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「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

金融侵略 苦悩する東芝③ 7000人減らすリストラ

2023-05-13 07:14:18 | 経済・産業・中小企業対策など
金融侵略 苦悩する東芝③ 7000人減らすリストラ
東芝は2018年11月8日の取締役会で、19年以降5年間の事業計画「東芝Nextプラン」の実行を決議しました。従業員を7千人削減するリストラ計画が中心でした。
当面の具体策として1060人を「早期退職優遇制度」の対象にしました。東芝デジタルソリューションズ(TDSL)の従業員60人も対象とされ、19年3月末までに57人が早期退職しました。安部真生さんが亡くなったのはその8カ月後でした。
「息子が過労に追い込まれた要因に、リストラのしわ寄せがあったのではないか」
父親の晋弘(くにひろ)さんはTDSLの幹部に疑問をぶつけました。返ってきたのは「リストラは関係ない」という、そっけない答えでした。
「そういわれれば、客観的な事実をあげて反証するのは難しい。それ以上は追及しませんでした。けれども現役社員の話を聞くと、プロジェクトの途中で辞める人が何人もいたといいます。高度な知識や技術を持つ人ほど他社に移りやすい。だから優秀な人が出て行ってしまった、と」
東芝の人員削減には20年以上の歴史があります。01年には国内人員の12%にあたる1万7千人の削減計画を進めました。西室泰三会長(当時)によれば、「売り上げ成長率がなくても利益が出せる体質を、何とか作り上げよう」と人員を減らした結果、「相当、もったいない人材を失いました」(『財界』02年4月9日号)。

株価つり上げのプラン
2006年の米原子炉メーカー買収などで一時的に人員は増えます。しかしその後も事業の切り売りや人員削減は繰り返され、19万8千人(1998年度)いた東芝の連結会社の従業員は11万6千人(2021年度)に激減しました。(グラフ)




研究開発に支障
1990年代から東芝で研究開発に携わったTDSL現役社員の中野隆太さん(仮名)は「知識と技術を持つ社員が減り、研究開発に支障が出ている」とみています。
「社内では商品開発の成功事例が公表されます。ところが近年、余計な労力と費用をかけた開発を『成功』と評価する事例が散見されます。専門知識があればはるかに簡単に安く開発できるのに、そのことがわからなくなっているのです」
大規模な人員削減を進める裏側で、東芝は巨額の株主還元策を実施しました。7千人削減計画を決議した18年11月8日の取締役会では同時に、上限7千億円の自社株買いの実行を決議しました。
企業が発行した株式を買い戻す自社株買いは1株当たりの利益を増大させるので、株価急騰の契機となります。配当金と並ぶ株主還元策とされます。
東芝が掲げた「東芝Nextプラン」の目的は、たった一つ。「企業価値の最大化を通じて株主価値向上を実現」することでした。株価を上げて株主に奉仕するためのプランだったのです。人員削減による「固定費」の削減は、「収益体質」を「改善」し、株価をつり上げる手段でした。

変わる株主構成
東芝の株主構成は17年度末に劇的に変わっていました。外国人株主の比率が38・21%(17年3月)から72・32%(18年3月)へ急上昇しました。日本を代表する総合電機メーカーだった東芝は海外の「物言う株主」に支配され、経営に口出しされて、利益と資産を搾り取られる企業に成り下がっていました。(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2023年5月9日付掲載


「息子が過労に追い込まれた要因に、リストラのしわ寄せがあったのではないか」
父親の晋弘(くにひろ)さんはTDSLの幹部に疑問をぶつける。幹部は「リストラは関係ない」と。
「けれども現役社員の話を聞くと、プロジェクトの途中で辞める人が何人もいた。高度な知識や技術を持つ人ほど他社に移りやすい。だから優秀な人が出て行ってしまった、と」
東芝が掲げた「東芝Nextプラン」の目的は、たった一つ。「企業価値の最大化を通じて株主価値向上を実現」すること。
その手段の一つが人件費削減。

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