ミュージカルな日々

ミュージカル好きの私が、観劇・映画・ドラマ・音楽・本の感想を書きつづるブログ、になる予定。

ミュージカル「二都物語」感想

2013-08-24 | ミュージカル観劇記
久々に東宝ミュージカルを見てきました。以下、ちょっとネタバレの感想です。

ストーリーとしては、まさに大革命の時代の群像劇で、お芝居として見ごたえのある作品でした。
脇を固める役者さんたちもうまい方ばかりで、細部まで楽しめました。

井上芳雄さん演じるシドニーには何度も泣きそうになりました。歌にも力がありましたし。
最後の最後まで、信じたくないラストでしたが、歌いながら終わってくれたのが救いだったかなぁと思います。

浦井健治さんも大好きな俳優さんなんですが、美味しいところを全部井上さんのシドニーにもっていかれて、
若干役不足というか、もったいないというか、、、
浦井君ファンとしては、歌も少なくてちょっと不満は残りました(笑)

すみれさんは初めて見ましたが、歌は合格点かと思います。演技は、まあ、これからに期待(笑)
あとは、声が低いので、ちょっと落ち着いちゃったかなぁ、と。ルーシーはもう少し可愛らしい感じがあってもよかったかなぁと思います。

脇の方々は本当に素晴らしかったです。この方を見るためだけにもう一回行ってもいいくらいです。
橋本さとしさんは相変わらずかっこいいですし、濱田めぐみさんは裏ヒロインと言えそうな貫禄。
墓荒らしの宮川さんとペテン師の福井さんもすごく達者でよかったです。

それから、演出もよかったです。舞台上の大きな板を効果的に使っていて、印象的でした。

革命の「暗」の部分を描いて、ラストは悲しい作品でしたが、色々考えさせる作品でした。

久しぶりのミュージカルで、生オケと東宝らしいアンサンブルが聴けて大満足でしたー

ミュージカル「ジキル&ハイド」 感想

2012-03-26 | ミュージカル観劇記
久しぶりに観劇してきました
観に行ったのは、日生劇場で上演中の「ジキル&ハイド」

この作品、鹿賀丈史さまの主演の時に2回観に行きました。
とにかく美しいメロディーと、哀しく、深いストーリーが好きで、
好きなミュージカル作品を5つあげろ、と言われれば、絶対この作品は入れる
というほど、好きな作品です

なので、石丸幹二・濱田めぐみ・笹本玲奈、という歌うまい3人で再演されると聞き、
観に行くのを、とても楽しみにしていたのです

だが、しかし…
何かが足りないんですよね、今回の「ジキル&ハイド」には。
確かに、歌は3人ともすごく上手いですし、石丸幹二さんの演技には問題がないはずなのです

濱田さんに色気が足りないのか、と言えば、マルシアと比べればそうですが、
でも、十分に魅力的なのです。
特に、「新しい生活」を歌う濱田さんは少女のようにピュアで可愛らしいです

そして、笹本玲奈さんはさらに歌のうまさはパワーアップし、
何だか母性すら感じさせる深い愛でジキルを包む、エマを好演されていました。

脇はどうかと言えば、吉野圭吾さんのアターソンも、禅さんとはイメージが違いますが、
控えめに演じていらして、これはこれでアリだなと。

私の密かに大好きな俳優さん、畠中洋さんのストライドにも言及しておくと、
役柄としてはひどいですが(笑)、アンサンブルで歌う「嘘の仮面」の冒頭の部分を、
ぱーんっと歌い出して、さすがっと思いました。

吉野さんと畠中さんは二人とも体の動き、切れがいいので、
アンサンブルに混じって踊っていても目を引きます。
そういう意味でも、この二人も大活躍でした

色々問題視されていた中嶋しゅうさんも、歌については、
まあ、仕方ないかなと思えるレベルだと私は思いました。
あとは、貴族に全く見えなかったのが、残念と言えば残念でしたが…

では、何が足りないのか?
もっと簡単に言えば、なぜ今回の「ジキル&ハイド」では泣けなかったのか?

