「まぶいぐみ〜ニューカレドニア引き裂かれた移民史〜」本郷義明監督 ◯ ☆
1904年から多くの日本人がフランス領ニューカレドニアに移民しましたが、沖縄からも800名を超える人が移っていきました。ニューカレドニアではニッケル鉱山の人夫を必要とし沖縄出身者が従事していました。太平洋戦争の勃発と同時に日本人移民たちとその家族は引き裂かれ戦争の波に飲まれ、それは戦後も続くのでした。
沖縄のジャーナリスト三木健が移民たちのその後を取材し、2006年にニューカレドニアで開催された「移民写真展」をきっかけに置き去りにされた日系人たちが「世界ウチナンチュー大会」への初参加を果たし、その後の交流の盛り上がりをドキュメンタリーにしました。
「まぶい」とは琉球語で「魂」のこと「まぶいぐみ」は抜け落ちていた魂がもとに戻ることを意味しています。空白の部分があった自身のアイデンティティを沖縄に見出した二世三世たちと彼らを迎える沖縄の人々との交流は感動的です。また、移民の歴史、特にニューカレドニアについては初めて知ることも多く勉強になりました。「世界ウチナンチュー大会」の盛大さにも驚かされました。この大会だけでもいいドキュメンタリー映画ができそうです。
空港で親族に大歓迎を受ける家族がいる一方、沖縄出身者の子孫でありながら誰も迎えるものがなく、ようやく探し出した人は孤独な老人だったというエピソードが現実的で、自転車で去っていく後ろ姿に泣けました。(☆)
タバコは、過去の写真などに写っていたかもしれませんが、無煙です。(◯)
2018年文化庁映画賞大賞受賞作です。
なお、優秀賞には「米軍が最も恐れた男 その名は、カメジロー」が受賞しました。