ちわきの俳句の部屋

メカ音痴おばさんの一念発起のブログです。
人生の後半を俳句にどっぷりと浸かって、…今がある。

〝言わぬが花〟

2017年05月23日 | 俳句

 20日(土)、22日(月)、23日(火)と、句会の三連チャンでした。

 しかし、それぞれで兼題が違いますので、どこの句会に行っても目新しい句に出会えるという楽しみがあります。

 昨日も、今日も新人さんの句に驚かされてしまいました。

 ある程度俳句を続けてやっている人は、その基本は勿論、テクニックや言い回しなどがもうしっかり身についていて、ある意味常套的な表現やありきたりの発想が多くなりがちなのです。一応俳句としてはまとまっているし、句材も無難にこなしているので、意味はよく分りますが、似たような内容が多くて、感動や面白みが少ないのです。

 ところが、全くの初心者になるとそういう枠がまだ出来ていないので、一体何が飛び出すやら分らないという、意外性や驚きがあって楽しいのです。

 今回の兼題は「夏兆す」でした。

 夏真っ盛りという時期にはまだまだ遠いが、木々や生きもの、また人間の生活のあれこれにも夏らしい趣が増してきたと感じられる頃をいう季語で、夏の時候の季語「夏めく」の傍題です。

    うどん食ひおでこうつすら夏兆す

 原句は〈かけうどんうっすらおでこに夏兆す〉でした。やはり「かけうどん」から始まるこういう句にはまだ出会っていませんでしたので…エエツ!と驚いた句でした。その面白さに皆も惹かれたんでしょう、結構な高点句になりました。

 「うどんがおでこに付いたのかしら?」「それは無いでしょう、食べて汗かいたんでは?」などなど…

 確かにこのままでは中七の字余りも気になりますし、まるでおでこにうどんが…という感じも否めませんので損をしますね。作者は「かけうどん」とわざわざ言ったのは、熱いうどんを食べて暑かったので、ああ~もう夏だなあ!と感じて詠んだのでしょうが。

 言葉の配列や助詞の使い方でも感じが変ります。すなわち「かけうどん」で切って考えると、「おでこに夏兆す」とつながってしまいますし、「おでこに」で切ると上に述べたようなイメージが生まれるのです。

 だからここは「かけうどん」まで言わなくても、その2音を「食ひ」にまわすと、季語の「夏兆す」があるので読者は汗ばんだおでこを想像してくれるでしょう。昔先生からよく言われましたよ。「季語を信用しなさい」と。

 さらに順序を入れ替えて、「おでこうつすら」と切ると、字余りも解消されますし、おでこがうっすら…となって汗のことも言わずに見えてくるでしょう。「冷しうどん」とか「汗」とかは夏の季語ですので、もし使ってしまうと季重ねになってしまいますから注意してね。

 「言わずに見せる・言わずに語る」、そういう俳句を詠みたいものです。俳句ではまさに〝言わぬが花〟ですよね。

 青鷺で、これも夏の季語です。この鳥は一夫一婦制でいつも同じ巣で繁殖するらしいのでこれも夫婦でしょうか?

 先日は鷺に間違われて、営巣中のコウノトリが猟銃で撃たれて死んだというニュース、とてもショックでした。それも雌と。三月末に行って見てきた高岡市での放鳥のコウノトリとか…余計哀れで悲しくなりました。

    夕風や水青鷺の脛(すね)をうつ     蕪村


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2 コメント

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意外性 (洋一)
2017-05-25 09:01:38
「夏兆す」の句、一票入れた一人です。
中七の字余りは後で気付きました。

意外性は、いつも意識していますが、
なかなか出合えません。
やっと見つけてもピンボケばかりで。
Unknown (ちわき)
2017-05-25 20:32:18
洋一さん

頑張りましょう!ピンボケでも写真が撮れると言うことはいいことです。そのうちピントが合うようになるでしょうから。
私の写真はいつもピンボケですが…(笑)

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