雑記帳

日常の出来事や、読んだ本のあらすじや感想など書いています。

紅雲町ものがたり

2011-07-27 19:45:55 | 
吉永 南央
文藝春秋
発売日:2008-01


吉永南央著"紅雲町ものがたり"を読みました。
杉浦草(そう)は76歳、65歳の時に家を古民家風に
建て直しコーヒー豆と和食器を売る小蔵屋という店を
経営しています。
お店ではコーヒーを無料で飲むことができます。

帯にはそうそうたる作家さんの賞賛の言葉が載っています。
でも読み終わった後の印象って薄いんです。
もうどんな内容だったか忘れてしまいました。
連作短編集になっています。

最初の"紅雲町のお草"が一番よかったかな。
お客さんの会話からマンションの一室で虐待が行われて
いるのではないかと疑ったお草さんがマンションの
まわりをうろうろしていて徘徊老人と間違われてかりかり
する様子はおかしくもほろ苦い感じです。
出会った泥棒を仲間にして家の様子を見にいかせます。
そしてなんとほんとうに虐待されていた人がいて泥棒さんが
助け出してきます。
虐待の問題は苦々しいです。もう少しで死んでしまう
所を助け出されました。病院には連れていけないという
心理になっているのでしょうが、本当に死んでしまったら
もっと状況は悪くなるのに身動きできなくなってしまう
のでしょうか。
死んでもしょうがないと思いながら同じ家にいる人達を
思うと寒々としてきます。

"クワバラ、クワバラ"
草さんの小学生時代の同級生桑原は意地悪で嫌がらせ
ばかりしてきました。
現在裕福に暮らしている桑原さんですが草さんの前に
現れまた嫌がらせを始めます。
彼女の大人になっても癒されない悲しさと心持ちを
ちょっと変えさせる品物の出現です。

"0と1の間"
草さんのパソコンの個人教授白石の問題を描いています。
両親が離婚して離れ離れになった家族がいて満たされない
心を抱えた人がいます。
力を抜いて、人に頼ったりたよられたり。
自然に道が見えてくる。
そうですね。

"悪い男"
運送屋さんの寺田さんは学生時代の友人竹田にお金を
だましとられたことがあります。
竹田がお金を返しにきました。
その後、竹田が泥棒として警察につかまりました。
竹田にありばいがあるのに言いません。草、寺田たちが
調べ始め意外な事実がわかってきます。

"萩を揺らす雨"
草さんの心の中に大谷に対する秘めた恋心があります。
それなのに大谷と愛人鈴子との間の連絡係りを長年
務めてきました。
鈴子が亡くなり代理で葬儀に出席しました。
大谷と鈴子の息子に会います。
息子は何かの事件に巻き込まれている様子です。

こうやって書き残しておかないとすっかり頭から
抜け落ちてしまいそうです。
でも気楽に読める本です。電車の中で読むのに
適当です。