ロクマルでいこう、60でGo!

" AS SLOW AS POSSIBLE AND AS FIRST AS NECESSARY "

亀を助けてシルクロードの古都へ

2014年07月19日 | 日記

 亀を助けた事がある。それは今年の5月の事であった。週末の早朝の道をランドクルーザーで走っていると、道路の真ん中にどす黒い大きな石が落ちていた。スピードを落して、その石を避けて通り過ぎようとした時...、『おっ、亀じゃん!』黒い塊は石ではなくて、アスファルトの路上を彷徨う亀でした。

 

 路肩に車を止めて駆け寄り、その亀を両脇から掴んで持ち上げた。甲の長さが30センチ程もあるその亀はずっしりと重く、持ち上げた瞬間におしっことは思えない程の大量の水がザァーッ!と足元に落ちてきた、これには驚いた。とりあえずこの亀は何処から来たのか?と思って道の脇を検索すると、道路から少し入った森の中にひっそりとしたテニスコート2つ分程の広さの沼があった。『お家にお帰り』と言って、その沼の脇にそっと亀を置いた。『じゃーな』と言って分かれた。車に向かって歩く途中、50メートルはあるであろう、その距離を何を目的に亀は移動したのかな?などと考えを巡らし、とりあえず車に轢かれなくて良かった。と思った。

 ただ、それだけの事だった。

 その事は忘れてはいなかったが、その記憶は日々の忙しさの中で埋没していた。

ところが、昨日。

一匹のどす黒い大きな蛙がぴょこぴょこと現れた。

その場所は水気が全く無いコンクリートの倉庫の中。

蛙は僕の目の前で止まった。

『おまえ、こんな所におったら死ぬぞっ!...ったく。』

 

 手の平に蛙を乗せて、建物の外に連れ出した。近場の水気のある場所を探してかがむと、蛙は勢いよく手の平から飛び出して草むらに帰って行った。

蛇に食われないで、蛙生を全うしろよ!

その時、思った。

『そう言えば、あの時の亀は元気にしているだろうか...?』

 

草むらに消えた蛙は言った。

『今度、遊びに来てね...』

 

 一日の仕事が一段落付いて、時計は夜の8時半を過ぎた頃。太陽は西の彼方へ沈み、闇が支配し始める時間。ランドクルーザーを路肩に止めて闇の始まった古沼に向かって森に足を踏み入れる事にした。流石に不気味だったが、行ってみて後悔するのか、行くのを止めて後悔するのか、どっちぃ?

 

 亀の住む古沼に向かった。

直ぐそこだから。

...夜の森の直ぐそこは、えらい長く感じるもんだ。

 

森の木の下は既に暗いが、足元がまだ確認出来る程の明るさはある。

 

静かな古沼に着いた。

水面を水草が覆い、トンボ達が運動している。

 人間の世界から離れた妖怪の世界がそこにはあった。人間が干渉していない自然の光景と、人間が接する時に感じる至福と畏怖の世界が妖怪(界)の世界、あるいはゲゲゲの世界と言う。

そしてその世界は優しくも怪しい、ちょっと怖いが面白い。

...

 

そうこうしている内に陽が落ちた。

辺りは闇につつまれた、亀も蛙も姿を見せなかった。

 

姿を魅せたのはホタルの群れ、

近遠を舞うホタルの光の演出は、線香花火の末期現象の光、

それはとても、優しい光だった。

 

そして、音。

姿の見えない蛙の合唱が始まった、

その演奏の音色を耳にした時に脳裏に浮かんだのは、

ぬあんと、

“シルクロード″

まさに古い琴(緩い感弦楽器)を撫でる素朴な音。

なんか、こう、懐かしい憧憬を感じる。

 

遥か彼方の、遥か昔のシルクロードの都ホーヤンの黄昏の光景を観ることが出来た。

 ...勿論、行った事はありませんよ。

 

むかし、むかし、亀を助けたうらしまたろうは龍宮城へ行った。

先々月、亀を助けた砂漠のおじさんはシルクロードに行った。(気分)

ノンフィクション、ストーリーです。

 

亀の住む古沼が遥かタクラマカンに繋がっているとは、驚いた。

蛙の鳴き声のフアンになりました。

 


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