道内には、アイヌ語で「柵」、「囲い」、「砦」を意味するチャシの跡(チャシコツ)が、主要河川の流域を中心に500カ所を超えるまで確認されています。この中には、10世紀頃の擦文時代にまで遡るものや中世の所産と考えられるものもありますが、その多くはシャクシャイの戦いに前後する17世紀頃に造られたものと推定されます。
チャシ跡は、石狩川流域では支流を含めると40カ所以上が知られ、江別市内でも旧豊平川河畔の段丘上に2カ所確認(1カ所は消失)されています。
河野広道は、チャシ跡を
(1)岬や丘の異端を弧状の溝でもって区切った丘先式、
(2)崖に面する台地の一部に半円状または四角形の溝を巡らした面崖式、
(3)小丘の頂部に円形を周溝を巡らせた丘頂式、
(4)湖中や湿地中に孤立している丘や島に立地する弧島式、 に分類しています。
江別チャシは、両方とも丘先式に相当します。
チャシについては、祭場、談合場、漁撈、狩猟の見張り場などの機能も指摘されています。
江別のチャシも寛文年間のアイヌの勢力間、あるいは和人との抗争の際に構築された可能性がありますが、それを裏付ける具体的な史料はまだ発見されていません。
また、チャシを造ったアイヌの人々のコタン(集落)の場所も見つかっていません。
近世アイヌの遺構としては、チャシの他では元江別1遺跡で漆器や直刀等が副葬された伸展葬と思われる墓が一基見つかっているだけです。
この時代の江別のアイヌの状況は殆ど解明されていません。
註:江別市総務部『新江別市史」64-65頁.
写真:江別チャシ
同上書「図2-1江別チャシ」を複写掲載いたしております。
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