きんちゃんのぷらっとドライブ&写真撮影

「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

数値が示す日本経済⑨ 消費 収入乏しく生活切り詰め

2016-08-27 10:57:52 | 経済・産業・中小企業対策など
数値が示す日本経済⑨ 消費 収入乏しく生活切り詰め

エンゲル係数が急上昇しています。総務省「家計調査」によると、2人以上の世帯のうち勤労者世帯について2005年度に平均21・6%だったエンゲル係数は、15年度平均で23・9%に上昇。6月の家計調査速報値では25・4%となりました。10年ちょっとの間に4ポイント近く上昇したことになります。
エンゲル係数とは、消費支出に占める食料品の割合です。収入が乏しく、消費を切り詰めなければならなくても、食費を削ることには限界があるので、暮らしのゆとりを示すバロメーターとされています。



駅前アーケード商店街=東京都内

食品価格の上昇
エンゲル係数が急上昇した要因の一つは食品価格の上昇です。総務省「消費者物価指数」によると、生活実感に近い「持ち家の帰属家賃を除く総合」の物価指数は、05年度から15年度の間に3・4%上昇しました。しかし、食料品は同じ期間に10・8%もの急上昇です。とりわけ、安倍晋三政権の経済政策であるアベノミクスの「第1の矢」である「異次元の金融緩和」が推進され、円安が加速して以降は、輸入に頼る食料品の価格が高騰しました。
もう一つの要因が可処分所得の減少です。可処分所得とは実収入から直接税と社会保険料の非消費支出を除いた額で、家計の判断で使える金額とされます。05年度に平均年額523万1418円だった可処分所得は、15年度には512万2020円へ10万9398円も減少しました。さらに、物価変動の影響を差し引いた実質可処分所得は、同じ期間に545万5076円から512万2020円へ33万3056円も下落しました。
実質可処分所得の減少の背景には、物価の高騰に加え、実収入の伸び悩みと非消費支出の負担増があります。とりわけ、安倍政権下では賃金の低い非正規雇用労働者が増えたことが影響しています。年金の支給額が減らされました。一方で、年金や介護をはじめとする保険料も毎年のように引き上げて、非消費支出を増大させています。






消費税の負担も
深刻なのは消費税の負担です。間接税である消費税は、商品価格の一部分となります。そのため消費支出に組み込まれてしまい、家計負担は見えにくくなるからです。
家計調査から消費税相当分を試算すると、05年の年間15万9702円から、15年には24万3856円へと8万4154円も負担が増えました。安倍政権が14年4月に強行した8%への消費税率引き上げとそれに伴う物価上昇が主な要因です。
エンゲル係数が高まった結果、家計に占める割合が減ったのは被服や履物にかけるお金です。05年度の年間17万8051円から15年度には16万1387円へ1万6664円の減少です。また交際費や嗜好品などその他の支出も減少しました。
日本国憲法第25条は国民に対し「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」を保証しています。安心して暮らせる所得を実現しなければならないのです。(清水渡)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2016年8月27日付掲載


食品価格の上昇や可処分所得の減少は、リアルな実感として感じますね。
美味しいものを食べるのも良い事ですが、「健康で文化的な最低限度の生活」と言えば、お気に入りの服を着て、リラックスできる家に住んで、映画やドライブなど趣味を楽しむ…ことなどが欲しいですよね。

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数値が示す日本経済⑧ 雇用・賃金 非正規4割 賃金は最低

2016-08-24 14:31:38 | 経済・産業・中小企業対策など
数値が示す日本経済⑧ 雇用・賃金 非正規4割 賃金は最低

雇用を守るルールを歴代自民党政権が破壊してきたため、非正規雇用が増え続けています。総務省「労働力調査」で四半期ごとの非正規雇用比率をさかのぼって見ることができるのは2002年まで。同年1~3月期には28・7%でしたが、年々増え続け、直近の16年4~6月期は37・1%。4割に迫っています。


