とするは如何いかが
 いやいや やはり もとが良かろうや」
席上 橘諸兄たちばなのもろえに 言葉貰い 家待感激

【天平勝宝五年(753)正月四日】石上宅嗣いそのかみのやかつぐ屋敷 
ことしげみ あひ問は無くに 梅の花 雪にしをれて うつろはむかも
いそがして 召集こえかけせんと ったんで 梅花うめはな雪で しおれたやろか》
                         ―石上宅嗣いそのかみのやかつぐ―(巻十九・四二八二)

梅の花 咲けるがなかに ふふめるは 恋かこもれる 雪を待つとか
梅花うめはなの 咲いてる中に ある蕾 見人ひとを待つんか 雪待つのんか》
                         ―茨田王まったのおおきみ―(巻十九・四二八三)

あらたしき 年のはじめに 思ふどち いれてれば 嬉しくもあるか
あたらしい 年の初めに 友同士どうし 集まりうん 嬉しいもんや》
                         ―道祖王ふなどのおおきみ―(巻十九・四二八四)

政権掌握しょうあくからむ それぞれ派閥
重なるうたげに 思惑のぞ

地位からいえば 廟堂びょうどう中核は 左大臣橘諸兄たちばなのもろえ
 武上皇の 覚えめでたく 
生来せいらいの 温厚性格は 争い好まず
藤原仲麻呂勢力伸長の中 策傍観ぼうかん

実権握るは 藤原仲麻呂ふじわらのなかまろ
光明皇太后・孝謙天皇 母子おやこを後ろ盾とし
紫微しび中台ちゅうたいを取り仕切り 人材集中させ
全ての 政治方向は ここでと辣腕らつわん振るう

藤原仲麻呂へ 反発強める 橘奈良麻呂たちばなのならまろ
抑えきれぬ 父諸兄に 歯噛はがみし
おのれこその 気概きがいを燃やす
仲麻呂 の 周到政策遂行に 焦り覚え
 もすれば 過激が先走る




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■日めくり万葉集Vol・2(191)田子の浦ゆ

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【十二月二十日】放映分

田児の浦ゆ うちでて見れば ま白にぞ 富士の高嶺に 雪は降りける
《田子の浦 回って見たら パッと富士 山上やまうえ白う 雪降っとるで》
                         ―山部赤人やまべのあかひと―(巻三・三一八)

【万葉歌みじかものがたり】田児 の浦ゆ》

 うわぁ 富士のお山だ!」
赤人あかひとは 思わず声を上げた

駿河の国 庵原郡いばらのこおり由比ゆい
狭隘きょうあいな 崖にかる海沿いのみち
足元 に気を集め 歩を運ぶ赤人
やっと険路けんろはずれ 崖のふちめぐる平坦道に
ふと 仰ぐ目に 富士が飛びこむ
 突く 霊峰
まぶしい  雪
威容 に虚を突かれ 立ちつくす赤人
やがて 
胸深く 思いがあふれ 調べとなる

田児の浦ゆ うちでて見れば ま白にぞ 富士の高嶺に 雪は降りける
《田子の浦 回って見たら パッと富士 山上やまうえ白う 雪降っとるで》
                         ―山部赤人やまべのあかひと―(巻三・三一八)

生まれたばかりの歌を 反芻はんすうする赤人
 思わず出来てしまった歌だ
この歌を生かすには たたえる長歌が欲しい)

天地あめつちの わかれし時ゆ 
かむさびて 高くたふとき 
駿河 なる 富士の高嶺を 
あまの原 振りけ見れば 
渡る日の 影もかくらひ 
照る 月の 光も見えず 
白雲 も い行きはばかり 
 じくぞ 雪は降りける 
語り つぎ 言ひつぎ行かむ 
富士 の高嶺は

天地てんちのできた 昔から 
神々こうごうしいて 崇高けだかしい
駿河 の国の 富士の山
振り仰いで も 高過ぎて
  日ぃ隠されて よう見えん 
 の光も 届かへん
白雲なずみ よう行かん
雪は常時いっつも 降っとおる
語り伝えて  言い継ごう
富士 の高嶺の この尊さを》
                         ―山部赤人やまべのあかひと―(巻三・三一七)

赤人をうた上手じょうずとする 長・短歌の誕生であった




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■日めくり万葉集Vol・2(190)このころの

2013年04月03日 | 日めくり万葉集
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【十二月十九日】放映分

このころの こひぢから しるあつめ くうまをさば 五位ごゐかがふり
《恋けた わしの労力ろうりょく 集めたら 五位冠ごいもらえるん 軽いもんやで》
                          ―作者未詳―(巻十六・三八五八)

【万葉歌みじかものがたり】《めすとの御法みのり

 男心と 女の心》

とうとかたに 寵愛ちょうあい受けた
娘子おとめもとに 品物届く
これはそのかみ 仕えし折に
うちげた 下衣ころもやないか
なんぼ寵愛ちょうあい 薄れたても
物を返すは 法度はっとはず
女心 を 知らへんのんか
野暮 な人やで あんたて人は

あきかへし めすとの御法みのり あらばこそ したごろも 返したまはめ
解約かいやくを みとめる法律きまり あるんかい うちの下衣はだぎを 返すやなんて》
                          ―作者未詳―(巻十六・三八〇九)

 尽し惚れても 片恋悲し》

 に命を 懸けるは互い
不首尾ふしゅび恋なら 懸けたは無駄か
  
このころの こひぢから しるあつめ くうまをさば 五位ごゐかがふり
《恋けた わしの労力ろうりょく 集めたら 五位冠ごいもらえるん 軽いもんやで》
                          ―作者未詳―(巻十六・三八五八)
このころの こひぢから たばらずは 京兆みさとづかさに でてうれへむ
《恋けた うちの労力ろうりょく ご褒美ほうびが いならおかみ 訴え出たる》
                          ―作者未詳―(巻十六・三八五九)

 あわよくば 思うてみたが 当てはずれ》

ここなる娘子おとめ あわれにも 夫にられ ひと
これれ聞いた き男 人助けやと 歌寄越よこ

白玉しらたまは えしにきと 聞きしゆゑに そのまたき 我が玉にせむ
真珠たま飾り ひもが切れたて 聞いたけど つなぎ直して わしのに仕様しょうか》
                          ―作者未詳―(巻十六・三八一四)
  
器量きりょう娘子おとめの 評判に あらた受け手が 現れて
すで娘子おとめは 他人ひとの妻 遅かりしかや 由良ゆらの助

白玉しらたまの えはまこと しかれども そのまたき 人持ちにけり
真珠たま飾り ひも切れたけど よその人 つなぎ直して もう持てたで》
                          ―作者未詳―(巻十六・三八一五)



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