goo

竹久夢二

 竹久夢二といえば、目の大きい、哀愁に満ちた表情の「夢二式美人」と呼ばれる女性を描いた画家、「宵待草」を作詞した詩人として広く知られている。

    


「宵待草(よいまちぐさ)」

待てど 暮らせど
こぬひとを
宵待草の
やるせなさ
こよいは月も
出ぬそうな

(西條八十が加えた第二節は次のとおり)
暮れて 河原に
星一つ
宵待草の
花の露
更けては風も
泣くそうな

こんなことを書いてはみたが、私は竹久夢二のファンではない。「夢二式美人」というのは、妙に弱々しくて私が好きな絵ではない。ならば何故夢二を取り上げるのかということになるが、先日本屋で「夢二デザイン」という本を見つけ、ペラペラめくってみたところ今まで女性の姿を描いたものしか知らなかった私には、夢二の違った面を見つけることができて、思わず買ってきてしまったからである。帯にあるように、この本には、「本や楽譜の装幀、雑貨や挿画、仕事のプロセスなど156点」もの夢二のデザイン画が集められている。
 一枚一枚見ていくと、夢二が愛情をもって作品作りをしていたことが伝わってくる。見ていて飽きない。素晴らしい。私の「夢二観」が随分変ってしまった。

 

 


そういえば、私が大学に入った年のちょうど今頃の時期に、友人が銀閣寺近くの「夢二」という名前の、飲み屋に連れて行ってくれたことがあった。小汚い店で、がらんと殺風景な店の中に、くすんだ夢二の絵が何枚か掛けてあった。あれはいったいどんないわれをもつ店だったんだろう。私は、京都に住み始めてわずか1ヶ月ほどで、そうした店を知っているた友人に驚いたことしか今では覚えていない。確か中年の女性が店を切り盛りしていたようだったから、今ではもうないかもしれない。と言っても、どこにその店があったかというのさえ、判然としないのであるが・・・
 そんなことをふと思い出してしまった。

コメント ( 10 ) | Trackback ( 0 )
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする