きんちゃんのぷらっとドライブ&写真撮影

「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

兵庫県にみる病院統廃合 最前線③ 新専門医制度で再編

2018-10-31 09:19:49 | 政治・社会問題について
兵庫県にみる病院統廃合 最前線③ 新専門医制度で再編
兵庫県三田(さんだ)市は、昨年3月に策定した市民病院(300床)の「改革プラン」をもとに、今年3月から市が設置した審議会で、経営形態の見直しや他病院との再編を議論しています。
審議会は住民や市民病院職員を入れず、県病院局長や神戸大学の病院長らで構成。市は、元県病院局長で他の病院統廃合を複数手がけてきた人物を4月から幹部職員として採用し、審議会を担当させています。
統廃合が進められる大きな理由として、地域医療構想とともに4月から始まった新専門医制度があります。認定プログラムにそって、おもに大学病院を基幹病院とした協力病院群で医師養成します。
審議会で神戸大学病院長は「いまの300床ではプログラムをつくれない。若手医師が集まるように500床規模にして医療機能を集約化すること」と、議論を先導しています。神戸大学は医師を派遣する三田市民病院と済生会兵庫県病院(神戸市北区、268床)を統廃合する方針。大学病院長の発言から、統合した病院を新専門医制度の関連病院群に位置づけたいという思惑がうかがえます。



済生会兵庫県病院=神戸市北区


三田市民病院=兵庫県三田市

「効果がない」
“500床ないと医師が集まらない”という言い分について、「兵庫の地域医療を守る会」代表の今西清さんは「専門家の研究によると、700床規模なら医師は集まるが、500床では効果がない」と否定します。
三田市は、統廃合の表向きの理由として「病院は赤字で一税金を投入している。市は財政危機だから病院を支えきれない」と、“印象操作”の説明をしています。これに対して日本共産党の市議団は議会で、一時期赤字だった病院が経営努力で昨年度は黒字に転じ、市の財政も各種指標は黒字で「財政危機にあたらない」と反論。市長が「財政危機というのは言い過ぎた」と答弁するまで追い込みました。

運動の担い手
県下各地の住民運動を支援する今西さんは「どこでも日本共産党の地方議員と組織の果たす役割が大きい。議会論戦でも運動の担い手としても期待する」といいます。
神戸市議会では済生会病院の地元北区の金沢はるみ議員をはじめ市議団として議会ごとに質問を重ねて追及。三田市側が情報を明らかにしないなか、神戸市当局から情報を引き出しています。
来年の統一地方選の県議候補となった金沢氏はいいます。「党の県議を増やして強引な統廃合をやめさせます。私も選挙の争点にして、住民の命を守る議席をかちとります」
(おわり)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2018年10月28日付掲載


大病院化すれば効率的で医師も集まるって言うが、それは経営の論理。住民や患者の側からすれば、身近に診療内容も充実した病院があることが大事。
救急患者からしても、アクセスの面からも大事。
神戸市北区は、社会保険中央病院の撤退を阻止した経験がある。確信をもって闘おう。
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兵庫県にみる病院統廃合 最前線② 地域医療構想で病床減

2018-10-30 09:19:24 | 政治・社会問題について
兵庫県にみる病院統廃合 最前線② 地域医療構想で病床減
兵庫県では2007年から、30近い地域の中核病院が再編、統廃合の対象となり、ベッドの削減が進められています。(表)
「病院再編は住民の要求ではない。国と県の押しつけです」と、「兵庫の地域医療を守る会」代表、今西清さんは言います。


