小説家、精神科医、空手家、浅野浩二のブログ

小説家、精神科医、空手家の浅野浩二が小説、医療、病気、文学論、日常の雑感について書きます。

七夕の日の恋(小説)(上)

2016-08-18 13:08:48 | 小説
七夕の日の恋

平成28年の、夏である。
その日は、7月6日だった。
連日の、猛暑で、夏バテで、僕は、まいっていた。
子供の頃は、夏が来ると、単純に嬉しかった。
しかし、大人になると、夏になるのは、子供の時と、同様に、嬉しかったが、連日の猛暑で、夏バテして、いささか、夏の到来を、素直には、喜べなくなっていた。
それと、もう一つ、嫌なことが、あった。
二年に一度の、車の車検の期限が、1週間後の、7月14日で、切れるからである。
今年は、車検が切れる年だった。
だいたい、車検にかかる費用は、10万円くらいだろう、と思っていた。
いつも、そうだったからだ。
しかし、去年、ある時、バックした時に、電信柱に、車をぶつけてしまい、車の後ろが、少し凹んでしまった。その時から、電気系統が故障したのか、ドライブにギアチェンジすると、「D」の、ランプが点かなくなった。
しかし、運転には、問題ないので、そのまま、乗っていた。
僕の車は、旧型マーチだった。
今回の車検は、いくら、かかるのだろうか、と、日産のディーラー店に、入ってみた。
車検は、7月14日で、切れるから、あと、1週間である。
「車検にかかる費用、見積もってもらえませんか?」
と僕は聞いた。
「はい。わかりました」
と、店の人が言った。
店では、新車を売っているが、店の裏に、修理場があって、修理工が、働いている。
僕は、自動車の、修理工を立派だと思っていた。
毎日、油にまみれ、汚れた服で働いて。
働く、とは、ああいうことを、言うものだ、と僕は思っていた。
一時間、くらいして、店の人が、やって来た。
それで、見積もりの明細を見せてくれた。
部品交換と、工賃が、バーと、並んでいて、合計で、18万円だった。
僕は、あせった。
僕は、車検にかかる費用が、10万、程度なら、買い替えることなく、乗り継ごうと思っていた。
僕は、車の事情については、素人だか、それでも。18万ともなれば、もう少し、金を出せば、中古車が買える。
ボロボロになった、車を、18万も出して、乗り続けるよりは、あらたに中古車を買い替えようと、思った。
僕は、スズキのラバンが欲しかったので、スズキのディーラー系の中古車店に行くことに決めた。
ディーラー系の中古車店は、アフターサービスがいいからである。
そのぶん、値段が、高目だが、表示価格10万とかの、激安車は、諸経費が10万円、くらい、かかって、合計20万円くらいになり、1年、以内に、色々と、故障個所が出てきて、結局は、修理に次ぐ、修理となってまう。
なので、多少、高目でも、信頼できる、ディーラー系の中古車店の中古車を買った方が、いいと信じ込んでいた。
国道467号線は、中古車通り、と、言われるくらい、道路の左右に、無数の中古車店がある。
しかし、ある中古車店で、表示価格1万円の、激安中古車が目に止まった。
ラパンだった。
激安中古車なんて、走行距離は長いし、年式も古いし、色々と、性能に問題があって、修理しなくてはならないから、結局は、高くつく。
しかし、そのラパンは、車検2年つき、で、年式も、平成26年式で、走行距離も、1万km、と、信じられないくらい、いい条件だった。
僕は、一応、店に入ってみることにした。
僕は、中古車店に車を入れた。
「こんにちはー」
僕が、大きな声で、呼ぶと、中から、男が出てきた。
「はい。私が、この店の店長です。ご用は何でしょうか?」
男が言った。
「店頭にある、表示価格1万円のラパン、なんですけど。諸経費は、いくらですか?」
僕は、聞いた。
大体、中古車なんて、表示価格は、下げて、安く見えるようにして、諸経費は、最低でも、10万は、かかるものである。
その諸経費に、ある程度の金額を水増しして、諸経費で、儲けているのだろう。
ガリバーなんて、諸経費が、40万もする。
「あの、ラパンは、本体と諸経費、込みの、全額で、一万円です」
これは、ちょっと、安すぎる、と、僕は、おどろいた。
「どうして、そんなに安いのですか?」
「まあ。ちょっと、事情があって」
そう言って、店長は、へへへ、と笑った。
どうせ、事故車とか、性能に問題のある車だろうと思った。
僕は、性能が気になった。
たとえ、安くても、性能が、悪くて、すぐに、故障してしまうのでは、意味がない。
それで。
「ちょっと、試運転しても、いいですか?」
と、店長に聞いた。
「ええ。いいですよ」
と、店長は、言ってくれた。
僕は、すぐに、ラパンに乗り、店を出た。
乗り心地は快適だった。
僕は、すぐに車買い取り店、ガリバーに行って、車の性能を見てもらった。
「別に、問題は、ありませんよ。ほとんど、新車同様です。事故を起こさなければ、5年間は、修理なしで、乗れるでしょう」
と店員は、言った。
「あのー。売るとしたら、いくらで買ってくれますか?」
僕は聞いた。
「そうですねー。新車同様ですから、大体、50万円で、買いますよ」
ガリバーの人は、そう言った。
僕は、中古車店にもどった。
僕は、車を買うことにした。
「じゃあ、このラパン、買います」
僕は、そう言って、一万円札を、渡した。
「毎度、ありがとうございます」
店長は、やけに、嬉しそうに言った。
「今、乗っているマーチ。廃車にしたいんですけれど・・・」
僕は言った。
「ええ。廃車の処理は、やっておきますよ」
店長は、やけに、嬉しそうだった。
こうして、僕は、一日で、マーチから、ラパンに乗り換えることが出来た。
(やった。もうけものだ)
と僕は思った。
僕は、事故車だの、何だのには、関心がなかった。
(どうせ、こんな激安車だ。そのうち、故障が起こるかもしれない。しかし、故障が起こっても、たかが、一万円の損だ。それに、ガリバーの人も、新車同様と言ってくれた。一ヶ月でも、乗れれば、御の字だ。故障した時、修理代が、10万円、以下だったら、修理して乗ろう。修理代が高かったら、ガリバーで、売るなり、廃車にして、別の車を買うなりすれば、いいや)
と、僕は思った。

