雨、15度、53%
モモさん、成田に無事に着いたちょうど1日後、最終目的地博多にたどり着きました。成田からの輸送手段を飛行機も考えましたが、私が側に付いていたい一心で新幹線を選びました。電車での輸送には動物の姿を見せないことが必須条件です。動物が嫌いな方もいます。アレルギーをお持ちの方もいます。そんなわけで始めたキャリーバックの練習でした。新幹線に乗る時間5時間5分、香港からの飛行時間とほぼ同じです。キャリーバックはクレートに比べれば随分小さなサイズです。この中で5時間モモさんが耐えてくれるか、いえ、5時間ものあいだキャリーバックに入れることに私は胸が痛い思いでした。
成田には息子が迎えに来てくれました。早朝、東京駅まで向かいます。車の中では私の膝の上でのんびりとしたモモさん、東京駅の外でトイレを済ませ用意万端。そして何と言っても、この東京駅からは息子のお嫁さんと2歳の孫娘が加わりました。いよいよ、珍道中の始まりです。孫娘とモモさんの対面はほぼ一年ぶりです。
列車後部のデッキに一番近い席4つを確保していました。孫娘だって狭いシートで5時間は退屈です。モモさんのキャリーバックは私の足元に置きました。ネット状になった前面と上面からずっと私の動きを見ています。香港の飛行場の時のように置いていかれることを心配しています。名古屋を過ぎる頃までは一つも鳴き声をあげません。お昼ご飯を取った後からモモさん様子がおかしくなりました。きっとトイレです。犬用の紙パンツも用意していましたが、使ったことのないものはかえって緊張させると思い、普通の状態です。キャリーバックはモモさんがUターンできるほどのスペースがあります。中でトイレをしたらすぐに始末できる準備も整えていました。「モモさん、そこでトイレをしてもいいのよ。」と声をかけます。
我慢をするモモさん、大きな目で私を見上げて、幾度か小さな声をあげました。様子を見ているといよいよ我慢できなくなったようです。とっさにキャリーバックに入れた私の手のひらにトイレを済ませました。長い飛行機の旅、初めてのホテルでの夜、モモさんには極度の緊張を強いてしまいました。トイレを済ませると、モモさん、また落ち着いてキャリーバックで横になりました。「ごめんね。」抱いてやりたくてもキャリーバックから出すことができません。ネット越しに目を見て話します。「あともう少しで、博多だから。博多に着いたら、キャリバックも、クレートももう入らなくていいよ。」
幾度も横を通る車掌さんが、声をかけてくださいました。「おとなしい犬ですね、苦情が出た犬は別室で預かることになっています。」との話でした。暑いのでキャリーバックごとデッキで涼ませます。確かに犬の嫌いな方も大勢います。かと思えば、ネット越しにモモさんに声をかけてくれる方も大勢でした。香港から飛行機、東京から新幹線。香港の家を出てかれこれ1日半、昨夕、モモさんのこれからずっとの家に到着しました。
この家を周知の孫娘と一緒に家中を物珍しく駆け回ります。昨晩はこれからずっとのベットで二人で休みました。「モモさん、この家はどこもかしこもモモさんの場所ですよ。お疲れ様。」 今朝のモモさんです。