TATSURO SHIBUYA + ARCHITECTURE LANDSCAPE DESIGN STUDIO

アーキテクチュアは建築、ランドスケープは景観。風景を生かす建築環境デザインに取組んでいます。

空間の余白/フレキシビリティについて

2011-05-31 18:07:53 | サステナブル建築
とあるアパートメントの改修例。
Lego-style apartment transforms into infinite spaces


収納だけでなく、キッチンのシンクやベッド、テーブルなど、およそ一人暮らしに必要とされる身の回りの家具全て壁に収納されている住戸。
こういったアイデアはよくあると思いますが、それを実際に作るのは、とても難しかったと思います。
何気なく、すっきり収まっている建具の緻密なディテールや施工精度を考えると、非常な労力がかかっているような印象を持ちました。

ただ、このアイデアの面白さと空間の質は別の問題。
おそらく一人暮らしの1Rだから成り立つのかもしれませんが、全てをコントロールしてしまうと将来の家電の買い替えや設備の更新に対応できるのか、そのフレキシビリティに疑問が残るところです。
そう考えると、将来の拡張性を考慮して、空間に余裕を持っておくことの大切さに気がつきます。

ニューヨークの超高層ビルが時を経てもなお現役であり続けるのは、建築された当初から階高に余裕を持っていて、現在の最新の設備機器も取付ける事ができたからといわれています。
建築の拡張性やフレキシビリティを考慮して設計することで、建築をより長く持続させることができます。
こうした視点は長い目で見れば経済性を担保できます。
目先のイニシャルコストにとらわれるのではなく、長く人びとに必要とされ、使われるような建築を実現したいものです。

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【報告】ケンチクカフェ・レクチャーシリーズ第3回

2011-05-29 23:43:36 | ケンチクカフェ
夏目デザインの夏目さんをお迎えしたケンチクカフェ・レクチャーシリーズ第3回目も盛況でした。ありがとうございます。
運営なども手探りで試行錯誤しながらやっておりますが、回を重ねるごとに内容も充実してきているような印象を持ちました。

夏目さんは「アレルギーに優しい家づくり」に取組んでおられる豊橋在住の建築家です。
地域で活躍するローカルアーキテクトは、「まちの主治医」のように大切な存在だと思いますが、まさに健康的な暮らしを建築を通じて実践されておられます。
人がいかに空気を食べているかというお話は、とても新鮮な視点で、改めて住環境の風の流れや空気の重要性を考える機会になりました。


ケンチクカフェ・レクチャーシリーズ」は、豊橋技科大建築サークルの定例ミーティング、「ケンチクカフェ」のスピンアウト企画で、毎月第4土曜日の午後に豊橋駅前の大学サテライトオフィスで開催しています。
地元で活躍されている建築家の皆さんなどにお願いして、ご自身のことや地域で建築をすることなどについてお話を伺いながら、建築や都市について考え理解を深めることで、建築をもっと身近にすることを目的とした取組みです。

有名建築家の話をお聞きする機会はたくさんありますが、地域で活躍されているローカルアーキテクトの方々から建築や都市のことについてお話を聞く機会はそれほど多くはありません。
これからの環境や都市の時代を考える上で、地域の建築家(ローカルアーキテクト)との協働や地域のマテリアルをどの様に活かしていくのかが大切になってくると考えております。
また、大学と地域との接点として、地域の建築家と学生、市民の皆さんとの交流の機会ともなっています。軽食をつまみながら、ゆるりとやっておりますので、気軽に参加頂ければ幸いです。



今回のUstreamはリアルタイム配信のみでアーカイブはありません。
会場に来ていただければ、直接お話を聞くことができますので、次回6月25日(土)もご期待ください。


今回のスイーツは夏目さんが店舗を手がけた中原屋さんの麩餅でした。

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日比科学技術振興財団の研究助成に採択されました

2011-05-27 23:52:08 | Prize
このたび財団法人日比科学技術振興財団の研究助成に採択されました。ありがとうございます。

名古屋市内で助成金の交付式があり、出席してきました。
国公立大学の場合は、若手教員に配分される研究費が極端に少ないため、自分の研究費は自分で獲得する必要があります。
国や企業などの様々な研究助成に応募するのですが、実は応募書類を作る時間も意外と掛かるので、その分自分の研究時間が削られてしまいます。
今回の交付が決まったことで、より研究に集中して取組めるので、とてもありがたいです。


花束を頂いたのは久しぶりです。


日比科学技術振興財団はサンゲツが母体となっている財団です。
建築の実務に携わっている人なら馴染み深い企業だけに、この助成を受けて少しでも社会に貢献できればと存じます。