考えてみたのですが、石丸幹二さんと濱田めぐみさんの歌には、
歌からはみ出すほどの「感情」のうねりが感じられないのが原因かなと思うのです。
きれいにまとまるだけでは、この「ジキル&ハイド」という芝居は、感動的にはならないんだ、
というのが私の一応の結論です。

鹿賀さまは、時にこちらを引きづり込むようなパワーで、ジキルとハイドの苦悩を表現されていました。
石丸幹二さんも悪くないのですが、彼が歌に入り込めば入り込むほど、
役としての気持ちの方は置いてけぼりになっている印章は否めなかったのです。

どうしても、鹿賀さまのCDを聞きたくなってしまう、というのが今の正直な気持ちです

ミュージカル「ボニー&クライド」 感想

2012-01-12 | ミュージカル観劇記
ボニー&クライド、見てきました
今日の昼公演、もちろん、藤岡正明さんが出演する回です

感想は、、、話はいまいち、というのが正直な感想です
でも、とにかく、歌が上手い人がそろっているので、大満足の舞台でした

お話は、それぞれに閉塞的な社会にうんざりしてたボニーとクライドが出会い、
ともに、どんどん凶悪な犯罪に手を染めていき、最後は警官隊に囲まれて蜂の巣になって殺される。
というもの。「俺たちに明日はない」という映画にもなっている話です
(映画は見たことないですが

背景にあるのは(Wikipediaによると)世界恐慌と禁酒法で、
ミュージカルの中でもそうした時代背景も描かれるには描かれるのですが、
そこへの踏み込みが若干浅い気がしました。

その結果、二人の無軌道な犯罪について行けず、カタルシスがあるわけでもなく、
見終わって、「で、何?」と思ってしまったのも事実。

閉塞的な社会が背景になって犯罪に手を染めてしまった若者を描く、という点では、
「ブラッド・ブラザーズ」が似ているなぁと思ったのですが、
こっちの方が、見終わった後、ずーんと来て、考えさせられることも多かったのにな、と思いました。

藤岡くんに万里生さん、さらには岡田さんまで出演されていて、
キャストがかなりかぶっているので、余計に「ブラッド・ブラザーズ」が思い出されたんですよねー
でも、何だか再演したみたいにも思えて、それはそれで嬉しかったです

さて、そのキャスト陣ですが、
まずは、濱田めぐみさん
やっぱり、すごかった…

劇団四季時代には、「李香蘭」の川島芳子役で拝見しただけでしたが、
やはり、看板はってこられた方は違いますね

低い声も高い声も、そして裏声も、どの声もとっても魅力的
表現力も素晴らしいし、貫禄十分

やっぱり「アイーダ」は見とくべきだったか…
今度の「ジキル&ハイド」のルーシーがすごく楽しみです
むしろルーシーの方が向いてるかもーっと思いました

田代万里生さんは、また一段とミュージカルらしい歌い方になっていて、
特に、牢獄で自分のつらい胸の内を吐露するシーンにはぐっときました。

同じワイルド・ホーン作品だからなのか、「ルドルフ」が思い出されて、
この感じなら、悩めるルドルフ皇太子もいけるのではっと思いました

そして、藤岡正明さん
歌少ないよぉとは思いましたが、彼の歌はやっぱり素晴らしいです

役所はボニーの幼なじみで、恋心を抱いていて、最後まで彼女を救い出そうと頑張る青年です。
歌も、彼女を思いやる優しい歌が多くて、ぐっとくるのです

隣に座っていた女性二人組は、どうも藤岡くんを知らなかったらしく、
前半が終わった休憩時間中、プログラムの彼のページを開いて、
上手いねー、歌手なのねー、ミス・サイゴンにも出てたのねーなどと話していて、
うむうむ、そうだろう、そうだろうっと隣でうなずいてました(笑)