翌日。
さっそく、僕は、新しく買ったラパンで、大磯ロングビーチに行くことにした。
僕は、朝の8時に、アパートを出た。
大磯ロングビーチは、朝9時から、入場開始である。
途中、日焼け止めのオイルを買うために、僕は、コンビニに、入った。
そして、日焼け止めのオイルと、ついでに、ポカリスエットを買って、車にもどって、エンジンを駆けて、車を走らせた。
僕は、鼻歌を歌いながら、いい気分で、走っていた。
そのうち、赤信号の交差点になった。
僕は、ふと、バックミラーを見た。
20代に間違いない、きれいな、女の人が、後部座席に乗っていた、からだ。
僕は、びっくりした。
「あなたは、誰ですか?」
僕は聞いた。
「佐藤由香里といいます」
彼女は答えた。
「どうして、この車に乗っているのですか。というか、どうやって、この車に乗ったのですか?」
僕は聞いた。
「あ、あの。さっき、あなたが、コンビニの駐車場に、車をとめた時に、勝手に、入ってしまいました。ごめんなさい」
彼女は答えた。
僕は、さっき、コンビニに、入った時、車にキーをかけるのが、面倒なので、キーを、かけずに、コンビニに入った。
彼女は、僕が、コンビニに、入った隙に、車に、乗り込んだんだろう。
「でも、どうして、僕の車に乗り込んだんですか?」
僕は、疑問に思って、聞いた。
「あ、あの。私。あのコンビニで、親指を上げて、ヒッチハイクしていたんです。でも、どの車も、止まってくれなくて・・・。それで、勝手に、あなたの車に乗り込んでしまったんです。ごめんなさい」
と、彼女は言った。
「そうですか。でも、あなたのような、きれいな人なら、止まってくれる車も、あったんじゃないでしょうか?」
僕は、疑問に思って、聞いた。
「いえ。男の人が、運転している車は、みんな、助手席に、彼女が、乗っていて・・・止まってくれませんでした」
と、彼女は言った。
それは、もっともなことだ、と、僕は、思った。
彼女とのドライブなら、たとえ、美人であっても、見知らぬ女を、男は、乗せたりはしない。
彼女との、二人きりの、アツアツを、楽しみたいからだ。
「でも、車の数は多いです。男一人の車も、何台かは、あったのでは、ないでしょうか?」
僕は聞いた。
「ええ。確かに、男の人が一人で運転している車も、数台は、ありました」
「では、なぜ、その車に、ヒッチハイクの合図をして、乗らなかったのですか?」
「男の人が、なんだか、みんな、エッチなこと、してきそうに思われて、こわかったんです」
彼女は答えた。
「僕は違うんですか?」
「ええ。あなたは、真面目で、優しそうに、見えたので・・・」
「そうですか。そう言ってもらえると、嬉しいです」
人間は、なかなか、自分を客観視できないものである。
僕は、女性に、そのように、見られていることに、嬉しくなった。
「ところで、あなたは、どこに、行くのが目的なんですか?」
僕は聞いた。
「えっ」
と、彼女は、言葉を詰まらせた。
「ヒッチハイクするっていうのは、行く目的地があるからじゃないですか。それを、教えてもらえないと、あなたを、目的地に連れていけないじゃないですか」
僕は聞いた。
「私を、私の目的地まで、連れていって下さるのですか?」
「ええ」
「でも、あなたも、どこかに、行く予定があるんじゃないんでしょうか?」
彼女が聞いた。
「え、ええ。そりゃー。ありますけれど、急ぐ用でもないし、あなたを、あなたの、目的地まで、連れていきますよ」
僕は言った。
「やっぱり、思った通り、優しい方なんですね」
彼女は、嬉しそうに言った。
「そうでしょうか?」
僕は、聞き返した。
「そうですわ。男なんて、女を、ヒッチハイクしたら、みんな、呈のいいことを言って、結局は、100%、ラブホテルに、連れ込みますわ。それが、こわいから、女は、ヒッチハイクがこわくて、出来にくいんです」
彼女が言った。
「そんなものですか?」
僕は、友達づきあい、が、ほとんどないので、彼女がいないのは、もちろんのこと、世の男が、どういうことを、考えているのかも、あまり知らなかった。
「ええ。そんなものです」
彼女は言った。
「ともかく、あなたの行く目的地を教えて下さい」
僕は彼女に聞いた。
「あ、あの。私の目的地なんて、ないです」
彼女は、あっさり、言った。
僕は、おどろいた。
「じゃあ、なんで、僕の車に乗り込んだんですか?」
「あなたと、ドライブして、少し、お話しがしたかったからです」
「ええっ。本当ですか?」
僕は、耳を疑った。
「ええ。本当です」
彼女は、あっさり、言った。
「じゃあ。あなたが、僕の車に、乗り込んだのは、僕と、ドライブするためですか?」
僕は聞いた。
「ええ。そうです」
僕は、信じられない思いだった。
なにか、裏があるんじゃないか、とも、考えた。
しかし、まあ、ともかく、彼女の言うことを、素直に信じることにした。
「うわー。嬉しいなー。あなたのような、きれいな人と、ドライブ出来るなんて・・・。夢のようだ。僕、女の人と、つきあったことが一度もないんです。僕は、岡田純と言います」
僕は、飛び上がらんばかりに、喜んで、そう言った。。
「ところで、あなたは、どこへ行く予定だったんですか?」
彼女が聞いた。
「僕は、大磯ロングビーチに、行こうと、思っていました」
僕は、答えた。
「じゃあ、私も、大磯ロングビーチに、連れて行って下さい」
彼女が言った。
「本当に、いいんですか?」
僕は彼女に確かめた。
「ええ」
彼女は、あっさり、言った。
「うわー。嬉しいな。僕、女の人と、大磯ロングビーチに、行くのが、夢だったんです」
僕は、信じがたい思いだった。
しかし、バックミラーから、見える彼女の顔は、嬉しそうに、ニッコリ笑っていた。
しばし行くと、道の左手に、コンビニが、見えてきた。
「そうとわかれば・・・」
僕は、そう言って、左のウィンカーランプを点けて、左折して、コンビニの駐車場に入った。
そして、車を止めた。
「さあ。佐藤由香里さん。後部座席ではなく、助手席に乗って下さい」
そう言って、僕は、ドアロックを解き、助手席のドアを開けた。
「はい」
彼女は、僕の要求どおり、後部座席から出て、助手席に乗った。
「由香里さん。飲み物は、何がいいですか?」
僕は彼女に聞いた。
「何でも、いいです」
彼女は、答えた。
「では、オレンジジュースで、いいですか?」
「はい」
僕は、コンビニに、入って、500mlの、ペットボトルの、オレンジジュースを買い、ストローを一本、貰って、車にもどった。
「はい」
と言って、僕は、彼女に、オレンジジュースを渡した。
「ありがとう。純さん」
と、彼女は、礼を言って、オレンジジュースを、受けとった。
僕は、エンジンを駆けて、車を走らせた。
「咽喉が、渇いたでしょう。オレンジジュースを飲んで下さい」
僕は、運転しながら言った。
「はい」
彼女は、ペットボトルの蓋を開け、ストローを、その中に入れ、オレンジジュースを飲んだ。
コクコクと、彼女の咽喉が、動く様子が、可愛らしかった。
「僕も、咽喉が、渇いたなあ」
僕は、思わせ振りに言った。
「あ、あの。純さん。私が口をつけてしまった、オレンジジュースですが、飲まれますか?」
彼女が聞いた。
「ええ。飲みたいです。でも、僕は、運転しているから、手を離せません。片手運転は危険です」
僕は、思わせ振りに言った。
「で、では・・・」
そう言って、彼女は、ストローの入った、オレンジジュースを、僕の口の所に持ってきた。
僕は、ストローを口に含み、オレンジジュースを、啜った。
「ふふふ。これで、由香里さんと、間接キスしちゃった」
僕は、そんなことを言って、笑った。
彼女は、少し、恥ずかしそうに、顔を赤らめた。
「由香里さん。何か、歌を歌ってくれませんか?」
僕は彼女に頼んだ。
「何がよろしいでしょうか?」
「何でもいいです。由香里さんの、好きな歌を歌って下さい」
「わかりました。では、小坂明子の、あなた、を歌います」
そう言って、彼女は、小坂明子の、あなた、を歌い出した。
「もーしもー。わたしがー、家をー、建てたなら―。小さな家を建てたでしょう・・・♪」
彼女の歌は、上手かった。
「いやー。由香里さん。歌。上手いですね。歌手になれますよ」
僕は、感心して言った。
お世辞ではない。
「い、いえ。そんなに・・・」
彼女は謙遜して、顔を赤らめた。

そうこうしている、うちに、大磯ロングビーチに、ついた。
僕たちは、車を降りた。
「純さん」
「はい。何ですか?」
「あ、あの。私。水着、持っていないんです」
彼女は言った。
「ははは。大丈夫ですよ。場内で売っていますから」
「大人二人。一日券」
と言って、僕は、入場券を買い、大磯ロングビーチに入った。
僕は、場内にある、水着売り場で、彼女に、セクシーな、ビキニを買ってあげた。
ビキニ姿の、彼女は、ものすごくセクシーだった。
僕は、スマートフォンで、彼女の、ビキニ姿を、何枚も撮った。
そして、僕と彼女が、手をつないでいる写真も、何枚も撮った。
僕と彼女は、ウォータースライダーや、流れるプールで、うんと、楽しんだ。
「今日は、僕の人生で、最高に幸せな一日です」
僕は彼女に、そう言った。
し、実際、その通りだった。

12時を過ぎ、1時に近くなった。
「由香里さん。何か、食べましょう。由香里さんは、何が食べたいですか?」
僕は彼女に聞いた。
「私は、何でも、いいです。純さんと、同じ物でいいです」
と、彼女は言った。
「そうですか。じゃあ、焼きソバでいいですか?」
「ええ」
僕は、焼きそば、を、二人分、買った。
そして、彼女と一緒に食べた。
「あ、あの。純さん」
「はい。何ですか?」
「私。純さんに、言わなくてはならないことがあるんです。そして、謝らなくてはならないことがあるんです」
彼女は、あらたまった口調で、言った。
「はい。何でしょうか?」
「このことは、最初に言うべきだったんです。ですが、純さんが、優しくて、私も楽しくて、つい、言いそびれてしまいました。本当に、申し訳ありません」
と、彼女は、深刻な口調で言った。
「はい。それは、一体、何でしょうか?」
僕には、どういうことか、さっぱり、わからなかった。
彼女に、何か、謝るべきことなど、僕には、さっぱり思いつかなかった。
「あ、あの。私。実は、幽霊なんです」
彼女は言った。
「そうですか」
僕は、あっさりと言った。
「あ、あの。純さんは、幽霊がこわくないんですか?」
彼女は聞いた。
「こわくありませんね。僕は、幽霊の存在なんて、信じていません。し、仮に、幽霊がいたとしても、こわくありません」
僕は、キッパリと言った。
「僕は、唯物主義を信じていて、精神も、脳の神経回路の活動によるものだと、確信しています。物質によらない、精神の存在など、無いと、信じています。なので、もちろん、無神論者だし、「神」だの、死後の、「天国」だの、「地獄」だのも、もちろん、存在しない、と、確信しています。それらは、人間の想像力が、生み出した、産物だと確信しています」
と、僕は、自分の信念を、言った。
「そうですか。でも、本当に、私は、幽霊なんです」
と、彼女は言った。
「由香里さん。それにですよ。仮に、あなたが、幽霊だとしても、あなたは、僕に、何の危害も加えません。なので、由香里さん、が、仮に、幽霊だとしても、僕はこわくは、ありません」
と、僕は、キッパリと言った。
「純さん、や、多くの人々が、唯物論を信じるのは、無理のないことだと思います。だって、神さまは、幽霊や、霊魂や、死後の世界などを、知らせると、人間が、こわがって、しまって、人間世界が、混乱してしまう、ことを、心配して、人間には、それらのことは、知らせませんもの」
と、彼女は言った。
「そうですか」
と、僕は、言った。
なるほど、彼女の言い分にも、一理あるな、と思った。
人間は、一度、死んだら、生きかえることは、出来ない。
死んで、その後、生きかえって、死後、人間は、どうなるのか、その体験を、語った人間は、いないのだから。
だから、人間は、死後、どうなるのかは、本当は、わからないのである。
物質に全く依存しないで、独立して、存在する、精神、というものも、無い、と、科学的に、証明されてはいない。
僕は、証明されていない事は、信じることも、否定することも、しない主義である。
なので、彼女の言うことを、僕は、頭から、否定する気には、なれなかった。
彼女の言うことを、傾聴しようと思った。
「あなたが、幽霊だと、言うのなら、一応、それを信じましょう」
僕は、言った。
「信じてくれて、ありがとうございます」
と、彼女は言った。
「ところで、あなたは、さっき、僕に、謝らなくてはならないことが、ある、と、言いましたよね。それは、一体、何なのですか?」
僕は、彼女に聞いた。
「そのことなんです。単刀直入に、率直に、正直に言います。私は、幽霊です。そして幽霊である、私と一日、付き合った人間は、一年間、寿命が短くなるんです。もう、私は、純さんと、一日、つきあいましたから、純さんの寿命は、一年間、短くなっているんです。これは、最初に言うべきでした。ごめんなさい」
と、彼女は、涙を流しながら、謝った。
「そうですか。でも、別に、僕は、それでも構いませんよ」
僕は言った。
「どうしてですか。純さんは、寿命が短くなることが、こわくは、ないのですか?」
彼女は聞いた。
「こわくは、ないですね。人間は、いつかは、死にます。それが、一年、短くなったからといって、僕は、別に気にしません。僕は、人間の価値は、いかに長く生きるか、ではなく、生きている間に、何事をなすか、だと思っています。今日、あなたと、楽しく過ごすことが出来た、一日は、歳をとって、寝たきりになって、何も出来ないで、過ごす、一年間より、はるかに、価値があると、思っています。それに、あなたが、幽霊だという主張は、僕は、一応、信じることにしているだけで、僕は、あなたが、幽霊だという主張を、完全には、信じては、いませんし、僕の寿命が一年、短くなった、という、あなたの、主張も、完全には、信じることは、出来ませんから」
と、僕は言った。
「ありがとうございます。そう言って、いただけると、この上なく嬉しいです」
と、言って、彼女は、また、泣いた。
「由香里さん。ところで、あなたは、どうして幽霊になってしまったのですか?」
僕が聞くと、彼女は、また、ポロポロと、涙を流し出した。
そして、語り出した。
「私は、純さん、が、買った車に、はねられて、死にました。大学を卒業して、晴れて、ある、アパレル会社に就職した、社会人一年目の年です。真夜中に、あの車を運転していた人に、はねられて、死んでしまったのです。はねた人は、真夜中で、誰も周りに人はいませんでしたが、すぐに、車を止めて、警察と、消防に、連絡してくれました。でも、私は、アスファルトの道路に、頭を強くぶつけていて、即死でした。ですから、私は、彼を怨んではいません。でも、私も、男の人と、一度もつき合ったことが、なく、どうしても、優しい男の人と、楽しい恋愛を、楽しみたい、という願望が、あまりにも、強くあって、それが、心残りで、どうしても、成仏できないのです。それで、成仏できずに、あの車に、幽霊として、居続けることになってしまったのです」
と、彼女は語った。
僕の心は、彼女の主張を信じる方に、かなり傾いた。
中古車店の、店長が、あんなに、新車に近い、いい、車を、ほとんど、タダに近い、安い金額で、売ってくれたことの理由が、彼女の訴えによって、説明が、つくからだ。
僕は、彼女の言うことを、一応、信じることにした。
「そうだったんですか。それは、気の毒ですね。あなたは、今まで、とても、つらい思いをしてきたんですね。でも、さっき、言った通り、僕は、年老いて、寝たきりになってからの、一年、より、今日の、あなたとの楽しい一日の方が、はるかに、価値があるんです。ですから、気にしないで下さい。今日は、うんと、楽しみましょう」
と、僕は言った。
「ありがとうございます。純さん」
そう言って、彼女は、涙をポロポロ流した。

その後は、もう、彼女とは、辛気臭い、暗い話はせず、波のプール、や、流れるプールで、彼女と、水をかけあったり、つかまえっこをしたりと、うんと、夏の楽しい、一日を過ごした。

時計を見ると、もう、4時30分だった。
大磯ロングビーチは、以前は、6時まで、営業していたが、最近は、不況で、経営が厳しく、午後5時で、閉館となっていた。
もう、あと、30分しかない。
昨日から、平塚七夕まつり、が、始まって、今日は、2日目だった。
「由香里さん。今日は、平塚七夕まつり、を、やっています。行きませんか?」
僕は、彼女に聞いた。
「ええ。ぜひ、行きたいわ」
彼女は、ニコッと、笑って答えた。
僕と彼女は、大磯ロングビーチを、出た。
そして、国道1号線を、走って、平塚駅に向かった。
東海道線の下りで、平塚の次が、大磯で、一駅、だけで、距離も、4kmなので、すぐに、平塚に着いた。
平塚七夕まつり、は、関東三大七夕まつり、の一つである。
来場者は、145万人と、大規模である。
平塚駅の北口の、駅前の、三つの、大通りには、隙間の無いほど、びっしりと、露店が、並んでいた。
大勢の人が、賑やかに行き来していた。
僕と彼女は、金魚すくい、を、したり、焼きトウモロコシ、や、綿アメを、食べたりした。
「金魚すくいって、可哀想ですね」
と、彼女は、言った。
「どうしてですか?」
僕は聞いた。
「だって、金魚は、弱って、動きの鈍い、金魚ばかりが、狙われるんですもの」
と、彼女は、言った。
「そうですね。でも、すくった金魚を、家に持ち帰りたい人は、元気な金魚を狙うんじゃないんですか」
と、僕は言った。
こんな、他愛もないことでも、お祭りは、楽しいのである。
僕は、彼女と、手をつないで、露店を見ながら歩いた。
彼女が、浴衣でないのが、ちょっと残念だった。
通りの中には、お化け屋敷、があった。
入場料、500円と書いてある。
「由香里さん。あれに入って、みませんか?」
僕は、彼女に言った。
「え、ええ。でも、なんだか、こわそうだわ」
彼女は言った。
「何を言ってるんですか。お化け屋敷なんて、人間を、こわがらせるために、巧妙に、わざと、こわく見えるように、作った偽物であって、本当の、お化け、なんかじゃないですよ。その点、あなたは、幽霊じゃないですか」
と、僕は言った。
「でも、本当に、こわいんですもの」
と、彼女は言った。
「ともかく、入りましょう」
と、言って、僕は、二人分の、入場料の、1000円を、払って、彼女と、お化け屋敷、に、入った。
彼女は、入る前から、こわいのか、私の腕をガッシリと、握っていた。
お化け屋敷、の中は、うす暗かった。
お岩さん、や、ろくろ首、や、フランケンシュタイン、や、ドラキュラ、や、化け猫、や、ミイラ、などが、バッと、いきなり、出てきた。
その度に、彼女は、
「うわー」
「きゃー」
「ひいー。こ、こわいー」
と、大声で、叫んで、僕に、ガッシリと、しがみついた。
僕は、こんなのは、全然、こわくなかったので、平然としていた。
そして、やっと、お化け屋敷、を出た。
「ああ。こわかったわ。こわくて、ショック死するかと思ったわ」
と、彼女は、ハアハアと、息を荒くしながら、言った。
僕は、ははは、と、笑った。
「何を言ってるんですか。あなたは、幽霊で、もう、死んでいるんじゃないですか。死んでいる幽霊が、死ぬかと思った、なんて、発言は、矛盾していますよ」
僕は、やはり、彼女は、幽霊ではないのではないか、と思った。
「でも、本当に、こわかったんですもの」
と、彼女は言った。
「そうですか」
幽霊とは、そんなものなのか、と、僕は、ちょっと、違和感を感じた。
お化け、を、こわがる幽霊というのも、変なものだと思った。
「本当に、こわいのは、あなたの方ですよ。だって、あなたは、幽霊なんですから」
と、僕は彼女に言った。
「じゃあ、純さんは、何で、私を、こわがらないんですか?」
彼女は僕に聞いた。
「それは、あなたが、こわい容貌ではなく、美人で、可愛いからです。それと、僕は、あなたが、幽霊であるとは、完全には、信じ切っていません。車の値段が、安すぎるのが、いまだに、不思議ですが、あなたが、幽霊だというのなら、車の値段が、安かった説明が、あなたの主張によって、つくから、一応、信じることに、しているだけ、だからです」
と、僕は言った。

「由香里さん。もう、帰りましょう」
「はい」
僕と、彼女は、駐車場に停めておいた、車にもどった。
「純さん。今日は、楽しかったです。ありがとうございました」
「僕も、楽しかったです。今日は、最高に楽しい一日でした。ありがとうございます。由香里さん」
「あ、あの。純さん」
「はい。何でしょうか?」
「これからも、私と、つきあってくれますか?」
「ええ。大歓迎です」
「でも、私は、幽霊ですから、一日、私とつきあうと、純さんの寿命が一年、縮まりますよ。それでも、つきあって下さいますか?」
「僕は、あなたを、まだ、完全に、幽霊だと、信じ切ることが、出来ないのです。だから、その質問には、答えようが、ありません。あなたが、幽霊だということを、証明することが、出来ますか?」
「わかりました。では、証明します。それでは、一度、車から、降りて、私の写真を撮って下さい」
彼女は、そう言った。
僕は、彼女に、言われた通り、車から、降りた。
彼女も車から出た。
彼女は、車の前に、立った。
「さあ。純さん。車を背にして、立っている、私の、写真を、たくさん、撮って下さい」
彼女は言った。
「はい。わかりました」
僕は、車を背にして、立っている、彼女の、写真を、たくさん、撮った。
「純さん。私の顔写真も、たくさん、撮って下さい」
彼女は言った。
「はい。わかりました」
僕は、彼女の、顔写真も、たくさん、撮った。
彼女は、口を、アーンと、大きく開いた。
「純さん。口を開けている、私の顔も、撮って下さい」
彼女に言われて、僕は、口を開けている、彼女の顔も、撮った。
こんな事をして、何になるのかと、僕は、疑問に思いながら。
「では、AKB48の、ヘビーローテーションを、踊りながら、歌いますので、その動画も、撮って下さい」
彼女は言った。
「はい。わかりました」
彼女は、車の前で、踊りながら、歌い出した。
「ポップコーンが、弾けるように、好きという文字が躍る・・・・♪」
彼女の歌は、上手かった。
しかし、こんな事をして、何になるのかと、僕は、疑問に思っていた。
歌い終わると、彼女は、
「では。車にもどりましょう」
と、彼女が言った。
僕と、彼女は、車にもどった。
彼女は、助手席に座った。
「純さん。私の指紋をとって下さい」
彼女が言った。
僕は、彼女の指紋をとった。
「純さん。私の髪の毛を、数本、とって下さい」
彼女が言った。
僕は、彼女の、髪の毛を、数本、とった。
「では。私が、幽霊だということを、証明します。茅ヶ崎に、私の実家がありますので、そこへ行って下さい。場所は、私が、案内します」
「わかりました」
僕は、車のエンジンを駆けた。
そして、国道一号線を、藤沢の方に、向けて、走り出した。
彼女は、「そこの交差点を左に」とか、「そこの交差点を右に」とか、言った。
僕は、彼女の言う通りに、車を運転した。