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ケンチクカフェ #08

2011-05-25 23:37:33 | ケンチクカフェ
毎月第2、第4月曜日の19時より行っている建築サークルの活動報告会「ケンチクカフェ」も8回目を迎えました。
豊橋技科大建築サークルでは、現在、古民家再生プロジェクト 黒プロ/学祭仮設建築セルフビルド モノプロ/子ども達のためのシェルターWS/地元建築家等とのケンチクカフェ・レクチャーシリーズ/作品展覧会 技科展ほかに取組んでいます。
これからプロジェクトが本格化していきますので、自分の手のスピードや打合せなどひとつひとつに掛かる時間感覚を身に着けていってもらえたら嬉しいです。

本日のスイーツはかぶき家さんの「ええじゃないか饅頭」でした。

※豊橋は江戸時代末期の「ええじゃないか」の発祥の地といわれています。

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古民家の改修/人に長く使われるような再生を!

2011-05-23 00:13:47 | サステナブル建築
鳳来寺に登ったあとに、近隣の湯谷温泉へ。
地元方のご紹介で合掌造りの古民家を移築して建てられたという旅館「はづ合掌」に行ってきました。

客室外観:モミジの葉の緑がとても美しく、建物の佇まいを引き立てています。
山の中ということもあってか、ちょうどヤマボウシが満開でした。


客室へと至るアプローチ:半屋外になっていて、深い庇から庭の緑を見渡すことができます。
深い庇がつくりだす縁側空間はセミパブリックな領域にもなっていて、民家再生プロジェクトでも参考になりそうです。

合掌造りの建物は、主にエントランス、ロビー、レストラン、宴会場となっていました。
旅館という施設のためか、漆喰のようなものが壁にも天井にも塗り込まれていて合掌造りの小屋組や屋根裏を一部しか見ることができないのは少し残念でした。

和組みのダイナミックな構造材に対して、ノペッとしてマットな質感の漆喰が重たく感じました。
天井の仕上には、漆喰を塗り込めるより、乾いた質感の軽くて繊細な木材の方が合うような気がしました。

伝統的な建築をそのまま使うのは難しく、現代の生活様式に合わせて翻訳のような設計作業が必要なります。
古い建築をそのまま保存したり、元の姿に復元するのではなく、現代的な手法で甦らせ積極的に活用すること。こうした改修のことを広い意味での動態保存とポジティブに位置づけ、古い建築を現代的な手法で再生していきたいと考えています。
藤屋」もその例のひとつです。

建築は人に愛され、必要とされて「なんぼ」のものだから、人に長く使われるような魅力を持つ設計が必要不可欠だと思います。

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鳳来寺山へ

2011-05-21 23:55:47 | *古民家再生/黒谷プロジェクト
大学で関わっている民家再生プロジェクトのすぐ近くに鳳来寺があるという縁で、建築サークルのメンバーと新城市の鳳来寺山へ行ってきました。


民家の実測調査をした後に、昼食をとり、いざ1,400段もの石段を登ります。
途中、イノシシに遭遇した学生もいるなか、無事、全員怪我もなく登りきりました。


本格的な登山ではありませんが、くだりの石段を降りる際には、膝がプルプルでした。。
お天気にも恵まれ、地域のことを知るよい機会になりました。


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公式年鑑『GOOD DESIGN AWARD 2010』

2011-05-19 21:47:52 | *白鷹の家
グッドデザイン賞の公式年鑑。『GOOD DESIGN AWARD 2010
白鷹の家/SNOW LIGHT HOUSE」も掲載されています。
ありがとうございます。


グッドデザイン賞の公式年鑑だけに、装丁がとても丁寧で、ズッシリと重たいです。


個人的には公式年鑑のほかに、もう少しハンドリングのよい概要版のような持ち歩ける縮刷本があると、もっとたくさんの人に見てもらえるのではないかと思います。
もしくは、電子版など。。

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【お知らせ】ケンチクカフェ・レクチャーシリーズ第3回を開催します。

2011-05-17 21:25:47 | ケンチクカフェ
ケンチクカフェ・レクチャーシリーズ第3回は夏目デザインの夏目学さんをゲストにお迎えします。

日時:5月28日(土)18:00~19:30(開場17:30~)
場所:豊橋駅前豊橋技科大サテライトオフィス 住所Map
参加費:500円(軽食代等)
準備の関係で、今回から参加希望の方は事前申込制となります。申し込みは下記よりお願いします。
http://gikaten.org/kenchikucafe/join


ケンチクカフェ・レクチャーシリーズ」は、豊橋技科大建築サークルの定例ミーティング、「ケンチクカフェ」のスピンアウト企画で、毎月第4土曜日の午後に豊橋駅前の大学サテライトオフィスで開催しています。


