改訂しました。
束 ソク・たば 木部
解字 甲骨文第一字(上)は糸をひも状に束ねた形。第二字(下)は、木を縄でくくった形で、糸束と木の束の二種がある。金文の第一字(上)は糸束ととれる字。第二字は木の回りを縄でくくった形で、木を束ねた形。金文は[簡明金文詞典]に、①「束矢ソクシ一百矢と為す」とあり、たばねる矢の単位数となり、②「束帛ソクハク五匹と為す」とあり、帛(絹布)の単位数となっている。③「糸束」の記述もあり、糸の束の意となっている。篆文にいたり、これまであった糸束と木の束の二種の系統が一つに統一された束の字になり、この形が現在にまで続いている。
意味 (1)たばねる(束ねる)。たば(束)。つかねる。ひとまとめに括ったもの。「糸束いとたば」「束髪ソクハツ」(髪を束ねてむすぶ)「束矢ソクシ」(矢たば)「束子たわし」(シュロの毛などを束ねたもの。こすり洗うのに用いる)「束脩ソクシュウ」(進物に用いた干(ほ)し肉の束)(2)動きがとれないようにする。つなぎとめる。「束縛ソクバク」「拘束コウソク」(自由に行動させない)(3)[国]つか(束)。①指4本を握った幅。②短い時間。「束の間」③短い木材。「束柱つかばしら」(床の下などに立てる短い柱)
イメージ
「たばねる」(束)
「形声字」(速)
木を束ねるとき縄で「引き締める」(勅・竦・悚・漱・嗽)
「その他」(嫩)
音の変化 ソク:束・速 ソウ:漱・嗽 ショウ:竦・悚 チョク:勅 ドン:嫩
形声字
速 ソク・はやい・すみやか 辶部
解字 「辶(ゆく)+束(ソク)」の形声。後漢の[説文解字]は「疾シツ(はやい)也(なり)。辵チャク(=辶)に従い束ソクの聲(声)」とし、はやく進むことを速ソクという。
意味 (1)はやい(速い)。すみやか(速やか)。「速記ソッキ」「速達ソクタツ」「速断ソクダン」「速成ソクセイ」(すみやかになしとげる)(2)はやさ「速度ソクド」「速力ソクリョク」「高速コウソク」
引き締める
勅[敕] チョク・みことのり 力部
解字 旧字は「攵ボク・うつ(=攴)+束(ひきしめる)」の会意形声。打って引き締めること、転じて、いましめる意となる。また、天子の仰せの意味で用いる。新字体は攵を力に変えた勅になった。「勅チョク」は、もと「敕」の俗字として用いられていた。
意味 (1)いましめる。「勅戒チョッカイ」(いましめ)「勅励チョクレイ」(いましめてはげます)(2)みことのり(勅)。天皇のおおせ。「勅命チョクメイ」「勅語チョクゴ」(3)天皇に関係する物事に添える語。「勅撰チョクセン」(①天子自らが詩歌などを撰ぶこと。②勅命で詩歌などを撰ぶこと)「勅使チョクシ」
竦 ショウ・すくむ 立部
解字 「立(たつ)+束(ひきしめる)」の会意形声。身を引き締めて立つこと。
意味 (1)かしこまる。つつしむ。「竦動ショウドウ」(つつしみかしこまる)(2)すくむ(竦む)。おそれる。恐ろしさや緊張で体が動かなくなる。「身が竦む」「竦然ショウゼン」(おそれてこわがるさま)
悚 ショウ・おそれる 忄部
解字 「忄(こころ)+束(=竦の略体。すくむ)」の会意形声。身をすくめたときの心でおそれる意。
意味 おそれる(悚れる)。「悚然ショウゼン」(おそれてぞっとするさま)「悚慄ショウリツ」(ぞっとして震え上がる)
漱 ソウ・すすぐ・うがい 氵部
解字 「氵(水)+束(ひきしめる)+欠(口をあける)」の会意形声。口をあけて(欠)、 氵(水)を含み、口を引き締めて(束)、うがいをすること。
意味 (1)すすぐ(漱ぐ)。くちすすぐ(漱ぐ)。「含漱ガンソウ」(うがい。口をすすぐ)「枕石漱流チンセキソウリュウ」(石を枕にして流れに口を漱ぐ。自然の中で生きる)「漱石枕流ソウセキチンリュウ」(枕石漱流と言うべきところを漱石枕流と言い誤り、「石に漱ぐ」とは歯を磨くこと、「流れに枕す」とは、「耳を洗うこと」と強弁した故事から、負け惜しみの強い意)(2)すすぎ洗う。(3)(嗽ソウに通じて)せき。せきをする。(4)人名。「漱石ソウセキ」(夏目漱石。漱石枕流の故事から名付けた)