「純さん。車を止めて下さい」
彼女が言ったので、僕は、車を止めた。
「あそこの、二階建ての、青い屋根の家が、私の実家です」
そう言って、彼女は、少し先にある、二階建ての、青い屋根の家を指差した。
「では。純さん。私の家族に、さっき、スマートフォンで、撮った、写真や、動画を、見せて下さい。そうすれば、私の言っていることが、本当だということが、証明できます。私は、ここで待っています」
彼女は、自信に満ちた口調で言った。
「わかりました」
そう言って、僕は車を降りた。
そして、二階建ての、青い屋根の家の前に行った。
表札には、「佐藤圭介」、と、書いてある。
彼女の苗字は、「佐藤」だから、合っている。
僕は、チャイムを押した。
ピンポーン。
家の中で、チャイムの音が、響くのが、聞こえた。
「はーい」
女性の声が聞こえて、パタパタ、走ってくる音が聞こえた。
すぐに、玄関が開いた。
一人の、中年の、女性が姿を現した。
「どちらさまでしょうか。ご用は何でしょうか?」
女性は、僕を見ると、そう聞いた。
「あの。ここは、佐藤由香里さんの、お宅でしょうか?」
僕は聞いた。
「由香里は死にました。あなたは、どなたでしょうか?」
女性が聞いた。
「ちょっと、由香里さん、と、縁のある者です。由香里さんに関して、お聞きしたいことが、あります。なので、少し、お話しを聞かせて欲しいのです」
僕は言った。
「由香里の、生前の、お友達ですか?それなら、どうぞ、お入り下さい」
そう言って、彼女は、僕を家に入れてくれた。
僕は、居間に通された。
「どうぞ。お座り下さい」
僕は、彼女に勧められて、居間のソファーに座った。
「あなたは、由香里さん、と、どういう関係の人でしょうか?」
僕は聞いた。
「私は、死んだ由香里の母です」
と、彼女は言った。
「そうですか」
と僕は、言った。
確かに、顔が、彼女と、似ている。
「ところで、あなたは、由香里と、どういう関係の人でしょうか?」
今度は、彼女が僕に、聞いた。
「僕は、由香里さん、の友達です」
僕は言った。
「そうですか」
彼女は、少し、憔悴ぎみの顔で言った。

「あの。これを見て欲しいのです」
そう言って、僕は、スマートフォンを、テーブルの上に置き、さっき、撮った、写真や、動画を再生して見せた。
「ああっ。由香里だわ。これは、いつ、撮られたのですか?」
母親は聞いた。
「少し前です」
僕はそう言った。
「この人は、本当に、あなたの、娘さんの、由香里さん、ですか?」
僕は、念を押すように聞いた。
「間違いありません。これは、娘の由香里です。母親の私が、娘を間違うはずなど、ありません。右足の甲に、由香里の、ほくろ、も、ありますし、右の眉毛の所に、子供の頃、怪我をして、縫った小さな傷痕もありますし、口を開けている写真では、右下の奥から二本目に、治療した、銀歯も、ありますし。娘が、得意だった、ヘビーローテーションの、踊り方も、声も、娘に間違いありません」
母親は、昔を思い出して、少し涙ぐんで言った。
「それに、由香里が着ている服は、由香里が、事故で死んだ時に、着ていた服です」
母親は言った。
「でも、不思議ですわ」
母親が言った。
「何がですか?」
「由香里が背にしている車は、由香里が、はねられた車です。青のラパンです」
「そうですか。でも、青のラパンなど、いくらでも、走っています。由香里さん、が、はねられた車か、どうかは、わからないでは、ないですか?」
「それは、その通りですね。ところで、こういう写真を持っているということは、あなたは、由香里と、かなり、親しい仲だったんですね?」
「え、ええ。まあ、そうです」
と、僕は言った。

「ところで、由香里さん、の写真は、ありますか?」
僕は聞いた。
「ええ。あります。ちょっと、待っていて、下さい。由香里の部屋に行って、とってきます」
そう言って、母親は、階段を昇っていった。
そして、母親は、すぐに、アルバムと、パソコンを、持って、もどってきた。
「これが、由香里の写真です」
そう言って、母親は、アルバムを開いた。
アルバムには、彼女の子供の頃から、大学の卒業式、や、会社に入社した時の、写真が、たくさん、載っていた。
確かに、それは、由香里さん、だった。
高校生の頃の、彼女の写真も、今の、彼女の面影がある。
「これも、見て下さい」
母親は、そう言って、パソコンのディスプレイを、表示させた。
「これは、由香里が、友達と、飲み会をした時に、カラオケ喫茶で、由香里の友達が、撮影してくれた動画です」
そう言って、母親は、スタートボタンを押した。
パソコンのディスプレイに、彼女が、AKB48の、ヘビーローテーションを、踊りながら、歌っている、動画が、映し出された。
その、声も、踊り方も、さっき、見た、彼女の、ヘビーローテーション、と、全く、同じだった。
「うーん」
僕は、唸った。
やはり、彼女は、彼女が言うように、幽霊なのかも、しれないな、と、僕は、思うようになった。
「あなたは、由香里と、親しかった人なんですね?だって、一緒に、レジャープールに行くほどなんですから」
母親が聞いた。
「ええ。そうです」
僕は答えた。
「では。由香里の冥福を、祈って、焼香してやって下さい」
母親が言った。
僕は、二階の、由香里さん、の部屋に入った。
由香里さん、の、写真が祀られた、額縁と、由香里さん、の、位牌が、あった。
僕は、手を合わせて、由香里さん、の、冥福を祈った。
「由香里さん、が、死んだ、ということを、僕は、最近、知りました。ちょっと、変わった、お願いがあるんですが・・・」
僕は言った。
「はい。何でしょうか?」
母親は、聞き返した。
「由香里さん、が、死んだ、ということを、証明できる、ものが、他に何か、あるでしょうか?」
僕は聞いた。
「由香里は、本名で、ブログをやっていました。由香里が死んでも、ブログは、残してあります」
母親は、そう言って、彼女のブログを、見せてくれた。
ブログには、彼女の写真も、たくさん、載っていた。
そして、最後のブログの記事のコメントには、「由香里。悲しいわ。でも、あなたは、立派に生きたわ。私。あなたを、いつまでも、忘れないわ」、などと、いう、友達のメッセージが、たくさん、載っていた。
そして、パソコンで、「佐藤由香里」で、検索すると、「茅ヶ崎市に住む、東海大学、文学部教授の、一人娘の、佐藤由香里さん、が、昨日、自動車事故で亡くなられました」という、記事が、いくつも、出てきた。
「うーん」
と、僕は、唸った。
ここまで、物的証拠があれば、彼女が、本当に、幽霊だということを、信じるしか、ないな。
と、僕は思った。
「どうも、色々と、ありがとうございました」
そう言って、僕は、彼女の家を出た。

そして、車にもどった。
助手席には、彼女が、座っていた。
「どう。私が、幽霊だということが、確信できましたか?」
彼女は僕に聞いた。
僕は、黙っていた。
「まだ、信じられない、というのなら、私の部屋には、私の指紋が、いっぱい、ついているから、私の指紋と、照合しても、いいわよ」
と、彼女は言った。
「由香里さん。あなたは、幽霊になったのなら、どうして、お母さんと、会わないのですか?」
僕は聞いた。
「それは。幽霊と、出会うと、寿命が、一年、縮まるからですよ。私。お母さんの寿命を、縮めたくないもの。それに、私が、成仏できないで、幽霊になってしまった、ということを、おかあさん、が、知ったら、驚くし、不安になるでしょ。それに、幽霊が、本当に、存在する、などと、わかったら、世間を騒がせて、混乱させてしまうでしょ。私、世間を混乱させたくないもの」
と、彼女は、飄々と言った。
「なるほど」
と、僕は言った。
「指紋を照合しても、また、信じられない、というのなら、私の髪の毛で、DNA解析して、調べて下さい。母は、私の遺髪として、私の髪の毛を、持っていますから。DNAが、一致したら、確実に、私だと、証明されるでしょ」
と、彼女は言った。
「いや。由香里さん。その必要はありません。ここまで、確かな証拠が、そろっていれば、僕は、あなたが、幽霊だということを、100%、確信しました」
と、僕は言った。
「ありがとうございます。やっと、信じていただけて、嬉しいです」
と、彼女は、嬉しそうに言った。
「僕は、唯物論を信じ切っていません。確かに、この世の事のほとんどは、唯物論で、説明できます。しかし、人間は、時間、というものを、説明することが出来ません。時計の針の、動きは、時間を、便宜的に、図るための道具に過ぎません。宇宙に、上下があるのかも、説明できません。し、宇宙のはて、は、どうなっているのか、も、わかりません。死後、人間は、どうなるのか、物質によらない精神というものは、存在しない、ということも、科学的に証明されていません。僕は、証明されていないことは、否定しない主義です。ですから、ここまで、証拠が、そろえば、僕は、あなたが、幽霊だということを、信じます」
と僕は言った。
「ありがとうございます。やっと、信じていただけて、嬉しいです」
と、彼女は、嬉しそうに言った。