職場に向かう人たち=東京都千代田区

格差と貧困拡大
非正規雇用労働者は賃金が低く、身分も不安定です。25~54歳でも非正規が増え続けていることは特に深刻です。02年1~3月期には23・5%でしたが、安倍晋三政権下の14年1~3月期に初めて30%を超えました。人生の中で結婚や子育ての中心的な時期となる世代で3割が非正規という実態は、ワーキングプア(働く貧困層)の増加によって格差と貧困を拡大しています。
非正規雇用の増加は賃金水準全体を押し下げています。厚生労働省「毎月勤労統計調査」によると、物価の影響を除いて賃金水準を示す実質賃金指数(2010年平均11100)は1997年をピークに減り続け、2015年には94・6。過去26年間で最低です。ピークの109・5から実に14%も減ってしまいました。1カ月分を超える給料が飛んでしまった勘定です。年収300万円なら42万円がなくなったことになります。






派遣法の改悪で
1999年には労働者派遣法の改悪で派遣対象業務が大幅に広げられ、2004年からは製造業でも派遣労働が可能になりました。実質賃金が減少に転じたのはちょうどその時期と重なっています。
政府の16年度「経済財政白書」は、若年子育て世帯の消費支出がほとんど伸びていない原因として、非正規比率の高さや賃金の伸び悩みを指摘しました。
国際通貨基金(IMF)も今年の対日審査報告書で、日本政府に賃金と最低賃金の思い切った引き上げを勧告しました。
(山田俊英)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2016年8月24日付掲載


非正規労働者の比率が一環として向上している。それに比例するように実質賃金は減り続けている。
最低賃金をいますぐ1000円に、1500円を目指すことが求められています。
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数値が示す日本経済⑦ 海外生産比率 自動車2倍空洞化拍車

2016-08-22 11:42:52 | 経済・産業・中小企業対策など
数値が示す日本経済⑦ 海外生産比率 自動車2倍空洞化拍車

日本企業の海外生産比率が上昇しています。海外生産比率とは企業の国内法人売上高と海外現地法人売上高の合計額を分母とした海外現地法人売上高の比率です。経済産業省の「海外事業活動基本調査」によると、2008年度に海外進出企業ベースで30・4%だった製造業の海外生産比率は14年度に38・2%まで引き上がりました。国内全法人ベースでも同じ期間に17・0%から24・3%まで増えています。
とりわけ顕著なのは自動車産業です。自動車工業会によると、15年度に国内では917万6581台の自動車が生産されたのに対し、海外では1830万5220台と2倍も生産されています。08年度に49・8%だった海外生産比率は15年度には66・6%まで引きあがりました。




失った雇用匹敵
海外生産比率が高まるにしたがって、国内の産業空洞化に拍車がかかっています。総務省「労働力調査」によると、08年に1151万人だった製造業の就業者数は14年には1040万人となりました。減少数は111万人と08年から1割近くに上ります。
一方、海外現地法人の従業者数は急増しています。経産省「海外事業活動基本調査」によると、08年度に451万7150人だった現地法人の常時従業者は14年度に574万9122人と123万1972万人も増加。製造業に限っても、08年度の356万5555人から456万5709人へと1・28倍に増えています。製造業の海外現地法人で約100万人の従業者増ですから、同じ期間に日本で失われた製造業の雇用に匹敵する規模となります。



船積みされる自動車=神奈川県横須賀市



利便性が1位に
日本企業が海外に生産拠点を移すことについて、政府や財界は法人税の高さを理由に挙げ、“法人税の引き下げが必要だ”とする議論があります。
経団連は6月に発表した提言「GDP600兆円経済の実現に向けて」で「企業の国際競争力を強化するとともに、わが国の立地競争力を高める観点から、法人税改革を進めていくことが不可欠である」として、国と地方合わせて現在29・97%の法人実効税率について「アジア近隣諸国並みの法人実効税率25%を目指」すよう求めています。
しかし、海外での設備投資先を選ぶ要因に法人税率を上げる企業はほとんどありません。日本政策投資銀行の「企業行動に関する意識調査」によると「海外で増産のための、設備投資を行う際に、実施場所で重視すること」の1位は「需要の伸びが期待できる国・地域までの距離や物流などの利便性」で84・6%でした。「法人税や電力料金などの人件費以外のコスト」は8位でわずか3・6%でした。(清水渡)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2016年8月20日付掲載


企業が海外生産に移す最大の理由として上げているのが、「需要の伸びが期待できる国・地域までの距離や物流などの利便性」。
だとすれば、国内での需要が伸びるように労働者の賃金を上げればいい。
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数値が示す日本経済⑥ 農業・農村(下) TPPが危機に追い打ち