地元で活躍されている建築家の皆さんなどにお願いして、ご自身のことや地域で建築をすることなどについてお話を伺いながら、建築や都市について考え理解を深めることで、建築をもっと身近にすることを目的とした取組みです。
有名建築家の話をお聞きする機会はたくさんありますが、地域で活躍されているローカルアーキテクトの方々から建築や都市のことについてお話を聞く機会はそれほど多くはありません。
これからの環境や都市の時代を考える上で、地域の建築家(ローカルアーキテクト)との協働や地域のマテリアルをどの様に活かしていくのかが大切になってくると考えております。
また、大学と地域との接点として、地域の建築家と学生、市民の皆さんとの交流の機会ともなっています。軽食をつまみながら、ゆるりとやっておりますので、気軽に参加頂ければ幸いです。


ケンチクカフェ・レクチャーシリーズのURL:http://gikaten.org/kenchikucafe
※これまでの様子もアーカイブで見ることができます。


3月からはじめて、4月23日に第2回目を行いましたが、豊橋で活躍されている建築家の方々や豊田高専の学生さんなど総勢24名もの来場がありました。
おかげさまで会を重ねるごとに盛況ですが、会場のキャパシティや準備の関係で、今回より事前申込制となります。
定員に達してしまった場合には、Ustreamでのライブ中継もありますので、遠方の方も含めてこちらのサイトからご覧いただくことができます。

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Jr.サイエンス講座/子ども達のためのシェルターの提案

2011-05-15 00:13:52 | マイ・デコヘルづくり
大学が主催する「Jr.サイエンス講座」の企画に「子ども達のためのシェルターの提案」が採択されました。ありがとうございます。
震災後の子ども達の心のケアを考えたいと取組みはじめてから、たくさんの方々にご賛同いただき、この秋に具体の活動として実現できそうな運びとなりました。

Jr.サイエンス講座は、豊橋市教育委員会が主催の「子どものための科学展」との共催となります。
2日間で約4,800名もの来場があった大きなイベントなので、少しずつ具体の準備をはじめています。
昨年度のHPはこちら「2010年Jr.サイエンス講座


『2011年Jr.サイエンス講座』(予定)
日程:2011年10月15日(土)、16日(日)
会場:豊橋市視聴覚教育センター 交通アクセス

さまざまな研究室が大学から参加して、科学に関するさまざまな催しを企画しております。
私たちは、大学の建築サークルのメンバーを中心に、せんだって日本建築学会まちづくり支援建築会議に提案した「子ども達のためのシェルターの提案」をたたき台にした企画に取組んでいます。

内容については、随時この場でご報告していきます。

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特別講演会「自然災害から命を守るために ~東日本大震災にみる命の分岐点~」

2011-05-13 23:54:10 | 用語集
東三河地域防災研究協議会研究成果発表会および特別講演会
地域防災研究協議会は豊橋市をはじめとした東三河の市と大学とで連携し、地域の特性を考慮した、防災対策・技術の調査研究を行い、災害に強い地域づくりを推進するための研究を行っていますが、3・11以降、非常にタイムリーな話題ということで、豊橋市の公会堂には、多くの市民の方々が集まりました。

特別講演では釜石市で津波防災に取組んでおられる片田先生(群馬大)のお話を聞くことができました。
片田先生が取組まれている子ども達への防災教育は、「10年経てば、子どもが大人になり、もう10年経てば親になる。」という10年一区切りで2回という時間のデザインでもあります。
子ども達からはじめて地域全体に防災意識を浸透させるという壮大な試みとその熱意にとても共感しました。
なによりも、釜石の街を襲ったとてつもない規模の津波被害の中で、小中学生約3,000人の命を救うことができたという実績はとても価値があるものだと感じました。

お話の中で、繰り返し言われていた3つの心構え。
①想定にとらわれるな:
想定は防災行政上の防御の目標であって、単なるシナリオのひとつ。天災の規模は想定できないが、津波はいつか絶対に来るということ。今回、ハザードマップ内の人の多くがいち早く逃げて生き延びたが、ハザードマップ外の人は油断してしまった。

②状況に応じて最善をつくせ:
過去の経験は役に立たない。人の寿命はせいぜい100年程度、今回の地震は1000年に1回の規模。流れている時間が違う。その状況において最善を考え、行動することが命をつなぐことにつながる。

③率先避難者たれ:
最初に「逃げる」という勇気を持て。誰か最初に逃げ出せば、多くの人が続いて逃げることができる。「津波てんでんこ」=「いのちてんでんこ」


×「脅しの防災教育」→恐怖はすぐに忘れるという人間の性(さが)
×「知識の防災教育」→想定にとらわれることの危険性
○「姿勢の防災教育」→主体的に物事を考え、行動すること。それが「人が死なない防災」である。


終始、現場の臨場感のある話しぶりで被災地の非常にリアルな体験に引き込まれるような内容でした。
今回の講演は、津波防災ということだけでなく、教育研究や建築などのプロジェクトに対する考え方・姿勢としても非常に勉強になりました。

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