それと、気になったシーンとしては、
ボニーの母親が、ボニーと藤岡くん演じるテッドをくっつけようと画策するシーン。

母親は古くさいボレロをボニーに着せ、祖母からもらったというブローチを付けてやります。
ボニーは当然それが気にくわないわけですが、
そこへ現れたテッドは、そのボレロとブローチを褒める…という残念な展開

ここの藤岡くんが本当に優しげな雰囲気で、でもすれ違っている感じが何とも可哀相で、
個人的には、「エリザベート」のフランツ・ヨーゼフを彷彿させました(笑)
藤岡さん、きっとフランツできるなぁと思います

ということで、話に共感できない分、いろんな妄想を膨らませながらの観劇でした(苦笑)
それはそれで楽しかったですよ うん。

他にも、岡田さんや岸さんなどなど歌が上手い人が勢揃い。
それから、木場さんもすごく素敵でした
歌は歌わないですが、要所要所に出てきて、舞台全体を締めていました。

そうそう、音楽は、かなりアメリカン・テイスト
この前見た「GOLD」と同じ作曲家とは思えないくらい、軽快な音楽が多かったです。
私は、「ジキル&ハイド」「ルドルフ」「GOLD」あたりの、
ロマンティックでメロディアスな曲の方が好きでしたが

まあ、ともかく、全体としては十分に楽しめるエンターテインメント作品に仕上がっていたとは思います

動画も上がっていましたので、貼っておきますね
ミュージカル『ボニー&クライド』 ボニー(濱田めぐみ)ダイジェスト


ミュージカル『ボニー&クライド』クライド(田代万里生)ダイジェスト

『GOLD~カミーユとロダン~』  感想

2011-12-13 | ミュージカル観劇記
公式HPに動画がアップされていました

『GOLD~カミーユとロダン~』ダイジェスト映像


そして、昨日、昼公演を見てきました
久しぶりの東宝ミュージカル、1列目で堪能致しました

作品の内容は、女流彫刻家でロダンの愛人だったカミーユ・クローデルの生涯を描いています。
以前、Wikipediaで、カミーユ・クローデルを調べたことがあるので、
悲惨な人生であったことは知っており、舞台としてもつらい内容であることは覚悟していましたが、
思った以上に、彼女の人生の過酷さが胸に迫ってきて、後半は泣きっぱなしでした
特に、新妻さんが最後に「GOLD」を歌うところでは、もうぼろぼろ泣けちゃって
大変でした。

舞台を見ていてとても印象に残ったのは、
カミーユ・クローデル自身も才能溢れる彫刻家であり、
にもかかわらず女性と言うだけで画壇から排除され、パリでは個展すら開けなかったという事実です。

この点は、Wikipediaの情報だけではぴんと来ていませんでしたが、
舞台で演じられると、その理不尽さと、その拒絶の姿勢があまりにも強いことに、衝撃を受けました。
「天才を持つ女性」を奇妙な生き物でも見るように扱う社会。
そんな時代があったことに愕然としました。

今の私は、男性と全く同じ資格を持って、昔なら女性がなるとは考えられていなかったであろう職業に当然のように就こうとしているので、
こういう時代があったことすら忘れてしまいそうですが、
ついこの間まで、もしくは、今でも、女性への差別や蔑視があったということは事実なんだと改めて思い知らされました。

彼女の人生は、過酷だったと思いますが、
それがロダンと出会ったことだけが原因なら、それは「GOLD」で歌われるように不幸なことではなかったといえると思うのです。
二人の芸術家の出会いは奇跡的ともいえると思いますし、苦しみや葛藤があったとしても、
そこには悔いはないと思うのです。

でも、彼女が精神を病んだのは、むしろ才能ある女性を認めなかった社会・時代背景に原因があるわけで、
その中で、なすすべなく狂っていく彼女の姿が本当につらく、救いがなく感じてしまいました。

…とはいえ、舞台としては、本当に充実したものだったと思います
主演の新妻聖子さんは、歌はもちろん、演技の点でも素晴らしくて、
一幕最後の決断とロダンのもとを去っていくシーンや、二幕最後の「GOLD」は、本当に迫力があって、圧倒されました。

そして、石丸幹二さんも素晴らしかったです
才能も地位も名誉もある時代のロダンなのに、何だかすごく人間臭くて。
ただ、カミーユに感情移入して見ていたので、途中からロダンの優柔不断な態度には腹を立てていましたが(笑)

伊礼彼方さんはたぶん舞台で拝見するのは初めてでした。
彼は本当にフランス人に見えます(笑)、当然ながら。
特に、子ども時代のおかっぱヘアがすごくキュートです

歌もお上手ですし、特に「Field of Angel」がよかったです

クローデルについては、あまりよく知らないのですが、「繻子の靴」を書いた作家ですよね。
確かWikipediaによると、熱心なカトリック信者だったはず…くらいの知識で見ていたのですが、
この歌は、そんなクローデルのカトリック信仰を強く反映した歌です。

醜聞を重ねる姉に心から洗礼をすすめるクローデルのピュアな感じがすごくよく出ていて、胸を打たれました。

最後に、演出について。
これはすごく面白かったです
1列目ではなく、5,6列目でもう一度見直したいくらいです。

二人の彫刻家の話と言うことで、身体表現がとにかく凝っているんです。
ロダンが考えている姿が、ロダン作の「考える人」そのもの、というのはすごくわかりやすい例ですが、
他にも、精神を病んだカミーユが見る幻覚が、カミーユ作の「波」の三人の女の動きをしていたり。

二人の作品をぱっと思いつかなくても、座席に作品の写真がカラーで印刷されたパンフが用意してあるので、これを見れば色んな発見ができる仕掛けになっています

特に印象的なのは、二人の作品のうち、
カミーユ作の「シャクンタラー」や「ワルツ」、ロダンの「接吻」を、
二人のラブシーンに使っているところです

「ワルツ」の体勢をとったロダンが本当にカミーユの首筋にキスをして…
というシーンには、こっちまでどきどきしました(笑)

白井晃さんの演出はたぶん初めてでしたが、こうした身体表現もよかったですし、
アンサンブルの人たちの動かし方も独特で、
帝国劇場でやるようなグランド・ミュージカルとは違う、
芝居的なミュージカルとしてすごく楽しめました

ということで、大満足の感激でした
もう一回くらい行きたいなぁ。

三ツ星キッチン 「LOVE」

2011-07-24 | ミュージカル観劇記
久しぶりにミュージカルを見てきました
三ツ星キッチンのオリジナルミュージカル「LOVE」です。

三ツ星キッチンの公演を見るのは、初めてでしたが、泣けました
私は何とかこらえましたが、会場中のそこかしこから鼻をすする音が…

ストーリーは、この世に思いを残したまま死んでしまった人々が、地上に降りてきて、愛する人に思いを伝える、というもの。
よくある話といえば、よくある話ですが、それぞれのエピソードが泣けて泣けて。
あと、時々クスッと笑えるシーンが挿入されているのが、うまくできていて、そこでほっとできる、という面もあります

特に好きなのは、渡辺大輔さん演じる戦場カメラマンの青年と大工のお父さんのエピソード。

渡辺さんは今回初めて知った俳優さんですが、とってもかっこいい方です
テニスの王子様(ミュージカル)出身というプロフィールも納得。

で、そのさわやか青年に対して、お父さんは典型的なくまさんみたいな親父。
ということで、最初、その親子関係が判明したときには、会場にいる人ほとんどが「え?」と思ったはず。
そこで、親父が一言、「俺に全然似てねーんだよ
ここは笑えます。そのほかの親父さんの芝居が泣けるだけに、この一言がすごく好きでした(笑)

あとは安男さんが大活躍するわけですが、やはり彼のメイクは最初びっくりします…
まあ、彼がいないと、それこそ「よくある話」に落ち着いちゃうので、必要な役柄だとは思うのですが…

とまあ、そんな感じで、初めての三ツ星キッチン公演、とても楽しめました
いつも東宝や四季ばかり見ていましたが、小さい箱で、きちんと歌える方を集めて丁寧に作られたミュージカルもいいなぁと思いました