兵庫県内のおもな病院再編・統廃合・縮小
2007年但馬全域の公立7病院を機能再編する基本計画策定
2011年明石市立市民病院を独立行政法人化して398床から357床に
2013年三木市民病院(323床)と小野市民病院(220床)を統合し、北播磨総合医療センター(450床)に
2015年県立尼崎病院(500床)と県立塚口病院(400床)を統合し、県立尼崎総合医療センター(730床)に
2016年加古川西市民病院(2011年、加古川市民病院を改称、405床)と加古川東市民病院(2011年、神鋼加古川病院を改称、198床)を統合し、独立行政法人の加古川中央市民病院に
公立朝来(あさご)梁瀬医療センター(50床)と公立朝来和田山医療センター(139床)を統合し、朝来医療センター(150床)に
2017年日高医療センター(99床)の「あり方検討委員会」が「入院機能廃止」と提言。日高地区住民76%の「継続を求める」署名が集まり30床残す(縮小)「整備基本計画」を策定
2018年八鹿(ようか)病院が10月、420床から380床に縮小
2019年県立柏原(かいばら)病院(303床)と柏原赤十字病院(167床)が統合し、県立丹波医療センター(仮称、320床)として当初238床で開設予定
2022年県立姫路循環器病センター(350床)と製鉄記念広畑病院(392床)を統合し、県立はりま姫路総合医療センター(仮称、736床)として開設予定
その他三田(さんだ)市民病院(300床)と済生会兵庫病院(268床)が統合の動き
市立伊丹病院(414床)と近畿中央病院(445床)の連携を検討中
川西市立川西病院(250床)を指定管理者制度で民間医療法人に運営委託し、その医療法人経営の病院(313床)と統合して新病院(400床)とする構想案


骨太の削減方針
安倍自公政権による社会保障費の削減路線が病院統廃合を加速させています。全国で将来必要となる病床から33万床も減らすことを狙って「地域医療構想」を都道府県に策定させ、実施状況を監視。兵庫県は昨年策定した同構想を踏まえて今年、「保健医療計画」を改定し、市町立病院や済生会など公的病院の「再編整備を進める」としました。
また、厚労省が公的病院に「地域医療構想を踏まえた医療提供」を求め、総務省が公立病院に「経営の効率化」や「病院の再編・ネットワーク化」を求め、病院ごとの「改革プラン」を作らせています。そして「骨太方針2018」は、「公立・公的医療機関について再編・統合」を促し、知事の役割発揮を重視しています。

消費税使い促進
国の基金の活用や、地方交付税からの補助を手厚くする措置をとり、財政面でも統廃合を後押ししています。基金は、「社会保障充実のため」といって消費税を8%にした増税分を使って創設されました。「地域医療介護総合確保基金」という名前に反して、住民から病院を奪う役目を負っています。(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2018年10月27日付掲載


兵庫県の場合も統廃合やられてばかりではありません。
尼崎では、尼崎病院や塚口病院の跡地に、在宅総合支援センターや民間病院が建設。豊岡市日高町では入院病床廃止を食い止めています。
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兵庫県にみる病院統廃合 最前線① 「命のとりで守れ」と署名

2018-10-29 08:22:21 | 政治・社会問題について
兵庫県にみる病院統廃合 最前線① 「命のとりで守れ」と署名

安倍自公政権による社会保障の総改悪、地方壊しで地域住民の健康と命が脅かされています。病院の統廃合もその一つ。兵庫県でも嵐のような統廃合に抗して、「命のとりでを守れ」と住民が運動に立ち上がっています。(海老名広信)

「病院が統合されて遠くに移転したら心細いですよ」。こう話す女性(76)は、がんの疑いで神戸市北区の済生会兵庫県病院に検査入院したばかり。重い心臓病を抱え、山間部に夫婦で暮らします。電車で3駅、そこから病院のバスに2分ほど乗って通院。「病気が進み、息が苦しくなり、通院がつらくなっていくというのに」と、不安を口にします。
済生会兵庫県病院(268床)を統合相手と想定しているのは、三田(さんだ)市が運営する公立の三田市民病院(300床)です。それぞれの病院を守ろうと、三田市、神戸市北区、西宮市北部の3地域で住民団体が運動しています。



タウンミーティングで三田市民病院の統廃合問題を話し合う住民たち=10月8日、兵庫県三田市

1万5千人共鳴
三田市では昨年、アンケートを1050人からとりました。運動の代表、東浦徳次さんは「病院の評判が良いのに驚きました」。人口約11万に対して署名が約1万5千も。3回開いたタウンミーティングで、住民から「市民病院は税金使って病気を治すのが当たり前」「署名運動だけでは甘い。選挙で応援した市長に直接言っておく」と声が上がります。
市民病院は統合されて移転されることが予想されますが、東浦さんは「運動を通して市民の思いを知り、何としても病院を守らねばと確信しました」。
神戸側の運動も地域に大歓迎されています。事前に署名用紙を配布し戸別訪問すると、玄関やポストに名前を埋めた用紙を張り出している家が何軒も。住民団体代表の浜本宏さんは、署名先で「病院をぜひ守ってください」と手を合わせて拝まれました。「長年いろんな署名活動をしてきたけど、こんな経験は初めて。署名の一つひとつに重い思いが込められています」

