きんちゃんのぷらっとドライブ&写真撮影

「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

ブラック企業と就活③ キャリア教育の問題は

2014-02-21 17:38:52 | 働く権利・賃金・雇用問題について
ブラック企業と就活③ キャリア教育の問題は

大学ですすめられているキャリア教育について、どう考えればいいのか。『権利としてのキャリア教育』(明石書店)、『キャリア教育のウソ』(ちくまプリマー新書)など多数の著書がある、法政大学キャリアデザイン学部の児美川(こみかわ)孝一郎教授に聞きました。

法政大学キャリアデザイン学部 児美川孝一郎教授に聞く

いわゆるキャリア教育は、就職難で学生がなかなか仕事に就けず、就いたとしてもすぐに辞めてしまう事態のなかで、急速にすすめられてきました。
「即戦力となる人材の育成を」という経済界からの要請ももちろんあります。同時に、生き残りをかけて就職率を上げるべしという大学の「使命」にうまくはまりました。
しかし、そこには職場自体を変えるのではなく、若者の側をテコ入れすることで矛盾を糊塗(こと)しようとする大きな問題があります。ブラック企業だろうとなんだろうと、学生たちを就職に突っ込ませようとするところに大学側の無理があります。




実は“ブラック”
最近は1、2年生でもブラック企業への関心が高いです。しかし、とても巧妙に学生を誘うので、引っかかってしまう学生が悪いとはいえません。
授業では、ブラック企業もはさみこんで何社か企業研究をします。学生は、企業のホームページや採用サイトを調べたり、会社へ足を運んで説明を聞いてきます。「若手も活躍しているいい企業ですね」などという発表の後で、実際に現場を知る人に実はブラック企業だという現実を話してもらうと、学生はショックを受けます。
「まずは内定をとることが大事」と学生を追い込むのはブラック企業の思うツボです。
「どんなにひどい働かされ方でも我慢しろ」とは言わなくても、そのひどさを相対化することを学生に教えていないとすれば、大学側にも不作為の責任があります。

内省モードで…
いわゆる就活支援の問題の一つに、エントリーシートを書くために、徹底的に自己分析をさせるという弊害があります。
「自己分析が足りないと内定が取れない」などと言われるがままに、学生は正直に自己分析にとりくみます。ところが、「内定がとれないのは自分に原因があるからだ」という内省モードのまま就職するので、働きにくい実態があっても「自分に足りないところがあるんじゃないか」と思ってしまうんです。
自分を見つめる力は大事ですが、同時に社会を見る目も育てなければなりません。
とりわけ、企業側の問題は大きい。長時間労働で休みなく働き、睡眠不足でもうろうとしている若者に「仕事ができないおまえが悪い」と言えば、正しい判断ができなくなるのも無理はありません。
そして、ただでさえ精神的に不安定な就活生につけこむかのように、就活のテクニックを伝授する民間セミナーが大学にまで入り込んでいます。学生への就活支援だけで成り立つ企業もあるぐらいの盛況ぶりです。
でも、「希望の就職ができなければセミナー料は全額お返しします」などというものには、からくりがある。就職先を徐々に絞りこませ、最初から自分の希望だったかのように見せるだけ。それでも子どもの一生がこれで決まってしまうと思う親は、なけなしのお金をつぎこむのです。

生きるため働く
そもそも、就活のテクニックなんて、簡単にはがれ落ちてしまうものです。それよりも充実した大学生活を送りながら社会性を養い、働くルールも含めてライフキャリア全体を考える機会が必要ではないでしょうか。人は働くために生きているのではなく、生きるために働くのですから。
(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2014年2月16日付掲載


テクニックとしてのキャリアは簡単に剥げ落ちてしまう。それよりも充実した大学生活を送りながら社会性を養い、働くルールも含めてライフキャリア全体を考える機会が必要ではないでしょうか。人は働くために生きているのではなく、生きるために働くのですから。

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