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オーディオの基礎 10 チューナーの基本的な事

2016-09-24 22:12:32 | オーディオ

 先日、チューナーを設置した話に大半の事を書いたが、チューナーの基本的な事柄を解説していく。

 FMとAM。電波の違い

 まずは電波の種類から話すと、FM放送とAM放送に大別できる。ものすごく大雑把に言うと、「きれいな音でステレオ放送のFM」と、「大半がモノラル放送で音質が今一つのAM放送」となる。またFMは1局か2局くらいしか放送していないが、AMはたくさんの局があり自由に選べる。FMは音楽向きで、AMはトーク向きであり、これは電波から来る周波数の特性が関係しており、FM放送は昔のアナログVHF放送と同じ仲間なのだ。テレビ番組の音の部分がそのままFM放送だと考えてよく、チューナーによってはテレビの音声が聴ける機種もあり、FMの延長線上にテレビがある。一方のAM放送は、仕組みはとても単純であり、鉱石ラジオという理科の実験のような簡単な装置だけで受信できるようになっている。また日中はごく限られた局しか受信できないが、日が落ちて夜になると遠くの地域にある局でも聞こえるようになる。これは夜間になると電離層が電波を反射するので、日中は聞けなかった局が聞こえるのだ。なお、AMステレオ放送が放送されているそうだが、対応チューナーを用意しなければならないので、あまり普及は進んでいないようだ。私もAMステレオチューナーを持っていないので聞いたことはない。

 FMチューナーはアンテナが必要

 まず、FMチューナーで受信する為にはアンテナが不可欠だ。ポータブルラジオでもアンテナを伸ばさなければ受信できないのはどれも一緒で、さらにFMでステレオ放送を受信させるためにはしっかりとしたアンテナを用意する必要がある。

 T型フィーダーアンテナ

 FM放送を聴く場合に手軽なのがT型フィーダーアンテナだ。FMチューナーを購入するとおまけでこのチューナーが付いてくるが、これは簡易的というか、とりあえず受信できるのを確認する為に付属しているもので、教科書には専用アンテナが不可欠と書かれている。これは私も基本的には賛成だ。FM放送は、先に書いたようにテレビのVHFアナログ放送と同じ帯域であり、テレビ放送で山影やビルにより映像が2重に映ってしまうゴースト現象が常に問題となっていた。電波塔から発せられた信号の他、山が反射して跳ね返った信号も拾ってしまう。だから映像の右側にうっすらと同じ画像が2重に映ってしまうのがゴースト現象だ。実はこのゴースト現象はFM放送にも起きている。具体的にはFM放送中ちいさなジュルジュルジュルとしう歪んだ感じのノイズが聞こえるなら、それはテレビのゴースト現象と同じもので「マルチパス歪み」と呼ばれるものだ。T型フィーダーの設置で十分なゲイン(アンテナから得られた信号量)を得られても、マルチパス対策が必須となる。

 八木式(やぎしき)アンテナ

 八木アンテナが抜本的な解決法となる。これは昔のアナログVHFアンテナと同じ物だが1.8メートルと一回り大きい。強電界、つまり近くに送信所がある場合では、2素子のアンテナで良いと思うが、ビルや山影に影響を受けている場合は素子を増やす必要があり、素子が増えるほど弱い電波を捉えることができる。あるいは反射がひどく、ふさぎきれない場合は素子を増やして別の山に向けてしまう方法もある。

 アンテナの基本としてはT型フィーダーと同じ構造の放射器が核となる。反対側の電波をブロックする反射器と、小さな信号を導く導波器の3つで出来ている。2素子のアンテナは放射器と反射器の2つで、より指向性を増すために導波器が増えていく構造だ。ちなみに私は昔、札幌のFM放送が聴きたくて10素子の超大型FMアンテナを設置した事があり、結局ほとんど札幌は受信することはできなかった。でも地元のFM放送はとてもクリアに受信することができた。

 チューナーについて、大まかに電波の違いとアンテナについてまとめてみたが、以前にも書いたように、ただの銅線が立派なアンテナの替わりとなる場合も多いので、まずはT型フィーダーをしっかりと張っておき、次に送信所の方角と反対側の山の関係を確認しよう。山がどれくらい影響するのかを考えて、八木アンテナを設置するののがベストなのだが、すでにテレビ用のVHFアンテナが設置されていて、地上デジタル放送に移行した後のVHFアンテナが遊んでいる場合は、FM放送へ方角を変えてしまうのも一つの方法だ。反射器しては全く機能しないが、放射器としては一応機能するので、場合によってはマルチパス歪みをかなり抑える事が出来る。テレビ線から75Ωの同軸ケーブルを分岐してFMチューナーと接続すればよいので、不要になったVHFアンテナを復活させてみるのも一つの方法だと思う。



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