犬養万葉今昔―犬養孝先生著「万葉の旅」を訪ねて

犬養孝先生名著「万葉の旅」記載の万葉故地309箇所を訪ね、先生が撮られれたのと同じ場所に立った写真撮影を目指す紀行。

■日めくり万葉集Vol・2(078)三輪山を

2011年12月31日 | 日めくり万葉集
NHK教育TVで「日めくり万葉集」第2弾が始まりました。
平日の午前中ということで 勤めの方は 見る機会に恵まれません。
また 見落とされた方も 居られるやも知れません。
そこで ここで取り上げて 訳し・「みじかものがたり」を 掲載したく思います。
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【七月十三日】放映分

三輪山を しかも隠すか  雲だにも こころあらなむ 隠さふべしや

 《あかんがな うちの気持ちが 分かるなら 雲よ三輪山おやまを 隠さんとって》
                            ―額田王ぬかたのおおきみ―(巻一・一八)



【万葉歌みじかものがたり】
 だにも
天智称制しょうせい六年(667) 春
新たな都 近江大津へ 湖畔の大宮どころ

白村江はくすきのえの大敗を受け 要害の地と定められた新都
遷都の列は 延々とつづく 輿こし 馬 徒歩かち
それぞれ の 歩みは おそい

幾重にも重なる平城ならの峰々 春霞に 薄く裾引き
うちつづく 道の隈々くまぐま 若草の萌えたつ 川べり
こころ  浮き立つ 春なのに

住み慣れた  飛鳥の地 思い出深い 里の山川
 舎人とねりらは うつむき 進む

額田王おおきみよ 歌だ」
中大兄なかのおおえの声が 響いた
「新都へでたつ 寿ことほぎの歌だ」

沈鬱ちんうつな列のあゆみを にがく思う大兄おおえの叫び

旧都への思いに 沈んでいた額田王おおきみは 我に帰る

(われは 歌人うたびとなり
  みなの気持ちを 鼓舞こぶするが役目
 ・・されど いまは その時でない
皆の思いをみ その心を歌にする
  それでこそ 皆は付いて来る
これこそ大兄おおえのため)

味酒うまざけ 三輪みわの山 
あをよし 奈良の山の
  山のに いかくるまで 
    道のくま いもるまでに
  つばらにも  見つつ行かむを 
    しばしばも 見けむ山を 
  こころなく 雲の かくさふべしや
いとし三輪山 離れ行く
恋し 奈良山 遠ざかる
  山かさなって 見え隠れ
    つづら 山道 隠し行く
  見つめて いたい いつまでも
    振り向き 見たい 山やから
  こころ有るなら 雲隠しなや》
                            ―額田王ぬかたのおおきみ―(巻一・一七)
三輪山を しかも隠すか  雲だにも こころあらなむ 隠さふべしや
《あかんがな うちの気持ちが 分かるなら 雲よ三輪山おやまを 隠さんとって》
                            ―額田王ぬかたのおおきみ―(巻一・一八)

額田王おおきみの真意を知らず
大兄おおえはひとり 唇を噛む

額田王おおきみの心を察した 井戸王いのえのおおきみは和してうた

綜麻へそかたの 林のさきの さ野はりの きぬに付くなす 目につく我が背
《糸巻きの 糸先さきに付いてる 針先が 刺さるふく着る 素敵な人よ》
                            ―井戸王いのえのおおきみ―(巻一・一九)
(古事記説話の 活玉依姫いくたまよりひめが慕いし三輪大物おおもの主神ぬし
額田王ぬかたが お慕いするは 中大兄皇子おおえの君)


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■日めくり万葉集Vol・2(077)はね蘰

2011年12月28日 | 日めくり万葉集
NHK教育TVで「日めくり万葉集」第2弾が始まりました。
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【七月十二日】放映分

はねかづら 今するいもが うら若み みみいかりみ 付けし紐

 《まだうぶな かずらの児やで 笑いかけ しかりつけして ひもほどくんや》【寄物陳思】
                          ―作者未詳―(巻十一・二六二七)



