犬養万葉今昔―犬養孝先生著「万葉の旅」を訪ねて

犬養孝先生名著「万葉の旅」記載の万葉故地309箇所を訪ね、先生が撮られれたのと同じ場所に立った写真撮影を目指す紀行。

■日めくり万葉集Vol・2(059)近江の海

2011年10月29日 | 日めくり万葉集
NHK教育TVで「日めくり万葉集」第2弾が始まりました。
平日の午前中ということで 勤めの方は 見る機会に恵まれません。
また 見落とされた方も 居られるやも知れません。
そこで ここで取り上げて 訳し・「みじかものがたり」を 掲載したく思います。
ご覧下さい。

【六月十六日】放映分

淡海あふみうみ 夕波ゆふなみ千鳥ちどり けば 心もしのに いにしへおもほゆ

 《おい千鳥 そんなにきな 啼くたんび 往古むかし思うて たまらんよって》
                         ―柿本人麻呂かきのもとのひとまろ―(巻三・二六六)

【万葉歌みじかものがたり】夕波ゆうなみ千鳥ちどり

大津宮陥落ののち 十数年が過ぎ 
持統天皇の御代みよ
父 天智天皇の供養にと 近江への行幸みゆき

近江 の湖畔
たたずむ 柿本人麻呂かきのもとのひとまろ
口をついて 言葉がほとばし

玉襷たまだすき 畝傍うねびやまの 橿原かしはらの 日知ひじり御代みよゆ れましし かみのことごと つがの いや継ぎ継ぎに あめした らしめししを 
《畝傍の山の 橿原の 神武じんむ御代みよを 始めとし 引き継ぎきたる 大君おおきみの 治め給いし 都やに》
そらにみつ 大和やまとをおきて あをよし 奈良山ならやまえ いかさまに おもほしめせか 
《何をおもわれ 大和捨て 奈良山越えて はるばると》
天離あまざかる ひなにはあれど いはばしる 淡海あふみくにの 楽浪さざなみの 大津おおつみやに あめした らしめしけむ 
《遠く離れた 片田舎 近江の国の 大津宮おおつみや 都移しを しなされた》
天皇すめろぎの かみみことの 大宮おおみやは こことけども 大殿おおとのは こことえども 春草はるくさの しげひたる かすみ立ち 春日はるひれる ももしきの 大宮処おおみやどころ 見れば悲しも
《それや言うのに その都 目当ての場所は 草繁り 大宮大殿 見当たらん どこへ行ったか 雲かすみ 悲しさ募る 大宮処》
                         ―柿本人麻呂かきのもとのひとまろ―(巻一・二九)

人麻呂の 故宮ふるみやへの 追慕ついぼまず
楽浪ささなみの 志賀の唐崎からさき さきくあれど 大宮びとの 船待ちかねつ
《唐崎は そのまんまやが 待ってても 古都人むかしのひとも 船もえへん》
                         ―柿本人麻呂かきのもとのひとまろ―(巻一・三〇)
楽浪ささなみの 志賀の大わだ よどむとも 昔の人に またもはめやも
《淀み水 今もあるのに せんいで 昔の人に 逢うことうて》
                         ―柿本人麻呂かきのもとのひとまろ―(巻一・三一)

日が落ち 寂しさ募る湖辺うみべ
鳴く 千鳥が 人麻呂の胸を 締め付ける

淡海あふみうみ 夕波ゆふなみ千鳥ちどり けば 心もしのに いにしへおもほゆ
《おい千鳥 そんなにきな 啼くたんび 往古むかし思うて たまらんよって》
                         ―柿本人麻呂かきのもとのひとまろ―(巻三・二六六)

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1 コメント

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季節はいつでしょう (くさふみ)
2012-06-08 07:50:09
中学時代に覚えたこの歌が ふっと口をついて
でてきます。季節はいつでしょうか。
秋のような気がしますが。

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