岩清水日記

「あしひきの岩間をつたふ苔水のかすかにわれはすみわたるかも」良寛

『原発事故の正体』 ウルリック・ベックさんに聞く。

2011-05-14 19:40:02 | 原子力発電


朝日新聞5月13日オピニオン欄 
インタビュー記事:ウールリック・ベックさんは44年生まれ。ドイツ・ミュンヘン大学教授。
とても参考になる内容だった。
原発事故は新しいタイプのリスクという。
それは、通常の事故のように、一定の場所、一定の時間、一定の社会グループに限定されていない。
これを限界のないリスクといいます。
原発事故以外にグローバル化した金融市場、気候変動(ヒトがかかわる)、テロリズムなどががこの限界のないリスクだと。

人間の意思決定によるリスク。
これはヒトが生み出し、ヒトにコントロールできない事態を生み出す。

19世紀に近代が生み出す不確実性については保険という仕組みで対応してきたが、今回のような原子炉事故のリスクに対応できない。備えられた額は、必要な額よりはるかに少ない。
「私たちが使っている多くの制度が、元来はもっと小さな問題の解決のために設計されている」

「制御不能なリスクは避けなければならないが、これまでそれを受け入れてきた政治家たちに期待できるか」

業界と政府が直接的に結びつけば意思決定は両者の密接な連携のもとに行われてしまう。
いわゆる原始力村の出現だ。
それを防ぐために市民社会、市民運動がある。
今回、日本でも明らかになった。

「産業界や専門家たちにいかにして責任を持たせられるか。いかにして透明にできるか。そこがポイントです。産業界や技術的な専門家は今まで、何がリスクで何がリスクでないのか、決定する権限を独占してきた。彼らは普通の市民がそこに関与するのを望まなかった。ドイツでも80年代まではそうだった。こういうときは世界に自らを開き、もっと協力し合わなければなりません。グローバル時代には、どんな国の国民もこれらの問題を自分たちだけでは解決できません」

とても参考になりました。
このような視点が重要なのだと。

最新の画像もっと見る