犬養万葉今昔―犬養孝先生著「万葉の旅」を訪ねて

犬養孝先生名著「万葉の旅」記載の万葉故地309箇所を訪ね、先生が撮られれたのと同じ場所に立った写真撮影を目指す紀行。

■日めくり万葉集Vol・2(218)防人に

2013年09月11日 | 日めくり万葉集
NHK教育TVで「日めくり万葉集」第2弾が始まりました。
平日の午前中ということで 勤めの方は 見る機会に恵まれません。
また 見落とされた方も 居られるやも知れません。
そこで ここで取り上げて 訳し・「みじかものがたり」を 掲載したく思います。
ご覧下さい。

【二月九日】放映分
防人さきむりに たむ騒きに 家のいむが るべき事を 言はずぬかも
《防人に 出るバタバタで お前する 農作業しごと言わんと 来て仕舞しもうたで》
                         ―若舎人部廣足わかとねりべのひろたり―(巻二十・四三六四)

【万葉歌みじかものがたり】かごさへ見えて》

いとこいしの 妻との別れ
沈む 心を 励まし来たが
思い残した  心は重い
思い託す は 流れる雲か 

立薦たちこもの ちの騒きに あひてし いもが心は 忘れせぬかも
出発しゅっぱつの あわただし時 見たお前 うつろな心 忘れられるか》
                         ―丈部与呂麻呂はせべのよろまろ―(巻二十・四三五四)
防人さきむりに たむ騒きに 家のいむが るべき事を 言はずぬかも
《防人に 出るバタバタで お前する 農作業しごと言わんと 来て仕舞しもうたで》
                         ―若舎人部廣足わかとねりべのひろたり―(巻二十・四三六四)
我が妻は いたく恋ひらし 飲む水に かごさへ見えて 世に忘られず
《妻のやつ 案じとるんや 飲む水に 顔写りよる 辛抱しんぼ出来んが》
                         ―若倭部身麻呂わかやまとべのみまろ―(巻二十・四三二二)
ろ旅は 旅とおめほど いひにして 子持こめすらむ 我がかなしも
《旅に出た わし仕様しょうないが 子供連れ せる思いの 妻可哀想かわいそや》
                         ―玉作部廣目たまつくりべのひろめ―(巻二十・四三四三)
もての 忘れもしだは 筑波つくはを 振りけ見つつ 妹はしぬはね
《わしの顔 忘れかけたら 筑波山つくばやま 見上げてわしを しのんどってや》
                         ―占部子龍うらべのおたつ―(巻二十・四三六七)
ひな曇り 碓氷うすひの坂を 越えしだに いもが恋しく 忘らえぬかも
碓氷坂うすいざか 越えした時 かあちゃんを 恋し思たん 忘れられんで》
                         ―他田部子磐前をさたべのこいわさき―(巻二十・四四〇七)
我がきの 息衝いきつくしかば 足柄あしがらの 峰延みねはほ雲を 見ととしのはね
《わし思て せつなったら 足柄の 峯かる雲 見てしのんでや》
                         ―服部於由はとりべのおゆ―(巻二十・四四二一)
足柄あしがらの 御坂みさかして 袖振らば いはなる妹は さやに見もかも
 足柄の 峠で袖を 振ったなら お前にちゃんと 見えるやろうか》
                         ―藤原部等母麻呂ふじわらべのともまろ―(巻二十・四四二三)



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【古事記ものがたり】への誘い
古事記編纂1300年を期し 一大叙事詩を作ってみました
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■日めくり万葉集Vol・2(217)道の辺の

2013年09月04日 | 日めくり万葉集
NHK教育TVで「日めくり万葉集」第2弾が始まりました。
平日の午前中ということで 勤めの方は 見る機会に恵まれません。
また 見落とされた方も 居られるやも知れません。
そこで ここで取り上げて 訳し・「みじかものがたり」を 掲載したく思います。
ご覧下さい。

【二月八日】放映分
道のの いちしの花の いちしろく 人皆知りぬ 恋妻こひづま
《恋しとて わし隠してた あの児やに はっきり皆に 知られて仕舞しもた》
                         ―柿本人麻呂かきのもとのひとまろ歌集―(巻十一・二四八〇)

【万葉歌みじかものがたり】恋忘れ 草》

生える 草花 身近の仲間
たくす心は 普段着ままよ
 の玉藻に あの児を重ね
黒髪 偲び 独り寝思う

我が背子に が恋ひれば 我がやどの 草さへ思ひ うらぶれにけり
《恋焦がれ うちがしょんぼり してたなら 草もしおれて しょんぼりしてる》
                         ―柿本人麻呂かきのもとのひとまろ歌集―(巻十一・二四六五)
道のの 草深くさふか百合ゆりの ゆりもと言ふ 妹が命を 我れ知らめやも
百合ゆりはなの あとあとでと うお前 お前の寿命じゅみょう わし分らんが》
                         ―柿本人麻呂かきのもとのひとまろ歌集―(巻十一・二四六七)
                         (百合→ゆりも)
みなとあしに じれる草の しりくさの 人皆知りぬ 下思したもひは
あしじり えるしりくさ 知られたで まわみんなに 心おもいを》
                         ―柿本人麻呂かきのもとのひとまろ歌集―(巻十一・二四六八)
                          (知草→知りぬ)
我がやどの のきのしだ草 ひたれど こひわすぐさ 見れどいまだ生ひず
《うちのいえ 軒のしだ草 えとるが 恋忘れ草 えとらんがな》
                         ―柿本人麻呂かきのもとのひとまろ歌集―(巻十一・二四七五)
つ田には ひえ数多あまたに ありといへど えらえし我れぞ を一人
田圃たんぼには ひえ仰山ぎょうさん えとるが 間引まびかれたわし るん独りや》
                         ―柿本人麻呂かきのもとのひとまろ歌集―(巻十一・二四七六)
あきかしは 潤和うるわ川辺かはへの 小竹しのの芽の 他人ひとには忍び 君にへなくに
《うちの恋 他人ひとに知れん 出来るけど あんたを見たら もうたまらんわ》
                         ―柿本人麻呂かきのもとのひとまろ歌集―(巻十一・二四七八)
                          (小竹→忍び)
道のの いちしの花の いちしろく 人皆知りぬ 恋妻こひづま
《恋しとて わし隠してた あの児やに はっきり皆に 知られて仕舞しもた》
                         ―柿本人麻呂かきのもとのひとまろ歌集―(巻十一・二四八〇)
                         (いちし→いちしろく)
山ぢさの 白露重み うらぶれて 心も深く が恋まず
《山ぢさが 露がおもうて しおれてる わしもしおれて 焦がれがまん》
                         ―柿本人麻呂かきのもとのひとまろ歌集―(巻十一・二四六九)
水底みなそこに ふる玉藻の うちなびき 心は寄りて 恋ふるこのころ
玉藻なびく みたいあんたに 心寄り 恋し思うで この頃うちは》
                         ―柿本人麻呂かきのもとのひとまろ歌集―(巻十一・二四八二)
敷栲しきたへの 衣手ころもでれて 玉藻なす 靡きからむ を待ちかてに
《袖わし 出けんで黒髪かみを なびかせて 独り寝てるか わし待ち兼ねて》
                         ―柿本人麻呂かきのもとのひとまろ歌集―(巻十一・二四八三)



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