散歩から探検へ~個人・住民・市民

副題を「政治を動かすもの」から「個人・住民・市民」へと変更、地域住民/世界市民として複眼的思考で政治的事象を捉える。

川崎市長選・自民党候補は総務省官僚~市長に圧倒された市議団

2013年09月06日 | 地方自治
川崎市長選挙の自民党候補者は8/30、秀嶋善雄氏に決定した。氏は同日総務省を退職しており、阿部現市長の実施的な後継になる。自らの中から候補者を出そうと試みた市議団は市長に圧倒され、脆くも崩された。

秀嶋氏は44歳、東大法学部卒、2004-08年は川崎市に出向し、財政部長、財政局長などを歴任した。予行演習(市長テスト)は既に終わっており、満を持しての出馬となる。公明党、民主党にも推薦依頼を出すとのこと。一方、市長は「適任者、後継指名はしないが、応援する」とは悠々としたものだ。

自民党では川崎市議2名が7/25の早々と候補者として市連「市長選選考委員会」に名乗りを上げていた。嶋崎嘉夫氏と吉沢章子氏だ。参院選の圧勝で勢いに乗る自民党は市議会においても公明党と組んで過半数の与党を構成しており、当然、その推薦を受ければ本番の本命となる。

筆者は市民活動としての“議会改革”活動を行っており、おそらく、全国でも例の無い市民による『市議会白書』を刊行している。そこで、市議会における会派代表質問、議員一般質問、委員会審議すべてにわたって議事録を読んでおり、議員の議会内活動を把握している。

従って、嶋崎、吉沢両氏が議員の中では比較的政策に明るいことも良く理解し、最終の候補者になるのか、注目していた。特に自民党唯一の女性議員・吉沢氏は大穴と考えていた。しかし、題名は正確ではなかった。
 『自民川崎市議、遂に市長選挙に立つ137026』

4年前の選挙では自民、民主がそれぞれ候補を立て、阿部市長に対抗した。しかし、現職及び投票率の壁は厚く、接戦には持ち込めなかった。しかし、「縦貫地下鉄建設問題」があり、巨額な資金が必要な事業に対して、態度が煮え切らず、保育待機児童問題との対比で苦戦を強いられた。
この経緯については省くが、結局、この事業は阿部市長の前、高橋市長の段階で少しの初期投資があっただけで、打ち切ることになった。

その間、川崎市「中央部」の武蔵小杉駅周辺に超高層マンションを林立させ始め、横須賀線・湘南新宿ライン・成田エクスプレスの新駅を導入し、コンパクトシティの雛形とした。一方、北部は新百合ヶ丘駅を中心に昭和音大も入れて芸術祭を定着化、映画大学も誘導し、「南部」ではハコモノのミューザを逆手にとって「音楽のまち・川崎」を打ち出した。更に最近は「臨海部」を特区として再開発、新たな産業の基盤と成る研究開発施設の導入も進めている。

ハードとソフトに渡る施策の展開はスムースであったが、保育施設、高齢者施設は需要を賄い切れず、人口増加に伴う小中学校も対応できず、プレハブで凌ぐといった対応になっている。更に、学校給食は後手に回り、議会から促進の決議を受けるに至っている。

ところが、この状況に対して議会が出来ることは、単純化すれば「足らない、どうなっている」と言って行政を攻めるだけなのだ。これが結局、今回の市長候補選考に反映される。すなわち「阿部市政の継続」が基本姿勢なのだ。

市連「選考委」において、嶋崎氏は「超高齢化社会への対応が重要」、吉沢氏は「同僚市議らとまとめた政策集を訴えた」と話し、一方、秀嶋氏は「無限の可能性がある都市」と話したそうだ。

しかし、これでは何も新たな政策は無いに等しい。市議が市長と同じ土俵で勝負しても横綱と幕下の格差があるのは如何ともし難い。選考委の花として添えられた存在に甘んじざるを得ない。選考委では、秀嶋氏が示した政策や市の将来像などが高く評価され、委員17名の全員一致で決定したそうだ。

結論が決まっていたことは明らかだ。

市長選には他に、松沢衆院議員(みんなの党)の直系で、前回民主党推薦候補出馬した福田紀彦氏と、共産党系の君嶋千佳子氏が立候補を表明している。共に無所属で出るらしい。しかし、秀嶋氏が圧倒的に優位に立つことは間違いない。すると、投票率及び秀嶋氏の得票率が注目されるところだ。

ワクワク感があるとは思えないから、史上最低の得票率もあり得るだろう。

      
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