もう十年くらい前だが、長年勤めた会社を辞めて、新しい人生を歩みだした時期があった。
普通は、キャリアパスということで、自分の過去の経歴を大切にしつつ新しい仕事を探したりするが、私はNPOの仕事をしようと決め(辞める一年くらい前から)、最初に福祉関係の仕事につくためにハローワーク経由で職業訓練校のドアを叩いた。
そして、それから何ヶ月か訓練校で勉強したのだが、そのときの経験は忘れがたい。職業訓練校では、当然ながら、何か理由があって職種転換を図ろうとするする人が新しい知識を得たり訓練を受けたりするのだが、数ヶ月すると仲良くなり、お互いの胸の内を語り合うようになる。それが何とも貴重な経験となった。
全く新しい仕事につくというのは結構大変だ。覚えることはたくさんあり、また生計を立てなければいけないという大問題もある。新しい世界に入るという希望があるが、楽観はできない。そういう似たストレスの環境下に私を含めた職業訓練の仲間はいるのだが、その中でも明るく溌剌としている人もいれば、逆にしょんぼりと暗い影を背負っている人もいた。
さて、私はどうだったろうか?基本的には明るく爽やかに時を送ることができ、さらに実務にたずさわったり、その後いろいろあったが、新しい世界に入って10年間過ごすことができた。
今から考えると生き甲斐の心理学の師匠であるU先生のおかげかなと最近思う。何気ないような、お話をされていたようだが、今振り返ると自己イメージを整えさせるお話が随分支えてくれたようだ。
最近、U先生はテレビに出られ、「草原の大木」というお話をされDVDにもなっているが、これは自己イメージの素晴らしいお話である(当時はそのお話はされなかったが)。草原に木が一本ある。その光景をまず思い浮かべ、自分をか弱い草ではなく、大木にイメージしてみるのだ。そして、具体的にどんな木かを考える。私は昨年、ヒマラヤ杉をイメージしたが、今年は、先日行った新宿御苑のプラタナスかな。
大きな葉をゆったり落としながら冬に備える大木だ。
そろそろ、八王子の木々も色づき始め、これからは大木の紅葉・黄葉の季節。好きな大木のイメージも変わるかもしれない。
旅の意味② 1/10