2016-08-21 12:15:20 | 経済・産業・中小企業対策など
数値が示す日本経済⑥ 農業・農村(下) TPPが危機に追い打ち

農業・農村の危機的状況に追い打ちをかけるのが、安倍晋三政権が署名した環太平洋連携協定(TPP)です。TPPによって、農林水産物のうち82%の品目の関税が撤廃され、米、麦、牛肉・豚肉、乳製品、砂糖の重要5項目でも29%の品目の関税が撤廃されます。関税削減、特別輸入枠も含めて、「無傷」の農産物はありません。農産物輸入がさらに増え、農業の生産基盤がいっそう弱体化する恐れがあります。

 総数関税撤廃関税撤廃率(%)
全品目9,3218,86295.1
 うち農林水産物2,5942,13582.3
  うち関税撤廃したことがないもの90144649.5
   うち重要5項目59417028.6
   うち重要5項目以外30727689.9
  うち関税撤廃したことがあるもの1,6931,68999.8
(農林水産省資料から作成。関税撤廃率は小数第2位を四捨五入)



世界一の輸入国
安倍政権は、TPPの影響を軽微に描いた試算を公表する一方、農林水産物輸出額1兆円の目標を掲げて、輸出が農業を再生させる“切り札”であるかのような幻想を振りまいています。しかし、そのうち、加工食品が5000億円を占め、農産物は1400億円にすぎません。
現実には、日本は世界一の農産物純輸入国であり、農産物輸入額は、12年の5兆4419億円から15年の6兆5629億円へ、第2次安倍政権発足後の3年間で1兆1210億円も増えました。
米農務省が14年10月にまとめた報告書によると、TPPで参加12力国の農産物貿易が計85億ドル分増えます。しかし、輸出増加額の70%に当たる58億ドル分を日本が一手に輸入することになると予測しています。
すでに世界一の農産物純輸入国であるうえに、TPPによって農産物輸入が増大するなら、安倍政権が掲げる農林水産物輸出額1兆円など“気休め”にもなりません。
安倍政権は、「世界で一番企業が活躍しやすい国」を掲げ、農林漁業や農山漁村を切り捨てる姿勢をあらわにしています。このような農政を続けていては、農業・農村の崩壊が一気に進み、日本は食料自給の基盤を失った国になりかねません。







「くらしをこわすTPP反対」と集まった人たち=5月11日、国会前

主権守るルール
世界はもはや、金さえ出せばいつでも必要なだけの食料が入手できる時代ではありません。広範な国民の共同の力で、TPPの国会承認を阻止するとともに、各国の経済主権と食料主権を尊重した平等・互恵の投資と貿易の国際的ルールを確立する必要があります。
米国・財界いいなりの農政を終わらせ、農業を国の基幹産業として再生させることが重要です。それには、価格保障と所得補償を組み合わせて、安心して再生産できる農業をつくり、さしあたり食料自給率を50%へ引き上げることが急務です。
(この項おわり)(北川俊文が担当しました)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2016年8月19日付掲載


安倍首相は、「輸出で競争力をつける」などと言いますが、金額はごくわずか。TPPは、農業生産に打撃を与える方がはるかに大きい。
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数値が示す日本経済⑤ 農業・農村(上) 自民農政で崩壊の危機

2016-08-20 06:44:47 | 経済・産業・中小企業対策など
数値が示す日本経済⑤ 農業・農村(上) 自民農政で崩壊の危機

国民の命を支える食料を供給する農業・農村に崩壊の危機が広がっています。大企業製品の輸出を最優先し、食料は輸入すればいいとする、歴代の自民党政権による米国・財界いいなりの農政に根本的な原因があります。


棚田の稲刈り=和歌山県有田川町「あらぎ島」

農業人口が半減
農林水産省の「農業構造動態調査」によると、2016年2月1日現在の農業就業人口が192万2200人となり、歴史上初めて200万人を割り込みました。2000年の389万1200人から16年間で半減したことになります。
同時に、農業者の高齢化が急速に進んでおり、普段に農業にたずさわる基幹的農業従事者の平均年齢が67歳に達しており、70代以上の人が47%以上を占めています。
農水省の「耕地および作付面積統計」にょると、農地(耕作)面積は、田畑の合計で最大値だった1961年の608万6000ヘクタールから2015年の449万6000ヘクタール、159万ヘクタールも減少しました。岩手県1県に相当する面積です。他方、かつては耕作されていたものの、1年以上作付けされず、今後も作付けの予定のない耕作放棄地が、15年には42万3000ヘクタールにのぼりました。1975年の13万1000ヘクタールの3倍以上になります。








自給率最低水準
度重なる米国の圧力に屈して拡大を続けてきた農産物輸入の「自由化」で、農産物輸入は増加の一途です。輸入と輸出を差し引きして、日本は世界一の農産物純輸入国となっています。そのため、国内の農業総産出額も生産農業所得も減少し続け、供給熱量ベースの食料自給率は先進諸国で最低水準の39%に低迷しています。特に飼料自給率は、27%という恐るべき低さで、食料自給率を押し下げる深刻な一因になっています。
米の需給を安定させる国の責任を放棄し、米価を市場任せにし、再生産も保障できないほどの米価暴落を放置する安倍晋三政権のもとで、農家は「米作って、飯食えない」と悲鳴を上げています。
米価下落傾向が続いている中で、安倍政権が強行している米への助成の廃止によって、米生産への依存が大きい生産者ほど大きな打撃を受けます。特に、政府が育成するとしている大規模経営が最も大きな打撃を受けることになるのです。
(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2016年8月18日付掲載


世界的な食糧危機が危惧される中、食糧の国際生産を上げるのは国家的プロジェクトだ。
コメ食べる人も、パン食べる人も。魚食べる人も、肉食べる人も。心ひとつに取り組むべき課題。
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数値が示す日本経済④ 中小企業 休廃業・解散が高水準

2016-08-19 09:55:48 | 経済・産業・中小企業対策など
数値が示す日本経済④ 中小企業 休廃業・解散が高水準

日本の中小企業数(約381万)は全企業数の99・7%を占め、働く人のうちの3分の2が働いています。中小企業は日本経済の根幹であり、「社会の主役として地域社会と住民生活に貢献」(中小企業憲章)しています。中小企業の85%は小規模事業者(製造業は従業員20人以下、卸売業・小売業・サービス業は5人以下)です。


font color="black">金属加工の中小業者=東京都墨田区

小業者は3割減
中小企業数は減少し続けています。1986年の約533万から2014年は約381万と28・5%減少しました。同期間に小規模事業者数は約477万から約325万と31・9%減少しています。要因は、廃業数が開業数を上回っていることです。
背景には、内需の長期にわたる低迷に加え、大企業の国際競争力の強化と利益確保を優先し、中小企業はそれを補完するものと位置づけた国の経済・産業政策があります。国や自治体の予算、振興策でも中小企業は軽視されました。さらに、大型店の身勝手な出店・撤退、「単価たたき」などの不公正取引や銀行の貸し渋り、貸しはがしが野放しにされ、中小企業は大企業の過酷な搾りあげの対象となりました。
大企業は1980年代後半から次々と海外進出を進め、中小企業を中心とした地域経済は空洞化し衰退していきました。2000年以降は、「構造改革」の名の下に、市場競争力のある強い企業を育てる風潮が強められました。多くの中小企業が国の支援の外に置かれ、整理・淘汰(とうた)の対象とされました。
休廃業・解散件数はリーマン・ショック後の09年には2万5397件と2万5000件を突破。第2次安倍晋三政権誕生後の13年には2万9351件と3万件に迫りました。それ以降も、高水準で推移しています。消費税率8%増税と国民の消費の落ち込み、円安による原材料費や諸経費の高騰などが経営を悪化させたのです。






事業主が高齢化
個人事業主の高齢化も小規模事業者減少の原因になっています。個人事業主数は、1982年には30歳代、40歳代が最も多く、50歳以降は年齢が上がるにつれて人数が少なくなる傾向を示していました。しかし、年を経るにつれて、高齢化が進み、2014年には70歳以上の人数が80万人と最多になりました。
小規模事業者の個人事業主が仕事をやめた理由は、「病気・高齢のため」が最も多く40・4%。次いで「事業不振や先行き不安のため」「会社倒産・事業所閉鎖のため」「収入が少なかったため」「介護・看護のため」などです。
信用保証制度で、国の保証率を段階的に引き下げる改悪が進められようとしています。また、安倍首相は、生産性の低い中小企業を廃業に追いやることで日本企業の新陳代謝を進めるというアベノミクス(安倍政権の経済政策)の成長戦略を「より強く前進させる」と述べています。アベノミクスが中小企業の廃業をさらに増やすのは明らかです。
(この項おわり)(川田博子)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2016年8月13日付掲載


