小説家、精神科医、空手家、浅野浩二のブログ

小説家、精神科医、空手家の浅野浩二が小説、医療、病気、文学論、日常の雑感について書きます。

書店

2009-12-19 21:34:13 | 考察文
所用あって新宿へ出かける。つい紀伊国屋書店に入ってしまう。書店に入るとつい本を買ってしまう。まだ読みきってない本が家にあるというのに。書店に入るとつい本を買ってしまう。近くの大きな書店でも、なかなか欲しい本が置いてない。ので、本は、まずブックオフで探す。今日は、阿部公房と城山三郎と重松清を買う。小説は楽しみのため、というより、自分が小説を書くのに参考になる本を買っている。阿部公房の小説はいい。何がいいといって、アイデアの豊富さがいい。形容詞にオリジナルな面白さがある。一見すると、高校生でも書けそうな小説のようにも見えるが、これがなかなか書けない。城山三郎は、経済小説にありがちな無味乾燥な文章ではなく、適度な形容詞(文章の美しさは形容詞の美しさ)があり、ドラマもあり、人を不幸にしたくない、という城山三郎のやさしい性格が小説に表れている。重松清は、初めてだが、「小学五年生」という、小学生が主人公の小説集なので、私が書きたい小説の参考になりそうなので買った。帰りの電車で読んだが、いける、と思った。まだまた読んでない作家もあるが、いい小説は、数行を読んで気に入ってしまう、のが多い。何も私はプロ作家しか読まないという差別はない。アマチュアでも、すごく美しい小説をいくつか読んでいる。プロは締め切りに追われて書いているから、筆が雑になる作品もあるが、アマチュアは締め切りがないから、十分練って書けるから、いい作品にも会う事があるのである。しかし女の作家の小説は、あまり読まない。なぜなら漫画と同じで、女をかわいく描けるのは、漫画でも小説でも男だと思うからである。女は自分が美の主体だから、自分の事を、かわいらしく描くことは出来にくいように感じる。女の嫌な本音が表れていたりすると幻滅である。私は小説は現実性より空想であっても理想の美を書いた物の方が私は好きである。というより、女のいい所だけ書いて、悪い所は書かなければ空想ではない。やはり、女の書く小説は女の方が、女特有の感情に共感できるから、読者も女が多いのではなかろうか。男は女を理想として見ているから、その情熱が女を美しく描かせるのだ。女も、もちろんナルシズムがあって自分を美しく見せようとするが、それは日常生活での事であって、作品として女をかわいらしく描くことは出来にくいのではなかろうか。それは物理的な点では女は自分を美しく見せ、演じることは出来るが、作品で描くとなれば、精神の美しさを表現しなければならず、女は決して、男の偏見による理想のやさしさ、など持っていない事を知っているだろうから。

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窃盗

2009-12-19 00:16:05 | 考察文
高校の時、ある遠くの駅から学園に戻ってくる長距離歩行があった。オリエンテーリングのようなものである。その時、私のクラスの、あるグループの一人がキーのついたオートバイを見つけた。彼は後ろに生徒を乗せてピストン輸送した。それが悪い事に警察に見つかって、つかまってしまった。無免許運転で、しかも窃盗罪である。ヘルメットもかぶってないし、見つかる可能性は高い。しかし、それがスリルだったのだろう。彼と、彼の仲間は警察に呼ばれた。彼は警察に、「遅れているので、遅刻しないように、仕方なくやった」と言った。自分を正当化するために精一杯、考えての発言だろう。しかし、私はこれは、まずい言い訳だと思っていた。素直に、「スリルを味わいためやった」と本心を言うべきだ、と思った。なぜなら、警察では彼の性格は知らない。しかも高校一年生である。だから彼の言う事をそのまま信じるしかない。しかし、「スリルを味わいためやった」と言えば少年の罪のない無邪気な冒険心として警察も寛容に見るだろう。高校生、若さのエネルギーは、そのくらいのことなら、そう咎めはしないだろう。しかし、「遅れているので、遅刻しないように、仕方なくやった」と言ってしまうと、この人間は目的のためなら手段を選ばない性格と、警察にとらえられてしまう。しかし目的のためには手段を選ばないというのは犯罪者の性格である。警察もそれを信用したようである。彼が熱心に訴えたのだろう。結局、彼だけが調書をとられ、前科一犯となった。一緒になって後ろに乗っていたヤツは、共犯といえると思うが、警察は彼らの調書まではとらなかった。それほど寛容なのだから、正直に、「スリルを味わいためやった」と言えばよかったのに、と思っていた。実際、彼は冒険心のあるヤツである。しかし私は学園にいた時は、無口で自分の考えというものを全く言わない生徒で通していたので、言わなかった。今は、思ってる事は何でも言っとかないと損だと思っているので、こうして書いているのである。

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