【万葉歌みじかものがたり】
みみいかりみ
深まる仲は ちぎりへ進み
結べば男 もう有頂天うちょうてん
この 児手にした 喜ぶ胸に
惚気のろけ心が 知らずと湧くぞ

天地あめつちの 寄り合ひのきはたまの 絶えじと思ふ いもがあたり見つ
《いつまでも 愛し続け 思うてる あの児とこ 見た見た見たで》【寄物陳思】
                          ―作者未詳―(巻十一・二七八七)
                 (天地の寄り合う極み=天地が接する遙か彼方までの長さ=長時間)
  
玉桙たまほこの 道行きぶりに思はぬに いも相見あひみて 恋ふるころかも
たまさかの 道の往き来いきで お前い がれるんや このごろずっと》【正述心緒】
                          ―作者未詳―(巻十一・二六〇五)
  
まよき をか見むと 思ひつつ 長く恋ひし いもに逢へるかも
まゆかゆて えるん誰か おもてたら がれ続けた お前たがな》【正述心緒】
                          ―作者未詳―(巻十一・二六一四 或る本)
  
はねかづら 今するいもが うら若み みみいかりみ 付けし紐
《まだうぶな かずらの児やで 笑いかけ しかりつけして ひもほどくんや》【寄物陳思】
                          ―作者未詳―(巻十一・二六二七)
                             (はねかづら=女子成人の祝いに着ける)
若草の にい手枕たまくらを まきめて をやへだてむ 憎くあらなくに
新妻にいづまと はじめて共寝たで 一晩ひとばんも っておけるか 可愛かわいやに》【正述心緒】
                          ―作者未詳―(巻十一・二五四二)
  
大君おほきみの 御笠みかさへる 有馬菅ありますげ ありつつ見れど 事なき我妹わぎも
《ずううっと 見続けてても え児やで 悪いとこなぞ 有馬菅ありますげかさ――ありませんがな――》
                                          【寄物陳思】
                          ―作者未詳―(巻十一・二七五七)
                                      (有馬ありま→ありつつ)
奥山の いはもとすげの 根深くも 思ほゆるかも が思ひづま
すがの根は こ張るよ 妻のやつ わしの心の るよ》【寄物陳思】
                          ―作者未詳―(巻十一・二七六一)


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■日めくり万葉集Vol・2(076)月読の

2011年12月24日 | 日めくり万葉集
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【七月十一日】放映分

月読つくよみの 光りにませ あしひきの 山きへなりて とほからなくに

 《つきかり たよりにてや 来る道に 山らへんし いこといし》(女歌)
                           ―湯原王ゆはらのおおきみ―(巻四・六七〇)



【万葉歌みじかものがたり】
たまが君
はべ娘子おとめを たまわれ言うは
 おうよ本気か 韜晦とうかい恋か)

蜻蛉あきづ羽の 袖振る妹を たま櫛笥くしげ 奥に思ふを たまが君
うすそでを 振って舞う児が 気に入った わしに下され ご主人様よ》
                           ―湯原王ゆはらのおおきみ―(巻三・三七六)
青山の みねの白雲 朝にに 常に見れども めづらし が君
《ご主人よ 青山かる 白雲くもみたい なんぼ見てても 飽かへん児やで》
                           ―湯原王ゆはらのおおきみ―(巻三・三七七)

うたげたけなわ 酔い回り出し
 娘子おとめとなって 誰ぞがうた
言葉じり取り 盛り上げ図る
大伴四綱よつな得意の 似非えせ女歌)

我がたもと まかむと思はむ 大夫ますらをは 変若をちみづ求め 白髪しらかひにけり
《うちの手を 枕して共寝よ 思うなら 若返わかがえや 白髪しらがあるがな》
                             ―娘子おとめ―(巻四・六二七)
白髪しらかふる ことは思はず 変若をちみづは かにもかくにも 求めて行かむ
白髪しらがでも まあえやんか 折角せっかくや 若返わかがえり水 さがしに行こか》
                          ―佐伯赤麻呂さえきのあかまろ―(巻四・六二八)
なにすとか 使つかひつる 君をこそ かにもかくにも 待ちかてにすれ
《なんでまた 使い寄越よこすん あんたやで まがいもしに うち待ってんは》(女歌)
                           ―大伴四綱おおとものよつな―(巻四・六二九)
初花はつはなの 散るべきものを 人言ひとごとの しげきによりて よどむころかも
《咲きめの 花散りやに ぐずぐずと うわさ気にして 躊躇ためろうてんか》(女歌)
                          ―佐伯赤麻呂さえきのあかまろ―(巻四・六三〇)

(月見うたげに 友呼び誘う
 友も巫山戯ふざけて 恋歌返す)

月読つくよみの 光りにませ あしひきの 山きへなりて とほからなくに
つきかり たよりにてや 来る道に 山らへんし いこといし》(女歌)
                           ―湯原王ゆはらのおおきみ―(巻四・六七〇)
月読つくよみの 光りは清く 照らせれど まとへる心 思ひあへなくに
《ほんに月 るけども この胸は ふさがりくろて 行けるかどうか》(男歌)
                          ―作者未詳―(巻四・六七一)



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■日めくり万葉集Vol・2(075)たまきはる

2011年12月21日 | 日めくり万葉集
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【七月八日】放映分

たまきはる 宇智うちの大野に 馬めて 朝ますらむ その草深野くさふかの

 《とうさんが 宇智の大野で 狩してる 馬けさせて 朝露あさつゆ踏んで》
                            ―中皇命なかつすめらみこと―(巻一・四)



【万葉歌みじかものがたり】
 智の大野に
間人皇女はしひとのひめみこは 目を覚ました
 ビン ビン ビィーン・・・」
 ああ 父上の弓だわ
今日 も 狩りに お出かけなさる
力強い響き たくましいおとうさま)

大王おおきみ 皇女ひめさまから 歌が」
一息入れた 舒明じょめい大王だいおうに 間人連はしひとのむらじおゆが 差し出す

やすみしし 我ご大君の あしたには とりでたまひ ゆふへには いり立たしし らしの あづさの弓の 中弭なかはずの 音すなり
とうさんが 朝の早よから でさすり ゆうおそうに 引き寄せる ご自慢弓の つるの音》
朝狩りに 今立たすらし 夕狩りに 今立たすらし らしの 梓の弓の なかはずの 音すなり
《朝狩り行くに 響いてる 夕狩り出るに 聞こえくる ご自慢弓の つるの音》
                            ―中皇命なかつすめらみこと―(巻一・三)

(どんな ご様子での 狩りかしら 朝霞あさがすみのなか 馬を並べて・・・)
たまきはる 宇智うちの大野に 馬めて 朝ますらむ その草深野くさふかの
とうさんが 宇智の大野で 狩してる 馬けさせて 朝露あさつゆ踏んで》
                            ―中皇命なかつすめらみこと―(巻一・四)

「さすが わしの皇女ひめじゃ」
「わしの 狩りを見ていたようではないか のうおゆ
間人連はしひとのむらじおゆは 平伏したまま 申しあげる
「はい まことに 殿の雄々おおしい姿 そのままなお歌」
大王だいおうは 大きくうなずくと 命じた
 さあ 仕上げの 追い狩りだ ゆくぞ!」

朝霧あさぎりも晴れ 草深野に 夏の日差し


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■日めくり万葉集Vol・2(074)相思はぬ

2011年12月17日 | 日めくり万葉集
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【七月七日】放映分

あひおもはぬ 人を思ふは 大寺おほでらの 餓鬼がき後方しりへに ぬかづく如し

 《気ィめた 人思うんは 寺の餓鬼 尻から拝む みたいなもんや》
                         ―笠郎女かさのいらつめ―(巻四・六〇八)



【万葉歌みじかものがたり】餓鬼がき後方しりへに》

狂わん ばかりの 笠郎女
疲れ果て  心へとへと 家持

れも思ふ 人もな忘れ おほなわに 浦吹く風の む時なけれ
 忘れんと うち思てるで あんたもな いついつまでも 途切れんように》
                         ―笠郎女かさのいらつめ―(巻四・六〇六)

思ふにし しにするものに あらませば 千遍ちたびぞ我れは 死にかへらまし
《もしもやで 恋焦がれして 死ぬんなら うち千回も 死んで仕舞しもてる》
                         ―笠郎女かさのいらつめ―(巻四・六〇三)