嗽 ソウ・ソク・すすぐ・うがい・せき 口部
解字 「口(くち)+欶ソウ(=漱)」の会意形声。欶ソウは漱ソウに通じ漱(すす)ぐ意。この意を口をつけて表した。また、せきこむ意にも用いる。
意味 (1)すすぐ(嗽ぐ)。うがい(嗽い)。うがいをする。「含嗽ガンソウ」(うがい)「嗽薬ソウヤク」(うがい薬)(2)せき(嗽)。せきをすること。「咳嗽ガイソウ」(せきをする。しわぶき)
その他
嫩 ドン・ノン・わかい・やわらかい 女部 nèn
解字 篆文は「女(おんな)+耎ゼン⇒ドン・ノン(やわらかい)」の媆ドン・ノン。耎ゼンは「大(ひと)+而(やわらかい)」の会意。やわらかい意に人をつけた形で、人に限らず、やわらかい、よわい意となる。そこに女がついた媆ドン・ノンは、女性が若くしなやかの意となる。現代字は、篆文の媆の耎⇒敕に変化した嫩ドンとなった変則的な字。北宋時代の文学者・徐鉉ジョゲンは、この字を「今、俗に嫩ドンに作るのは是ゼ(正しい)に非(あら)ず」と評している(「字通」による)。こうした変則的な字は漢検試験問題の絶好の候補、と考えると覚える気になる。
意味 (1)わかい(嫩い)。やわらかい。若くしなやか。「嫩芽ドンガ」(草や木のわかい芽)「嫩色ドンショク」(浅く淡い色)「嫩緑ドンリョク」(わか葉の緑)「嫩碧ドンペキ」(わかばの緑)(2)なまめかしい。みめよい。「嬌嫩キョウドン」(嬌も嫩も、なまめかしい意)「嫩語ドンゴ」(なまめかしい声)(3)かすかに。わずかに。「嫩寒ドンカン」(うすら寒い)「嫩涼ドンリョウ」(すこし涼しい)
<紫色は常用漢字>
バックナンバーの検索方法
※一般の検索サイト(グーグル・ヤフーなど)で、「漢字の音符」と入れてから、調べたい漢字1字を入力して検索すると、その漢字の音符ページが上位で表示されます。
束 ソク・たば 木部
解字 甲骨文第一字(上)は糸をひも状に束ねた形。第二字(下)は、木を縄でくくった形で、糸束と木の束の二種がある。金文の第一字(上)は糸束ととれる字。第二字は木の回りを縄でくくった形で、木を束ねた形。金文は[簡明金文詞典]に、①「束矢ソクシ一百矢と為す」とあり、たばねる矢の単位数となり、②「束帛ソクハク五匹と為す」とあり、帛(絹布)の単位数となっている。③「糸束」の記述もあり、糸の束の意となっている。篆文にいたり、これまであった糸束と木の束の二種の系統が一つに統一された束の字になり、この形が現在にまで続いている。
意味 (1)たばねる(束ねる)。たば(束)。つかねる。ひとまとめに括ったもの。「糸束いとたば」「束髪ソクハツ」(髪を束ねてむすぶ)「束矢ソクシ」(矢たば)「束子たわし」(シュロの毛などを束ねたもの。こすり洗うのに用いる)「束脩ソクシュウ」(進物に用いた干(ほ)し肉の束)(2)動きがとれないようにする。つなぎとめる。「束縛ソクバク」「拘束コウソク」(自由に行動させない)(3)[国]つか(束)。①指4本を握った幅。②短い時間。「束の間」③短い木材。「束柱つかばしら」(床の下などに立てる短い柱)
イメージ
「たばねる」(束)
「形声字」(速)
木を束ねるとき縄で「引き締める」(勅・竦・悚・漱・嗽)
「その他」(嫩)
音の変化 ソク:束・速 ソウ:漱・嗽 ショウ:竦・悚 チョク:勅 ドン:嫩
形声字
速 ソク・はやい・すみやか 辶部
解字 「辶(ゆく)+束(ソク)」の形声。後漢の[説文解字]は「疾シツ(はやい)也(なり)。辵チャク(=辶)に従い束ソクの聲(声)」とし、はやく進むことを速ソクという。
意味 (1)はやい(速い)。すみやか(速やか)。「速記ソッキ」「速達ソクタツ」「速断ソクダン」「速成ソクセイ」(すみやかになしとげる)(2)はやさ「速度ソクド」「速力ソクリョク」「高速コウソク」
