きんちゃんのぷらっとドライブ&写真撮影

「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

AIと産業① オープンAIの衝撃

2024-04-18 07:11:43 | 経済・産業・中小企業対策など
AIと産業① オープンAIの衝撃

桜美林大学教授 藤田実さん

2024年は「ビジネスAI元年」と言われます。農林水産、製造、医療など、あらゆる産業で人工知能(AI)への投資が過熱しています。一方、その裏では多国籍巨大資本と国家の思惑が複雑に絡み合います。AIをめぐる産業動向をどう見るか。桜美林大学の藤田実教授が読み解きます。
(5回連載)

22年11月、米新興企業のオープンAI社が「チャットGPT」と名付けた生成AIアプリを公開しました。利用者がAIと自然な言語でやり取りできるため、大きな衝撃を与えました。無料で公開されたこともあり、公開からわずか3カ月で推定1億2300万人がダウンロードしたと言われています。
生成AIには文章生成、画像や音声、動画の作成、データ分析、プログラミングなどビジネスに活用できる機能があります。すでに議事録や契約書などの書類作成、新たなビジネスモデルの提案などに活用する企業もあります。ビジネスだけでなく、高度な数学計算や化学分析といった学術分析にも利用できるなど「汎用」的に活用できます。



コンピューターの基盤の近くに見られるオープンAIのロゴ(ロイター)

【特徴量】
AIが大量の学習データをもとに法則やパターンを見いだすために、着目すべきデータの「特徴」(指標)について示した数量。AIがよく利用される「売上予測」の場合には、曜日、祝・平日、気温、湿度、割引の有無、クーポンの枚数などが特徴になり、特徴ごとの売上額(特徴量)などを分析して全体の予測を導き出します。

深層学習が発展
生成AIの急激な進化は、10年ごろからディープラーニング(深層学習)が急速に発展したことによります。深層学習は、大量のデータを分析し、「特徴量(とくちょうりょう)」を自動で抽出し、学習を繰り返すAI技術です。学習で得られた「最終結果」を利用者の要求に対する回答として出力します。
深層学習に注目が高まったのは、人間が教えなくても、コンピューターが自動的にデータを分析し、要求に対して結果を導き出したからです。また、結果の精度を高めるのに必要な大量のデータ分析が、IT技術の進歩で実用レベルに達したことがあります。
AI技術は、生産性の向上や新たな付加価値の創出につながり、その経済効果は年間2・6兆~4・4兆ドルに及ぶとの推計があります。
AIは私たちの生活に大きな影響を与えています。車の自動運転技術への利用があります。人の表情を分析して感情や性格、意図などを読み取る感情認識AIは人事の採用試験にも利用されています。

多くの問題指摘
一方、学習するデータの偏りから偏った結果を出力したり、真実ではない情報を生成するハルシネーション(幻覚)の危険性が指摘されています。学習するデータの著作権や生成物の著作権の問題など多くの問題が指摘されています。
軍事的活用を含めて、AIの技術的覇権を握っているのが米国企業です。基盤技術である大規模言語モデルを開発し、チャットGPTを公開したオープンAIは米企業です。生成AIに必要な大量のデータ処理を実行するインフラであるクラウドサービスでは、マイクロソフトやアマゾンなど米企業が圧倒的な市場占有率を持ちます。大量のデータ処理に利用されるコンピューター・サーバーを構成する中核的な半導体では、米企業のエヌビディアが市場の90%以上を独占しています。
AI技術の普及は、米国企業の独占体制をいっそう強化し、市民や企業を従属させる可能性があります。(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2024年4月16日付掲載


生成AIの急激な進化は、10年ごろからディープラーニング(深層学習)が急速に発展したことによります。
深層学習に注目が高まったのは、人間が教えなくても、コンピューターが自動的にデータを分析し、要求に対して結果を導き出したから。また、結果の精度を高めるのに必要な大量のデータ分析が、IT技術の進歩で実用レベルに達したこと。
AI技術の普及は、米国企業の独占体制をいっそう強化し、市民や企業を従属させる可能性が。
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