あひおもはぬ 人を思ふは 大寺おほでらの 餓鬼がき後方しりへに ぬかづく如し
《気ィめた 人思うんは 寺の餓鬼 尻から拝む みたいなもんや》
                         ―笠郎女かさのいらつめ―(巻四・六〇八)

 我れは 餓鬼の尻か 
  いや それ以下やも知れぬ
  あれだけの いい女
 大切だいじに してやれなんだ)

いまさらに 妹に逢はめやと 思へかも ここだが胸 いぶせくあるらむ
 あんたには もう逢わんとこ 思うけど ちょっとこの胸 ちくちくするな》
                         ―大伴家持おおとものやかもち―(巻四・六一一)

なかなかに もだもあらましを 何すとか 相見そめけむ げざらまくに
げられん 恋やになんで 逢うたんや 声掛けたんが 間違いやった》
                         ―大伴家持おおとものやかもち―(巻四・六一二)

二人 の 長く激しい恋は 終わった

恨みつらみが いたかゆい思い出と なった頃
思わずに ふみが届く

こころゆも はざりき またさらに 我が故郷ふるさとに 帰りむとは
《なんでまた 故郷くにに帰って 来たんやろ 恋くさした あんたの所為せいや》
                         ―笠郎女かさのいらつめ―(巻四・六〇九)

近くあらば 見ずともあらむを いや遠く 君がいまさば 有りかつましじ
《あんたはん 近くったら 生きてける 離れて仕舞しもて 生きる甲斐かい無い》
                         ―笠郎女かさのいらつめ―(巻四・六一〇)

笠郎女 にとって 一世一代の恋であった


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■日めくり万葉集Vol・2(073)長谷の

2011年12月14日 | 日めくり万葉集
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【七月六日】放映分

泊瀬はつせの 斎槻ゆつきしたに 我がかくせる妻 
 あかねさし 照れる月夜つくよに 人見てむかも

 《初瀬はつせの地 つきたけに 内緒の児
   こんなにも 月明るいと 見つけられるで》
                         ―柿本人麻呂かきのもとのひとまろ歌集―(巻十一・二三五三)