「あ、あの。純さん」
「はい。何でしょうか?」
「私が、幽霊だと、信じてもらえましたが、こんな私でも、これからも、つきあってくれますか?」
「ええ。大歓迎です」
「でも、私は、幽霊ですから、一日、私とつきあうと、純さんの寿命が一年、縮まりますよ。それでも、つきあって下さいますか?」
「ええ。構いませんよ」
「嬉しいわ」
そう言って、彼女は、涙を流した。
「ところで、由香里さん」
「はい。何でしょうか?」
「あなたと、一日、つきあうと、僕の寿命が一年、縮まるんですよね」
「ええ。そうです」
「僕は、今、二十歳です。僕が、何歳まで、生きられるのかは、わかりませんけれど、平均寿命から考えて、80歳まで、生きられる、と、仮定しましょう。すると、あなたと、これから、毎日、つきあうと、60日後、つまり、二ヶ月後に、僕は、死ぬことになりますね」
「ええ。そうです」
「そこで、僕に提案があるんです。あなたと、つきあう一日は、充実した、一日にしたいですね。毎日、つきあうと、僕は、60日で、死ぬことになります。しかし、月に一度だけ、会う、というように、すれば、60/12=5年、あなたと、結婚生活を、送れることが出来ます。月に、一度でなくても、月に二度でも、構いませんし、あるいは、逆に、二ヶ月に、一度、会う、と、いうように、しても、いいんでは、ないでしょうか。二ヶ月に、一度、会う、とすれば、60/6=10年、あなたと、結婚生活を、送れます。どのくらいの、頻度で会うかは、あなたに任せます」
「なるほど。そういう方法もありますね。気がつきませんでした」
と、彼女は言った。
「結婚生活なんて、毎日、顔を見ていると、惰性で、だんだん、新鮮味が、なくなるものですよ。ささいなことで、夫婦ケンカになったりも、しますしね。芸能人でも、一般の人でも、アツアツの想いで、結婚しても、その半分ちかくは離婚しています。毎日は、会えず、時たま、会える、という方が、いつまでも、新鮮でいられると、思います。毎日、会っていると、厭き、も、来やすいものです。会えない期間があった方が、会いたい、という、情熱が、強くなります。七夕にしたって、織姫と牽牛は、一年に一度しか、会えないから、二人の愛は、激しく燃えあがるのでは、ないですか。一年に一度、会うとすれば、僕は、あと、30年、生きられます。ゲーテも、「ふたりの愛を深くするにはふたりを遠く引き離しさえすればよい」、と言っています。プブリウス・オウィディウス・ナソも、「満ちたりてしまった恋は、すぐに退屈になってしまうものである」、と言っています。シェイクスピアも、「ほどほどに愛しなさい。長続きする恋はそういう恋です」、と言っています。どうでしょうか?」
「わかりました。純さん、って、理性的な方なんですね。ちょっと、拍子抜けしてしまいました。でも・・・」
と、言い出して、彼女は、少し、渋い顔になった。
僕は、彼女の思っている事をすぐに、察知した。
そのため、僕は、先手を打った。
「ははは。由香里さん。あなたが、不安に思っていることは、わかりますよ。会わない期間が長いと、僕が、心変わりして、他の女性と、つきあうように、なってしまうんではないかと、心配しているんでしょう?」
彼女は、黙っている。
「由香里さん。答えて下さい」
僕は、強気の口調で、問い詰めた。
「・・・え、ええ。恥ずかしいですけれど、その通りです・・・」
彼女は、顔を赤くして言った。
「その点は、大丈夫です。安心して下さい」
僕は、自信をもって言った。
「どうして、ですか。それを、証明して下さい」
今度は、彼女が、僕に証明を求めるようになった。
「だって、僕は、内気で、無口で、ネクラで、友達なんて、一人もいませんから。彼女をつくることなんて、不可能です。僕は、憶病ですから、女性に、声をかけることなんて、出来ません。僕は、今まで、一度も、彼女、というものを、つくることが出来ませんでした。これからも、つくれないしょう。だから、あなたと、会った時、僕は、有頂天になって、喜んだじゃないですか。僕が、女性と、デートするのは、今日が、生まれて初めてだと、言ったじゃありませんか。僕の、パソコンでも、スマートフォンでも、調べてもらえば、わかりますが、僕が、女性と、楽しそうにしている、写真なんて、一枚もありません。ですから、それが、僕の証明です。科学的には、証明できませんが、あとは、由香里さん、が、信じてくれる、か、どうかに、かかっています」
と、僕は言った。
「僕のスマートフォンを、見て下さい。もし、僕に、恋人が、いるのなら、スマートフォンに、恋人との、メールのアドレスや、恋人との、メールのやりとり、や、恋人と撮った写真が、のっているでしょう」
そう言って、僕は、彼女に、スマートフォンを渡した。
彼女は、スマートフォンを、受けとると、一心に、カチャカチャ操作した。
「どうです。何もないでしょう?」
僕は、彼女に聞いた。
「確かに、何もありません。わかりました。純さんを信じます」
と、彼女は言った。
「ところで、由香里さん」
「はい。なんでしょうか?」
「一日、つきうと、と、寿命が一年、縮まる、と、あなたは、言いましたが、一日というのは、24時間、ちょうど、ですか?」
「いえ。12時間です」
「そうですか。それなら、早く、アパートにもどらないと」
僕は、車のエンジンを駆け、アクセルをグンと踏んだ。
急いで、アパートに帰らねば、と思った。
なぜなら、今日一日、彼女と、つきあってしまったのだから、僕は、一年、寿命が、縮まってしまったのだ。
それなら、彼女と、少し、ペッティングも、したいと思ったからだ。
「ところで、由香里さん」
僕は、車を運転しながら聞いた。
「はい。なんでしょうか?」
「この次は、いつ、会う予定ですか?」
「それは、まだ、決めていません」
「そうですか。できれば、日曜日に、出てきてくれると、助かります。今度、あなたと、会う時は、ディズニーランドに、行きましょう」
「はい。ありがとうございます。楽しみだわ」
彼女は、嬉しそうに言った。

途中に、コンビニがあった。
「ちょっと、トイレに行ってきます。すぐ、もどってきます」
そう言って、僕は、コンビニに入った。
僕は、コンビニのトイレで、オシッコをして、すぐに、コンビニを出た。
急いで、車に入ったが、彼女は、いなかった。
そして、車の中には、彼女の服があった。
そして、メモがあった。
それには、こう書いてあった。
「純さん。ちょうど、12時間、経ちました。私は、消えます。この次は、いつ、お会いするかは、考えておきます。もしかすると、成仏できるかもしれません。由香里」
彼女と、今日、会ったのは、午前、8時頃で、今、ちょうど、午後8時である。
ちょうど、12時間、経ってしまったのだ。
僕は、ちょっと、残念だった。

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七夕の日の恋(小説)(下)

2016-08-18 12:59:30 | 小説
それから、三ヶ月経った。
彼女は、現れない。
僕が、言ったように、彼女は、気をきかせて、くれているのだろう。
もしかすると、一年は、現れないかも、しれない。
さらに、もしかすると、彼女は、成仏できたのかもしれない。
まあ、しかし、僕としては、彼女がまた現われて、彼女と、ディズニーランドに行くのが、楽しみである。

しかし、日が経つにつれ、僕は、だんだん彼女が恋しくなった。
あんな、きれいな人と、出会えたんだから、ペッティングしておけば、良かった、と、僕は後悔した。
(もう、現れてくれないだろうか?)
僕は、彼女の、ビキニ姿の写真を見ながら、何回も、オナニーした。
彼女が、僕と会いたがっている、のと、同様に、僕も、彼女に会いたくなった。
だが、いつまで、経っても、彼女は、現れなかった。
「きっと、彼女は、成仏してしまったんだろう」
と、僕は、思って、あきらめだした。

それから、一年が経った。
僕は、由香里さん、のことなど、忘れていた。
もちろん、僕は、シャイで、憶病なので、彼女など、つくれない。
町で、手をつないで、歩いているカップルを、うらやましく、眺めるだけである。
七月七日になった。
「純さん。お久しぶり」
そう言って、ひょっこり、由香里さん、が、現れた。
びっくりすると、同時に、僕は、嬉しくなった。
「ああ。由香里さん。会いたかったよ」
僕は言った。
「私もよ」
彼女も言った。
僕は彼女を、ガッシリと抱きしめて、キスした。
「じゃあ、今日は、ディズニーランドに行きましょう」
「ええ」
こうして、僕と、由香里さん、は、ディズニーランドに行き、一年ぶりに、楽しい一日を過ごした。
前回、出来なかったので、一日、ディズニーランドで楽しんだ後は、近くのホテルに、入り、うんと、彼女と、ペッティングした。
「一年に、一回、くらいの、割り合が、良さそうだと思います。では。来年の、七月七日に、お会い致しましょう」
そう言って、12時間、経つと、彼女は、姿を消した。
僕は、来年の、七月七日が、待ち遠しい。



平成28年8月18日(木)擱筆





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七夕の日の恋

2016-08-18 12:53:20 | 小説
「七夕の日の恋」

という小説を書きました。

ホームページ、「浅野浩二のHPの目次その2」、に、アップしましたので、よろしかったらご覧ください。

(原稿用紙換算90枚)

ブログにも入れておきます。

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小人の靴屋(小説)

2016-08-16 21:58:47 | 小説
小人の靴屋

昔、ある町に、若い頃から、ずっと、まじめに、良い靴を作り続けてきたおじいさんが、おばあさんと住んでいました。
おじいさんは、若い頃は、元気でしたから、朝から晩まで 靴を作り続けても、それほど疲れることもありませんでした。しかし、靴をつくり続けて、50年、経ち、さすがに、おしいさんも、寄る年波には勝てず、近頃では、一日に、一足を仕上げられれば 上出来というような状態でした。
おじいさんの腕は、確かでした。
おじいさんは、真面目で、負けず嫌いで、勤勉な性格だったので、「歳なんかに、負けてたまるか」、と、自分を鼓舞して、頑張って、朝早くから、寄る遅くまで、靴をつくり続けました。
しかし、やはり、寄る年波には、勝てず、若い頃とは、違って、一足の靴をつくるのにも、かなりの時間が、かかってしまいました。
しかし、おじいさんの、つくる靴は、丈夫で、見栄えも良く、長持ちするので、つくった靴は、すぐに売れました。
靴屋は、町に、ほかにも、ありましたが、おじいさんの、靴つくりの、腕前は、町で一番でした。
しかし、老化による体力の低下は、気力だけでは、どうすることも、出来ず、若い頃は、一日、10足、つくることも、出来ましたが、老いた今では、一週間で、一足、つくれるか、どうか、という状態になってしまいました。
靴を、あまり作れないので、次の靴を作る為の、靴の皮を買うお金も、ありませんでした。
そんなわけで、おじいさんもおばあさんも 苦しい生活をしていました。
さらに、おじいさんは、老眼で、目が悪くなっていて、手も震えるようになっていて、皮の切り方も、下手になっていて、皮を切りそこなって、失敗して、切ってしまい、せっかく買った、高い、靴の皮を、無駄にしてしまう、ようなことも、ありました。
おじいさんは腰痛で、おばあさんは、変形性膝関節症に悩んでいました。
それで、毎日、整形外科に通っていました。
ある日。
おばあさんは、とうとう、おじいさんに、
「おじいさん。もう、あなたは靴を作るのは、無理だと思います。店をたたんで、息子夫婦の世話になりましょう」
と、提案しました。
靴の売り上げより、靴の皮を買う原価の方が、はるかに、上回ってしまっていて、靴屋の経営は、損益分岐点を割り、さらに操業停止点を、下まわってしまっていますから、商売を、続ければ、続けるほど、損をすることになってしまいますから、商売をやめるべきだ、という、おばあさんの、意見は、当然といえば、当然です。
しかし、おじいさんは、渋い顔をして、おばあさんの、提案を黙って、聞いていました。
おじいさんも、迷いましたが、これが最後の、仕事になるかも、しれないとの不安を持ちながらも、靴を、つくることに、しました。
おじいさんは、「もしかすると、これが 最後の仕事になるかもしれないな・・。もう 靴職人は、出来なくなるかもしれないな。それなら、この最後の靴を、一生懸命、全力を尽くして、作り、良い靴に仕上げよう」
そう思って、おしいさんは、丁寧に型紙に添って、慎重に皮を切り始めました。
しかし、体力が衰えているので、作るのに、時間がかかり、そして、その日は 雪模様だったので、手元も暗く、ようやく、皮を切り終えても 針に糸を通して縫い始めることは出来ませんでした。
なので、続きは明日にしよう、と、おじいさんは、仕事場の机の上に 切り取った皮を丁寧に並べました。
おじいさんは、おばあさんと、一緒に、食事しました。
靴を、作ることが、出来なくなって、しまったので、収入は、ぐっと減って、しまっていて、その日の夕食も、パンとコーンスープだけでした。
「天にまします、我らの父よ・・・」
二人は、敬虔なクリスチャンでしたので、目をつぶり、手を組みあわせて、深く頭を垂れ、主の祈り、を、してから、食べ始めました。
「ばあさん。美味しいよ。不思議だね。何で、こんなに、美味しいんだろう?」
おじいさんの、目から、涙が、ポタリと、落ちました。
涙の味つけで、パンを食べた人間でなければ、人生の味は、わからない、というゲーテの、格言があるように、涙の味つけのパンは、きっと美味しいのでしょう。
食事が終わると、二人は、寝室に入りました。

天国で、心優しいマー坊とヤン坊、という、二人の小人の天使が、この様子を見ていました。
「おじいさん。かわいそうだね」
ヤン坊が言いました。
「そうだね」
マー坊もヤン坊の意見に、賛同しました。
「ねえ。マー坊。僕たちが、二人で、夜中に、こっそり、おじいさんに代わって、靴を作って、あげたら、おじいさんは、靴屋を、つづけられるよ。おじいさんは、きっと喜ぶよ」
と、ヤン坊が言いました。
「うん。そうだね」
と、マー坊は、ニコッと、微笑みました。
「よし。決まり。じゃあ、おじいさんと、おばあさん、が、眠りに就いたら、僕たち、二人で、靴を作ってあげよう」
ヤン坊は、ウインクして、パチンと指を鳴らしました。
真夜中に、二人の、小人の天使が、天から、降りてきました。
ヤン坊と、マー坊、の二人の小人は、足音を立てないように、そーっと、おじいさんと、おばあさんの、寝ている部屋に行きました。
もっとも、身長5cmほどの、極めて小さい、小人ですから、普通の速度で歩いても、足音など、しないでしょう。
しかし、小人の二人は、緊張していますし、それに、小さい、といっても、小さな、ネズミなどの、動物が、ちょろちょろ、走れば、音は出ます。
また、おじいさんと、おばあさん、が、神経質で、小さな物音で、目を覚ましてしまう、ということも、考えられないわけでは、ありません。
それで、二人の小人は、足音を立てないように、そーっと、おじいさんと、おばあさんの、寝ている部屋に行きました。
おじいさんと、おばあさんは、グウグウ、ガアガアと、大きな寝息を立てて、寝ていました。
人間は加齢とともに、筋肉が弱くなります。これは体全体に当てはまることですが、舌を支えている筋肉である、喉周辺の筋肉も弱ります。これらの筋肉が弱まると、睡眠時に、舌が咽喉に落ち込みやすくなり、気道を狭くしてしまいます。その結果、老人は、いびきを、かきやすくなるのです。
二人の小人は、顔を見合わせて、
「しめしめ。しっかり寝ているぞ」
と、喜び合いました。
二人は、老夫婦の寝室から出ると、靴を作る仕事場に、行きました。
仕事場には、昼間、おじいさんが、型紙に添って、慎重に、切り取られた皮が、丁寧に並べられていました。
二人の、小人は、
「よし。これを、明日の朝までに、なんとしても、縫い上げるぞ」
と、強い口調で、意気込みました。
二人の小人は、
「仕事だ、仕事だ、いい靴作れ、僕らは 靴の妖精だ、働き者の、おじいさんのために、朝になるまで 靴作り・・・」 
と、駆け声をかけて、歌いながら、一心に、皮を縫い、小さな槌で形を整えました。
そして、最後にキュっキュっと、靴を磨いて、靴を作っていきました。
「ああ。疲れた」
ヤン坊が言いました。
「がんばれ。あと少しだ」
マー坊が、励ましました。
二人が、靴を、磨き上げた、ちょうど、その時です。
「コケコッコー」
と、一番鶏の鳴き声が、聞こえました。
「はあ。疲れた」
「僕もだ」
「しかし、間に合って、よかったね」
「さあ。はやく退却だ。僕らは、見つかっては、ならないからね」
「そうだね。おじいさん。これ、見たら、びっくりするぞ。ふふふ」
そう言って、二人の小人は、急いで、天にもどりました。

翌朝になりました。
「ふあーあ」
おじいさん、が、あくびをしながら、目を覚ましました。
おじいさん、は、郵便ポストへ行って、新聞をとってきました。
新聞では、あいかわらず、イスラム国が、各地で、自爆テロを、起こしている、記事が、書かれていました。
そして、アメリカの大統領候補で、泡沫候補のはずだった、共和党の、ドナルド・トランプ氏が、各州で、民主党候補に、勝っている記事も、載っていました。
そして、イギリスの、EU離脱の記事も、載っていました。
「やれやれ。困ったものだ」
と、おじいさんは、ため息をつきました。
(まさか、わしの息子も、イスラム国の戦闘員になったりは、しないだろうな)
おじいさんの頭に、そんな、一抹の不安が、よぎりました。
おじいさんは、新聞を読みながら、おばあさんが、起きるのを待ちました。
しはしして、おばあさん、が、起きてきました。
「やあ。おばあさん。おはよう」
「おはよう。おじいさん」
月並みな、挨拶をしたあと、二人は、朝食をとりました。
朝食といっても、あるのは、昨日の夕食と同じく、パンと、コーンスープだけです。
「さあ。昨日の、靴を、完成させよう。もしかすると、これが、最後の仕事になるかもしれないから、しっかりした、立派な靴を、完成させるぞ」
朝食が済むと、おじいさんは、そう言って、仕事場に行きました。
仕事場に入ると、おじいさんは、びっくりしました。
無理もありません。
なぜなら そこには 昨日、切っておいた皮が、すっかり綺麗に縫いあげられて、素晴らしい出来の靴が、そろえて、置いてあったからです。
「一体、これは、どういうことなんだろう?」
「一体、誰が、仕上げたんだろう?」
「おーい。ばあさんや」
おじいさんは、おばあさん、を呼びました。
「なんですか。おじいさん?」
おばあさんが、仕事場に行きました。
「ほら。みてみろ。昨日から、作り始めた、靴が、いつの間にか、出来上がっているんだ」
そう言って、おじいさんは、机の上の、靴を、おばあさんに、指差しました。
「ほんとうだわ。出来ているわ」
「でも・・いったい 誰が?」
「うーん・・誰だろう」
「一体、誰が、何の目的で、靴を、仕上げてくれたんだろう?」
「おじいさん。あなたが、昨日、完成させたのでは、ないのですか?」
おばあさんが、聞きました。
おじいさんは、即座に、怒りました。
「ふざけるな。わしは、歳をとったとはいえ、まだ、認知症にもなっていないし、記憶力だって、衰えていない。これは、わしが、作ったのではない」
おじいさんは、怒って、言いました。
しかし、認知症のような精神疾患は、自分では、認識できないものなのです。
病識がないからです。
認知症患者は、「オレは認知症なんかではない」、と思っているのです。
その逆に、病識がある人は、認知症ではないのです。
つまり、「オレは認知症かもしれない」、と、思えるような人は、認知症ではないのです。
しかし、おはあさんは、おじいさんを、認知症あつかいすると、おじいさんが、怒るので、そして、また、おばあさんも、おじいさんの、日常の会話や、行動から、認知症になったとは、思えないので、おばあさんは、おじいさんの、言うことを信じることにしました。
「一体、誰が、作ったのだろう?」
おじいさんは、考えあぐねました。
「きっと、誰か、心の優しい人が、この世の中には、いるのですわ。その人が、きっと、夜中に、そっと、靴を仕上げてくれたのですわ」
おばあさんが、言いました。
「そうだな。そうとしか、考えられないな」
と、おじいさんも、言いました。
「ともかく、この出来栄えだと、この靴は、間違いなく、いい値で売れるぞ」
おじいさんが思ったとおり、その靴は、その日のうちに、びっくりするくらいの 良い値段で、一人の紳士に買われていきました。
おじいさんは、そのお金で、靴1足分の皮を買いに行きました。
そして、また、丁寧に、皮を切り、その日も、薄暗くなったので、机の上に、皮を並べて、仕事場に置いておいて、みることに、しました。
今日のような、不思議なことが、また、起こるのか、どうか、確かめたかったからです。
翌朝、おじいさんが、仕事場に行ってみると、やっぱり 昨日と同じように 素敵な靴が2足、一足は、若いご婦人用、一足は、紳士の為のおしゃれな靴が、ちゃんと 出来上がっていました。
そして、また、二足とも、高い値段で、売れたのでした。
おじいさんは、驚いて、そのお金をもって、今度は 四足分の皮を買いにいき、戻ってくると、すぐに丁寧に、靴用の形に、切り取って、また、仕事場を後にしました。
やはり、次の日の朝には、可愛い子供靴に、シックな婦人靴、丈夫な仕事靴と、歩きやすそうな軽い靴が、ちゃんと 出来上がっていました。
そんなことが 毎日、続いて、起こるのです。
さすがに、おじいさんも おばあさんも 一体 誰が、こんなことをしているのか、それを知りたいものだと思いました。
そこで、おじいさんは、その夜は、靴の皮を、仕事場に置いておいてから、ベッドに横になって、そして、夜中に、そっと、仕事場をのぞいてみることにしました。
その夜中のことです。
仕事場の時計が、ボンボンと、12時を打ったころ、なにやら、仕事場で、動いているものが見えました。
それは不思議なことに、なんと、そこには、二人の小人がいたのでした。
おじいさんも、おばあさんも びっくりぎょうてん、しました。
思わず、声が出そうになるのを、じっと我慢して、二人の小人のすることを、見ていました。
小人たちは、
「仕事だ。仕事だ。いい靴作れ、僕らは 靴の妖精だ、働き者の、おじいさんのために、朝になるまで靴作り・・」
と、歌いながら、すばやく、皮を縫い、小さな槌で形を整え、最後に、キュっキュっと靴を磨いて、あっという間に 素晴らしい靴を 作ってしまいました。
そして、靴がすっかり出来上がると、二人の小人は ランプの火を消して、日の出の始まりそうな薄闇の中に消えていってしまいました。
おじいさんも おばあさんも 自分たちが見たことが 信じられない思いでしたが、出来上がった靴を手にとって、つくづくと眺めてみれば、やっぱり、それは、素晴らしい出来だし、なにより、きれいな仕上がりでした。
二人は、黙って、テーブルに坐って、いつまでも、小人の作った靴を眺めていましたが、ふと おじいさん、が、ため息をついて、言いました。
「夜中に、靴を作っていたのは、小人の妖精だったのか」
おじいさんは、そう言って、腕組みをして、考え込みました。

