無煙映画を探せ  

映画のタバコシーンをチェック。FCTC(タバコ規制枠組条約)の遵守を求め、映画界のよりよい発展を願うものです。

まぶいぐみ〜ニューカレドニア引き裂かれた移民史〜

2018-12-22 | 2018日本語映画評


「まぶいぐみ〜ニューカレドニア引き裂かれた移民史〜」本郷義明監督 ◯ ☆

 1904年から多くの日本人がフランス領ニューカレドニアに移民しましたが、沖縄からも800名を超える人が移っていきました。ニューカレドニアではニッケル鉱山の人夫を必要とし沖縄出身者が従事していました。太平洋戦争の勃発と同時に日本人移民たちとその家族は引き裂かれ戦争の波に飲まれ、それは戦後も続くのでした。
 沖縄のジャーナリスト三木健が移民たちのその後を取材し、2006年にニューカレドニアで開催された「移民写真展」をきっかけに置き去りにされた日系人たちが「世界ウチナンチュー大会」への初参加を果たし、その後の交流の盛り上がりをドキュメンタリーにしました。
 「まぶい」とは琉球語で「魂」のこと「まぶいぐみ」は抜け落ちていた魂がもとに戻ることを意味しています。空白の部分があった自身のアイデンティティを沖縄に見出した二世三世たちと彼らを迎える沖縄の人々との交流は感動的です。また、移民の歴史、特にニューカレドニアについては初めて知ることも多く勉強になりました。「世界ウチナンチュー大会」の盛大さにも驚かされました。この大会だけでもいいドキュメンタリー映画ができそうです。
 空港で親族に大歓迎を受ける家族がいる一方、沖縄出身者の子孫でありながら誰も迎えるものがなく、ようやく探し出した人は孤独な老人だったというエピソードが現実的で、自転車で去っていく後ろ姿に泣けました。(☆)
 タバコは、過去の写真などに写っていたかもしれませんが、無煙です。(◯)
 2018年文化庁映画賞大賞受賞作です。
 なお、優秀賞には「米軍が最も恐れた男 その名は、カメジロー」が受賞しました。

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

来る

2018-12-21 | 2018日本語映画評


「来る」PG12 中島哲也監督 ☓☓☓☓☓ PP 東宝

 「第22回日本ホラー大賞」の澤村伊智原作の「ぼぎわんが、来る」を映画化しました。
 幸せな結婚生活を送っている田原秀樹(妻夫木聡)と香奈(黒木華)は娘を授かってから周囲で不気味なことが次々起こりました。秀樹には幼い頃からある恐怖の体験がありそのことを含めあるつてから霊感の強い比嘉真琴(小松菜奈)と琴子(松たか子)姉妹と出会い助けを求めるのですが・・・。
 大掛かりなお祓いの場面がもったいない中身のない作品です。ホラーといっていながら単に血糊の量と脅しの音で驚かせるだけで真の恐怖が体験できません。予告編は怖かったのに本編はだらだらだらだらやたら長くて疲れました。
 唯一評価できるのは田原秀樹が子育てブログの内容の充実ばかり考えている口だけ、ブログだけのイクメンという設定が現代的でした。妻夫木聡はへらへら男を演じさせると右に出るものがいませんね。
 冒頭のオープニングクレジットは芸術的でした。
 タバコは、黒木華、岡田准一、松たか子、といった主なメンバーが禁煙の場所でも平気で喫煙するニコチン依存症状態で、車内、公園、病院のロビーでも喫煙していました。公園で岡田が喫煙したときは秀樹のパパ友が近づいてこないという場面がありました。周囲の人、飲食店でも喫煙者が多く「謎の恐ろしい存在、ぼぎわん」より「喫煙者」の方がよほど怖い、という中身でした。


