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フェーン現象

 5月19日の記事で、フェーン現象についてワールドさんから質問をいただいた。
  「フェーン現象って太平洋側にも発生するんですか?」
それに対して、私は明確な答えができず、宿題にさせていただいたのだが、調べようとしても、現在の中学校の教科書には「雲のでき方」の説明は取り上げられているが、「フェーン現象」は載っていない。高校の地学では教えられているようだが、如何せん地学をまともに教えるが高校が少なく、私の塾にも大して参考書が置いてない。そうすればどうしても、ネット検索ということになるが、なかなかこれは、という説明が見つからない。なので、いくつかのサイトの説明をつなぎ合わせて、何とかそれなりの回答を作り上げられるよう、今から試してみる。

 まずは、「フェーン現象とは何か?」についての簡単な説明。

フェーン現象とは、風が山脈を吹き越えるときに、山から吹き降りる「おろし風」の気温が上昇する現象のことである。
風(気塊=空気の塊)が山脈を越えるとき、気塊は山を上昇するにつれて高度が高くなり、気温が低下する。ここで、気温は乾燥断熱減率(-10℃/1000m)の割合で下がり、更に低くなると水蒸気の凝結が始まり、露点に到達した後は湿潤断熱減率(-5℃/1000m)の割で気温が低下する。このときできた水滴(雲)は雨となり気塊から分離して降下することから、山頂に到達した気塊は乾燥した風となり山の反対側に吹き降りることとなる。この際、風は乾燥していることから、乾燥断熱減率の逆(+10℃/1000m)の割合で気温が上昇し、当初の風よりも気温の高い乾燥した風となり山から吹きおりる。


上図で言えば、1,000mまでは空気の温度が -10℃/1000m の割合で下がっていくため、山麓で30℃の気塊が1,000mで20℃になるが、そこから3,000mまでは -5℃/1000m の割合で下がっていくので(乾燥した空気と湿潤な空気では下がる割合が異なる)、山頂の3,000mでは10℃となる。山頂を越えた乾燥した空気は +10℃/1000mの割合で温度が上昇するため、山の向こうのふもとに達したときの気塊の温度は40℃に達することになる。これがフェーン現象だ。

 で、ワールドさんのご質問に対する回答だが、

 フェーン現象は山地が多い日本でも頻繁に起きる現象である。日本では日本海に台風や前線を伴う温帯低気圧があって、強い南風が吹くとき日本海側でフェーン現象が起こりやすい。実際、春にこの現象によって日本海側では暖かく乾いた風が吹き、一気に雪解けが進むことが多い。
 これだけではなく例えば冬、季節風によって日本海側で雪や雨を降らせた後、山を越えて太平洋側に乾いた空気として吹くのもフェーン現象と考えてよい。しかし、空気のもとが寒気なのでいくら山を越えても太平洋側の温度はそれほど暖かくなることは通常ない。

要するに、「フェーン現象のようなことは太平洋側でも起こるが、もともと日本海側の気温が低いため、山を越えても大して温度が上昇しない。したがって、日本海側のように温度が高い風が吹き降ろしてくるということはあまりない」ということのようだ。

以上のようなことで、納得いただけるかどうか自信はないが、何せ専門家ではないのでこの辺でご容赦を。

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