【万葉歌みじかものがたり】いかなる 色に》

知って欲しいが 知られんいや
聞いて欲し欲し 惚気のろけと自慢

 自慢するんか 気ィ引くためか】
大刀たちしり さや入野いりのに くず引く我妹わぎも 
そでもち 着せてむとかも 夏草るも

《わしのため 入野いりの葛蔓くずを 引いてるむすめ
 両袖ふたそでの ふく着せよして 刈るよ邪魔じゃま夏草くさ
                         ―柿本人麻呂かきのもとのひとまろ歌集―(巻七・一二七二)
 楽し嬉しも あんたの為や】
君がため ぢから疲れ 織れるころもぞ 
春さらば いかなる色に りてばよけむ
《あんたため 精魂せいこん込めて ったふく
 春来たら 何色なにいろ染めよ あんたのために》
                         ―柿本人麻呂かきのもとのひとまろ歌集―(巻七・一二八一)
 秘密の場所や 大事にしとこ】
池のの 小槻をつきしたの 小竹しのな刈りそね 
それをだに 君が形見に 見つつしのはむ
《池のそば つきしたの しの刈りないな 
その場所は あの人偲ぶ よすがの場所や》
                         ―柿本人麻呂かきのもとのひとまろ歌集―(巻七・一二七六)
あめにある 日売ひめ菅原すがはらの 草なりそね 
みなわた か黒き髪に あくたし付くも
何時いつも行く 姫菅原すがはらの 草刈らんとき
 共寝たときに あの児の髪が よごれるさかい》
                         ―柿本人麻呂かきのもとのひとまろ歌集―(巻七・一二七七)
 見せたないけど 見せとも思う】
泊瀬はつせの 斎槻ゆつきしたに 我がかくせる妻 
あかねさし 照れる月夜つくよに 人見てむかも
初瀬はつせの地 つきたけに 内緒の児
  こんなにも 月明るいと 見つけられるで》
                         ―柿本人麻呂かきのもとのひとまろ歌集―(巻十一・二三五三)
大夫ますらをの 思ひ乱れて 隠せるその妻 
天地あめつちに とほり照るとも あらはれめやも
《このわしが 心くだいて 隠してる児や
 かと 月照ったかて 見つかりせんぞ》
                         ―柿本人麻呂かきのもとのひとまろ歌集―(巻十一・二三五四)
【離れんいやや あんた付いてこ】
あさの 君が足結あゆひを 濡らす露原 
早く起き でつつ我れも 裳裾もすそ濡らさな
《朝帰る あんたあしひも 露原つゆはら濡らす
 一緒いっしょ起き うちもち すそ濡らそ》
                         ―柿本人麻呂かきのもとのひとまろ歌集―(巻十一・二三五七)
 こんなうちにも 良えとこあんや】
やましろの 久世くせ若子わくごが しと言ふ我れ 
あふさわに 我れをしと言ふ 山背の久世
《山城の 久世のぼんぼん うちよめして
 嘘ちゃうで うち欲しんや 久世のぼんぼん》
                         ―柿本人麻呂かきのもとのひとまろ歌集―(巻十一・二三六二)
 内緒内緒や 言うたらあかん】
わたの底 沖つ玉藻の 名告藻なのりその花 
妹とれと ここにしありと 名告藻なのりその花
海底うみそこの 沖の玉藻や 名告藻なのりそばな
 あの児わし 此処ここること 名告藻なのりそばなよ》
 な告りそ=言うたらあかん)
                         ―柿本人麻呂かきのもとのひとまろ歌集―(巻七・一二九〇)
 主人自慢は 自分の自慢】
住吉すみのえの の君が うまのりごろも 
さひづらふ 漢女あやめゑて 縫へるころも
《仕えてる 旦那の 馬乗り服は
 先進せんしんの 渡来とらい女に 縫わせた服や》
                         ―柿本人麻呂かきのもとのひとまろ歌集―(巻七・一二七三)


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■日めくり万葉集Vol・2(072)春日なる

2011年12月10日 | 日めくり万葉集
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【七月五日】放映分

春日なる 御笠みかさの山に 月の舟
 風流士みやびをの 飲む酒杯さかづきに 影に見えつつ

 《春日ある 三笠の山に 月の船
 風流人ふうりゅうの 酒杯さかずき中に 影浮かばして》
                          ―作者未詳―(巻七・一二九五)



【万葉歌みじかものがたり】満ち欠け しけり》

以下の歌々 古歌集こかしゅう載せる
飛鳥 ・藤原 時代の歌か

 問答】
佐保川に 鳴くなる千鳥 何しかも 川原かはらしのひ いや川のぼ
佐保川さほで鳴く 千鳥よなんで 殺風景さっぷけな 川原しのんで 川のぼるんや》
                          ―古歌集―(巻七・一二五一)
人こそば おほにも言はめ 我が幾許ここだ しのふ川原を しめふなゆめ
仕様しょうもない 場所うけども わしにとり え川原やで 邪魔じゃませんといて》
                          ―古歌集―(巻七・一二五二)
 何で通うか つまらん児やに
放っといてん か 好みやわしの)

楽浪ささなみの 志賀津しがつ海人あまは れなしに かづきはなそ 波立たずとも
志賀しがの津の 海人あまよこのわし らん時 もぐりするなよ 波静かでも》
                          ―古歌集―(巻七・一二五三)
大船おほぶねに かぢしもあらなむ 君なしに かづきせめやも 波立たずとも
大船おおふねに 梶付けてんか そしたなら もぐりせんがな 波静かでも》
                          ―古歌集―(巻七・一二五四)
(わしらん時 勝手をするな
  頼りなるなら 勝手をせんわ)

【物に寄せて思いをべる】
隠口こもりくの 泊瀬はつせの山に 照る月は 満ち欠けしけり 人のつねなき
泊瀬はつせ山 照る月ちる けもする 人かてそやで 明日あしたは知れん》
                          ―古歌集―(巻七・一二七〇)

 その場所行って感じて詠う(旋頭歌)】
百磯城ももしきの 大宮人おほみやひとの 踏みしあとところ 
沖つ波 寄らずありせば せずあらましを

《ここの浜 昔宮人みやひと 行幸のあとや 
沖波おきなみが 寄せなんだなら のこっとったに》
                          ―古歌集―(巻七・一二六七)

 旋頭歌】
春日なる 御笠みかさの山に 月の舟
風流士みやびをの 飲む酒杯さかづきに 影に見えつつ
《春日ある 三笠の山に 月の船
 風流人ふうりゅうの 酒杯さかずき中に 影浮かばして》
                          ―作者未詳―(巻七・一二九五)



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■日めくり万葉集Vol・2(071)天の川

2011年12月07日 | 日めくり万葉集
NHK教育TVで「日めくり万葉集」第2弾が始まりました。
平日の午前中ということで 勤めの方は 見る機会に恵まれません。
また 見落とされた方も 居られるやも知れません。
そこで ここで取り上げて 訳し・「みじかものがたり」を 掲載したく思います。
ご覧下さい。

【七月四日】放映分

天のかは みづかげくさの 秋風に 靡かふ見れば 時はにけり

 《川水辺みずべ 草秋風に 靡いてる 逢える季節が とうと来たんや》
                         ―柿本人麻呂かきのもとのひとまろ歌集―(巻十・二〇一三)



【万葉歌みじかものがたり】なびかふ見れば》

【天上】星のまたたき 湧きる思い
が恋ふる おもわ 今夕こよひもか 天の川原かはらに いはまくらまく
《恋い慕う あかっぺは 今宵こよいまた 川石いしを枕に 独寝てるんやろか》
                         ―柿本人麻呂かきのもとのひとまろ歌集―(巻十・二〇〇三)

【地上】助け出来できんか 空いけども
己夫おのづまに ともしき子らは てむ津の 荒磯ありそ巻きて寝む 君待ちかてに
恋夫こいづまに 滅多めった逢えん子 待ち兼ねて 磯まくらして 寝てるんやで》
                         ―柿本人麻呂かきのもとのひとまろ歌集―(巻十・二〇〇四)

【天上】待った日近い 胸おど
が待ちし あきはぎ咲きぬ 今だにも にほひに行かな 彼方人をちかたびと
《待ちに待つ 秋萩咲いた もうじきに 逢いに行けるで 川向こうの人に》
                         ―柿本人麻呂かきのもとのひとまろ歌集―(巻十・二〇一四)
天のかは みづかげくさの 秋風に 靡かふ見れば 時はにけり
《川水辺みずべ 草秋風に 靡いてる 逢える季節が とうと来たんや》
                         ―柿本人麻呂かきのもとのひとまろ歌集―(巻十・二〇一三)
長く 恋ふる心ゆ 秋風に いも聞こゆ ひも解き行かな
何時何時いついつと 恋待つ胸に 秋風かぜ運ぶ お前の声や さあ共寝に行くぞ》
                         ―柿本人麻呂かきのもとのひとまろ歌集―(巻十・二〇一六)

【地上】さあ七夕きょうなった 見逃しならん
天の川 かぢおと聞こゆ 彦星ひこぼしと 織女たなばたつめと 今夜こよひ逢ふらしも
《天の川 楫音かじおとしてる 彦星ひこぼしと 織姫おりひめぼしが 今夜きょう逢うんやな》
                         ―柿本人麻呂かきのもとのひとまろ歌集―(巻十・二〇二九)

 天上】船は行く行く 荒波小波
我が背子せこに うら恋ひれば 天の川 夜船よふね漕ぐなる かじおと聞こゆ
《あんた待ち 恋し恋しと 思てたら 夜船よぶね漕ぐ梶 聞こえて来たで》
                         ―柿本人麻呂かきのもとのひとまろ歌集―(巻十・二〇一五)
天のかは 去年こぞの渡りで 移ろへば 川瀬を踏むに 夜ぞけにける
《天の川 今年流れが 変わったで 浅瀬探して よるけて仕舞た》
                         ―柿本人麻呂かきのもとのひとまろ歌集―(巻十・二〇一八)
が恋を つまは知れるを 行く船の 過ぎてべしや ことも告げなむ
《待つうちを 知ってるのんに 船くで なんでやねん 声掛けたいに》
                         ―柿本人麻呂かきのもとのひとまろ歌集―(巻十・一九九八)
天のかは 夜船よふねを漕ぎて けぬとも はむと思ふへや 袖へずあらむ
夜通よどおしに 船漕ぎ続け けても 逢わんでくか 共寝ないでくか》
                         ―柿本人麻呂かきのもとのひとまろ歌集―(巻十・二〇二〇)