中小企業の廃業・倒産などを「甲斐性がないから」「経営能力がないから」などと言われることがありますが、決してそうではないと思います。
「下町ロケット」などの様に高い技術力、日本経済を底辺で支える底力。それこそ「甲斐性」を持っている中小企業。
欧米にはない、大企業の中小企業へ「単価たたき」などの差別的取引が横行していることが原因の一つ。

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数値が示す日本経済③ 金融(下) 取引の7割が海外筋

2016-08-18 14:59:01 | 経済・産業・中小企業対策など
数値が示す日本経済③ 金融(下) 取引の7割が海外筋

東京証券取引所の統計によると、日本の証券市場で海外投資家の取引が占める比率は安倍政権発足時の57・7%(2013年1月)から70・7%(6月)に高まりました。アベノミクス(安倍晋三政権の経済政策)による株価つり上げ政策で海外投機筋の資金が日本市場に流入したからです。


東京証券取引所のマーケットセンター=東京都中央区

首相が呼び込み
アベノミクスの「第1の矢」が「異次元の金融緩和」です。大規模な緩和策で円安が加速しました。円安になればドル換算した日本株の価格が下がり、海外投資家にとって“お買い得”となります。13年9月には安倍首相自身が訪米時にニューヨーク証券取引所で「バイ・マイ・アベノミクス」(アベノミクスは買いだ)と海外投資家を日本市場に呼び込みました。
その後も14年10月の追加緩和と公的年金資金の株運用拡大、16年1月のマイナス金利政策決定(2月実施)を機に海外投資家の売買比率は高まりました。その多くが目先の利益しか考えない投機筋とみられます。
異次元緩和で日銀が株価指数連動型上場投資信託(ETF)の買い入れを進めていることも、日銀を使った株価つり上げ政策です。
ETFは株価に連動して価格が変動する金融商品です。7月の追加緩和では購入ペースを年間3・3兆円(保有残高)増から6兆円増へ2倍に引き上げました。ETFは株価に連動して価格が変動するリスク性の金融商品です。中央銀行である日銀が買い入れを増やせば、市場での値上がりは確実です。






市場ゆがむだけ
株価は本来、企業業績や景気に応じて変動します。証券市場に公的資金を投入して株価をつり上げるなど、政府がなすべきことではありません。証券市場がゆがむだけです。
公的年金の積立金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は14年10月、国内株、海外株による運用比率をそれぞれ2倍の25%ずつに引き上げました。135兆円の公的年金資金の50%を株式で運用します。30兆円を超える資金が新たに株式市場へ投じられ、株価をつり上げることになります。しかし、15年度決算では円高・株安で5兆円を超える損失を出しました。政府の株価つり上げ政策が年金資金という国民の重要な財産に損失をもたらしています。
(この項おわり)(山田俊英が担当しました)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2016年8月12日付掲載


株式の運用は本来なら企業の業績や将来性に応じてされるものだが…。アベノミクスにより意図的に海外の投機筋を呼び込み、公的年金の資金をつぎ込む。
見せかけの「好景気」は長続きしない。
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数値が示す日本経済② 金融(上) 日銀が国債の3割保有

2016-08-17 12:50:39 | 経済・産業・中小企業対策など
数値が示す日本経済② 金融(上) 日銀が国債の3割保有

国債は政府の借金証書です。アベノミクス(安倍晋三政権の経済政策)の「第1の矢」、量的・質的金融緩和(異次元の金融緩和)によって、日銀が抱える長期国債はいまや全体の3割を超えています。中央銀行が政府の借金を大量に抱え込む異常さです。
異次元緩和は、金融機関に供給するお金の量を毎年80兆円増やす政策です。そのために日銀が保有する長期国債の残高が年間80兆円増えるよう民間銀行などから国債を購入します。
市場に大量のお金を流せば、経済活動が活発になるということでした。日銀に圧力をかけて異次元緩和に踏み切らせたのが安倍晋三首相自身です。2012年末、政権に就く前には「輪転機をぐるぐる回して日銀に無制限にお札を刷ってもらう」とまで発言していました。
しかし、実体経済に効果がなく、国内総生産(GDP)の成長は低調。個人消費は戦後初めて2年連続で減りました。その一方、日銀が保有する国債が膨らんでいます。



