散歩から探検へ~個人・住民・市民

副題を「政治を動かすもの」から「個人・住民・市民」へと変更、地域住民/世界市民として複眼的思考で政治的事象を捉える。

フランスの社会を変えた事実婚~出生率は2以上

2014年07月17日 | 現代社会
日本の出生率(特殊出生率)は少し上がって、1.43になった。しかし、このままの状態では、人口は2060年に8,600万人までにまで減少する。
 『減少を続ける日本の子ども人口~大きく外れた人口予測140505』



しかし、上記の記事の図3(下に再掲)を見れば、1981年から出生数は減少を始めているのであるから、2000年代に入れば、先の予測もついていたはずだ。それにも係わらず、政府は考え方を変えることを真剣に考えた形跡が全くない。
 
それは、今回、政府の専門調査会が、出産・子育て支援への予算を倍増し、50年後も1億人程度の人口維持を目指すとの数値目標を示したことでも良く判る。社会の考え方が変わっていかなければ、このまま惰性が続くだろう。現在の出生率を2030年までに、2.08程度にまで上げる必要があるからだ。先ず、政府の社会に対するイメージを変える必要があるのだ。

雑誌「MUGENDAI」がタイミング良く、日本で活躍するフランス女性、ドラ・ドーザンへのインタビュー記事を載せている。フランスが出生率を上げた理由が、社会における変革と政府の大胆な政策の導入の相乗効果によって得られたことを良く示している。日本社会及び日本人に対して、示唆に富む話が満載だが、簡単にはマネのできないことばかりの様だ。先ずは紹介する。

「人を幸せにするフレンチ・パラドックス」―トーザン氏
フランス人は脂肪の多い料理を食べているが、心臓疾患は少ない。赤ワインに含まれるポリフェノールの働きという説から生まれた言葉、「結婚が減少、しかし、出生率は伸び続け、子どもができても女性は仕事を辞めない」が最大のパラドックス。1994年に1.65まで下がった出生率を2011年に2.03まで回復。

安心して出産・育児ができるよう環境を整備した。
出産奨励手当から子育て手当まで、種々の手当が充実、育児休暇の手当は父母どちらの休暇でも支給される。子どもが増えると共に手当が増額、税金は安く。充実した社会保障が、出産への大きなモチベーション。また、仕事と子育てが両立できる種々の支援がある。また、大学まで教育費は無料だ。

フランスの税金は高いけれど、教育と家族計画について良い使い方をしていると国民は考えている。また、子育ての負担を軽くするうえでもう一つ大きいのは、ベビーシッターのような社会環境が充実していること。
ここで、政府の施策から、社会環境に話を展開する。

「フランスの社会を変えた事実婚」―トーザン氏
世の中が多様化し、結婚がすべてではなくなり、減少した。フェミニズムの影響もあり、五月革命の後、女性も自立して、充実した生き方をする様になってきた。女性が社会へ進出し、経済的に自立すると、結婚の必要性が低くなった。

男女が恋愛をすれば、親や周りの知人・友人に相手を紹介する「ユニオン・リーブル」(自由でありながら結ばれている関係、事実婚)、あるいは「ヴィーヴル・アンサンブル」(一緒に暮らす関係)と呼ぶ関係を結ぶ。若い世代に好まれ、現在ではユニオン・リーブルが結婚より多く、新生児の半分以上が婚外子になる。
フランスには戸籍がなく、社会保障が充実している。法制化も進み、結婚と同等の扱いを受け、婚外子にも嫡出子と同じ権利が与えられている。

フランスでは離婚率が50%以上。しかし、我慢しながら自分の人生を無駄にしていいのか、仲の悪い両親のもとにいて子どもは幸せだろうか、とフランス人は考え、離婚することに、日本ほどためらいはない。

「ファミーユ・ルコンポゼ」(複合家族)と呼び、新しい連れ合いの子どもなどが交流する新しい家族関係が生まれている。社会の変化に応じて法律や制度をどんどん変える試みを柔軟に行うのがフランスの特徴だ。

日本は社会基盤を変革し、また、大胆な「子ども・教育政策」を展開していけるだろうか。大きな疑問符が付く処だ。

      

      


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