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「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

日本経済の構造欠陥① 輸出から海外生産へ

2017-11-16 13:56:41 | 経済・産業・中小企業対策など
日本経済の構造欠陥① 輸出から海外生産へ

日本経済の構造変化によってぜい弱な体質があらわになってきました。政府統計などから検証しました。
(清水渡)

過去20年で最も目立つのは貿易収支の低迷です。1998年度には16兆965億円の黒字でした。ところが2016年度は5兆7726億円と半分以下になってしまいました。
貿易収支減少の要因は輸出額の伸び悩みと、輸入額の増加です。この20年で輸出額が最も大きかったのは07年度の81兆2627億円でした。その後、リーマン・ショックの影響で09年度には55兆9068億円まで落ち込みました。14年度に75兆6403億円まで回復しますが、15年度、16年度と2年連続で減少するなど、頭打ちとなっています。
一方、輸入額は増加傾向です。とりわけ最近は資源価格の高騰が大きく影響しています。
同時に貿易額は物価動向や為替相場の変動により左右されます。輸出した数量を示す輸出数量指数(10年=100)は、08年度の113・7がピーク。16年度は91・2と低迷します。実際の輸出数量が増えなければ日本の国内での製造は増えず、国民にとっては雇用増や賃金増につながりません。



中国の安徽省(あんき)に進出した日本の重機製造会社の工場



投資収益は増大
貿易収支に代わって伸びているのが、海外投資収益です。海外子会社からの配当金や債権の利子などを指す第1次所得収支の黒字は1996年度の6兆5047億円から2016年度は18兆827億円まで3倍近くに伸びました。企業の海外での事業活動が活発になっていることを示しています。
経済産業省の調べによると、海外現地法人の売上高は1996年度の123兆8000億円から2015年度は274兆円へと2倍以上に増えました。製造業の海外生産比率(国内全法人企業ベース)も1996年度の10・4%から15年度は25・3%と2・5倍に伸びています。
利益至上主義による大企業の多国籍企業化によって産業の空洞化が進み、国内産業は疲弊しています。
日本の大企業は国内の生産拠点をスクラップする一方で海外に拠点を移してきました。企業が海外に生産拠点を持つのは、現地需要の取り込みや為替変動の影響回避などが理由です。しかし海外での現地生産の増加は、国内からの輸出減少に直結し、雇用や賃金の減少につながりかねません。電機産業などでは日本メーカーによる海外からの逆輸入の事態も起きています。

現地で内部留保
同時に企業が海外で得た収益の使い道が問題です。国際収支統計によると、日本企業の海外子会社がもたらした収益(直接投資収益)は1996年度の1兆4003億円から2015年度は8兆7082億円へと6倍以上に膨れ上がりました。16年度はやや減らしたとはいえ、7兆5044億円もあります。しかしそのうち配当金などで日本に還流した額は16年度で3兆4149億円と45・5%にすぎません。半分以上に当たる3兆9631億円は現地法人の内部留保となり、現地での再投資に使われることになります。海外でいくら稼いでも、国民の雇用や賃金の上昇にはあまりつながらないのです。
安倍晋三政権は成長戦略の一つとして、海外で稼げる企業を育てることをあげています。大企業はみずからの利益を求めて、国内経済を疲弊させながら海外進出を進めています。安倍政権はこの路線を後押ししようというのです。(つづく)(2回連載です)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2017年11月14日付掲載


貿易収支が減ることは、いわゆる輸出ラッシュで貿易摩擦を起こすことを考えれば良いことのように見えますが…
事はそう単純ではないようです。
国外で生産して逆輸入。パソコンなども海外生産。産業空洞化するわけです。

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