見もの・読みもの日記

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2020年新春関西旅行:京博、大和文華館、奈良博

2020-01-12 22:36:42 | 行ったもの(美術館・見仏)

京都国立博物館 新春特集展示『子づくし-干支を愛でる-』(2020年1月2日~ 2月2日)他

 この数年、正月は大阪へ新春文楽公演を見に行き、そのついでに京博の新春特集展示を見るのが恒例となっている。今年は年末年始と台湾に出かけていたので、どうしようか迷ったが、この三連休、1泊2日で関西に出かけてきた。土曜日はまず京博へ。館内に入ると、ちょうどトラりんの登場タイムだった。なんだか新春からラッキー。

 いくつか特集展示はあるものの、正月は基本的に常設展示である。私は常設展示をゆっくり見るのが好き。京博は、早く特別展会場を別に確保して、常設展をちゃんと常設にしてほしい。

 2階・絵巻では「幻の源氏物語絵巻」(2020年1月 2日~2月16日)を展示。2019年1月、夕顔の死の場面を描いた「源氏物語絵巻」の断簡がフランスで発見されたという報道があったが(※参考:朝日新聞 2019/1/15)、これは「盛安本」(江戸時代前半、杉原盛安が関与、南部家伝来)の一部と見られている。今回は盛安本「葵」全巻のうち3巻(個人蔵)を展示する。1巻の冒頭は料紙3枚にわたる葵祭見物と車争いの華やかな場面。金地に金雲を配し、比較的大きめの人物が、ぎっしり描き込まれている。ただし装束や車は江戸の雰囲気。女性の顔は下ぶくれで岩佐派っぽい。

 仏画は十二天屏風・軸装3件。十二天は、もとはインドの神様だが、これを灌頂の儀式で祀ることは日本で考案された。そして屏風の形式に合わせて十二天の姿を立像で表したのも日本の創作だというのが面白かった。中世絵画は松竹梅の美術。

 近世絵画は特集展示「京都御所障壁画 紫宸殿」(2020年1月 2日~2月2日)で、中国の賢臣32人を描いた賢聖障子(けんじょうのしょうじ)9面を全て公開する。特に説明はないが、人物像の上に貼ってある色紙に漢文が書かれていて、だいたい冒頭に人物名が書いてある(見えにくいものもあり)。知っている名前を見つけると嬉しい。やっぱり諸葛亮はここに入るんだな。中国絵画は、日本人が大好きな牧谿とその周辺。

 新春特集展示「子づくし」は1階。あまり変わったものはなかったが、『鼠短檠』(油を自動で補給する灯り台)が面白かった。油や蝋燭がネズミの好物だったというのは、今の生活では分からないなあ。ネズミの描かれた『仏涅槃図』が出ていたが「リアルすぎてかわいくありません」という説明が添えてあって、担当学芸員さん、ネズミが嫌いなのかな、と苦笑した。

 彫刻は、安祥寺の五智如来坐像が、久しぶり(?)に5躯そろった。また、舞鶴市・善福寺の地蔵菩薩坐像(12世紀)の修理完成を記念して特別公開(2020年1月2日~3月22日)。大きな頭部のわりに身体が薄く、子どもっぽい印象の地蔵菩薩だった。最近は仏像だけでなく神像が必ず展示されていて、市比賣神社の女神像(1躯は嬰児を抱いている)、静岡・鉄舟寺の伝・摩多羅神立像(体が傾いているところが怖い)など興味深かった。獅子・狛犬も多数。

大和文華館 特別企画展『新春を迎えて-梅と桜の美術-』(2020年1月5日~2月16日)

 京都であまり見たい(行きたい)ところがなかったので、思い切って奈良へ移動。しかし同館の前で東京の知り合いに遭遇したときは驚いた。前半は梅、後半は桜に関する絵画・工芸作品を展示。見たことのありそうな作品が多いが、むかしは何とも思わなかった山本梅逸とか富岡鉄斎の墨画が、最近好きになってきた。

 特別出陳は2件。春日大社蔵『吉野図屏風』(江戸時代)は近代絵画みたいにさっぱりした風景画。でも吉野山を詠んだ和歌の伝統を踏まえているらしい。列品解説の学芸員さんがそんな話をしていたが、詳しいことは教えてくれなかった。個人蔵『東山名所図屏風』は賑々しくて楽しかった。

■東大寺 大仏殿

 奈良博は夜間開館日で時間に余裕があったので、東大寺大仏殿に参拝。「令和二年庚子」の文字の入った絵馬が欲しかったのである。実は、私は今年が還暦なので、次の子歳まで元気に頑張れるよう、この絵馬を大事にしたいと思う。

 日本画家の森田りえ子さん画。買ったときは気づかなかったけどオリンピック仕様なのか。私はオリンピックに関心はないが、まあ仕方ないか。

奈良国立博物館 特別陳列『おん祭と春日信仰の美術-特集 春日大社の絵師たち-』(2019年12月7日~2020年1月13日)+特集展示『新たに修理された文化財』(2019年12月24日~2020年1月13日)+特別陳列『重要文化財 法隆寺金堂壁画写真ガラス原板-文化財写真の軌跡-』(2019年12月7日~2020年1月13日)

 『おん祭と春日信仰の美術』では、おん祭及び春日信仰に関連する絵画・文書・工芸品を展示。特に中世から近世にかけてさまざまな絵師によって描かれたおん祭の祭礼図、春日大社の御造替にかかわった絵師の作品、下絵図など絵画資料が豊富だった。私は京都・奈良の主要な祭礼・宗教行事はだいたい来ているのに、春日若宮おん祭はいまだに体験したことがない。ぜひとも今年こそ!と思ったのだが、12月のカレンダーを見ると難しそうだ。

 『新たに修理された文化財』は、収蔵品(館蔵品・寄託品)の中から近年修理を受けたものを展示。特に絵画は、素人目にも状態が素晴らしくよいことが分かった。

 『法隆寺金堂壁画写真ガラス原板』は、このタイトルを見たとき、ガラス原板だけの展示かと思っていたのだが、明治4年の蜷川式胤の発案による旧江戸城撮影(撮影・横山松三郎)、明治5年のいわゆる壬申検査、写真をもとにした高橋由一の油彩画、印刷局が制作した『国華余芳』など、「文化財写真」の意義を豊富な資料・多様な側面からとらえる展示になっていて興奮した。見に来てよかった。これで本日のスケジュール終了。

■大阪天満宮

 今夜の宿は大阪天満宮近くのビジネスホテル。大阪メトロ・南森町駅の出口を出ると、灯りの入ったちょうちんが並ぶ。ふらふらと人の流れについていくと、大阪天満宮の境内でえびす祭が行われていた。

 鉦と三味線にあわせた「商売繁盛で福もってこい」のBGMで気持ちが浮き立つ。京都も奈良もいいけど、最近、大阪も好き。

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