「ふふ。おじいさんも、おばあさんも、喜んでるぞ」
二人の、小人は、そう言って、天国から、おじいさんと、おばあさん、を見ました。
おじいさんと、おばあさん、の二人は、黙って、テーブルに坐って、いつまでも、小人の作った靴を眺めていましたが、ふと、おばあさんが言いました。
「ねえ。おじいさん、あの二人の小人は 裸でしたよね。靴の妖精といっていたけれども、寒さは感じないんでしょか?」
「さあ。それは、わからん」
「私たちが、これまでよりも、楽な暮らしが出来るようになったのも、あの二人の小人の、おかげでしょう。だから。御礼をしてあげましょうよ」
おばあさんが言いました。
「お礼って、一体、何をするのだ?」
おじいさんが、おはあさんに、聞きました。
「私、今日は、二人分の小さな服をつくるわ。やっぱり、小人は、寒そうだもの。それと、彼らに合った、小さな靴もつくってあげるわ」
おはあさんは、そう言うと、早速、ちいさな服と靴を、作り始め、その日のうちに、作りあげました。

天国の小人は、それを、見ていて、「ふふふ。楽しみだね」と、喜びあいました。
その夜、二人の小人は、いつものように、天から舞い降りてきて、靴屋に行きました。
きっと、おばあさんが、自分たちの、体のサイズに合う、小さな服を作って、置いておいてくれることを、期待して。
二人の小人は、いつものように、おじいさんと、おばあさん、に、気づかれないように、そっと、家に入りました。
善事と悪事は、人に気づかれないように、そっと、やるもの、なのです。
仕事場の、机を見ると、その夜は、二人の小人の予想通り、机の上に、小さな箱が置いてありました。
そして、箱の中には、二人の小人の予想通り、小さな布切れ、が置いてありました。
二人の小人は、喜びました。
「やった。あれが、僕たちに、対する、お礼のために、おばあさんが、作ってくれた、服と靴に間違いないぞ」
二人の小人は、ウキウキして、箱の中に着地しました。
すると、どうでしょう。
小人の足が、箱の中に、ピッタリと、くっついてしまいました。
ゴキブリホイホイのように、箱の中に、接着剤が塗ってあったのでしょう。
「うわっ。これは、どういうことだ」
二人の小人は、驚くと同時に、両足が、箱の中に、くっついてしまっているので、バランスを崩して、倒れてしまいました。
すると、小人の体も手も顔も、箱の中に、ベッタリと、くっついてしまいました。
もう、これで、二人の小人は、身動きすることが、出来なくなりました。
これでは、ゴキブリホイホイそのものです。
「うわっ。これは、一体、どういうことなんだ?」
「どうして、こんな、意地悪をするんだろう?」
「わからないよ。これじゃあ、まるで、ゴキブリホイホイにかかった、ゴキブリと同じじゃないか」
二人の小人は、途方に暮れたまま、もがきました。
しかし、一旦、くっついてしまった体は、どう、あがいても、無駄でした。
とうとう、二人の小人は、あがくのを、あきらめました。
しばしして、おじいさん、が、ぬっと、二人の小人の前に、姿を現しました。
おじいさんは、箱の中に、くっついている、二人の小人を、冷たい目で、見ました。
「ふふふ。とうとう、捕まえたぞ。この、ワル小人ども」
おじいさんは、意地悪そうな口調で、そう小人たちに、言いました。
「あっ。おじいさん。どうして、靴を作ってあげた僕たちに、こんな意地悪をするんですか?」
「こんなイタズラは、やめて下さい。僕らを自由にして下さい」
二人の小人は、おじいさんに、言いました。
「ふざけるな。このワル小人ども。お前達は、自分が何をしたのか、わかっているのか」
おじいさんは、鬼のような顔で、怒って言いました。
「わかっています。おじいさんが、歳で、靴をつくれなくなってしまったので、代わりに、僕らが、つくって、あげたのです」
ヤン坊が言いました。
「恩着せがましいことは、言うつもりは、ありません。けれども、こんなことは、恩を仇で返すような、行為じゃないでしょうか?」
マー坊が言いました。
二人の小人は、何で、良いことをしてあげたのに、どうして、こんな、意地悪を、されるのか、わからないので、困惑した顔つきで、おじいさんを見ました。
おじいさんは、おもむろに、話し出しました。
「わしは、この町で、一番の、靴つくりの職人だ。歳をとって、昔のように、たくさん靴を作ることは出来なくなったとはいえ、靴つくりは、わしの、唯一の、生きがいなのだ。わしの誇りなのだ。お前達は、わしの、唯一の生きがいを奪ってしまったのだ。こんな、悪事をする、お前達は許せん」
そう言うや、おじいさんは、二人の小人の入った箱を、燃えさかる暖炉の炎の中に、投げ込みました。
「ああっ熱いー」
「おじいさん。ごめんなさい」
「おじいさん。許してー」
二人の小人は、必死になって、おじいさんに、助けを求めました。
しかし、おじいさんは、聞く耳をもとうとしません。
二人の小人の入った、箱は、暖炉の炎の中で、メラメラ燃え始めました。
「ああっ熱いー」
「おじいさん。ごめんなさい。もう、勝手に靴を作ったりしません」
「おじいさん。助けてー」
二人の小人は、必死になって、おじいさんに、助けを求めました。
しかし、おじいさんは、小人たちを、助け出そうとしません。
おじいさんは、二人の小人を見ながら、
「だめだ。お前たちを、生かしておくと、また、どこかで、年老いても、頑張っている、職人の、生きがい、を、勝手に、奪ってしまうだろうからな」
と、厳しく言いました。
そして、とうとう、二人の小人は、焼け死んでしまいました。
おじいさんは、二人の小人の入った箱が、燃え尽きてしまうのを、確認すると、ほっと、胸を撫で下ろしました。
「やった。これで、わしは、また、靴を作ることが出来る」
おじいさんは、嬉しそうに、そう言いました。
こうして、おじいさんは、また、若い時のようには、量産は出来ないものの、コツコツと自分の生きがいである靴つくり、を、することが出来るようになりました。

めでたし。めでたし。

教訓。「人から、生きがい、を奪ってはいけません」




平成28年8月16日(火)擱筆






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小人の靴屋

2016-08-16 21:54:18 | 小説
「小人の靴屋」

という小説を書きました。

ホームページ「浅野浩二のホームページの目次その2」、に、アップしましたので、よろしかったら、ご覧ください。

(原稿用紙換算36枚)

ブログにも、入れておきます。

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モハメド・アリの敵は全ての白人

2016-08-15 12:34:25 | 考察文
モハメド・アリは、「オレの敵はアメリカの全ての白人だ」と、言った。
これを、ほとんどの人は、暴論だと言うだろう。
1960年代には、アメリカでは、白人でも、黒人を差別する白人と、黒人を差別しない白人がいた。
モハメド・アリは、黒人を差別する白人だけを、批判すべきだった、と人は言うだろう。
これが、常識的な、一般の人の考え方である。

しかし私の考えは、ちょっと、違う。
私は、こう考える。
というか、あなた(このブログを読んで下さっている日本人)、に問いたい。
「あなたは、日本人で、アフリカ系の黒人のように、肌の色が黒くなく、髪の毛も縮れていない。もし、あなたが、黒人を差別しない、というのなら、そして、黒人も、白人も、東洋人も、なんら変わりない、平等な人間だ、というのなら。・・・私は、あなたに問いたい。あなたは、黒人に生まれても、よかったのですね。あるいは、これから、黒人になって、肌の色が黒くなっても、いいのですね。だって、あなたの理屈では、そうなるじゃないですか」

「オレは黒人に生まれても良かった。オレは、これから黒人になってもいい」

と、本心から、答えられる人だけが、モハメド・アリを、批判する権利がある。

そう私は考える。

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48式太極拳

2016-08-14 19:27:24 | 武道・スポーツ
第一段
1.白鹤亮翅・・・・左足。右手、前
2.左搂膝拗步・・・左足。右手、前
3.左单鞭・・・・・
4.左琵琶势・・・・左足前。構え
5.捋挤势(三)・・・・↓↑↓掌を内に
6.左搬拦捶・・・・・二歩進む。逆、左縦拳
7.左掤捋挤按・・・・一歩進む。24式して、両手押し