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

母さんがどんなに僕を嫌いでも

2018-12-20 | 2018日本語映画評


「母さんがどんなに僕を嫌いでも」 御法川修(みのりかわおさむ)監督 △

 歌川たいじ原作の同名コミックエッセイを太賀と吉田羊の共演で映画化しました。
 子どもの頃太っていたタイジ(小山春朋)は「ブタ」とあだ名されていました。家では精神的に不安定な母親(吉田羊)から虐待を受け唯一の拠り所は父親の工場で古くから働いている「ばあちゃん」(木野花)でした。母親の仕打ちは過激になり、あるきっかけから17歳で家を出て一人で暮らすようになります。おとなになったタイジ(太賀)は友人に恵まれ過去と向き合う力を得て母親の元を訪れるのですが・・・。
 虐待されても母親が好きでたまらないタイジの複雑な思いを子役の小山が絶妙な表情で表現しています。おとなになっても母親から拒絶される子どもの辛さを太賀が好演しました。個人的には経済的に恵まれ劇団のスター俳優キミツ役の森崎ウィンと太賀とのやりとりがきついけど正直で思いやりを感じました。何れにせよ、タイジくんはいい友達に出会えて幸せでしたね。
 ところで、こういう場合の父親の責任というのはいったいどうなっているのでしょうか。一般論として無責任すぎるし、それを社会が認めていることは納得出来ないのですけど・・・。
 タバコは、ワケありの母親の唯一の身内であり、タイジにとっては伯母の職場を訪ねたときスーパーの外の喫煙所でその伯母が軽く喫煙しました。(△)タイジや友人たちが喫煙しなかったのはよかったです。


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

グリンチ

2018-12-19 | 2018外国語映画評


「グリンチ」 スコット モシャー、ヤーロウ チェイニー監督 米 ◯

 ドクター・スース原作の名作絵本に登場する「グリンチ」をイルミネーションスタジオがアニメ映画化しました。
 子ども時代は愛くるしかったグリンチは孤独な生活をしているうちにすっかりへそ曲がりで意地悪な大人に成長していました。村のハズレの山頂にある洞窟に暮らし、相棒は献身的に彼を支える愛犬のマックスだけです。クリスマスが近づき村の人々はプレゼントの準備や飾り付けを楽しんでいます。孤独な過去を持つグリンチにとってクリスマスは特に嫌いなイベントだったのです。そこでなんと「クリスマスを盗む」というとんでもない計画をたてるのでした。一方、シングルマザーに育てられているシンディは「お母さんを楽にさせたい」という願いをサンタにするのでした。グリンチの計画とシンディの願いが交差するのですが・・・。
 予想ができるラストですが、悪役が登場せず動物たちも活躍し、ファミリーで楽しめる作品です。ストーリーには直接関わりませんが、村の乗り物とかお店のからくりとかさり気ない見せ場がたくさんありました。
 タバコは、なし。無煙です。この点でもファミリーにおすすめですね。


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

2018-12-18 | 2018日本語映画評


「銃」 R15+ 武正晴監督 ☓☓☓☓☓ PP

 芥川賞作家中村文則のデビュー作を実写映画化しました。
 大学生の西川(村上虹郎)は偶然一丁の拳銃を拾います。大事に保管し磨き上げる行為はある種の興奮と人格変化を与えるのでした。その影響は女性に対しても積極的になり、暴力的にもなるのでした。そんな折、西川のもとを刑事(リリー フランキー)が訪ねてきます。そして、ある恐ろしい予告をしていくのでした。
 白黒の画面に服も白か黒のモノトーンでサスペンス風の雰囲気だけはあります。主人公だけでなくて監督自身がその雰囲気に酔っているのか現実性の乏しい作品です。例えば、母親に捨てられ里親に育てられたようですが、大学生なのにアルバイトもせず合コンに明け暮れていて今どき仕送りだけでは遊んでいられないでしょう。その上付き合っている女性たちもいい部屋に済んでいて現実感がありません。刑事も普通一人では聞き込みはしないし、ネタバレになるけど缶コーヒーには指紋だって着いているだろうし、マークしていた割には野ばなしで真実味がありません。
 ひとつだけ良かったのは、大学での講義の内容が原作者の思いがさりげなく反映されていたのは評価できました。
 タバコに関しては、ツッコミどころが満載で、スマホ時代(普通にスマホが登場している時代設定ということ)に、タバコが吸える学生食堂がある大学ってどこにあるの?刑事が聞き込み中にタバコ吸うわけはないでしょう。珈琲専門店で主人公と周囲の客が喫煙していましたが、珈琲がまずくなるし、店は臭くなるしありえません。ベビーカーを押していた両親がタバコを嫌がって避ける場面がありそれこそが虐待です。最後に笑えるのは、「動物を虐待していません。」の字幕で出ましたが、無意味なタバコを吸わされていた村上や広瀬などは虐待されていいわけでしょうかね。


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする