ミュージカルな日々

ミュージカル好きの私が、観劇・映画・ドラマ・音楽・本の感想を書きつづるブログ、になる予定。

「モーツァルト!」 感想

2010-11-10 | ミュージカル観劇記
11月9日の夜の部で「モーツァルト!」を観てきました

キャストは,(敬称略)

ヴォルフガング 井上芳雄
ヴァルトシュテッテン男爵夫人 香寿たつき
コンスタンツェ 島袋寛子
ナンネール 高橋由美子
シカネーダー 吉野圭吾
コンスタンツェの母 阿知波悟美
レオポルド・モーツァルト 市村正親
コロレド大司教 山口祐一郎

ですね

東宝のスターが総出演 見応え,聴き応えがありました
アンサンブルも厚みがあって,上手で,
東宝ミュージカルって素晴らしいグランド・ミュージカル最高っと幸せな気持ちになりました

幕開き直後の「奇跡の子」から,アンサンブルの歌の迫力と衣装のゴージャスさに圧倒され,
そうだ東宝ミュージカルはこうでなきゃっとテンション急上昇(笑)

「僕こそ音楽(ミュージック)」では,井上芳雄さんのヴォルフガングもいいじゃないっと早速思いました
明るくて,溌剌としていて,自信に充ち溢れていて,とっても魅力的なヴォルフでした

祐一郎さまは「何処だ,モーツァルト!」から元気いっぱい
赤いマントに裏地は金という派手派手衣装で,ドカーンっと登場し,とにかくド迫力
でも,ちょっとキュートなところもあって,とっても魅力的

二幕の「神よ,何故許される」では,祐一郎さまの歌の力を再確認
確かに,ちょっと苦しそうな時もありますが,
この曲の最後,裏声で「音楽の~ま~じゅ~」までためにためて,最後の「つぅ~っ」だけ地声でドカーンと響かせる,
この技術のすごさには,やっぱり圧倒され感服しました

祐一郎さまがアンサンブルに混ざってよく出てくるのも,このミュージカルの美味しいところ。
特に二幕の「謎解きゲーム」と「モーツァルト・モーツァルト」の祐一郎さまの使い方が,私的にはすごいツボなんです

アンサンブルの中から,祐一郎さまの声が浮き上がってくる瞬間が,何とも言えず,大好きなんです
立ち姿も迫力があって,アンサンブルの中にいながら,一際華やかなオーラを放っているのも素敵

……いかん,いかん,祐一郎さまのことだけ語って感想が終わってしまいます(笑) 次へ

市村パパは,今回も素敵でした
声量や迫力で押すのではなく,じっくりと演技で魅せるいぶし銀の市村さんも大好きです
「心を鉄に閉じ込めて」は何度聴いてもじーんとして,聴き入ってしまいます

高橋由美子さん演じるナンネールは,実は私は大好きなキャラクター。
天才モーツァルトの陰に隠れてしまったお姉さんです。

「終わりのない音楽」や「プリンスは出て行った」は,涙なくしては聴けません
パパ(レオポルト)とのデュエットになるところがまた切なくて,いつも聴き入るシーンの一つです。

そして,忘れてはならないヴァルトシュテッテン男爵夫人(やっと名前を覚えました(笑))
香寿さんの「星から降る金」は,体に沁み込むように美しくて,
でも,モーツァルト父子に決意を促す強さも感じさせて,素晴らしかったです

クセのない伸びやかな歌唱と,これまた正統派の美しいお顔・お姿に,惚れ惚れしてしまいます
大きい役で,もっともっと活躍して下さると嬉しいです

もう一人,忘れてはならない人がいました シカネーダーの吉野圭吾さんです
「ちょっぴりオツムに,ちょっぴりハートに」は,前よりパワーアップしたそうで,
もはや「吉野圭吾・オン・ステージ

本当に,すごかったです あれは,CDでは伝わらないし,文章でも伝わりません。
とにかく,見てびっくり(笑)
彼の素晴らしいダンスの技術と華やかなオーラがいかんなく発揮されていて,圧倒されます

さて,二幕でたくさん出てくるコンスタンツェは,
前回,かなりの問題児(K村さん)だったので,今回の方に関してもちょっと懸念していたのですが,すごくよかったです

制作発表の歌披露の時は,完全にSPEEDの時の歌い方で,どうなることやら,と思ったのですが,
ほとんどSPEED歌いは封印して,ちゃんとミュージカルらしく歌っていて,しかも迫力もあって。

特に,「ダンスはやめられない」には,大感動
大好きなナンバーなだけに,素晴らしい歌い手さんに歌ってもらえて,嬉しかったです

さて,ここまで,役者さんにスポットを当てて書いてきましたが,作品理解についてもいくつか。

井上ヴォルフガングは,「父子の葛藤」にすごく重点があるな,というのが全体の印象です
だからこそ,二幕の「何故愛せないの?」は,すごく切なく胸に響いて,素晴らしいものでした

ただ,一方で「天才の孤独・苦悩」「天才として才能に殉じて生きるのか,それとも普通の人間として生きるのか,という相克」といったテーマが弱くなった感は否めません

例えば,一幕と二幕の最後の「影を逃れて」は,ここのテーマにかかるナンバーな訳ですが,
井上芳雄さんのヴォルフガングでは,一幕のラストでこの曲が歌われるのが何だか唐突に感じられたのです

中川晃教さん・あっきーのヴォルフガングを見た時は,そんな印象は受けなかったので,
ここが二人のヴォルフの一番違うところかなぁというのが私の結論です

あっきーのヴォルフは,まさに「天才」 その才能が故に苦しむ姿がストンっと入ってきていたのです。
だからこそ,一幕と二幕のラストの「影を逃れて」が身を切られるような切なさとともに心に迫ってきて,
この気持ちが私の「モーツァルト!」という作品の理解の核になっていたと言っても過言ではありません。

それだけに,父子の葛藤に重点のある芳雄さんのヴォルフは,新鮮であり,リアルで共感しやすい物ではあるのですが,
ちょっと物足りなさも感じてしまうのでした

願わくば,この素晴らしいキャストのまま,あっきー,カムバックです


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2 コメント

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男爵夫人の名前について (通りすがりのミュージカル好き)
2010-12-05 03:50:49
いつも楽しく読ませて頂いております。
少し気になった点がありましたので書き込ませていただきます。
「ヴォルト」でなく、「ヴァルト」ではないでしょうか!? ドイツ語の発音ではあいまいかもしれませんが、Baronin von Waldstättenと綴る様です。
あれれ (かんりにん)
2010-12-05 10:40:49
「ヴァルトシュテッテン男爵夫人」ですね

名前を覚えるのも一苦労だったのですが,
覚えた名前も微妙に間違ってました(笑)

ご指摘ありがとうございます

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