第二段
8.斜身靠・・・・・・右を向く
9.肘底捶・・・・・・二歩。左向く。左足前。左手前
10.倒卷肱(四)・・・・左前足から下る。四で正面向き。右足後ろ
11.转身推掌(四)・・・↑↓(北西→南東)。↑↓(北東→南西)
12.右琵琶势・・・・・右向き。構え
13.搂膝栽捶・・・・・継足で二歩。左下逆突き

第三段
14.白蛇吐信(二)・・・左足前。逆手。右足前。逆手
15.拍脚伏虎(二)・・・左足一歩進め、右分脚。右足一歩進め、左分脚
16.左撇身捶・・・・・左足前。左手、拳上向き
17.穿拳下势・・・・・沈み込み、右足出す
18.独立撑掌(二)・・・左で片足立ち。右で片足立ち
19.右单鞭・・・・・・

第四段
20.右云手(三)・・・・
21.右左分鬃・・・・右足。左足
22.高探马・・・・・継足。右手前
23.右蹬脚・・・・・
24.双峰贯耳・・・・
25.左蹬脚・・・・・
26.掩手撩拳・・・・左足前。右下拳
27.海底针・・・・・左足前。右手下に向ける
28.闪通背・・・・・左手で押す。左前屈立。転身

第五段
29.右左分脚・・・・左向き。
30.搂膝拗步(二)・・左足。右足
31.上步擒打・・・・左足、一歩進め、右拳、両拳
32.如封似闭・・・・継足。左足前。両手押し
33.左云手(三)・・・
34.右撇身捶・・・・左足を後ろに引き、右足前。右拳
35.左右穿梭・・・・王女。継足。左。右
36.退步穿掌・・・・右足を引き、前を向く

第六段
37.虚步压掌・・・・右を向く。虚歩。後退
38.独立托掌・・・・右足を上げる
39.马步靠・・・・・右足、着地。左足、一歩出す
40.转身大捋・・・・右足を出し前を向く。左足を引き、後ろを向く
41.撩掌下势・・・・右足をそろえ、沈み込んで、左足を前
42.上步七星・・・・右足を虚歩で出し、また右足を引く
43.独立跨虎・・・・左足を上げる
44.转身摆莲・・・・時計回りで、右蹴り、両手さわり
45.弯弓射虎・・・・右弓歩。前に左拳
46.右搬拦捶・・・・左足を進め、右縦拳
47.右掤捋挤按・・・一歩、進み、右足前。24式の手をして、両手押し
48.十字手・・・・・左手を左に。前を向く

48式太極拳の套路を、覚えるために、書いたもの。

24式と、42式、と、同じパターンのものが、多い。

太極拳は、男より女の方が、圧倒的に、きれい、である。

それは、女は、股関節が、柔らかいから、蹬脚や、分脚を、高い位置で、止められるからである。

男は、達人でも、足を高く上げられない。

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今日は私の誕生日

2016-08-12 09:02:18 | Weblog
今日は、私の誕生日である。

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太極拳はやらない

2016-08-10 11:40:30 | 武道・スポーツ
陳式太極拳は、24式、42式、48式、の外套を、それぞれ、一日で覚えたが、やらないことにした。

理由は、太極拳は、副交感神経優位で、力を出すので、交感神経を緊張させたい私には、健康に良くない、からだ。

膝に負担もかかる。

ネットで調べても、太極拳は、健康には、あまりよくない、との、書き込みが多い。

残念。

踵を浮かす、卓球をやりたいが、世の中に、卓球スクールというものが無い。

誰か、作ってよ。



なに。人に頼らず、お前が、作れだって?

よし。わかったよ。つくるよ。ただ、スクールじゃなくて、サークルだけどね。

そして、卓球じゃなくて、硬式テニス、サークルにするぜい。

「浅野浩二・テニスサークル」

代表者=浅野浩二。

入会金、年会費、0円。

藤沢市近辺の、テニスコートを、借りて、グラウンド・ストロークの練習をしましょう。

コート代は、私が、払います。

年齢・性別・技術レベル、いっさい、問いません。

初めて、ラケットを握る人から、ノバル・ジョコビッチより、強い上級者でも、構いません。

必ず、あなたの、技術レベルが上がります。

連絡方法。どっかの、ブログか、掲示板に、「浅野浩二」と、書いといて、くれれば、わかります。

平方眞先生のブログのhttp://air.ap.teacup.com/awatenai/1338.html#comment

に、書いといて、くれれば、見ますので。

(平方眞先生、ちょっと、ごめんなさい)

本気よ。

女性の方だからといって、エッチなことに、誘ったりしませんよ。

男性の方だからといって、おかまを、ほり合いましょう、などと、誘ったりしませんよ。

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足のむくみ、筋肉痛、対策

2016-08-09 11:53:40 | 医学・病気
運動すると、ふくらはぎ、が、筋肉痛になって、つらかった。

どういう原因で起こり、そして、どうしたら、いいか、ネットで、探しまくった。

しかし、いい方法は、見つからなかった。

それで、仕方なく、へたくそマッサージ店りらく、で、一時間、3000円で、マッサージを受けていた。

しかし、いい方法が見つかった。

それは、整形外科の治療の基本である、RICE。である。

RICEとは。R=Rest(休息、安静)、I=Ice、Icing(アイシング、冷却)、C=Compression(圧迫、圧迫包帯)、E=Elevation(上げる、患部を高くする)

である。

アイシングは、していたが、たいした効果は、なかった。

近くに、スポーツ店(ビクトリア)が、あるので、そこで、下腿の、サポーター(2484円)を、買って、履いたら、かなり、効果があった。

圧迫感も違和感もなく、脹脛も、疲れにくい。

圧迫(コンプレッション)、ということを、忘れていたのだ。

静脈が、心臓に帰るのは、静脈の弁と、筋肉の力だけ、なので、運動不足だったり、足腰が弱かったり、脹脛の筋肉が弱かったり、体質的に、むくみやすかったり、(私は低血圧である)すると、筋肉痛になりやすい。

圧迫(コンプレッション)、ということを、忘れていた。

人間は、気づいた時から、始めれば、それでいいのである。


「求めよ。さらば与えられん。叩けよ。さらば開かれん」

(マタイ伝七章)

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天皇陛下の生前退位

2016-08-08 22:20:44 | Weblog
天皇陛下の生前退位。

天皇陛下が、生前退位の意向を述べられた。

僕は、みなが言っていることは、書かない。

誰も、言わない、着目しないことを、述べたい。

(まあ、僕がブログで書いていることは、そういうことが多いが)

昭和天皇は、西暦と、元号との、関係が、わかりやすい、時に、即位なされた。

というか、大正天皇が退位なされた。

元号に、25を、足すと、西暦になり、西暦から、25を引くと、元号となる。

たとえば、終戦の、昭和20年は、+25、で、西暦1945年である。

という具合に。

なので、歴史の勉強の、年代の、暗記が、しやすかった。

これは、歴史を、覚える、学生には、とても、有難いことなのである。

歴史の、年代の暗記が、しやすい、のである。

なので、今生天皇には、あと、4年半、天皇に即位して、いただいて、西暦2021年に、退位して、頂けると、歴史の、年代の暗記が、しやすくなる。

西暦2021年が、新元号になって、新元号1年となると、極めて、歴史の、年代の暗記が、しやすくなる。

たとえば、西暦2024年は、新元号4年、というように。

西暦2029年は、新元号9年、というように。

きわめて、わかりやすい。

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無名作家の一生(小説)

2016-08-05 05:09:52 | 小説
「無名作家の一生」

という小説を書きました。

ホームページ「浅野浩二のHPの目次その2」に、アップしましたので、よろしかったらご覧下さい。

(原稿用紙換算345枚)

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次期総理大臣は石破茂である

2016-08-05 02:36:53 | 政治
次期総理大臣は石破茂である。

もちろん、安倍晋三も、高市早苗も、石原伸晃も、丸川珠代も、菅義偉も、チンカスの、ザコのクズである。

しかし、谷垣禎一氏は、今は、非難しない。

むしろ、氏の頚髄損傷の怪我が良くなってくれることを、心から祈っている。

なぜなら、私は、チェ・ゲバラ、を尊敬しているから。

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腰抜け殺人鬼のウジ虫防衛大臣、稲田朋美

2016-08-04 23:39:47 | 政治
第三次、安部内閣の防衛大臣は、タカ派の稲田朋美だとよ。

なーにが、タカ派だ。

笑わせんじゃねえ。

(人間の作った卑怯な)武器や、アメリカの核兵器が、なけりゃ、何にもできねーじゃねえか。

自分の命は、大切だか、アメリカの戦争に協力して、無辜の民間人を、平気で殺す、腰抜けの殺人鬼じゃねえか。

自分の死がこわくて、こわくて、しかたがねえ、腰抜けじゃねえか。

人間の作った卑怯な武器なしで、核兵器に向かって、戦いをいどめる、マハトマ・ガンジー、や、キング牧師、こそが、本当に勇気ある、強い、タカ派、といえるのだ。

彼らは、死を恐れていない。

そして、武器なしで、戦って、死んだ。

なんたる勇気。

「暴力にもなかなかどうして至上の美がある。
ただ男対男であること。
彼が孤独であること。
人間の発明によるいっさいの卑劣な武器を使わぬこと。
これらの条件のもとに、この美は厳しく成立する」

(ジャック・ロンドン)

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累進課税に疑問

2016-08-03 16:44:23 | Weblog
日本で、累進課税制度に疑問をもつ人が一人もいないのが、不思議でならない。

全ての日本人は、累進課税制度、を正しいと信じて疑わない。

しかし、そうすると、イソップ寓話の、「アリとキリギリス」、の、話が、成り立たなくなってしまう。

もちろん、適度な、累進課税制は、必要だと、思うが。

税率を、あまりにも、上げ過ぎると、働くのが、バカバカしくなる。

税率を上げれば、上げるほど、日本は、共産主義国家になっていく。

「働かざる者、食うべからず」、という格言も成り立たなくなってしまう。

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