散歩から探検へ~個人・住民・市民

副題を「政治を動かすもの」から「個人・住民・市民」へと変更、地域住民/世界市民として複眼的思考で政治的事象を捉える。

物価上昇>賃金増、企業間格差も拡大~経済統計を読む(6)

2014年09月07日 | 経済
経済指標の7月(速報)が全体としてまとまった。消費増税後のGDP成長率落込み記事において、池田信夫氏を引用して述べた様に、4月以降の低下は消費増税以外の要因であることが、今回で更に明らかになった。
 『アベノミクス、インフレ・円安政策の破綻140807』

それは6-7月の統計データから以下のことが云えるからだ。
1)賃金増加は主として特別給与(ボーナス)に起因し、
2)更に“物価上昇>賃金増”が明瞭になり、格差も広がり、
3)加えて、低所得者層中心に、家計の実質消費も減少傾向である。

即ち、第1四半期のGDPデータにおいて、以下の様相を今後の予測に結びとけるには、各指標の7月速報を待つ必要があったからだ。
1)実質値で前期比1.7%減(年率換算6.8%減)、
2)マイナスは2四半期ぶりであり、
3)1-3月期(年率換算6.1%増)から急減した。
 『悪性インフラ、真綿で首を絞める140813』

「月間現金給与額(前年同月比)」7月速報(2014/9/2)
*事業所規模    5人以上      30人以上
 ・全調査産業合計 370千円(2.6%増) 423千円(4.1%増)
 ・製造業     523千円(5.0%増) 586千円(6.0%増)
 ・卸売・小売業  354千円(5.4%増) 402千円(7.4%増)
 ・医療・福祉   320千円(2.5%増) 359千円(3.0%増)
*一般労働者    481千円(2.7%増)
*パート労働者   101千円(0.7%増)

賃金は以下の4点がポイントになる。
(1)現金給与総額(370千円)の前年同月比、2.6%増(1,748円)
(2)上記内訳、月額給与(262千円)の前年同月比、0.9%増(2,360円)
(3)同上、ボーナス給与(108千円)の前年同月比、7.1%増(7,560円)
(4)実質賃金(物価変動対応総額)の前年同月比、1.4%減

6月に引き続きボーナス給与は増加したが、月給は微増に止まる。また、消費者物価指数を組み込んだ実質賃金は依然としてマイナスだ。

特に上記のデータに、労働者数(47百万人「事業規模5人以上」、27百万人「事業規模30人以上」)を考慮し、「事業規模5人以上30人未満」(20百万人)の現金支給総額を概算として算出すると、
 「290千円(0.1%減)」(比較「30人以上」423千円(4.1%増)
であり、元々の格差に加えて、給与額も増加せず、物価上昇の悪性インフラのため、実質賃金は大きく目減りし、格差もこの1年間で拡大した。

なお、この傾向は、
 パート労働者(14百万人)にとっても同様であり、
 「事業規模30人未満」パート労働者(7百万人)は更に厳しいと推定する。

一方で、雇用者数、就業者数は増加、完全失業者は減少しており(下記調査参照)、労働力不足を反映している。但し、多くはパート労働者であろうから、上記の様に低賃金であることは免れないと推定する。

「労働力調査」7月分(2014/8/29)
・就業者数 6357万人、前年同月比46万人増(19か月連続増)
・雇用者数 5600万人、前年同月比53万人増
・完全失業者 248万人、前年同月比 7万人減(50か月連続減)

以上のことから、生活の実態は家計においても明瞭に表れている(下記調査参照)。勤労者世帯実収入は昨年に比べ、大きく減少し、当然のことに、消費支出も同様の減少を示している。基本的には物価指数に反映される悪性インフラの影響がもろに、低所得者層の生活を直撃している。

「家計調査(二人以上の世帯)」7月分速報(2014/8/29)
・勤労者世帯実収入:55.5万円(前年同月比:実質6.2%減)
・消費支出:28.0万円(前年同月比:実質5.9%減、前月比:実質0.2%減)

「消費者物価指数:2010年基準」7月分(2014/8/29)
       2013/07 2014/03 2014/04 2014/07(前年同月比) 
・総合指数(1) 100.0   101.0  103.1  103.4(3.4%) 
・総合指数(2) 100.1   100.8  103.0  103.5(3.3%) 
・総合指数(3) 98.3    98.6  100.6  100.6(3.2%) 
 総合指数(2):総合指数(1)―生鮮食品
 総合指数(3):総合指数(1)―食料品(酒類を除く)・エネルギー

      


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