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■日めくり万葉集Vol・2(070)あをによし

2011年12月03日 | 日めくり万葉集
NHK教育TVで「日めくり万葉集」第2弾が始まりました。
平日の午前中ということで 勤めの方は 見る機会に恵まれません。
また 見落とされた方も 居られるやも知れません。
そこで ここで取り上げて 訳し・「みじかものがたり」を 掲載したく思います。
ご覧下さい。

【七月一日】放映分

青丹よし 平城の大路おほちは き良けど この山道は しかりけり

 《歩き良い 平城なら大路とおりを 思い出す ここの山道 難儀なんぎするがな》
                         ―中臣宅守なかとみのやかもり―(巻十五・三七二八)



【万葉歌みじかものがたり】あめの火もがも》

沙汰さた待ち蟄居ちっきょが 申し渡されていた
覚悟 はあるが もしやの思いで過ごす日々
宅守やかもりと 新妻弟上娘子おとがみのおとめにとって 
一夜一夜が いとおしく過ぎてゆく

このころは 恋ひつつもあらむ たま櫛笥くしげ 明けてをちより すべなかるべし
《今のうち こっちるから 辛抱しんぼする 明日あしたなったら どしたらんや》
                         ―狭野弟上娘子さののおとかみのおとめ―(巻十五・三七二六)
塵泥ちりひぢの かずにもあらぬ 我れゆゑに 思ひわぶらむ いもが悲しさ
《情けて こんなしがない ワシの所為ため 辛い目わす おまえ可哀かわい
                         ―中臣宅守なかとみのやかもり―(巻十五・三七二七)
わが背子し けだしまからば 白栲しろたへの 袖を振らさね 見つつしのはむ
《あぁあんた ほんま配流たび出発の 時来たら 袖振ってやな 見て偲ぶから》
                         ―狭野弟上娘子さののおとかみのおとめ―(巻十五・三七二五)

とある夜半 別れのいとまあらばこその 呼び出し
急遽きゅうきょの 配流はいる措置決定

道中 からの 便りが届く
青丹よし 平城の大路おほちは き良けど この山道は しかりけり
《歩き良い 平城なら大路とおりを 思い出す ここの山道 難儀なんぎするがな》
                         ―中臣宅守なかとみのやかもり―(巻十五・三七二八)
うるはしと ふ妹を おもひつつ けばかもとな しかるらむ
いとおしい お前を胸に 行くけども 心しょぼくれ 足進まへん》
                         ―中臣宅守なかとみのやかもり―(巻十五・三七二九)

精一杯の 励ましを贈る 娘子おとめ
 b>あしひきの 山路越えむと する君を 心に持ちて 安けくもなし
《山越えて 行かれるあんた 気に懸かり うち心配で どう仕様しょもないわ》
                         ―狭野弟上娘子さののおとかみのおとめ―(巻十五・三七二三)

押しこらえた宅守やかもりの悲しみ こらえのせきを越える
かしこみと らずありしを み越路こしぢの 手向たむけに立ちて 妹が名りつ
たたり避け 言わんで来たが お前の名 こしの峠で ついんで仕舞た》
                         ―中臣宅守なかとみのやかもり―(巻十五・三七三〇)

宅守やかもりの 悲痛に 誘発さそわれ 娘子おとめが叫ぶ
君が行く 道の長手を たたね 焼きほろぼさむ あめの火もがも
《燃やしたる あんた行く道 手繰たぐり寄せ そんな火ィ欲し 神さん寄越よこせ》
                         ―狭野弟上娘子さののおとかみのおとめ―(巻十五・三七二四)


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