市は意思表示を
5300以上の署名を力に、県や神戸市に要請しています。
浜本さんは3月と10月の市議会で陳述。北区にニュータウンを造る際、市と県が公的病院の済生会病院を市街地から移転させた経緯を念頭に「神戸市として、済生会兵庫県病院が地域に必要な公的医療機関だと意思表示すること」を求めました。(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2018年10月26日付掲載


三田市民病院を守れの署名に人口の1割が賛同。
神戸市の側も、二十数年前、北区のニュータウン整備のために移転した済生会病院を守れの声は大きい。
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狙われる消費税10%⑤ 社会保障破壊 全世代に

2018-10-28 09:53:27 | 予算・税金・消費税・社会保障など
狙われる消費税10%⑤ 社会保障破壊 全世代に
安倍晋三政権が消費税増税の口実にするのが社会保障です。
「少子高齢化という国難」に取り組むために「お年寄りも若者も安心できる全世代型の社会保障制度へと、大きく転換」(10月15日、臨時閣議での首相発言)するといいます。
しかし、安倍政権が行っているのは、全世代に影響を及ぼす社会保障破壊です。そもそも、消費税増税の増収分を社会保障に使ってはいません。高齢化などで当然に増える社会保障費の自然増分すら、毎年の予算編成過程で削り続けてきたことを見れば明白です。それに加え、医療・介護などの制度を次々に改悪し、社会保障費を圧縮してきました。こうして、安倍政権が約6年間に削減した社会保障費は、額が判明した項目だけでも3兆8850億円に達します。(表)



■6年間で社会保障費削減3兆8850億円以上
予算編成過程での自然増削減(国費)計1兆5900億円
13年度生活保護の生活扶助費削減など▲2800億円
14年度診療報酬の実質1.26%減額
生活保護の生活扶助費削減など
▲4000億円
15年度介護報酬2.27%減額
生活保護の冬季加算削減など
▲4700億円
16年度診療報酬1.31%減額▲1700億円
17年度医療・介護の自己負担の月額引き上げ
後期高齢者医療の保険料値上げなど
▲1400億円
18年度生活保護の生活扶助費削減(3年かけて▲160億円)
診療報酬1.19%減額など
▲1300億円
法改悪などによる削減(給付減)計2兆2950億円
年金13~15年「特例水準解消」で2.5%減▲1兆2500億円
15年度「マクロ経済スライド」で0.9%抑制▲4500億円
17年度 物価変動を踏まえ0.1%減▲500億円
医療18年度 70~74歳まで2割負担▲4000億円
介護15年 2割負担導入▲750億円
15年 施設の居住費・食費負担増▲700億円
※削減額が判明しているものだけを計算


生存権を攻撃
生活保護では、生活扶助費を2013~15年度に1600億円(うち国費1200億円)も削減し、18年度以降の3年間でさらに210億円(国費160億円)減らそうとしています。憲法25条が保障した国民の生存権を奪いとる攻撃です。
年金では支給額を3・5%も切り下げ、医療と介護では自己負担を相次いで引き上げました。介護保険への3割負担導入、要支援1~2の主要サービスの保険給付外しなど、影響額が明らかでない制度改悪も数多く強行しました。高齢期の社会保障の後退は、若者の生活設計を大きく狂わせ、老後の不安を深刻化させています。
さらに、財務省は今後、医療と介護に総攻撃をしかける考えを打ち出しています。



国の責任で安心できる年金制度の確立などを求めてパレードする「年金フェスタ」参加者=10月19日、東京都千代田区

生活苦と不安
75歳以上の患者負担を原則1割から2割にし、介護保険の利用者負担を原則1割から2割にするなど、自己負担の全面的な引き上げを狙います。公的医療・介護から国民を遠ざけて社会保障費を削減する思惑です。高額な新薬を保険適用から除外し、要介護1・2の特定サービスを介護保険給付から外すなど、公的医療・介護の範囲そのものを大幅に縮小する方策も掲げます。「皆保険」は名ばかりとなります。
子育て分野では、幼児教育・保育の「無償化」をいいながら、給食費を無償化の対象外にしようとしています。児童手当の所得判定基準を大改悪し、共働き世帯の多くを対象から外す案も示しました。
安倍政権が国民に押し付けているのは、消費税増税と社会保障破壊のダブルパンチです。「お年寄りも若者も安心できる」どころか、若者を含む全世代の生活苦と将来不安に拍車をかけています。
(おわり)(清水渡、杉本恒如、増田哲明、山田俊英が担当しました)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2018年10月27日付掲載


