鬼平や竹鶴~私のお気に入り~

60代前半のオヤジがお気に入りを書いています。

お気に入りその1262~霧 ウラル

2016-10-13 12:48:28 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、霧 ウラル です。

桜木紫乃の「裸の華」、面白かったなぁ。
あのとき一緒に買っておいた「霧 ウラル」をようやく読みました。

AMAZONの内容紹介を引用します。
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今日から海峡の鬼になる。
記念碑的傑作誕生
舞台は、国境の町・根室
男の屍を越えて生きてゆく女たち。
北海道最東端・根室は、国境の町である。
戦前からこの町を動かしてきた河之辺水産社長には、三人の娘がいた。
長女智鶴は政界入りを目指す運輸会社の御曹司に嫁ぎ、次女珠生はヤクザの姐となり、三女早苗は金貸しの次男を養子にして実家を継ぐことになっている。
昭和四十一年の国政選挙で、智鶴の夫・大旗善司は道東の票をまとめ当選を果たした。
選挙戦を支えたのは、次女・珠生の夫で相羽組組長の相羽重之が国境の海でかき集めた汚れ金だった。
珠生は、大旗当選の裏で流された血のために、海峡の鬼となることを誓う。
【編集担当からのおすすめ情報】
桜木版『ゴッドファーザー』であり、桜木版『極道の妻たち』であり、桜木版『宋家の三姉妹』!
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高校時代から家業のラブホテルを手伝っていた著者。
人生の裏表や人間の業を知った若き日。
そんな彼女の「ホテルローヤル」での直木賞受賞は必然だったと思います。
またストリップ嬢のプライドを見事に描いた「裸の華」は、著者にしか書けない、そう思わせる何かがありました。

そういう意味で、本書のコピー「桜木版極妻」は説得力バツグン。

国後島を目前にする国境の町・根室。
水産業を中心とするその町は一部の実力者が牛耳っています。
ロシアの監視船に賄賂を渡し、国境の向こうの豊かな海で漁をすることが許された者だけが莫大な富を手にできます。
彼らに立てついた者たちは船を奪われ、最後は命まで奪われます。
水産会社、やくざ、政治家、金貸しがそれぞれの役割を持ち、助け合う裏世界。
こういうのを書かせたら、さすがに著者、ペンが走る走る。
登場人物たちは生き生き躍動します。

水産会社の社長の娘3人が、やくざ、政治家、金貸しに嫁ぐという設定は出来過ぎ。
でも男たちの駆け引きよりもその裏にある、女たちの駆け引きの方にスポットライトを当てたことで、ストーリーが生きてきます。
政治家が当選した日、やくざの組長が殺されます。
口封じと利権構造の変更という一石二鳥のため、長女が仕組んだことでしょう。
ラストで次女は海峡の鬼となり長女に立ち向かうことを決心します。

この続きはどうなるのか?
100点を取り続ける完璧な姉。
彼女の完璧とも思える包囲網に次女は立ち向かうことができるのか?
いつかこの続きを書いてくれないかな。

桜木版極妻、期待通り面白かったです。

コメント
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