日銀本店=東京都中央区



3年で2・5倍にも
日銀が保有する国債は3月末時点で317兆円。発行残高全体の33・2%です。異次元緩和開始前の13年3月末には128兆円、13・2%でした。3年間で残高、比率とも2・5倍に増え、銀行、生損保を抜いて日銀はいまや最大の国債保有者です。
日銀が国債を直接引き受けることは財政法で禁じられています。政府の借金を日銀が穴埋めすれば、歯止めのないインフレが起き、政府も国民の家計も破綻しかねないからです。
しかし、異次元緩和はそれに近いことを行っています。直接引き受けと違うのは、既発の国債を日銀が民間銀行から買うという点ですが、新しく発行する国債をいったん銀行が落札した後、ほとんどを日銀が買い取っています。今のペースで買い進めれば、18年には日銀が保有する国債の額がGDPを超えてしまいます。




中枢からも異論
6月に行われた日銀金融政策決定会合では9人の政策委員の1人から「量的・質的金融緩和の効果は限界的に逓減し、既に副作用が効果を上回っている」として、国債購入の段階的減額など政策の見直しを要求しました。
また、別の委員は「国債買い入れの遂行にあたって、大きな問題が生じる前に、より持続的なものに転換していくべきだ」と主張しました。異次元緩和を進めてきた日銀中枢から異論が出るほど事態は深刻化しています。(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2016年8月11日付掲載


日銀保有の3割の国債は、政府から直接購入したものではなく、生保・損保や金融機関から購入したもの。とは言え、中央銀行が政府の借金の肩代わりをすることは財政のモラルに反することですね。
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数値が示す日本経済① 税財政 消費税と税収空洞化

2016-08-16 20:00:51 | 経済・産業・中小企業対策など
数値が示す日本経済① 税財政 消費税と税収空洞化

日々目まぐるしく変わる経済指標を中期的な視点でとらえてみると、日本経済の実態が浮かび上がってきます。税財政から金融、農業、エネルギーなど各分野にわたり点検します。

国の税収に占める消費税の割A口が急増しています。1989年に3%の税率で導入された消費税が国の一般会計税収に占める割合は当初6%でした。消費税率が3%だった96年度まで、一般会計の税収に占める消費税の割合は1割程度でした。




消費税への依存
97年に消費税は5%に引き上げられました。ただ同時に地方消費税が創設され、国税分は4%です。それでも一般会計税収に占める消費税の割合は2割を超えるようになりました。金額の上でも法人税に匹敵する額になりました。
2014年度からは8%に消費税率が引き上げられました(国税分は6・3%)。一般会計税収に占める消費税の割合は3割に迫ります。金額でも法人税収を上回り、所得税収と並ぶまで伸びてきました。
一般会計税収に占める消費税の割合が高くなっているのは、消費税率引き上げのためだけではありません。高額所得者や大企業の税負担も減少しているからです。



消費税増税の中止を求める署名をする男性(中央)=7月25日、東京・新宿駅東口

1989年には50%だった所得税の最高税率は2000年には37%まで引き下げられました。その後、若干の引き上げがありましたが、現在でも最高税率は45%にとどまります。法人税率も1989年度の40%から段階的に引き下げられ、2016年度は23・4%にすぎません。国の法人税と地方の法人住民税、法人事業税を合わせた法人実効税率も89年度は50%を超えていましたが、16年度は29・97%まで下がり、18年度には29・74%まで引き下げることを安倍晋三政権は決めています。
消費税は低所得者ほど負担が重くなる不公平な税金です。消費税率を引き上げる一方で、高額所得者や大企業の税負担を引き下げることは税収の空洞化を生み出し、能力に応じて負担する「応能負担」の原則から外れていくことになります。