75歳以上の高齢者の患者負担を1割から2割へ、介護保険も1割から2割へ狙うなど、今でも年金カットで生活が苦しいのに許せません。
消費税は全然社会保障のために使われていません。
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狙われる消費税10%④ 中小業者に過酷な負担

2018-10-27 10:53:06 | 予算・税金・消費税・社会保障など
狙われる消費税10%④ 中小業者に過酷な負担
消費税は「営業破壊税」です。中小業者に過酷な負担を強いるからです。10%への増税が強行されれば、中小業者の経営がますます悪化し、廃業が増加することは必至です。
全国商工団体連合会(全商連)の「2018年上期(3月)営業動向調査」によると、「消費税が10%になった場合の商売に及ぼす影響」について、流通・商業の45・5%が「売り上げが減る」、宿泊・飲食業の9・4%が「廃業を考えざるを得ない」と回答しています。

価格転嫁困難
中小業者は消費税を価格転嫁することが困難です。消費者が商品・サービスを購入する際、「本体価格十消費税」を払っていることになっています。価格支配力のある大企業の場合、適切な利益をあげられる価格で販売することができます。しかし、中小業者の場合、取引先の求めに応じて値引かざるをえないことがあり、商品価格に消費税を加えられないことが多々あります。そのため、納税のために身銭を切るということが発生します。
全商連の調査では金属製品・機械器具製造業では23・6%、宿泊・飲食業では70・6%もの業者が現行8%の消費税を価格転嫁できないと答えています。同調査では消費税率が10%になった場合、宿泊・飲食業者の88・2%が「転嫁できないと思う」と答えています。中小業者の経営がさらに苦しくなるのは間違いありません。
加えて10%への消費税率引き上げに合わせて、「複数税率」の導入が予定されています。食料品などを8%に据え置くもので、政府は「低所得者への負担軽減」が目的といいます。
しかし、飲食品提供業者にとっては、出前なら8%、店内飲食なら10%など煩雑な手間がかかります。また、食料品とそれ以外を販売する小売店でも商品ごとに税率が異なることになり、やはり煩雑になります。いずれにせよ、混乱と負担の増加は避けられません。




免税業者外し
政府は23年10月から消費税納税計算にインボイス制度を導入するとしています。インボイスは適格請求書ともいわれ、購入商品を8%と10%といった課税種別ごとに記載し、商品価格と消費税額を明記した請求書のことです。消費税課税業者だけが発行できます。
業者が納税する消費税額は販売にかかっている消費税額から仕入れにかかった消費税額を差し引いて算出します。仕入れ税額控除です。現在は請求書保存方式をとっており、帳簿と請求書によって仕入れ税額控除をおこなっています。
インボイス制度が導入されると、課税業者からの購入は仕入れ税額控除できますが、インボイスを発行できない免税業者からの購入は仕入れ税額控除ができなくなってしまいます。課税業者は税負担の増額を嫌い、免税業者との取引を避ける恐れがあります。現在500万あるとされる免税業者は、実務負担も税負担も重い課税業者になるか、取引からの排除を覚悟で免税業者を続けるのかが迫られることになります。
消費税増税には賛成の日本商工会議所は財界団体の一つですが、インボイスの導入には反対しています。
インボイスはフリーランスや請負など「雇用によらない働き方」で就業している人たちにも影響を与えます。フリーランスなどを使っている企業の多くは、報酬を「外注費」扱いとし、消費税が含まれているとみなして仕入れ税額控除をおこなっています。インボイス制度導入後はそれができなくなるため、フリーや請負で働く人たちは、課税業者になり消費税を納税しなければならなくなる恐れがあります。課税業者にならなければ、雇い主は仕入れ税額控除をできなくなるため、働く人たちが報酬の引き下げに直面する恐れがあります。
(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2018年10月26日付掲載


中小業者は消費税を転嫁できないだけでなくって、免税業者に至ってはインボイス制度の導入によって税額控除ができず取引から排除される可能性も。


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