引き締める
勅[敕] チョク・みことのり 力部
解字 旧字は「攵ボク・うつ(=攴)+束(ひきしめる)」の会意形声。打って引き締めること、転じて、いましめる意となる。また、天子の仰せの意味で用いる。新字体は攵を力に変えた勅になった。「勅チョク」は、もと「敕」の俗字として用いられていた。
意味 (1)いましめる。「勅戒チョッカイ」(いましめ)「勅励チョクレイ」(いましめてはげます)(2)みことのり(勅)。天皇のおおせ。「勅命チョクメイ」「勅語チョクゴ」(3)天皇に関係する物事に添える語。「勅撰チョクセン」(①天子自らが詩歌などを撰ぶこと。②勅命で詩歌などを撰ぶこと)「勅使チョクシ」
竦 ショウ・すくむ 立部
解字 「立(たつ)+束(ひきしめる)」の会意形声。身を引き締めて立つこと。
意味 (1)かしこまる。つつしむ。「竦動ショウドウ」(つつしみかしこまる)(2)すくむ(竦む)。おそれる。恐ろしさや緊張で体が動かなくなる。「身が竦む」「竦然ショウゼン」(おそれてこわがるさま)
悚 ショウ・おそれる 忄部
解字 「忄(こころ)+束(=竦の略体。すくむ)」の会意形声。身をすくめたときの心でおそれる意。
意味 おそれる(悚れる)。「悚然ショウゼン」(おそれてぞっとするさま)「悚慄ショウリツ」(ぞっとして震え上がる)
漱 ソウ・すすぐ・うがい 氵部
解字 「氵(水)+束(ひきしめる)+欠(口をあける)」の会意形声。口をあけて(欠)、 氵(水)を含み、口を引き締めて(束)、うがいをすること。
意味 (1)すすぐ(漱ぐ)。くちすすぐ(漱ぐ)。「含漱ガンソウ」(うがい。口をすすぐ)「枕石漱流チンセキソウリュウ」(石を枕にして流れに口を漱ぐ。自然の中で生きる)「漱石枕流ソウセキチンリュウ」(枕石漱流と言うべきところを漱石枕流と言い誤り、「石に漱ぐ」とは歯を磨くこと、「流れに枕す」とは、「耳を洗うこと」と強弁した故事から、負け惜しみの強い意)(2)すすぎ洗う。(3)(嗽ソウに通じて)せき。せきをする。(4)人名。「漱石ソウセキ」(夏目漱石。漱石枕流の故事から名付けた)
嗽 ソウ・ソク・すすぐ・うがい・せき 口部
解字 「口(くち)+欶ソウ(=漱)」の会意形声。欶ソウは漱ソウに通じ漱(すす)ぐ意。この意を口をつけて表した。また、せきこむ意にも用いる。
意味 (1)すすぐ(嗽ぐ)。うがい(嗽い)。うがいをする。「含嗽ガンソウ」(うがい)「嗽薬ソウヤク」(うがい薬)(2)せき(嗽)。せきをすること。「咳嗽ガイソウ」(せきをする。しわぶき)
その他
嫩 ドン・ノン・わかい・やわらかい 女部 nèn
解字 篆文は「女(おんな)+耎ゼン⇒ドン・ノン(やわらかい)」の媆ドン・ノン。耎ゼンは「大(ひと)+而(やわらかい)」の会意。やわらかい意に人をつけた形で、人に限らず、やわらかい、よわい意となる。そこに女がついた媆ドン・ノンは、女性が若くしなやかの意となる。現代字は、篆文の媆の耎⇒敕に変化した嫩ドンとなった変則的な字。北宋時代の文学者・徐鉉ジョゲンは、この字を「今、俗に嫩ドンに作るのは是ゼ(正しい)に非(あら)ず」と評している(「字通」による)。こうした変則的な字は漢検試験問題の絶好の候補、と考えると覚える気になる。
意味 (1)わかい(嫩い)。やわらかい。若くしなやか。「嫩芽ドンガ」(草や木のわかい芽)「嫩色ドンショク」(浅く淡い色)「嫩緑ドンリョク」(わか葉の緑)「嫩碧ドンペキ」(わかばの緑)(2)なまめかしい。みめよい。「嬌嫩キョウドン」(嬌も嫩も、なまめかしい意)「嫩語ドンゴ」(なまめかしい声)(3)かすかに。わずかに。「嫩寒ドンカン」(うすら寒い)「嫩涼ドンリョウ」(すこし涼しい)
<紫色は常用漢字>
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