突出する軍事費税金の使い道では軍事費への支出が突出しています。1989年度には4兆円に満たなかった軍事費は、2011年度には当初予算と浦正予算を合わせ額で5兆円を超えるようになり、16年度からは当初予算で5兆円を超えるようになりました。1989年に比べるとー・3倍以上に膨れ上がっています。
とりわけ15年9月に安倍晋三政権が強行した戦争法を受けて、16年度予算には垂直離着陸機オスプレイ4機(447億円)、戦闘機F35A(6機1084億円)、早期警戒機E2D(1機260億円)、滞空型無人機グローバルホーク(146億円)など米国製の高額兵器の導入を進めています。(この項終わり)(清水渡)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2016年8月9日付掲載


1989年に税率3%で消費税が導入されたころから比べると、消費税への依存度がいかに大きくなったか歴然としています。
消費税が増えたからって、税収全体が増えた訳ではない。税収の構造改革が行われたわけです。
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異次元緩和破たん② 株価つり上げ格差拡大

2016-08-05 17:23:01 | 経済・産業・中小企業対策など
異次元緩和破たん② 株価つり上げ格差拡大

日銀は今回の追加緩和で株価指数連動型の上場投資信託(ETF)の買い入れペースを年間3・3兆円(保有残高)増から6兆円増に2倍に引き上げました。ETFは株価に連動して価格が変動するリスク性の金融商品です。中央銀行である日銀が買い入れを増やせば、市場で値上がりは確実。公的資金を使って株価を押し上げる政策です。企業業績や景気に無関係に株価が上がる―ゆがんだ金融市場です。

富裕層に利益
「異次元の金融緩和」は大量の資金供給に期待した投機的な動きを活発化させ、円安と株高を急速に進めました。巨額の利益を得たのが富裕層や大企業です。米経済誌『フォーブス』の集計によると「日本の富裕層」上位40人の資産総額は、この4年間で7・2兆円から15・4兆円に増加しました。
株価上昇の恩恵を最も享受するのが、日本の株式市場で売買の7割を占める外国投資家です。多国籍企業は、急激に進んだ円安により、巨額の為替差益を手にしました。
その一方、労働者の実質賃金は低下し、消費税増税で消費が冷え込みました。経済の6割を占める個人消費が2年連続マイナスとなる深刻な状況の下、日銀が民間銀行に大量のお金を供給しても、企業への貸し出しにはつながらず、民間銀行にたまる一方です。銀行などが保有する日銀当座預金の残高は、安倍政権発足前の40兆円規模から、7倍以上の303兆円(6月末)まで増加しています。
実体経済が改善されず、今年に入って、株価の下落傾向も生じる中で異次元緩和の行き詰まりが明らかになってきました。日銀は1月、異例のマイナス金利政策に踏み切りました。日銀当座預金の一部にマイナス金利を適用することで、さらなる金利低下と融資の活発化をねらったものです。しかし、金利は低下したものの、貸し出しが活発化することはなく、銀行がマイナス金利による損失を顧客にしわ寄せし、国債の利回り低下で資金運用が困難になるなど、弊害の方が強くあらわれています。





東京証券取引所のマーケットセンタ=東京都中央区

買い入れ限界
日銀が長期国債の保有残高を毎年80兆円も増やす大量買い入れを行っているため、国債市場の取引量が減っています。いずれ日銀が買う国債も枯渇します。国際通貨基金(IMF)は15年8月に発表した報告書で、日銀の国債買い入れは17~18年に限界に達すると指摘しました。
打つ手がなくなる中で取り沙汰されているのが「ヘリコプターマネー」です。日銀が返済不要の資金を供給し、政府がそれを使って財政支出を増やすという手段です。ヘリで上空からお金をばらまくに等しいことなので、こう呼ばれます。
中央銀行がこのような政策を実行すれば、際限のないインフレに陥ります。日銀は「ヘリマネ」を否定していますが、こうした無責任な手段がメディアで議論されること自体、金融政策の混迷を示しています。
異次元緩和をこれ以上続け、さらに大量の国債を抱え込めば、緩和政策からの脱出も困難になります。日銀は9月の次回金融政策決定会合で異次元緩和の総括的検証を行います。そこでなすべきことは、新たな金融緩和の検討ではなく、破綻が明らかな異次元緩和から転換することです。
(おわり)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2016年8月3日付掲載


日銀が国債を抱え込むという邪道から脱却すべきです。
マイナス金利という禁じ手もやめるべき。

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